洗濯機を使っていて、注水すすぎという機能を見つけたものの、普通のすすぎとどう違うのか分からずに困っていませんか?
実はこの機能を正しく理解して使いこなすことで、洗濯の仕上がりが大きく変わってくるんです。
洗濯機の注水すすぎとは、規定水位まで水をためた後も継続的に給水しながらすすぐ機能で、通常のためすすぎとは全く異なる洗浄効果を発揮します。メリット・デメリットをしっかり把握せずに使うと、水道代が思った以上に高くなったり、柔軟剤の効果が薄れたりすることもあります。
また、すすぎ設定を適切に変更する方法や、ドラム式洗濯機での特徴、実際にかかる時間なども、洗濯の効率を上げるために知っておきたい情報です。特に、汚れのひどい洗濯物や大物を洗う際には、この機能の威力を実感できるでしょう。
私も家電量販店で多くのお客様からご相談を受けますが、注水すすぎの正しい使い方を理解されている方は意外に少ないんです。この記事では、注水すすぎの基本的な仕組みから実践的な活用法まで、分かりやすく解説していきます。
洗濯機の注水すすぎとは?基本的な仕組みと使い方

洗濯機の注水すすぎについて、基本的な仕組みから実際の使い方まで詳しく見ていきましょう。
普通のすすぎとは全く違う機能なので、まずはどのような仕組みで動いているのかを理解することが大切です。また実際に使う際の設定方法や、水道代への影響なども気になるポイントですよね。
注水すすぎのメリット・デメリット
注水すすぎとは、洗濯槽に規定の水位まで水をためた後も、継続的に給水しながら衣類をすすぐ機能のことです。通常の「ためすすぎ」では決まった量の水だけでのすすぎを行いますが、注水すすぎでは常に新しい水が投入されるため、より効果的に洗剤や汚れを洗い流すことができます。
最初に設定水位まで給水し、その後も水道から一定量の水を流し続けながら洗濯槽を回転させます。使用した水はすぐに排水されるため、洗濯槽内には常にきれいな水が循環している状態になります。
この機能は、汚れのひどい洗濯物や大物の毛布、赤ちゃんの衣類など、特にしっかりとすすぎたい場合に威力を発揮します。また、敏感肌の方で洗剤残りが気になる場合にも、注水すすぎがおすすめです。
注水すすぎの最大のメリットは、洗浄効果の高さです。常に新しい水でのすすぎが行われるため、洗剤成分や汚れをしっかりと洗い流せます。特に、洗剤残りが原因で起こる雑菌の繁殖やニオイの発生を抑制できるのは嬉しいポイントですね。
実際に使用した洗濯物の洗剤残量を比較すると、ためすすぎ1回では約10%、ためすすぎ2回では約1%の洗剤が残るのに対し、注水すすぎ1回では約3%まで減少します。さすがに2回行うすすぎにはかないませんが、1回あたりの数値で見ると注水すすぎの効果は高いといえます。
毛布などの大物洗濯の際にも、注水すすぎは特に有効です。厚手の素材や大きな洗濯物は、設定水位よりも上に出てしまうことがあり、ためすすぎだけでは十分にすすぎきれない可能性があります。しかし、上から水を注ぎながらすすぐ注水すすぎなら、全体をしっかりとすすげます。
一方で、デメリットもあります。最も大きな問題は水道代の増加です。注水すすぎは、ためすすぎの約1.5倍の水を使用するため、家計への負担が気になる方も多いでしょう。
また、柔軟剤を使用している場合、たくさんの水で洗い流されることで、柔軟剤の効果が薄れてしまうことがあります。柔軟剤の香りや仕上がりの柔らかさを重視する方には、少し物足りなく感じるかもしれません。
注水すすぎにかかる時間はどのくらい?

注水すすぎの時間は、洗濯機の機種や洗濯物の量によって異なりますが、一般的には1回につき約6分から10分程度です。ためすすぎが1回あたり約3分なので、注水すすぎの方が若干時間がかかります。
しかし、注水すすぎは1回でも高い洗浄効果が得られるため、全体の洗濯時間を考えると、ためすすぎ2回と注水すすぎ1回では、それほど大きな差はありません。むしろ、注水すすぎ1回の方が短時間で済む場合もあります。
洗濯機のメーカーによっても時間は変わります。例えば、日立の「ナイアガラすすぎ」や東芝の「ウルトラファインバブル洗浄」などの独自機能を搭載した機種では、より効率的な注水すすぎが可能です。
また、洗濯物の量が多い場合は、注水すすぎの時間も長くなる傾向があります。10kgの洗濯物と5kgの洗濯物では、当然ながら必要な水量も異なるため、時間に差が生じます。
最新の洗濯機には、センサーが搭載されており、洗濯物の量や汚れの程度を自動で判断して、最適な注水すすぎ時間を設定してくれる機能もあります。これにより、無駄な時間を省きながら、効果的なすすぎが可能になっています。
時間を短縮したい場合は、事前に洗濯物を軽く振り洗いしておくか、洗剤の量を適切に調整することで、注水すすぎの効率を上げることができるでしょう。
水道代への影響と節水のポイント

注水すすぎの水道代への影響は、確実に考慮すべき要素です。先ほどもお伝えしたように、注水すすぎはためすすぎの約1.5倍の水を使用するため、頻繁に使用すると水道代が上がる可能性があります。
具体的な数字で見ると、毎日洗濯をする家庭で、すべてを注水すすぎに変更した場合、月に約434円から868円程度の水道代の増加が見込まれます。年間では約5,000円から10,000円の差となるため、家計への影響は無視できません。
しかし、注水すすぎを賢く使い分けることで、水道代の増加を抑えながら、洗浄効果を高めることができます。普段の洗濯にはためすすぎを使用し、汚れのひどい洗濯物や大物、赤ちゃんの衣類などの特別な場合にのみ注水すすぎを使用するという方法がおすすめです。
節水のポイントとしては、まず洗剤の種類を見直すことが挙げられます。「すすぎ1回対応」の液体洗剤を使用すれば、注水すすぎでも1回で十分な効果が得られるでしょう。粉末洗剤は泡立ちが強いため、注水すすぎでも2回必要になることがあります。
また、洗濯物の量を適切に調整することも大切です。洗濯機の容量に対して8割程度の洗濯物にすることで、水流が効率よく働き、少ない水でも十分な洗浄効果が得られます。
最新の洗濯機ではAI機能が搭載されており、洗濯物の量や汚れの程度を自動で判断して、最適な水量を調整してくれる機種もあります。このような機能を活用することで、無駄な水の使用を抑えられるでしょう。
洗濯機の注水すすぎとはどんな時に使う?実践的な活用法

注水すすぎの基本を理解したところで、実際にどのような場面で活用すれば良いのかを具体的に説明していきます。
洗濯物の種類や汚れの程度に応じて、最適な使い方を知っておくことで、より効果的な洗濯が可能になります。また、トラブルが発生した際の対処法も併せて確認しておきましょう。
ためすすぎ2回と注水すすぎ1回はどっちがいい?
ためすすぎ2回と注水すすぎ1回、どちらが良いかは洗濯物の種類や汚れの程度によって異なります。それぞれの特徴を理解して、適切な選択をすることが大切です。
洗剤の除去効果で比較すると、ためすすぎ2回の方が優れています。先ほどもお伝えしたように、ためすすぎ1回では約10%の洗剤が残り、ためすすぎ2回では約1%まで減少します。一方、注水すすぎ1回では約3%の洗剤が残るため、数値だけを見るとためすすぎ2回の方が効果的です。
時間的な観点から見ると、ためすすぎ2回では約6分、注水すすぎ1回では約6分から10分程度かかります。全体の洗濯時間を考えると、それほど大きな差はありませんが、注水すすぎの方が若干長くなる傾向があります。
水道代については、洗濯物の量によって変わります。10kgの洗濯物の場合、ためすすぎ2回では約40円、注水すすぎ1回では約33円となり、注水すすぎの方が安くなります。しかし、洗濯物の量が少ない場合は、この関係が逆転することもあります。
普段の洗濯には、すすぎ1回対応の液体洗剤を使用して、ためすすぎ1回で十分でしょう。ただし、通常の液体洗剤や粉末洗剤を使用する場合は、ためすすぎ2回が基本となります。
特に汚れのひどい洗濯物や大物、敏感肌の方の衣類には注水すすぎ1回を選択するという使い分けが理想的です。注水すすぎなら、通常の洗剤でも1回でしっかりとすすぎきれるため、時間短縮にもなります。
すすぎ設定の変更方法と活用術

洗濯機のすすぎ設定を変更する方法は、メーカーや機種によって異なりますが、基本的な手順は共通しています。
多くの洗濯機では、操作パネルに「すすぎ」ボタンがあり、このボタンを押すことで「ためすすぎ」「注水すすぎ」「回数」などを選択できます。一部の機種では、「コース」選択の中に含まれている場合もあります。
日立の洗濯機では、「ナイアガラすすぎ」という独自の注水すすぎ機能があり、大流量のシャワーで衣類をすすぎながら、洗濯槽の汚れも同時に洗い流します。パナソニックの洗濯機では、「滝すすぎ」という機能があり、洗濯槽をゆっくりと回転させながら上から水を注いですすぎます。
東芝の最新機種「ZABOON TW-127XP4」では、ウルトラファインバブル水を使用した注水すすぎが可能で、より効果的な洗浄が期待できます。シャープの洗濯機では、プラズマクラスターイオンと組み合わせた注水すすぎ機能があります。
設定を変更する際は、まず取扱説明書を確認することをおすすめします。機種によって操作方法が異なるため、間違った設定をしてしまうと、期待した効果が得られない場合があります。
活用術としては、洗濯物の種類に応じて設定を使い分けることが大切です。例えば、平日の普段着はためすすぎ2回、週末の運動着や汗をかいた衣類は注水すすぎ1回といった具合です。
また、季節に応じた使い分けも効果的です。汗をかきやすい夏場は注水すすぎを多用し、汗をかきにくい冬場はためすすぎを中心にすることで、年間を通して効率的な洗濯が可能になります。
最新の洗濯機では、AI機能が搭載されており、洗濯物の量や汚れの程度を自動で判断して、最適なすすぎ設定を提案してくれる機種もあります。このような機能を活用することで、より効果的な洗濯が可能になるでしょう。
柔軟剤を使うときの最適な設定方法

柔軟剤を使用する際の最適な設定は、柔軟剤の効果を最大限に引き出すことを考える必要があります。
柔軟剤は、最後のすすぎの際に投入されるため、その後の水の使用量が仕上がりに大きく影響します。注水すすぎでは大量の水で洗い流されるため、柔軟剤の成分が薄まってしまい、期待した効果が得られない可能性があります。
そのため、柔軟剤を使用する場合は、基本的に「ためすすぎ」がおすすめです。ためすすぎなら、決まった量の水で柔軟剤を衣類に浸透させることができるため、仕上がりの柔らかさや香りをしっかりと感じることができるでしょう。
ただし、汚れのひどい洗濯物や大物を洗う場合は、1回目を注水すすぎ、2回目を「ためすすぎ」にする方法もあります。この設定なら、洗剤をしっかりと洗い流しながら、柔軟剤の効果も得られます。
柔軟剤の自動投入機能がある洗濯機では、すすぎの設定に応じて自動で柔軟剤の量を調整してくれる機種もあります。例えば、日立の「ビートウォッシュ BW-DX100K」やパナソニックの「ななめドラム洗濯乾燥機 NA-LX129DL」などでは、液体洗剤と柔軟剤の自動投入機能が搭載されており、すすぎの設定に応じて最適な量を投入してくれます。
注水すすぎを使用する場合でも、柔軟剤の効果を高める方法があります。柔軟剤を少し多めに使用するか、濃縮タイプの柔軟剤を選ぶことで、水で薄まっても十分な効果が得られるでしょう。
また、柔軟剤の香りを重視する場合は、香りの持続性が高い製品を選ぶことも大切です。最近では、注水すすぎでも香りが残りやすい柔軟剤も販売されているため、そのような製品を選ぶのも一つの方法です。
ドラム式洗濯機での注水すすぎの特徴

ドラム式洗濯機での注水すすぎは、縦型洗濯機とは異なる特徴があります。ドラム式洗濯機は、洗濯槽が横に向いているため、水の流れ方や洗濯物の動きが縦型とは大きく異なります。
ドラム式洗濯機では、洗濯物が上から下に落ちる「たたき洗い」が基本となるため、注水すすぎでも水が洗濯物全体に行き渡りやすくなります。また、ドラム式洗濯機は一般的に節水設計になっているため、注水すすぎでも使用する水量は縦型洗濯機より少なくなる傾向があります。
東芝の「ZABOON TW-127XP4」では、ウルトラファインバブル水を使用した注水すすぎが特徴的です。水道水に大量の空気を含ませることで、マイクロバブルを発生させ、より効果的な洗浄が可能になっています。
パナソニックの「ななめドラム洗濯乾燥機 NA-LX129DL」では、「トップユニット ヒートポンプ式」の乾燥機能と組み合わせることで、注水すすぎ後の乾燥も効率的に行えます。
シャープの「ES-S7K」は、コンパクトなドラム式洗濯機ですが、プラズマクラスターイオンと組み合わせた注水すすぎ機能があり、除菌効果も期待できます。
ドラム式洗濯機での注水すすぎでは洗濯物が偏らないよう注意が必要です。特にバスタオル1枚だけなど少量の洗濯物では偏心が発生しやすくなります。そのため適切な量の洗濯物を入れることが重要です。
また、ドラム式洗濯機では乾燥機能も併用することが多いため、注水すすぎでしっかりと洗剤を洗い流すことで乾燥時の仕上がりも良くなります。洗剤残りがあると乾燥時に白い粉が付着することがあるため、注水すすぎは特に効果的です。
水が溜まったまま脱水されない時の対処法

洗濯機で水が溜まったまま脱水されない場合、いくつかの原因が考えられます。この問題は、注水すすぎを使用している際にも発生することがあるため、適切な対処法を知っておくことが大切です。
原因 | 症状・詳細 | 対処法 |
---|---|---|
洗濯物の偏り | 洗濯物が一箇所に偏ると脱水時に振動が発生し、安全機能が働いて停止します。 | 洗濯機を停止し、洗濯物を均等に配置し直してから再開 |
排水系統の詰まり | 排水ホースや排水口に汚れやゴミが詰まると、正常な排水ができません。 | 排水ホースと排水口を清掃し、詰まりを除去 |
糸くずフィルター | 糸くずフィルターが汚れていると排水が阻害され、脱水ができません。 | 糸くずフィルターを取り外して清掃 |
給水の問題 | 水道の蛇口が閉まっていたり、給水ホースが外れていると正常動作しません。 | 蛇口の開閉とホースの接続を確認 |
本体の傾き | 洗濯機が傾いていると重心がずれ、脱水が正常に行われません。 | 水準器で確認し、脚の高さを調整 |
洗濯物の量 | 洗濯物が多すぎると重心が偏り、少なすぎても偏心が発生します。 | 洗濯機容量の8割程度に調整 |
最も多い原因は、洗濯物の偏りです。洗濯物が洗濯槽の一箇所に偏って配置されていると、脱水時に洗濯槽が不安定になり、安全機能が働いて脱水が停止します。この場合は、一度洗濯機を停止し、洗濯物を均等に配置し直してから再度脱水を開始してください。
排水ホースや排水口の詰まりも考えられます。排水ホースにゴミが詰まっていると、水が正常に排水されず、脱水機能が働きません。排水ホースを確認し、詰まりがある場合は取り除いてください。排水口の詰まりも同様に、専用の洗剤やブラシを使用して清掃することで解決できます。
糸くずフィルターの汚れも、排水不良の原因となります。特にドラム式洗濯機では、糸くずフィルターが下部に設置されており、排水に直接影響を与えます。定期的に糸くずフィルターを清掃することで、このような問題を予防できるでしょう。
給水の問題も考えられます。水道の蛇口が閉まっていたり、給水ホースが外れていたりすると、正常な洗濯ができません。また、水道管の凍結や断水も原因となることがあります。
洗濯機本体の傾きも、脱水不良の原因となります。洗濯機が傾いていると、重心がずれて脱水が正常に行われません。洗濯機の水準器を確認し、必要に応じて調整してください。
洗濯物の量が多すぎる場合も、脱水がうまくいかない原因となります。縦型洗濯機では、重みでパルセーターが正常に動かず、ドラム式洗濯機では偏心が発生しやすくなります。洗濯機の容量の8割程度を目安に、適切な量の洗濯物を入れることが大切です。
これらの対処法を試しても問題が解決しない場合は、洗濯機本体の故障が考えられます。洗濯機の故障は複雑な電子部品が関わっているため、自分で修理することは困難です。メーカーや販売店に修理を依頼することをおすすめします。
総括:洗濯機の注水すすぎとは
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。