エアコンの購入を検討する際、東芝のエアコンは壊れやすいという評判を耳にしたことはありませんか?
私も家電量販店で働いていて、お客様から「東芝のエアコンって実際どうなんですか」とよく相談を受けます。ネット上では故障しやすいという口コミもあれば、長年使えているという意見もあり、どちらが本当なのか迷ってしまいますよね。
実際のところ、東芝のエアコンの故障率は他メーカーと比較して特別に高いわけではありません。むしろ、冷えない、動かないといったトラブルの多くは、適切な対処法で解決できることが分かっています。
この記事では、東芝エアコンの壊れやすいという評判の真偽、メーカーの修理体制、そして冷えない時の具体的な対策方法について詳しく解説します。
東芝のエアコンは壊れやすいのか|メーカーの体制

東芝のエアコンの信頼性について気になっている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、実際の故障率やメーカーのサポート体制について詳しく見ていきます。客観的なデータと実際の口コミを基に、東芝エアコンの品質について検証していきましょう。
東芝のエアコンは壊れやすい?
東芝のエアコンが壊れやすいかどうかについて、まず結論をお伝えすると、特別に故障しやすいということはありません。
私も店頭でよく聞かれる質問なのですが、実際のところ東芝のエアコンの故障率は他メーカーと大きく変わらないというのが現実です。
エアコンの寿命についてですが、一般的にどのメーカーも10年程度で買い替えが必要になる場合がほとんどです。これは東芝に限った話ではなく、業界全体の傾向として長持ちする設計よりも、適度なサイクルでの買い替えを前提とした製品作りが主流になっているためです。
東芝のエアコンで故障として報告されることが多い症状には、冷えない、水漏れ、リモコンが効かないといったものがあります。ただし、これらの症状も他メーカーのエアコンでも同様に発生する一般的な不具合であり、東芝特有の問題というわけではありません。
むしろ東芝の最新モデルでは、2024年度省エネ大賞を受賞したU-DRシリーズのように、品質面で高い評価を受けている機種も多数存在しています。2025年3月中旬からは、さらに進化したU-DZシリーズもリリースされ、技術的な向上も継続的に行われているのが現状です。
冷えない原因

東芝のエアコンが冷えない場合、いくつかの原因が考えられます。まず最も多いのが、設定や使用環境に関する問題です。
パワーセレクト機能が有効になっている場合、冷房の効きが弱く感じられることがあります。この機能は最大電流値を約50%に抑えるため、ブレーカーが落ちにくくなる反面、お部屋の冷えや暖まりが弱くなってしまいます。冷房効果を優先したい場合は、パワーセレクトを解除することが必要です。
おまかせ自動運転や快眠運転、切タイマー運転などの特殊モードも、冷暖房が弱いと感じる原因になります。これらのモードは省エネや快適性を重視した運転になるため、通常の冷房運転に比べて効きが穏やかになるのです。
エアフィルターの汚れも冷えない原因として非常に多く見られます。フィルターにホコリが蓄積すると、空気の流れが悪くなり、冷房効率が大幅に低下してしまいます。定期的な清掃が欠かせません。
室外機周辺の環境も重要な要素です。室外機の吹き出し口や吸い込み口にゴミや枚れ葉が詰まっていたり、周りに障害物があったりすると、熱交換がうまくいかずに冷房効果が低下します。
また、使用環境が東芝の運転条件から外れている場合も冷えない原因となります。外気温度が約21℃~43℃、部屋の温度が約21℃~32℃、部屋の湿度が80%以下という条件から外れると、保護装置が働いて運転しないことがあるのです。
温度センサーの異常

温度センサーの異常は、エアコンが冷えない原因の中でも特に厄介な問題のひとつです。このセンサーは室温を正確に感知し、設定温度に合わせて運転を制御する重要な部品です。
温度センサーに不具合が生じると、実際の室温と異なる温度を検知してしまい、適切な冷房運転ができなくなります。例えば、部屋が暑いのにセンサーが設定温度に達したと誤認識してしまうと、エアコンは冷房を停止してしまうのです。
この症状の見分け方として、リモコンで設定温度を変更してもエアコンの運転に変化が見られない場合が挙げられます。また、エアコンが頻繁に運転を開始したり停止したりを繰り返すような動作も、温度センサーの異常を疑う材料になります。
温度センサーの劣化や故障は、使用年数とともに発生しやすくなる傾向があります。特に10年以上使用している機種では、センサーの精度が低下している可能性が高くなるでしょう。
ただし、温度センサーの異常は自分で確認することが困難なため、疑わしい症状がある場合は専門業者やメーカーサポートに点検を依頼することをおすすめします。修理には専門的な知識と技術が必要で、素人が手を出すべき領域ではありません。
苦情やリコールは多い?

東芝のエアコンに関する苦情やリコールの状況について調べてみると、他メーカーと比較して特別に多いということはありません。
実際に過去のリコール情報を確認すると、2019年11月から2021年12月に販売された一部機種で、製造工程の不備により電気用品安全法で要求される絶縁耐力検査ができていない問題が発生したことがあります。しかし、これは製造元である東芝キヤリア株式会社が適切に対応し、該当製品については専用窓口での対応が行われました。
苦情に関しては、音に関するものが目立つ傾向があります。東芝のエアコンでは、プラズマ空清機能搭載機種において「ジー」という電子音が発生することがあり、これを騒音と感じる方もいらっしゃるようです。ただし、これは機能上避けられない音であり、故障ではありません。
運転音が気になる場合の対処法として、風量を「しずか」に設定したり、室外機の運転音設定を変更したりすることで騒音を抑えられる場合があります。これらの調整方法は取扱説明書に記載されているので、まずはご自分で試してみることをおすすめします。
一方で、東芝の最新モデルでは無風感空調機能など、快適性を向上させる技術も多数搭載されており、メーカーとしても継続的な改善努力を続けているのが現状です。
メーカー修理の口コミ評判

東芝のメーカー修理に関する口コミや評判を見てみると、対応の速さについては改善の余地がある状況です。一部のリサイクル業者からは「修理・相談でオペレーターにつながるまで10分以上、修理対応に来られるまで5日以上と他メーカーに比べ対応されるまでの時間が長い」という指摘もあります。
ただし、これは故障件数の多さが原因というよりも、サポート体制の規模に関する問題と考えられます。実際に東芝のシェア率は他の大手メーカーと比較してそれほど高くないため、サポート窓口の規模も相応になっているのが実情です。
修理費用については、業界標準的な水準に設定されています。点検費用2,000円~3,000円に出張費用2,000円を加えた約5,000円が基本的な料金です。実際に修理が必要な場合は、これに作業費用と部品代が加算され、合計10,000円~30,000円前後になることが多いようです。
東芝では、メーカーのホームページに「WEB修理受付(出張修理)」の窓口を設置しており、オンラインで修理依頼ができる体制を整えています。修理依頼前には「製品形名・製造番号・購入年月・発生している症状やエラーコード」を入力する事前確認システムもあり、効率的な対応を心がけているのがわかります。
私が店頭でお客様とお話ししていても、修理対応そのものの品質については特に問題があるという声は聞きません。時間がかかることはあっても、技術的な対応力には一定の評価があると感じています。
東芝のエアコンは壊れやすいのか|冷えない時の対策

エアコンが冷えない、動かないといったトラブルに直面したとき、どう対処すればよいか悩んでしまいますよね。
この章では、よくある症状別の原因と解決方法をご紹介します。多くの場合、専門業者を呼ばなくても自分で解決できる問題ですので、ぜひ参考にしてみてください。
冷風は出るが冷えない
エアコンから冷風は出ているのに部屋が冷えない場合、まず確認すべきは風の流れです。暖かい空気が天井や物などに当たると、エアコンがその冷たい空気をそのまま吸い込んでしまい、部屋が設定温度になったと誤認識してしまいます。
この問題を解決するには、風向ルーバーの調整が効果的です。冷房時は風向ルーバーを水平にして、冷たい空気を部屋全体に行き渡らせることが大切になります。また、風量設定も見直してみましょう。「しずか」や「微風」に設定されている場合、設定温度になるまでに時間がかかったり、到達しない場合があります。
部屋の密閉性も重要な要素です。ドアや窓が開いていると、外から暖かい空気が入り込んで設定温度になりにくくなります。エアコン使用時は、換気のとき以外はできるだけドアや窓を閉めておくことをおすすめします。
エアコンの容量と部屋の広さが合っていない可能性も考えられます。特に西日の当たる部屋や天井が高い部屋では、通常よりも大きな容量のエアコンが必要になることがあります。購入時の畳数表示は一般的な条件での目安なので、特殊な環境では効きが悪く感じられることもあるのです。
暖房は動くのに冷房だけ動かない

暖房は正常に動作するのに冷房だけが動かない場合、室外機に関連した問題が多く見られます。冷房時は室外機が重要な役割を果たすため、この部分に不具合があると冷房機能だけが影響を受けてしまうのです。
まず確認したいのが室外機周辺の環境です。室外機の吹き出し口や吸い込み口にゴミや枚れ葉などが詰まっていないか点検してみてください。また、室外機の周りに植木鉢や自転車などの障害物がないかも確認が必要です。これらの問題は自分で解決できることが多いので、まずはチェックしてみましょう。
冷媒ガスの問題も考えられます。冷媒ガスは冷房時に重要な働きをするため、ガス漏れや不足があると冷房機能だけが低下することがあります。室内機と室外機をつなぐパイプに霜がついている場合は、冷媒ガス漏れの可能性があります。
コンプレッサーの不具合も冷房専用の問題として現れることがあります。コンプレッサーは冷媒を圧縮して冷房機能を実現する重要な部品で、この部分に問題があると冷風が出なくなります。室外機から異音がする場合は、コンプレッサーの故障を疑う必要があるでしょう。
電気系統の問題で、冷房に関する制御回路だけに不具合が生じている可能性もあります。この場合は専門的な診断が必要になるため、メーカーサポートや専門業者への相談をおすすめします。
暖房が効かない

暖房が効かない場合の原因は冷房とは異なる特有の問題があります。まず、外気温度が運転条件から外れていないか確認してみてください。東芝のエアコンでは暖房運転時に外気温度マイナス15℃まで対応していますが、これを下回る環境では正常な暖房運転ができません。
室外機の凍結も暖房が効かない大きな原因のひとつです。特に雪が多い地域では、室外機周辺に雪が積もったり、本体が凍りついたりすることで熱交換がうまくいかなくなります。この場合は、安全に配慮しながら雪を取り除いたり、室外機周辺の環境を整えたりすることが必要です。
フィルターの汚れは暖房時にも大きな影響を与えます。先ほどもお伝えしたように、暖房運転の場合でも、フィルターの汚れによってエラーコードが表示される場合があります。定期的な清掃を心がけることで、このような問題を予防できるでしょう。
風向ルーバーの設定も暖房効果に直結します。暖房時は風向ルーバーを下向きにして、暖かい空気を足元から送ることで効率的に部屋を暖められます。暖かい空気は上昇する性質があるため、この設定が非常に重要になるのです。
パワーセレクト機能が有効になっている場合も、暖房の効きが弱く感じられることがあります。電力消費を抑える機能のため、暖房能力も制限されてしまいます。十分な暖房効果を得たい場合は、この機能を解除することをおすすめします。
パワーセレクトボタンがない時の対処法
(メニュー式)
2メニューボタンを押す
3▲▼でパワーセレクトを選択
4決定ボタンで設定画面へ
5「入」「切」を選択して決定
(P型・N型)
2パワーセレクトボタンを押す
3設定完了の音を確認
※P型はマーク表示あり
※N型はマーク表示なし
2取扱説明書で操作方法を検索
3見つからない場合はサポートに連絡
4製品形名を伝えて操作方法を確認
・設定中は室内機に向けて操作
・設定完了後はマーク表示を確認
・フルパワー時は必ず解除する
2メニューボタンを押す
3▲▼でパワーセレクトを選択
4決定ボタンで設定画面へ
5「入」「切」を選択して決定
2パワーセレクトボタンを押す
3設定完了の音を確認
※P型はマーク表示あり
※N型はマーク表示なし
2取扱説明書で操作方法を検索
3見つからない場合はサポートに連絡
4製品形名を伝えて操作方法を確認
・設定中は室内機に向けて操作
・設定完了後はマーク表示を確認
・フルパワー時は必ず解除する
東芝のエアコンでパワーセレクト機能を使いたいのにボタンが見つからない場合、リモコンの機種によって操作方法が異なります。最新のモデルでは、メニューボタンから設定する方式が採用されているのです。
まず、リモコンのふたを開いてメニューボタンを探してみてください。メニューボタンを押すと、パワーセレクトの項目が表示されます。▲▼ボタンでパワーセレクトを選び、決定ボタンを押して設定画面に入ります。その後、再び▲▼ボタンで「入」または「切」を選択し、リモコンを室内機に向けて決定ボタンを押すことで設定が完了します。
機種によっては、メニュー画面が約1分間操作しないと元の画面に戻ってしまうため、操作は手早く行う必要があります。設定が正常に完了すると、運転中のリモコンにパワーセレクトのマークが表示されるので、これで確認できるでしょう。
一部の古い機種では、パワーセレクト設定時にリモコンの液晶にマーク表示が出ない場合もあります。この場合は、エアコンの運転状況を確認して設定が有効になっているかどうかを判断する必要があります。
もしもリモコンにメニューボタンがない場合や、上記の操作方法で設定できない場合は、取扱説明書を確認するか、メーカーサポートに問い合わせることをおすすめします。機種によって操作方法が微妙に異なるため、正確な情報を得ることが大切です。
リセット方法について

東芝のエアコンでトラブルが発生した際、リセット操作で問題が解決することがよくあります。リセットとは、基板などに溜まっている電気を抜くことで一時的なエラーを解消する方法です。
基本的なリセット手順は、まずエアコンの運転を停止させ、約10分間待ちます。その後、電源プラグをコンセントから抜いて、さらに約10分間放置します。この時間を置くことで、内部の電気が完全に放電されるのです。
10分経過したら電源プラグをコンセントに差し込み、さらに約10分間待ってからエアコンの運転を開始してください。この手順で一時的なトラブルが解消され、エアコンが正常に動作するようになることが多いのです。
リモコンのリセットが必要な場合もあります。リモコンの電池が切れかけていると、エアコン本体に正しい信号を送れずに不具合の原因となることがあります。まずはリモコンの電池を新しいものに交換し、リモコンのリセットボタンを押してみてください。
リセットボタンの位置はリモコンの機種によって異なりますが、多くの場合はカバーの内側にあります。先の細いものでリセットボタンを押すことで、リモコンの設定が初期化されます。
ただし、リセット操作を行っても症状が改善しない場合は、より深刻な問題が発生している可能性があります。その際は無理をせず、メーカーサポートや専門業者に相談することをおすすめします。
東芝エアコンの点滅サイン一覧
東芝のエアコンでは、運転ランプやタイマーランプの点滅パターンによって、エアコンの状態や不具合の内容を知ることができます。この点滅サインを理解しておくと、トラブル時の対応がスムーズになるでしょう。
まず、運転ランプのみが11回連続して点滅を繰り返している場合は、エアコンの前面パネルが閉まりきっていない可能性があります。この場合は、一度前面パネルを開けた後、しっかりと閉じ直してみてください。簡単な操作で解決することが多い症状です。
エアフィルターの取付不良も点滅で知らせてくれます。フィルター清掃後にランプが点滅する場合は、フィルターが正しく取り付けられているか確認してみましょう。フィルターの表と裏を間違えて取り付けていることもあるので、注意が必要です。
リモコンに「点検」ボタンがある機種では、このボタンを使ってエラーコードを確認できます。リモコンをエアコンに向けて、△や▽ボタンを押してエラーコードを切り替えます。「ピピピピピピ」という連続した電子音が鳴るエラーコードが表示されたら、その時の英数字がエラーの内容を示しています。
点検ボタンがない機種の場合は、ランプの点滅パターンやエアコンの動作からエラーコードを読み取る必要があります。運転ランプとタイマーランプの点滅回数をメモして、販売店や東芝生活家電ご相談センターに連絡することをおすすめします。
いずれの場合も、ランプが点滅している状態は何らかの異常が発生していることを示しているため、放置せずに適切な対応を取ることが大切です。簡単な操作で解決しない場合は、専門家に相談しましょう。
総括:東芝エアコンの壊れやすい評判を調査
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。