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2階のエアコンで室外機は1階でいい?デメリット6つを徹底検証

2階の部屋にエアコンをつけたいのに、室外機を置く場所がない…。

ベランダは洗濯物でいっぱい、そもそもベランダがない部屋だった、なんてこともありますよね。

そんなとき下見に来た工事の方から「室外機は1階に下ろせますよ」と言われて、ほっと肩の力が抜けた経験はありませんか?

ただ、2階のエアコンの室外機を1階に置く方法には、契約書にサインする前に知っておきたいデメリットがいくつもあるんです。

売り場でも「取り付けたあとに気づいた」というお声を聞くことがあります。

電気代が思ったより高い、真夏になかなか冷えない、工事の請求が見積もりより膨らんだ…。どれも、事前に知っていれば手を打てたことばかりでした。

安心してほしいのは、1階設置そのものが失敗というわけではないところ。
条件と対策さえ押さえておけば、じゅうぶん現実的な選択肢になります。

このページでは、何がどれくらい不利になるのか、そしてどうすれば不利を小さくできるのかを、ひとつずつ整理していきますね。

この記事のポイント
  • 1階設置で電気代が上がる仕組み
  • 配管延長による冷暖房の効き低下
  • 室外機の設置6パターン比較
  • 賃貸や狭小地での代替案
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2階のエアコンで室外機を1階に置くデメリットと費用の目安

2階のエアコンで室外機を1階に置く最大のデメリットは、配管が長くなって冷暖房の効率が落ち、電気代と工事費が同時に増えることです。

つまり、初期費用でも毎月のランニングコストでも損をしやすい、ということ。

なぜそうなるのか。
理由はシンプルで、エアコンは室内機と室外機のあいだを冷媒(熱を運ぶガス)が行ったり来たりして初めて働く家電だからです。その通り道が長くなれば、当然どこかで無駄が出ます。

ここからは、その無駄が具体的にどんな形で表れるのかを見ていきましょう。

1階に室外機を置くと電気代はどのくらい上がる?

結論から言うと、電気代は上がります。
金額の目安は、エアコンの畳数によって変わります。

標準工事に含まれる配管の長さは、一般的に4メートルほど。ところが2階の部屋から1階の地面まで下ろすとなると、6〜8メートルは必要になります。この差が、そのまま効率の差になって表れるんです。

おおまかな目安としては、配管が6〜8メートルまで伸びると消費電力が1割から2割ほど増えると考えておくと、大きく外れません。

エアコンの目安畳数 ひと月あたりの増加目安 1年あたりの増加目安
6畳用 約500〜1,000円 約6,000〜12,000円
10畳用 約800〜1,500円 約9,600〜18,000円
14畳用 約1,500〜2,500円 約18,000〜30,000円

あくまで一般的な目安で、住まいの断熱性能や使い方によって上下します。それでも、10年使うことを考えると無視できない数字ではないでしょうか?

電気代が増える理由は、大きく3つあります。

  • コンプレッサーの仕事が増える
    長い配管の中を冷媒に往復させるぶん、室外機の心臓部が余計に働きます。
  • 途中で熱が逃げる
    夏は配管の中の冷たい冷媒が外気に温められ、冬は逆に熱が逃げていきます。
  • 冷媒の量が足りていない
    延長ぶんの追加充填をしていないと、設定温度に届くまで運転が長引きます。

とくに3つめは見落とされがちです。

メーカーが最初から室外機に封入している冷媒の量は、標準的な配管長を前提にしたもの。それを超えて延ばすなら、機種ごとの規定に沿って冷媒を足す作業が必要になります。

見積もり段階で必ず確認したいこと

冷媒の追加充填が見積もりに入っているかどうかは、口頭でいいので工事前に確認しておきたいところです。

足りないまま運転を続けると、冷えないだけでなく室外機に負担がかかり、寿命を縮めてしまうことがあります。

ちなみに、機種によっては10メートルまで追加充填なしで使える設計のものもあります。

逆に言えば、機種選びの段階から「配管をどれだけ延ばすか」を業者さんに伝えておくと、無駄のない提案がもらえるというわけです。

配管が長くなるとエアコンの効きはどう変わる?

効きの面でいちばん体感しやすいのは、立ち上がりの遅さです。

標準的な設置なら10〜15分ほどで部屋が快適な温度になるところ、配管が長いと20〜30分かかることもあります。

帰宅してすぐスイッチを入れて、しばらくうちわであおぐ…そんな時間が生まれてしまうんですね。

これは冷房でも暖房でも同じです。夏は配管の中で冷気がぬるみ、冬は熱が逃げる。往復する距離が長いほど、目減りする量も増えます。

さらに気をつけたいのが、横方向に長く引く配管です。

ドレンホース(結露水を外へ流すホース)は水の重さだけで排水する仕組みなので、わずかでも逆勾配になると水がたまります。

行き場をなくした水が室内機からあふれると、壁紙が濡れるだけでは済みません。実際、エアコンの水漏れは原因の大半がドレン系のトラブルです。

そしてもうひとつ、配管が長いときにこそ効いてくるのが施工の丁寧さです。

取り付けのとき、配管の中の空気と水分を抜く「真空引き」という作業があります。これを省略されると冷媒の通り道に水分が残り、性能低下や故障の引き金になります。

配管が長いほど内部の体積も増えるので、雑な作業のダメージは大きくなるんです。

気になる方は、真空引きをしない業者の見抜き方を解説した記事も目を通しておくと、当日の立ち会いで見るべきポイントがわかります。

葵のワンポイントアドバイス

工事当日は、真空ポンプを回している時間だけでもチラッと見ておくのがおすすめです。5分から10分ほどしっかり回してくれる業者さんなら、ひとまず安心してお任せできます。

室外機が遠いと起きるメンテナンス面の落とし穴

距離のデメリットは、電気代や効きだけではありません。

使い始めてから数年後に効いてくるのが、点検や修理のしにくさです。

室内機は2階、室外機は1階。不具合が出たとき、修理の方は階段を何往復もしながら原因を探すことになります。作業時間が延びれば、その分の費用も上乗せされやすくなります。

冷媒がじわじわ漏れているケースも、発見が遅れがちです。

「なんとなく効きが悪い気がする」という状態が半年、1年と続いて、気づいたときには室外機まで傷んでいた。そういう流れは、距離が長いほど起こりやすくなります。

配管そのものの傷みも早まります。

外に出ている部分が長いということは、紫外線や雨風にさらされる面積が広いということ。カバーなしのむき出し配管だと、5〜8年ほどで断熱材がボロボロになってくることも珍しくありません。

比較の観点 4メートル以内(標準) 6〜8メートル(1階へ立ち下ろし)
電力効率 設計どおりの性能を出しやすい 1割から2割ほど低下しやすい
工事費 標準工事の範囲内 約29,000〜42,000円の追加
点検・修理 1か所で作業が完結しやすい 往復が増えて時間も費用も増加
不具合リスク 配管トラブルは起きにくい 劣化・ガス漏れの可能性が上がる

とはいえ、遠いことに利点がまったくないわけではありません。

室外機が1階にあれば、ベランダは洗濯物のために丸ごと使えます。運転音や振動が居住空間から離れるので、寝室の窓のすぐ横でブーンと鳴られるストレスからも解放されます。

掃除や点検のときに脚立が要らないのも、地味ですが助かるポイント。将来もう1台エアコンを増やすとき、二段置きの架台を使いやすいという柔軟さもあります。

追加でかかる工事費用と内訳

お金の話も、はっきりさせておきましょう。

1階への立ち下ろし工事で追加になる費用は、おおむね29,000〜42,000円が目安です。ただし、この金額は「何もイレギュラーがなかった場合」の話。

実際の請求は、次のような項目の積み上げで決まります。

項目 費用の目安 ひとこと
配管の延長 1メートルあたり約3,000〜4,500円 標準4メートルを超えたぶんだけ加算
配管カバー 1メートルあたり約2,000〜3,000円 外観と劣化防止のため付けたいところ
高所作業費 約5,000〜15,000円 2階の壁面作業で発生することあり
冷媒の追加充填 約5,000〜10,000円 機種と延長距離しだいで要否が変わる
室外機の台・基礎 約3,000〜8,000円 プラ台かコンクリート基礎かで差が出る

金額は業者さんや地域によって幅があります。契約前に必ず見積書で内訳を出してもらってくださいね。

売り場でよく聞かれるのが「なんで見積もりより高くなるの?」という質問です。

多くの場合、原因は下見なしで見積もりを出したこと。壁の材質、外壁の障害物、隣家との距離、配管を通す経路…この辺りは現地を見ないとわかりません。

正直に言うと、電話やネットの申し込みだけで確定金額を出すのは無理があります。少し面倒でも現地調査をお願いしたほうが、結果的に安心して当日を迎えられます。

2階の室外機はどこに置くのが正解?設置場所6パターン比較

1階に下ろす方法のデメリットがわかったところで、次に気になるのは「じゃあ、ほかにどんな置き方があるの?」というところですよね。

基本の考え方はひとつだけ。室外機は室内機と同じ階か、できるだけ近い位置に置くのがいちばん有利ということです。

距離の目安としては4メートル以内。ここに収まれば、性能もコストも設計どおりに近い形で使えます。

設置方法6つの比較表と選び方

2階の室外機の置き場所は、大きく6パターンに整理できます。

設置方法 追加費用の目安 電力効率 お手入れのしやすさ 向いている家
ベランダに地面置き なし(標準工事) ベランダに余裕がある家
天吊り 約15,000円〜 床を洗濯物に使いたい家
壁面取り付け 約15,000〜150,000円 ベランダがない部屋
屋根置き 約20,000円〜 積雪のない地域の平屋寄りの構造
二段置き 約30,000〜40,000円 すでに室外機が1台ある家
1階へ立ち下ろし 約29,000〜42,000円 ベランダも屋根も使えない家

選び方をひとことで言うなら、こうなります。

  • ベランダにスペースがある
    迷わず地面置き。効率も費用もいちばん有利です。
  • 床は空けたいが天井は使える
    天吊りが候補。ただし南向きは日射対策とセットで考えます。
  • ベランダそのものがない
    壁面取り付けか、1階への立ち下ろしの二択になります。
  • もう1台ぶんの置き場だけがない
    二段置きを検討すると、意外とすっきり収まります。

屋根置きは配管を最短にできる反面、日差しも雨風も真正面から受けます。積雪のある地域だと選びにくい方法なので、地域性で判断が分かれるところです。

2階に置くとうるさい?騒音と振動の実際

「2階に室外機を置くと、うるさいのでは?」という不安もよく聞きます。

家庭用の室外機の運転音は、おおむね40〜50デシベルほど。図書館の中から、静かなオフィスくらいの数値です。数字だけ見ると、たいしたことないように感じますよね。

ところが、実際に問題になるのは音そのものより振動のほうなんです。

2階に置いた室外機の振動は、床や壁を伝って建物全体に広がります。とくに木造だと、1階の部屋で「ブーン」という低い音が聞こえることも。耳をふさいでも消えない、あの感じですね。

設置方法ごとの傾向も知っておくと、判断しやすくなります。

  • 壁面取り付け
    外壁を通じて振動が室内へ入りやすく、寝室の近くだと影響が出ます。
  • 天吊り
    ベランダ天井の材質しだい。薄い鉄板だと音が増幅されることがあります。
  • 1階の地面置き
    振動が地面に逃げるため、建物への伝わりはいちばん少なくなります。

そう、騒音という一点だけを見れば、1階設置はむしろ優等生です。

デメリットばかりお伝えしてきましたが、寝室の真横にしか置き場がないような間取りなら、1階に下ろすほうが快適に暮らせるケースもあります。

音の感じ方はメーカーや機種による差も大きいので、購入前に室外機の音が気になりやすいメーカーの傾向と静音対策をまとめた記事を読んでおくと、比較の軸が増えると思います。

音が気になり出したときの初動

設置直後は静かだったのに、数年たってうるさくなった。こういうときは故障を疑う前に、まず水平が狂っていないかを見てみてください。

プラ台の沈み込みや、防振ゴムのへたりが原因のことがよくあります。

やってはいけない室外機の置き方

置き場所を決めるとき、避けたいパターンもはっきりしています。

いちばん危険なのは、直射日光が長時間当たる場所です。
室外機は熱を捨てる装置なので、本体が熱くなるほど仕事がしづらくなります。

南向きや西向きの照り返しが強い場所だと、真夏に内部が50度を超えることも。そうなると、設定温度まで下がらないという事態が起きます。

対策としては、排気の邪魔をしない日よけを使うのが基本。

ただし、囲うタイプのカバーは逆効果になることがあるので選び方に注意が必要です。室外機カバーの効果と選び方を検証した記事で、やってはいけない使い方を確認しておくと失敗しません。

次に多いのが、通気スペース不足です。

室外機のまわりには、左右・背面・前方それぞれに25センチ以上、上方向に50センチ以上の空間が欲しいところ。壁にぴったり寄せたり、物置や植木で三方を囲んだりすると、自分が吐いた熱をまた吸い込む状態になってしまいます。

方向 確保したい距離の目安
左右 25センチ以上
背面 25センチ以上
前方(吹き出し側) 25センチ以上
上方 50センチ以上

ほかにも、気をつけたい置き方がいくつかあります。

  • 傾いたまま設置する
    冷媒とオイルの循環が乱れ、振動と騒音の原因になります。
  • 横殴りの雨が吹き込む場所に置く
    基板に水が回ると、故障や漏電につながることがあります。
  • 配管に無理な曲げをかける
    冷媒の流れが細くなり、能力がじわじわ落ちていきます。
  • やわらかい地面に直接置く
    数年で片側が沈み、水平が崩れてしまいます。
  • 隣家の窓のすぐ前に向ける
    温風と運転音が、ご近所トラブルの火種になりかねません。

どれも、設置してしまってから直すとなると余計な費用がかかります。

だからこそ、下見の段階で「ここに置きますね」と言われたら、上の項目に照らして一度立ち止まってみてくださいね。

1階設置のデメリットを減らす対策と代わりの選択肢

不利な点がわかったら、次は打ち手の話です。

1階に下ろすと決めた場合でもできる工夫はありますし、そもそも別の方法に切り替えたほうが安く済むこともあります。順番に見ていきましょう。

立ち下ろしを選ぶなら押さえたい施工チェックリスト

1階設置で後悔した方の話を伺っていると、原因は方法そのものより「詰めが甘かった」ことに集中しています。

逆に言えば、次の点を押さえておけばデメリットはかなり小さくできるということ。

  • 配管ルートを最短にする
    曲がりと高低差を減らすほど、効率の落ち込みが軽くなります。
  • 冷媒の追加充填を確認する
    延長距離に見合った量になっているかを、工事前に聞いておきます。
  • 断熱材を厚めのものにする
    露出部分が長いぶん、ここをケチると熱の逃げが大きくなります。
  • 配管カバーを付ける
    紫外線から守れるうえ、外観もすっきりまとまります。
  • ドレンの勾配を最後まで確認する
    逆勾配がないか、排水先はどこかを図で説明してもらいます。
  • 室外機の下に基礎を作る
    沈み込みを防ぎ、水平を長く保てます。

使い方の面でも、できることはあります。

設定温度を1度ゆるめるだけで、消費電力はけっこう変わります。フィルターの目詰まりを防いだり、室外機のまわりに物を置かないようにしたりといった基本も、配管が長い環境ではより効いてきます。

【出典】資源エネルギー庁 省エネポータルサイト『無理のない省エネ節約 空調』

それと、年に1回は室外機まわりを見てあげてください。

裏側のフィン(薄い金属の板)に落ち葉や砂ぼこりが詰まると、熱を捨てる力が落ちます。1階だと目線の高さにあるぶん、点検しやすいのは救いですね。

立ち下ろしを選んでもいい人

ベランダも屋根も使えない、寝室のすぐ横にしか置き場がない、洗濯スペースを削りたくない。こういう条件がそろっているなら、1階設置は合理的な選択です。

そのうえで断熱と冷媒の管理を丁寧にやってもらえば、実用上の不満はかなり抑えられます。

室外機の二段置きという選択肢

すでに1台ぶんの室外機があって、置き場だけが足りない。そんなときに使えるのが二段置きです。

専用の架台で2台を上下に重ねる方法で、通常なら2平方メートルほど必要なスペースが、1平方メートルほどに収まります。都市部の狭い敷地では、かなり頼りになる手ですね。

費用の目安は、こんな感じです。

内訳 既設2台を二段化 新規1台+既設1台
脱着・移設 約8,000〜12,000円×2台 約8,000〜12,000円
二段置き架台 約15,000〜20,000円 約15,000〜20,000円
新規設置ぶん なし 標準工事費
合計の目安 約30,000〜40,000円 約40,000〜60,000円

ただ、いいことばかりでもありません。

下段の室外機は上に蓋をされた状態になるので、排熱が上へ抜けにくくなります。効率で1割から2割ほど落ちることがあり、この点は1階への立ち下ろしと似た弱点を抱えています。

2台が同時に動くと振動が重なって、音も大きくなりがち。下段の掃除がしにくくなるのも、地味に効いてくる不便さです。

それでも選ぶなら、通気を考えた設計の架台を選ぶことと、接地部分に防振ゴムを入れることの2点は外さないでくださいね。

室外機を壁掛けにするという選択肢

地面もベランダも使えないなら、外壁に架台を付けて空中に固定する方法もあります。

地面の面積をまったく使わないので、庭を広く保ちたい家や、そもそもベランダがない部屋には有力な手。地面からの照り返しや湿気の影響を受けにくいという、動作環境上の利点もあります。

ただ、費用は設置する高さで大きく変わります。

設置場所 費用の目安 理由
1階部分の壁面 約34,000〜45,000円 脚立で作業できる範囲
2階以上の高所 約60,000〜120,000円 足場の設置が必要になる
アクセスが難しい場所 約120,000〜150,000円 高所作業車などが必要になる

正直に言うと、2階の壁面に付けるとなると、費用面では1階への立ち下ろしより不利になることが多いです。

条件面のハードルもあります。室外機は30〜50キロほどあり、運転中はそこに振動が加わります。木造なら構造材へ確実に留められるか、鉄筋コンクリートなら適切なアンカーが打てるかが前提条件になります。

隣家との距離も見落とせません。長い脚立を安全な角度で立てられるだけの幅がないと、そもそも作業ができないんです。住宅が密集した地域だと、ここで断念することもあります。

振動が外壁を伝って室内に響く点も、事前に知っておきたいところ。寝室の壁に付けると、夜中の低い音が気になる可能性があります。室外機と架台のあいだ、架台と壁のあいだの両方に防振材を挟んでもらいましょう。

室外機1台にエアコン2台のマルチエアコン

複数の部屋にエアコンを入れたいなら、視点を変える手もあります。

マルチエアコンは、1台の室外機に複数の室内機をつなぐシステム。機種によっては最大5台まで対応でき、室外機の置き場所問題を根っこから解決してくれます。

魅力は省スペースだけではありません。

  • 部屋ごとの温度設定ができる
    リビングは涼しく、寝室はゆるめに、といった調整が可能です。
  • 室内機のタイプを選べる
    壁掛け、天井埋込、床置きなどを部屋に合わせて組み合わせられます。
  • 立ち上がりが早い
    ほかの室内機が動いていれば、あとから入れた部屋もすぐ効き始めます。
  • 外観がすっきりする
    室外機が1台だけなので、建物の見た目を損ねません。

ただし、弱点もはっきりしています。

いちばん怖いのは、室外機が1台しかないという構造そのもの。故障すると、つながっている全部屋のエアコンが同時に止まります。真夏や真冬にこれが起きると、生活への影響は小さくありません。

1部屋だけ使いたいときでも室外機はシステム全体を管理するので、使い方によっては個別エアコンより電気代が高くつくこともあります。

全室をフル稼働させると、1台の室外機に負荷が集中してパワーが落ちるという性質も覚えておきたいところ。

初期費用も高めですし、屋外に200Vの専用電源工事が必要になることが多いです。

取り扱うメーカーが限られていて、家電量販店の売り場でも選択肢は多くありません。私の店舗でも、扱いはダイキンのみです。

それでも、新築やリフォームのタイミングで複数部屋をまとめて考えるなら、検討する価値はじゅうぶんあります。すでに1部屋だけエアコンを足したい、という段階なら、費用対効果は合いにくいかもしれません。

アパート・マンションの2階部屋の場合

賃貸の2階に住んでいる方は、ここからが本題かもしれません。

戸建てと違って、賃貸には「そもそも工事していいのか」という壁があります。しかも1階に室外機を下ろす方法は、賃貸ではかなりハードルが高いんです。

理由は単純で、1階の敷地も共用部分も、あなたの専有スペースではないから。管理組合やほかの住民の同意が必要になり、現実には認められないことが多くなります。

賃貸で確認しておきたいのは、次の4点です。

  • 管理会社や大家さんの許可
    壁に穴を開ける工事は、事前の許可なしに進めると契約違反になります。
  • 共用部分への設置可否
    廊下や階段には置けません。専用使用権のあるベランダのみが対象です。
  • 避難経路の確保
    ベランダの一部は避難通路。仕切り板の前などをふさぐ置き方はできません。
  • 退去時の原状回復
    穴の補修や架台の撤去にかかる費用も、あらかじめ見込んでおきます。

スペースの寸法も、先に測っておくと安心です。

項目 目安
室外機の奥行 約490〜550ミリ
室外機の横幅 約900〜1,000ミリ
室外機の高さ 約700〜750ミリ
隣室の窓からの距離 1メートル以上が望ましい

ベランダが狭いなら、天吊りやベランダ内の壁面に付ける方法で乗り切れることがあります。奥行きの薄いコンパクトタイプの室外機を選ぶのも、有効な手ですね。

新しめの物件なら、隠蔽配管が最初から仕込まれている場合もあります。使えるかどうか、管理会社に一度聞いてみる価値はあります。

どうしても室外機が置けないときは、発想を切り替えるのもひとつ。
窓用エアコンの冷え方と選び方を解説した記事を読むと、工事なしで夏を越せるかどうかの判断がつきやすくなります。

賃貸で無許可工事をしてしまうと

壁の穴や架台の跡は、退去時に原状回復費として請求される可能性があります。

「たぶん大丈夫」で進めず、必ずメールなど記録が残る形で許可をもらっておいてくださいね。

2階のエアコンと1階の室外機に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 室外機を1階に置く場合、配管は何メートルまで延ばせますか?

A. 家庭用エアコンには機種ごとに「有効配管長」が決められていて、15メートル前後を上限としている機種が多くなっています。

ただし上限いっぱいまで延ばすと性能は落ちますし、途中から冷媒の追加充填も必要になります。2階から1階への立ち下ろしなら6〜8メートルに収まることがほとんどなので、実用上は問題になりにくい範囲です。

購入前に、その機種の仕様表で有効配管長を確認しておくと確実です。

Q2. すでに1階にある室外機を、あとから2階に移動できますか?

A. 技術的には可能ですが、配管の引き直しになるため実質的に取り付け工事をやり直す形になります。

既存の配管は長さが合わなくなるので再利用しにくく、費用は移設工事として2万円台後半から見ておくとよいと思います。

エアコン本体が10年近く使われている場合は、移設費用と買い替え費用を並べて比べたほうが納得のいく判断ができます。

Q3. 1階に置くと、雪や落ち葉の影響は受けやすいですか?

A. 地面に近いぶん、落ち葉や砂ぼこりは吸い込みやすくなります。積雪のある地域では、室外機が雪に埋もれて吸排気ができなくなることもあるため、雪よけの屋根や高さのある架台での設置が向いています。

落ち葉については、裏側のフィンを年に1回ブラシと掃除機でやさしく払うだけでもかなり違います。1階なら脚立なしで手が届くので、お手入れ自体はむしろ楽になります。

Q4. 立ち下ろし工事は、どんな業者に頼めばいいですか?

A. いちばんの基準は、現地調査に来てくれるかどうかです。

配管の経路や壁の材質は現場を見ないと判断できないため、下見なしで確定金額を出す業者には注意したいところ。

あわせて、見積書に配管の延長単価やカバーの有無が項目として書かれているかも確認してください。

家電量販店の購入時に手配する場合も、標準工事の範囲外になる旨をレジで必ず伝えておくと、当日の追加請求で驚かずに済みます。

2階のエアコンと1階の室外機を選ぶ前に、押さえておきたい判断軸

ここまでを整理しておきましょう。

2階のエアコンの室外機を1階に下ろす方法は、配管が6〜8メートルに伸びることで効率が1割から2割ほど落ち、工事費も29,000〜42,000円ほど上乗せされます。

冷暖房の立ち上がりが遅くなり、点検や修理の手間も増える。
ここが正直なところです。

一方で、振動や運転音が居住空間から離れるという明確な利点もあります。ベランダを洗濯物のために丸ごと使えるのも、毎日の暮らしでは大きな価値ですよね。

あなたはどれを選べばいいか

  • ベランダに置ける余裕がある
    迷わず地面置き。効率も費用もいちばん有利です。
  • 床は空けたいが天井が使える
    天吊りを検討。南向きなら日射対策とセットで考えます。
  • ベランダも屋根も使えない
    1階への立ち下ろしが現実的。断熱と冷媒の管理を丁寧にお願いします。
  • 複数部屋をまとめて計画中
    マルチエアコンも候補に。故障時のリスクとセットで判断します。
  • 賃貸で工事の許可が下りない
    窓用エアコンなど、工事のいらない方法へ切り替えます。

大事なのは、1階設置が良いか悪いかではなく、あなたの家の条件でほかの方法が取れるかどうかということ。

ベランダに置けるのにわざわざ下ろす必要はありませんし、置けないなら1階設置は立派な解決策です。

最後にひとつだけ、今日やっておくといいことをお伝えしますね。

エアコンを付けたい部屋のベランダに立って、幅と奥行きをメジャーで測ってみてください。奥行き55センチ、幅1メートル、前方に25センチの余裕。これが取れるかどうかで、選べる道が一気に絞れます。

その数字を持って売り場や業者さんに相談すれば、話は驚くほど早く進みます。夏本番の前に、ぜひ試してみてくださいね。

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