カゴいっぱいの洗濯物を前に、いつもの位置にある電源ボタンをポンと押す。
いつもならピッと鳴って液晶が光るのに、今日は何の反応もない。
もう一度押す。
少し強めに押す。
それでも、洗濯機は黙ったまま。
洗濯機の電源が入らないと気づいた瞬間の、背筋がスッと冷える感じ。
あれは何度経験しても慣れないですね。
しかも、こういうときに限って明日着ていく服が中に入っていたりする。
急ぎの用事があるときほど家電は止まるようにできているのかな、と思うくらいです(笑)
でも、ここで慌ててメーカーに修理の電話をかけるのは、ちょっと待ってください。
家電のフロアで洗濯機の相談を受けていると、「動かないから買い替えに来た」とおっしゃったお客様が、いくつか質問しただけで「あ、それ試してないかも」となる場面が本当に多いんです。
実際、コンセントを抜いて数分待っただけで何事もなかったように復活する個体もあります。
この記事では、まず自分で試せるリセットの手順から、症状ごとの原因の切り分け方、中に残った洗濯物と水を安全に取り出す方法、そして最後に一番悩む「直すか、買い替えるか」の線引きまで、順番にお話ししていきます。
読み終えるころには、今の状況が「様子を見ていい軽い症状」なのか「プロを呼ぶべき重い症状」なのかを判断できるようになっているはずです。
- 最初に試すべきリセットの手順
- 症状から原因を絞る切り分け方
- 洗濯物と水を出す緊急対応
- 修理と買い替えの判断基準
洗濯機の電源が入らないときに最初に試したい3つのこと
電源が入らない=基板の故障、と決めつけるのはまだ早いです。
私の感覚では、ご家庭で解決できる軽い原因と、修理が必要な重い原因は、おおよそ半々くらいの割合だと感じています。
そして軽いほうの原因は、道具も知識もなしに3分で確認できるものばかり。
まずはここから片付けていきましょう。
電源プラグとコンセントを確かめるのが最短ルート
いきなり拍子抜けするようなことを言いますが、最初に見るべきは洗濯機ではなく壁のコンセントです。
洗濯機の電源が入らない原因は、プラグの緩みやブレーカーの遮断、マイコンの一時的な誤作動であることが多く、コンセントを5分抜いて差し直すだけで直る例も珍しくありません。

洗濯機のコンセントって、本体の裏側や横の狭いすき間にあることが多いですよね。
掃除のときに体がコードに当たったり、本体がわずかにズレたりして、プラグが数ミリ浮いているだけでも通電しなくなります。
この「数ミリ浮き」がやっかいなのは、見た目では刺さっているように見えてしまうところ。一度完全に抜いて、奥までカチッと押し込み直すのが確実です。
そのとき、プラグの金属部分とコンセントの差し込み口も一緒に見てください。
ホコリが溜まっていたり、黒く焦げたような跡があったりしたら、それは触らずにそのまま使用を中止してほしい状態です。
洗面所や脱衣所は湿気がこもりやすく、ホコリと湿気が重なるとトラッキング火災の原因にもなります。焦げ跡を見つけたときは自分で掃除しようとせず、販売店か電気工事店に相談してください。
コンセントを抜いて5分待つリセットで直ることは本当に多い
プラグの差し直しで復活しなかったら、次は待つ作業です。
今の洗濯機は中に小さなコンピューター(マイコン)が入っていて、水位や重さ、モーターの回転を常に監視しながら動いています。
このマイコンがなんらかの拍子にフリーズすると、パソコンが固まったときと同じで、ボタンを押しても一切反応しなくなるんです。
直し方もパソコンと同じで、電源を完全に落としてあげるだけ。プラグを抜いて5分ほど置くと、内部に残っていた電気が抜けてマイコンが初期状態に戻ります。
「1分でいいんじゃないの?」と聞かれることもありますが、基板のコンデンサに電気が残っている間はリセットが効きません。時間を見ながらきっちり5分待つほうが、結果的に早いです。
雷が鳴った日やブレーカーが落ちた日のあとに動かなくなった場合は、このリセットで戻る可能性がぐっと上がります。瞬間的な電圧の変化でマイコンが混乱しているだけ、というパターンですね。
リセット前のチェックリスト
- プラグを一度完全に抜いて奥まで差し直したか
- 抜いた状態で5分ほど待ったか
- プラグや差し込み口に焦げ跡やホコリがないか
- 延長コードやタコ足配線を経由していないか
最後の項目は見落とされがちですが、大事なポイントです。洗濯機は起動時に大きな電流が流れるため、延長コード経由だと電圧が足りずにうまく立ち上がらないことがあります。
とくにドラム式で乾燥機能を使う場合は消費電力が大きいので、壁のコンセントに直接つなぐのが基本だと考えてください。
ブレーカーと他の家電で電気が来ているかを切り分ける
ここまでやっても反応がないなら、そもそも洗濯機に電気が届いていない可能性を疑います。
まずは分電盤を確認しましょう。
全部のスイッチが上を向いているように見えても、1つだけ中途半端な位置で止まっていることがあります。怪しいものは一度きっちり下げてから、もう一度上げ直してみてください。
特にドラム式洗濯乾燥機で乾燥を回していると、消費電力が1000Wを超える場面があります。同じ回路でドライヤーや電気ケトルを使った瞬間に容量オーバーで落ちる、というのはよくある話です。
ブレーカーが落ちていないのに電源が入らないときは、そのコンセント自体を疑います。
ここで私がいつもおすすめしているのが、ドライヤーやスマホの充電器を洗濯機のコンセントに挿してみるという方法です。
もしドライヤーも動かなければ、犯人は洗濯機ではなく家の配線側。
この場合はメーカーを呼んでも解決しないので、電気工事店や管理会社に連絡するのが正解になります。
逆にドライヤーが問題なく動いたなら、電気はちゃんと届いているということ。
原因は洗濯機の内部にある、とここで確定できます。
葵のワンポイントアドバイス
売り場で「電源が入らない」とご相談を受けたとき、私が必ず最初に伺うのが「他の家電はそのコンセントで動きますか?」という質問です。ここが切り分けの分かれ道になるので、修理を呼ぶ前に確認しておくと話がとてもスムーズに進みます。
症状から原因を絞り込む|電源が入らない5つのパターン
ひとくちに「電源が入らない」といっても、その見え方は家庭ごとに少しずつ違います。完全に無反応なのか、一瞬だけ光るのか、途中で落ちたのか。
この違いが、そのまま原因の違いになります。
ご自宅の症状に近いものを探しながら読んでみてください。
一瞬だけランプが点いてすぐ消えるなら基板の疑いが濃い
ボタンを押すと表示が一瞬だけパッと光って、次の瞬間には真っ暗。
これはかなり分かりやすいサインです。
洗濯機は電源を入れた直後に、各部のセンサーや弁が正常かどうかを自己診断しています。そのチェックの途中で異常を検知したり、電源基板そのものが電圧を保てなかったりすると、立ち上がりきる前に落ちてしまうんです。
この症状でコンセントリセットが効かない場合、メイン基板の故障やヒューズ切れが疑われます。経年劣化ではんだにヒビが入る「はんだクラック」も、長く使った個体では珍しくありません。
残念ながら、ここは自分で直せる領域ではありません。
むしろ、無理に電源を入れ直し続けるほうが二次故障を招くので、いったん手を止めてプロに相談する場面になります。
ふたロックやチャイルドロックの誤検知で動かないケース
「電源は入るけどボタンが効かない」
「押しても全部無視される」
という場合は、故障ではなくロックがかかっているだけかもしれません。
チャイルドロックは、多くの機種で特定のボタンを数秒長押しすると解除できます。液晶に鍵のマークや「CL」といった表示が出ていないか、まず確認してみてください。
やっかいなのは、ふたロックの誤検知のほうです。縦型でもドラム式でも、ふたが閉まったことをセンサーで検知してから運転を始める仕組みになっています。
このロック部分に洗剤カスや糸くずが噛み込んでいると、きちんと閉まっているのにセンサーが「閉まっていない」と判断してしまう。安全装置が働いて、操作そのものを受け付けなくなるわけです。
対処はシンプルで、ふたのフチとロックの受け部分を乾いた布や綿棒で丁寧に掃除するだけ。
見た目にはきれいでも、固まった洗剤が薄い膜になっていることがあるので、指で触ってザラつきを確かめてみてください。
給水できない状態が続くと洗濯機は運転を止める
スタートを押したのに水が来ない。
そして数分後、画面が暗くなって動かなくなる。
これを「電源が落ちた」と受け取る方は多いのですが、正体は給水のトラブルです。
洗濯機は「規定時間内に水位が上がらない」と判断すると、空回りを防ぐために運転を中断する制御を持っています。
最初に見るのは蛇口。
年末の大掃除や旅行前に閉めたまま忘れている、というパターンが本当に多いです。笑い話のようですが、うっかりは誰にでもあります。
次が給水ホースのフィルター詰まり。
水道水に含まれる微細なサビや砂が少しずつ溜まって、水の通り道を塞いでしまうんですね。蛇口を閉めてからホースを外し、使い古しの歯ブラシで軽くこすってあげると流れが戻ります。
冬場なら凍結も候補に入ります。
ホースの中の水が凍って動かなくなっている状態で、熱湯をかけるとホースが傷むので、ぬるま湯で温めたタオルを巻いてゆっくり溶かすのが安全です。
給水弁を長持ちさせるひと手間
使っていない間も蛇口を開けっ放しにしていると、給水弁に水圧がかかり続けます。この負担が積み重なると、弁の故障や水漏れにつながることがあります。洗濯が終わったら蛇口を閉める習慣をつけておくと、部品の寿命が延びますし、万が一ホースが外れたときの被害も小さく抑えられます。
排水部品の故障が電源トラブルの形で表に出ることもある
意外に思われるかもしれませんが、排水側の部品が原因で電源が入らなくなることもあります。
排水弁や排水モーターがショートした状態になると、そこに過大な電流が流れます。すると保護のために基板上のヒューズが切れ、結果として本体全体に電気が回らなくなる、という流れです。
つまり症状は「電源が入らない」でも、大元の原因は排水部品にある。
この連鎖を知らないと、原因究明がぐるぐる遠回りしてしまいます。

写真のように、フィルターの裏側や取り付け部には汚れが溜まりやすい場所があります。ここが詰まると排水の流れが悪くなり、排水モーターに余計な負荷がかかり続けることになります。
電源トラブルの予防という意味でも、糸くずフィルターのお手入れは地味ですが効きます。月に1回でいいので、外して洗う習慣をつけておくと安心です。
電源が落ちる直前のエラーコードが最大のヒントになる
もし電源が落ちる前に、液晶にアルファベットと数字の組み合わせが表示されていたなら、それは洗濯機からの置き手紙です。
エラーコードには大きく2種類あって、ユーザー側で対処できるものと、部品交換が必要なものに分かれます。メーカーによって表記は違いますが、この区別を知っているだけで、修理を呼ぶべきかどうかの判断がかなり楽になります。
たとえば東芝製なら、エラーコードの意味を一覧で整理した記事に目を通しておくと、表示されていた記号が何を指していたのか後から追いかけられます。
コードを覚えていない場合でも大丈夫です。「どんなタイミングで、どんな表示が出たか」をメモしておくだけで、修理を依頼したときの話が驚くほど早く進みます。
中の洗濯物と水を安全に取り出す緊急手順
原因の見当がついても、目の前の現実は変わりません。
ふたが開かない、水が溜まったまま、中には濡れた洗濯物。
季節によっては、半日放置しただけで独特のにおいが発生します。
ここは急ぎましょう。
ドアやふたのロックを解除する方法
運転中に電源が落ちると、ロックがかかったまま固定されてしまいます。
特にドラム式は、水が入った状態で扉が開かないよう強固にロックされる設計なので、力任せに引っ張っても開きません。
縦型の場合は、まずコンセントを抜いて待つのが基本です。
ロック機構に熱で動く部品が使われている機種があり、内部の温度が下がると「カチッ」という音とともに自然に外れることがあります。
目安は5分から10分ほど。
すぐに諦めず、少し離れて待ってみてください。
ドラム式は物理的な操作が必要になる機種が多いです。排水フィルターのカバーを開けた奥や洗剤投入口の付近に、緊急解除用のストラップやレバーが隠されていることがあります。
ただし、位置も操作方法も機種によってまったく違います。
取扱説明書を手元に用意するか、メーカーのサイトで型番を入力して電子版の説明書を開いてから作業してください。手探りで引っ張ると、部品を破損して修理代が増えます。
床を水びたしにしない水抜きのやり方
ここが一番大事なところです。
槽の中に水が残っている状態でドアを開けると、その水は一気に床へ流れ出します。ドラム式なら数十リットル単位。脱衣所どころか、廊下や階下まで被害が広がることもあります。
必ず、ロック解除より先に水抜きを済ませてください。
順番を逆にすると、本当に取り返しがつきません。
手順そのものは難しくありません。
バケツや洗面器を用意して、排水ホースを洗濯機から外し、ホースの先を床すれすれの低い位置まで下げるだけ。あとは重力が勝手に水を運んでくれます。
コツは、ホースの途中に上り坂を作らないこと。
どこか1か所でも持ち上がっていると、そこで水が止まって出てこなくなります。
より詳しい強制排水の段取りや、排水口まわりで起きやすいトラブルについては、洗濯機の水が抜けないときの原因と対処をまとめた記事で手順を追って解説しています。
ホースを外す前に必ず読んでください
排水ホースを抜いた瞬間に、中に残っていた水が勢いよく飛び出すことがあります。外す前にホースの根元を洗濯ばさみやクリップで挟んでおくと、飛び散りをかなり抑えられます。また、床に古いバスタオルを何枚か敷いておくと、こぼれた分を吸ってくれるので後片付けが楽になります。
この作業でもう一つ困るのが、洗濯機の下にほとんどすき間がなくてホースを下げられない、という状況です。防水パンに直置きしていると、排水口まわりに手が入らないことも多いですよね。
そういうご家庭で役に立つのが、因幡電工の「洗濯機用防振かさ上げ台 ふんばるマン OP-SG600」です。4個ひと組で洗濯機の脚を持ち上げ、下に排水ホースを通すスペースと、手を入れて掃除できる高さを確保してくれます。
耐荷重は4個使用時で150kgとされていて、家庭用の洗濯機なら縦型もドラム式もおおむねカバーできます。柱状の内部構造で振動の伝わりを抑える作りなので、脱水時のガタつきが気になっていた方にも向いています。
一方で、かさ上げすると当然ふたの位置が高くなります。
背の低い方や、洗濯機の上に棚を設置しているご家庭では、事前に高さの余裕を測っておいたほうが安心です。
メーカー別に見る電源トラブルの傾向と修理費の目安
洗濯機は各社が独自の構造や制御を積んでいるぶん、弱点の出方にも少しずつクセがあります。
もちろん個体差はありますし、「このメーカーは壊れやすい」という話ではありません。あくまで傾向として、原因の当たりをつける参考にしてください。
日立で多いのは基板まわりのトラブル
ビートウォッシュやビッグドラムでおなじみの日立は、大流量で洗い上げる力強さが持ち味です。その洗浄力を支えるモーター制御はかなり緻密で、そのぶん基板の仕事量も多くなります。
日立製で電源が入らない、あるいは一瞬だけLEDが点いて消えるという症状の場合、メイン基板のトラブルが見つかることが多いです。経年によるはんだのヒビや、ヒューズ切れが代表的な内容になります。
ドラム式で基板交換が必要になると、部品代と技術料、出張費を合わせて税込5万円台から7万円台後半という見積もりが出ることもあります。
この金額を聞いて「それなら新品が買えるのでは」と驚かれるお客様は、正直かなり多いです。
一方、縦型ではふたロックの初期チェックでつまずくケースもあります。
この場合は前の章でお話しした掃除とコンセントリセットで復旧することがあるので、修理を呼ぶ前に一度試す価値があります。
パナソニックはHから始まるエラーコードに注目
LXシリーズやCubleを使っている方も多いですね。
パナソニックはセンサーを多用した細やかな制御が特徴で、そのぶん異常検知にもシビアに反応します。
電源が入らなくなる直前、液晶に「H」から始まるコードが一瞬表示されていませんでしたか?
このHのエラーは、基本的にユーザー側では対処できないハードウェアの異常を意味しています。
対して「U」から始まるコードは、ふたが開いている、排水できていないといった、使う側で直せる内容です。
HとUの違いを覚えておくだけで、次に取る行動が変わります。
Hエラーのあとに電源が落ちたなら、内部の保護回路がシステムを強制的にシャットダウンしている可能性が高い状態です。この場合はコンセントの抜き差しを繰り返しても復帰しないことがほとんどなので、早めの修理相談に切り替えたほうが時間を無駄にしません。
シャープは排水部品の故障が波及することがある
洗濯槽に穴のない「穴なし槽」で知られるシャープ。
節水性が高く、槽の外側から黒カビが入りにくい構造は、清潔さを重視する方に根強い人気があります。
シャープ製で電源が入らなくなる原因としてよく挙がるのが、排水関連の部品故障からの連鎖です。排水弁がショート状態になり、それが引き金でメイン基板のヒューズが切れる、という流れですね。
修理料金の目安が比較的はっきり案内されているのも、シャープの特徴です。
電源が入らない症状の一般的な修理料金は、税込でおおよそ2万円から2万6千円程度と案内されています。
ただしモーター交換などが加わると当然上がるので、あくまで下限に近い数字だと考えてください。
注意したいのは、出張診断を頼んだあとで修理を見送った場合でも、出張診断料として5,500円程度(距離によって変動)が発生する点です。
料金体系は改定されることがあるため、依頼前にメーカーの公式サイトで最新の案内を確認しておくと安心できます。
東芝はスイッチそのものが寿命を迎えることがある
ウルトラファインバブル洗浄が魅力のZABOONシリーズ。
繊維の奥まで洗える仕組みは、店頭で説明していても素直に面白いと感じる技術です。
東芝製、特に縦型で長く使っている個体に起きやすいのが、電源ボタン自体の物理的な故障です。操作パネル内部の接点が湿気と経年で酸化や腐食を起こし、通電しなくなってしまいます。
「最近、強く押さないと反応しないな」と感じていたなら、まさにその延長線上にある症状かもしれません。
中のモーターも基板も元気なのに、入り口のスイッチが壊れているせいで一歩も動けない、というもどかしい状態です。
この場合は操作パネルごとの交換で直ることが多く、基板交換より費用は抑えられる傾向にあります。
ただし部品の保有期間を過ぎていると修理そのものを断られるので、年数によっては選択肢が消えてしまいます。
修理を依頼する前にそろえておきたい情報
メーカーに連絡するとき、型番・製造年・症状・表示されたエラーコード・購入店と購入時期の5つを手元にまとめておくと、見積もりの精度が上がります。型番と製造年は本体側面や背面のラベルに書かれています。延長保証に入っているかどうかも、購入店の控えで一緒に確認しておきましょう。
修理と買い替えの分かれ目|7年の壁の正体
ここからが、多くの方が一番悩むところです。
直せるなら直したい、でも高いお金を払ってまた壊れたら悔しい。
その気持ち、とっても良く分かります(笑)
判断の軸になるのは、使用年数と修理代、そして部品が残っているかどうかの3つです。
部品の保有期間を過ぎると直したくても直せない
家電には「補修用性能部品の保有期間」というものが定められています。これは、製品の機能を維持するために必要な部品をメーカーが持ち続ける最低限の期間のことです。
パナソニックの場合、縦型洗濯乾燥機と全自動洗濯機は7年、ドラム式洗濯乾燥機は6年と公表されています。しかもこの期間の起点は購入日ではなく、その製品の製造が打ち切られたときです。
つまり、自分が買った年から7年ではありません。買った時点ですでに製造終了間近のモデルだった場合、体感よりずっと早く部品がなくなる可能性があるわけです。
ここが「7年の壁」の正体で、8年目に入った洗濯機の修理相談で「部品がございません」と断られるのは、この仕組みによるものです。ドラム式は6年とさらに短いので、より早いタイミングで判断を迫られます。

写真の右側に「標準使用期間7年」という表示が見えます。
これは部品の保有期間とは別の制度によるもので、2009年4月以降に製造された洗濯機には、製造年と設計上の標準使用期間、そして経年劣化に関する注意喚起の表示が義務づけられています。
設計上の標準使用期間は、標準的な使い方をした場合に安全上の支障なく使える期間として設計段階で設定された年数です。製造年からの年数で数えるので、自分の洗濯機が今何年目なのかは、このラベルを見れば一目で分かります。
修理を検討する前に、まずは本体側面のラベルを見に行ってみてください。ここに書かれた製造年が、これから先の判断をすべて左右します。
使用年数と修理代で決める判断の早見表
年数が分かったら、次は修理代との天秤です。
私が店頭でお伝えしている目安を表にまとめました。
| 経過年数 | 修理代の目安 | おすすめの判断 |
|---|---|---|
| 購入〜5年 | 保証適用または3万円程度まで | 修理がおすすめ(まだ長く使えます) |
| 6年〜7年 | 3万円〜5万円 | 要検討(他の部品も寿命が近い) |
| 8年以上 | 部品がない可能性が高い | 買い替えがおすすめ |
金額はあくまで一般的な目安で、実際の見積もりは症状や地域によって変わります。正確な費用は必ずメーカーの見積もりで確認してください。
この表で一番伝えたいのは、6年から7年のゾーンの怖さです。
ここで基板を直しても、次はモーター、その次は排水弁と、他の部品が順番に寿命を迎える時期に差しかかっています。
5万円払って直した半年後に別の場所が壊れる。この展開はそれなりの頻度で起きるので、7年近い個体で高額な見積もりが出たときは、買い替えに気持ちを切り替えたほうが結果的に安く済むことが多いです。
自分でヒューズを交換するのをおすすめしない理由
修理代の話をすると、「基板のヒューズを自分で替えられないか」と聞かれることがあります。部品自体は数百円で手に入りますし、動画を探せば手順も出てきます。
気持ちはよく分かるのですが、家電を売る立場としては、ここははっきり止めます。
理由は単純で、ヒューズが切れたということはそこに過大な電流が流れる原因が別にあるという意味だからです。モーターのショートや排水弁の故障が根っこにある場合、新品のヒューズに替えても、電源を入れた瞬間にまた切れます。
そして洗濯機は、水と電気を同時に扱う数少ない家電です。ほかの家電に比べて漏電や感電のリスクが構造的に高く、分解した状態で通電させるのは本当に危険な行為になります。
どうしても状況を把握したいなら、テスターや検電器でコンセント側に電圧が来ているかを調べる程度にとどめてください。本体を開ける作業は、そこから先の世界です。
この症状が出たら即座に使用を中止
焦げたにおいがする、本体やコードが異常に熱い、電源を入れた瞬間にブレーカーが落ちる。このいずれかに当てはまる場合は、リセットも再挑戦もせず、プラグを抜いたまま使用をやめてください。発火につながる可能性がある状態です。判断に迷ったら、まずメーカーの相談窓口に電話をしてください。
寿命のサインが出ていたなら買い替えへ
電源が入らなくなる前に、洗濯機が小さなSOSを出していたケースもあります。
- 異音
脱水のときに「ゴーッ」「キーッ」という金属的な音がしていた場合、軸受けやモーターの摩耗が進んでいます。 - 異臭
運転中に焦げたようなにおいがしていたなら、電気部品が熱を持っていた証拠で、火災の前兆にもなり得る危険な状態です。 - 水漏れ
本体の下から水がにじんでいた場合、その水が電気部品にかかってショートし、今回の電源トラブルを招いた可能性があります。
こうした前兆があったうえで電源が入らなくなったのなら、それは単発の故障ではなく、機械全体が寿命を迎えたと考えるのが自然です。
買い替えのタイミングをもう少し丁寧に見極めたい方は、壊れる前兆と買い替え時期の考え方を整理した記事も合わせて読んでみてください。
買い替えるなら押さえておきたい現行モデル
最後に、今から選ぶならという視点で2機種だけ紹介します。
数を並べても迷うだけなので、電源トラブルで困った方に相性がいいものに絞りました。
1台目は、日立の全自動洗濯機「ビートウォッシュ BW-X100P」です。
2026年5月下旬に発売された、洗濯容量10kgの縦型モデルになります。
新しく採用された「[衣類長もち]高濃度洗浄」は、高濃度の洗剤液を繊維の奥まで浸透させて汚れを浮かせる洗い方で、10kgの洗濯物を29分で洗い上げます。
時間がないときの「おいそぎ」コースなら、5kgを約23分。朝の限られた時間でもう1回まわしたい、という場面で効いてきます。
この機種をここで挙げたのは、液体洗剤と柔軟剤の自動投入に対応しているからです。
洗剤を手で注ぐ回数が減ると、ふたのフチや洗剤ケース周辺に洗剤が垂れて固まることも減ります。
前の章でお話ししたふたロックの誤検知は、まさにこの固まった洗剤が引き金になるので、トラブルの芽を1つ減らせるわけですね。
一方で、縦型である以上は乾燥までは任せられません。
共働きで「夜まわして朝には乾いていてほしい」というご家庭には、ドラム式のほうが向いています。あくまで洗濯と部屋干し、あるいは乾燥機との併用を前提に選ぶ1台です。
2台目は、パナソニックの全自動洗濯機「NA-FA10K6」。
こちらは2026年6月発売で、同じく洗濯容量10kgの縦型です。
洗剤・柔軟剤の自動投入に加えて、専用の錠剤を使う「次亜除菌」コースを搭載しているのが特徴になります。タオルや衣類のにおいの原因菌にアプローチする仕組みで、部屋干しが中心のご家庭とは相性がいいと思います。
スマホ連携に対応しているのも、日々の使い勝手を変えてくれるポイントです。
外出先から運転状況を確認できるので、「電源を切り忘れたかも」という不安を持ち帰らずに済みます。
糸くずフィルターが大容量タイプで、捨てるのが簡単な作りになっているのも地味に嬉しいところ。排水まわりのトラブルはフィルター掃除をサボったところから始まることが多いので、手入れのハードルが低い設計は長い目で見て効いてきます。
ただし専用錠剤を使うコースは、当然ながら錠剤の買い足しが必要です。ランニングコストをかけたくない方や、自動投入は使わないと決めている方には、機能を持て余す可能性があります。
設置前には、総外形寸法が幅592×奥行635×高さ1,071mmある点も確認しておいてください。
洗濯機の電源が入らないときのよくある質問(FAQ)
Q1. 電源が入らない洗濯機を処分するとき、費用はどれくらいかかりますか?
A. 洗濯機は家電リサイクル法の対象なので、リサイクル料金と収集運搬料金がかかります。
リサイクル料金はメーカーと品目によって定められていて、収集運搬料金は依頼先によって変わります。
買い替えの場合は購入店が引き取ってくれることが多いため、新しい洗濯機を選ぶ段階で同時に相談するのが一番手間がかかりません。
Q2. 賃貸住宅で備え付けの洗濯機が動かなくなった場合、誰に連絡すればいいですか?
A. 物件に最初から設置されていた設備なら、まず管理会社か大家さんに連絡してください。
設備の修理費用は貸主負担になるのが一般的で、自分で修理業者を手配してしまうと費用を請求できない場合があります。
ご自身で購入して持ち込んだ洗濯機であれば、通常どおりメーカーや購入店に相談する流れになります。
Q3. 引っ越しの直後から電源が入らなくなりました。輸送が原因になることはありますか?
A. 可能性はあります。
運搬中の振動でコネクタが緩んだり、横倒しにしたことで内部に残っていた水が電気部品にかかったりすることがあるためです。
また、設置場所のコンセントの位置が変わってアース線が未接続になっている場合もあるので、まずは配線まわりを確認してください。
搬入業者に依頼した引っ越しであれば、補償の対象になるかどうかも早めに問い合わせておくと安心です。
Q4. 修理を待っている間、洗濯物はどうするのが現実的ですか?
A. 濡れた衣類を洗濯槽に入れたままにすると、においや雑菌が一気に増えてしまいます。まずは取り出して、風通しのよい場所に広げて干してください。
数日かかりそうな場合は、コインランドリーを使うか、下着やタオルなど最低限のものだけ手洗いで回すのが現実的です。
最近は洗濯代行サービスを提供しているクリーニング店もあるので、近所に選択肢があるか調べておくと気持ちが少し楽になります。
洗濯機の電源が入らないときに取るべき行動の整理
最後に、今日からの動き方をまとめておきます。
順番を守って進めることが、いちばんの節約になります。
慌てて修理を呼んでしまい、行ってみたらプラグが浮いていただけで出張費だけ払った、というのは本当にもったいない結末ですから。
| ステップ | やること | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 1 | プラグを差し直し、5分抜いてリセット | 直れば一時的な誤作動 |
| 2 | ブレーカーと他の家電でコンセントを確認 | 他も動かなければ家の配線側 |
| 3 | 水抜きをしてからロックを解除 | 順番を逆にすると床が水びたし |
| 4 | 側面ラベルで製造年を確認 | 8年以上なら部品切れの可能性 |
| 5 | 修理見積もりを取るか買い替えを決める | 7年近くで5万円超なら買い替え |
この5段階のうち、1と2はお金をかけずに今すぐできます。
まずはここから手を付けてみてください。
そして今日いちばんにやってほしいのは、本体側面のラベルを見に行くことです。
そこに書かれた製造年が分かれば、修理と買い替えのどちらに進むべきか、迷う時間をぐっと減らせます。
今日中にやることは2つだけ
1つ目は、コンセントを抜いて5分待ってから差し直すこと。
2つ目は、本体側面のラベルで製造年を確認することです。
この2つが終われば、次に電話をかけるべき相手がメーカーなのか、電気工事店なのか、それとも家電量販店なのかが見えてきます。
突然動かなくなった家電は、本当に生活を止めてしまいます。洗濯機の電源が入らないという状況は不安が大きいですが、原因の半分くらいはご自宅で見極められるものです。
もし買い替えになったとしても、それは失敗ではありません。よく働いてくれた証拠だと思って、次の相棒をゆっくり選んであげてください。
あなたのお洗濯が、一日でも早くいつもどおりに戻りますように!







