洗濯をするたびに、洗濯機の水量は多い方がいいのか迷ったことはありませんか?
節水を意識して水量を減らしてみたものの、汚れ落ちが悪くなったり、なんだか仕上がりがおかしいと感じたりした経験をお持ちの方も多いでしょう。
縦型洗濯機とドラム式洗濯機では適正な水量が異なりますし、水量が少ないとどうなるのか、間違えた場合の対処法や設定できないときの解決策についても気になるところですよね。また、すすぎの水量や手洗いコースでの設定、水道代を抑える方法なども知っておきたいポイントです。
実は、洗濯機の水量は多ければ良いというわけではなく、適切なバランスが洗濯効果を左右する重要な要素なんです。間違った水量設定は、汚れ落ちの悪化や洗剤残り、さらには衣類の傷みにもつながってしまいます。
この記事では、洗濯機の適正水量について詳しく解説し、効率的な洗濯と節水の両立を実現する方法をご紹介します。
洗濯機の水量は多い方がいいのか検証

洗濯機の水量について正しい知識を身につけることで、より効果的な洗濯ができるようになります。
水量の適正値は洗濯機のタイプによって異なりますし、多すぎても少なすぎても洗濯効果に悪影響を与えてしまうんです。まずは基本的な考え方から確認していきましょう。
水量は多い方がいい?
洗濯機の水量について、多ければ多いほど良いと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、実際のところ洗濯の効果を最大化するには、適切な水量バランスが何より大切なんです。
水量が多すぎると、洗濯物が洗濯槽内で自由に泳ぎすぎてしまい、衣類同士の摩擦が不十分になってしまいます。また洗剤の濃度も薄くなるため、汚れ落ちが悪くなる可能性があります。
適正な水量とは、洗濯物が水にしっかりと浸かりながらも、適度な摩擦が生まれる状態を指します。洗濯槽の7~8割程度に洗濯物が収まり、洗濯物全体が水に浸る程度が理想的とされています。
また、現代の洗濯機には自動で水量を調整する機能が備わっていますが、この設定が必ずしも最適とは限りません。洗濯物の素材や汚れ具合によっては、手動で調整した方が良い結果を得られることもあります。
縦型洗濯機の適正水量

縦型洗濯機の適正水量は、洗濯物1kgに対して約10Lが目安とされています。これは、縦型洗濯機がパルセーター(洗濯槽底部の回転羽根)による水流とかくはん作用で汚れを落とす仕組みのためです。
縦型洗濯機では、洗濯物同士をこすり合わせる摩擦力が洗浄の要となります。そのため、洗濯物が適度に動き回れる水量が必要になります。水量が不足すると、この摩擦力が十分に働かず、汚れ落ちが悪くなってしまうんですね。
例えば、3kgの洗濯物であれば約30L、5kgなら約50Lの水量が適正とされています。ただし、これはあくまで目安で、実際には洗濯物の種類や汚れ具合によって調整が必要です。
縦型洗濯機の場合、洗濯物の重さは自動センサーで測定されますが、この測定は主に綿製品を基準としています。そのため、アクリルやポリエステルなどの軽い化学繊維が多い場合、実際よりも少ない水量が設定される可能性があります。
洗濯物の量を正確に把握したい場合は、洗濯カゴに衣類を入れた状態で体重計に乗り、自分の体重を引いて計算する方法が確実です。一度計測しておけば、普段の洗濯量の目安として活用できますよ。
ドラム式洗濯機の適正水量

ドラム式洗濯機の適正水量は、洗濯物1kgに対して約7~9Lと、縦型よりも少ない水量で効率的に洗浄できます。これは、ドラム式がたたき洗いを主体とした洗浄方式を採用しているためです。
ドラム式洗濯機では、斜めに設置されたドラムが回転し、洗濯物を上から下に落とす「たたき洗い」と、小刻みに動かす「もみ洗い」を組み合わせて汚れを落とします。この方式では、少ない水量でも洗剤の濃度を高く保てるため、特に皮脂汚れに対して高い洗浄力を発揮します。
2025年現在販売されているパナソニックの「NA-LX129DL」を例にとると、12kgの洗濯容量に対して標準使用水量は約83Lとなっており、これは1kgあたり約7Lという計算になります。
ドラム式洗濯機の大きなメリットは節水性能にあります。縦型洗濯機と比較すると、同じ洗濯容量でも使用水量は約40%少なく済みます。これにより水道代の節約にもつながり、環境負荷も軽減できるんです。
ただし、ドラム式の場合は色移りや黒ずみが発生しやすい傾向があるため、色落ちしやすい衣類は分けて洗うなど、注意が必要です。
水量が少ないとどうなる?

洗濯機の水量が不足すると、様々な問題が発生してしまいます。まず最も深刻な問題は、汚れ落ちの悪化です。
縦型洗濯機の場合、水量が少ないと水流が弱くなり、衣類同士の摩擦も不十分になります。その結果、汗や皮脂などの水溶性汚れが完全に落ちきらず、衣類に残ってしまうんです。
さらに、すすぎの際に水量が不足していると、せっかく離れた汚れが再び繊維に戻ってしまう現象が起こります。これが部屋干し特有のイヤな臭いや、黄ばみ、黒ずみの原因となってしまいます。
洗剤の濃度バランスも崩れてしまいます。水量に対して洗剤量が多すぎる状態になると、洗剤が衣類に残りやすくなり、これもまた雑菌繁殖の温床となってしまいます。
また、水量不足は衣類の傷みにもつながります。十分な水がないと、洗濯物同士が強くこすれ合い、生地が傷んだり毛玉ができやすくなったりします。
家電量販店でも、お客様から「洗濯物の臭いが取れない」というご相談をよく受けますが、その多くが水量設定に問題があるケースなんです。
水量がおかしい原因と確認方法
洗濯機の水量設定がおかしいと感じる場合、いくつかの原因が考えられます。
最も多い原因は、洗濯機の水位センサーやエアチューブの故障です。これらの部品が正常に機能しないと、洗濯物の重量を正確に測定できず、適切な水量が設定されません。同じ量の洗濯物を入れているのに、急に水量が少なくなったという場合は、この可能性が高いでしょう。
また、洗濯物の素材による影響も考えられます。先ほどもお伝えしたように、洗濯機の自動水位計量は綿製品をベースにしているため、アクリルやポリエステルなどの軽量な化学繊維が多い場合、実際よりも少ない水量が設定されてしまいます。
確認方法としては、まず取扱説明書で正常な水量の目安をチェックしてみてください。その後、同じ重量の洗濯物で数回テストを行い、水量に一貫性があるかを確認します。
水量の設定に問題がある場合は、手動で水量を調整することも可能です。ほとんどの洗濯機では、コース選択後から洗い終了までの間に水量変更ができます。
それでも問題が解決しない場合は、メーカーサポートに相談することをおすすめします。特に購入から間もない場合は、保証期間内で修理が可能かもしれません。
洗濯機の水量は多い方がいい訳ではない知識

適切な水量設定をマスターすれば、洗濯の質を向上させながら水道代の節約も実現できます。
自動設定の仕組みを理解し、状況に応じて手動調整を活用することで、より満足のいく洗濯結果を得られるでしょう。節水テクニックも併せて活用してみてください。
水量の自動設定の仕組み
現代の洗濯機は、高度なセンサー技術により自動で最適な水量を設定してくれます。この仕組みを理解しておくと、より効果的な洗濯ができるようになります。
洗濯機の自動水量設定は、主に「重量センサー」と「水位センサー」という2つの技術によって行われています。重量センサーは、洗濯槽に入れられた洗濯物の重さを測定し、水位センサーは実際の水の量を監視しています。
洗濯が始まると、まずパルセーターが少し回転して洗濯物の重量と体積を測定します。この時の負荷を基に、洗濯機は必要な水量を計算するんです。日立のビートウォッシュシリーズを例にとると、約5kgまでは容量とほぼ比例して水量が増えますが、6kg~10kgの場合は一律62Lの水量が設定されます。
ただし、この自動設定には限界があります。濡れた衣類が混じっている場合、重量センサーが「重い衣類」と判断して水量を過度に増やす可能性があります。逆に、かさばるけれど軽い衣類の場合は、必要な水量よりも少なく設定されることもあります。
標準コースの自動設定水量は、一般的に22L~68Lの範囲で調整されますが、この数値はメーカーや機種によって異なります。
水量を間違えたときの対処法

洗濯機の水量設定を間違えてしまった場合でも、適切な対処法を知っていれば問題を解決できます。
まず、洗濯が始まってから「水量が足りない」と気づいた場合、多くの洗濯機では運転中でも水量を追加できます。給水ボタンや水量調整ボタンを押すことで、追加の水を投入できるんです。
逆に水量が多すぎる場合は、排水ボタンを押して余分な水を排出できます。ただし、この際は洗剤の濃度も薄くなってしまうため、洗剤を少し追加することも考慮してください。
洗濯中に水量の変更ができない機種の場合は、一度運転を停止させてから設定を変更し直します。現在の2025年販売モデルの多くは運転中の調整機能を備えていますが、古い機種では対応していない場合もあります。
すでに洗いが終わってしまった場合は、すすぎのタイミングで水量を調整することが可能です。特にすすぎは洗濯の仕上がりに大きく影響するため、十分な水量を確保することが大切です。
洗剤量も水量に合わせて調整する必要があります。スタート前に水量を手動設定した場合、洗剤の表示量や自動投入量も連動して変更されますが、途中で水量を変更した場合は手動で洗剤量も調整しなければなりません。
水量設定ができないときの解決策
洗濯機の水量設定ができない場合、機種の制限や故障が原因として考えられます。
まず確認したいのは、選択したコースで水量変更が可能かどうかです。おしゃれ着コースや手洗いコースなど、特定のコースでは水量が固定されている場合があります。これは、デリケートな衣類に適した洗浄条件を維持するためです。
パナソニック製の洗濯機を例にとると、水量設定は記憶されず、毎回都度設定する必要があります。また、機種やコースによって選べる水量の範囲が制限されているケースもあります。
操作パネルの不具合も考えられます。タッチパネル式の最新機種では、画面の反応が悪くなったり、特定のボタンが効かなくなったりすることがあります。この場合は、一度電源を切って再起動してみてください。
節電モードや省エネ設定が影響している可能性もあります。これらの設定が有効になっていると、水量調整の範囲が制限される場合があります。
タオル1~2枚など極少量の洗濯物の場合、自動設定では最低水位が選択されないことがあります。この場合は、手動で最低水量に設定する必要があります。
どうしても水量設定ができない場合は、標準コース以外のコースを試してみることをおすすめします。大物洗いコースなどでは、より多くの水量を使用できる場合があります。
すすぎの水量は?

すすぎの水量は、洗濯の仕上がりを左右する非常に重要な要素です。適切なすすぎができていないと、洗剤残りや臭いの原因となってしまいます。
すすぎには「ためすすぎ」と「注水すすぎ」の2種類があります。ためすすぎは洗濯槽に水を溜めてからすすぐ方法で、一般的にはこちらが標準設定となっています。一方、注水すすぎは給水しながら排水も同時に行い、常に新しい水ですすぐ方法です。
ためすすぎは節水効果が高く、1回のすすぎで使用する水量を抑えることができます。しかし、洗剤残りが気になる場合や、敏感肌の方には注水すすぎがおすすめです。注水すすぎは水使用量が多くなりますが、洗剤成分をより確実に除去できます。
ドラム式洗濯機の場合、構造上すすぎ時の水量が少なくなりがちです。そのため、すすぎ設定を「注水」に変更することで、より効果的なすすぎが可能になります。
すすぎの回数も重要なポイントです。通常の洗剤を使用する場合は2回すすぎが一般的ですが、すすぎ1回対応の洗剤を使用すれば水量を節約できます。ただし、洗剤量が多すぎた場合や汚れがひどい場合は、すすぎ回数を増やすことも必要です。
先ほどもお伝えしたように、すすぎ時の水不足は汚れの再付着を招く可能性があります。特に部屋干しを予定している場合は、十分なすすぎを心がけることが臭い防止につながります。
手洗いコースの水量について
手洗いコースは、デリケートな衣類を優しく洗うための特別なコースで、水量設定にも独特の特徴があります。
手洗いコースでは、洗濯槽の動きを最小限に抑え、つけ置きや手洗いに近い洗い方をします。そのため、通常のコースよりも多めの水量を使用し、衣類全体が水にしっかりと浸かる状態を作り出します。
水流も非常に緩やかに設定されており、脱水時も衣類が絡まらないよう配慮されています。これにより、カシミアやシルクなどのデリケートな素材でも安心して洗濯できるんです。
手洗いコースの場合、水量は自動で設定され、多くの機種では手動での調整ができません。これは、デリケートな衣類に最適な洗浄条件を維持するためです。
洗剤についても特別な配慮が必要です。手洗いコースでは中性洗剤やおしゃれ着用洗剤を使用し、洗剤量も通常より控えめに設定します。花王のエマールを例にとると、水量30L(洗濯物量1.5kg)に対して40mlが使用量の目安となっています。
メーカーによっては「ドライコース」「おうちクリーニング」「ソフトコース」など、呼び名が異なる場合がありますが、基本的な仕組みは同様です。
手洗いコースは洗浄力がマイルドな分、洗濯時間が長くなる傾向があります。しかし、大切な衣類を長持ちさせるためには、適切なコース選択が欠かせません。
洗濯時の水道代を節約するコツ

洗濯時の水道代を効果的に節約するには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
最も効果的な節約方法は、まとめ洗いです。洗濯物が少量の場合でも毎日洗濯機を回すのではなく、洗濯槽の7~8割程度になるまで待ってから洗濯することで、1回あたりの水使用量を効率化できます。
ただし、梅雨時期や湿度の高い季節は、洗濯物を長時間溜め込むと雑菌が繁殖しやすくなります。そのため、2~3日に1回程度の頻度でまとめ洗いをすることをおすすめします。
洗剤選びも節約のポイントです。すすぎ1回対応の洗剤を使用することで、すすぎにかかる水量を大幅に削減できます。従来のすすぎ2回タイプと比べて、約25%の節水効果が期待できるんです。
お風呂の残り湯を活用することも有効です。ただし、残り湯には汚れや雑菌が含まれているため、洗いの工程でのみ使用し、すすぎには新しい水を使うことが重要です。また、入浴剤を使用した残り湯は洗濯には適しません。
洗濯機の買い替えを検討している場合は、ドラム式洗濯機を選択することで長期的な節水効果が得られます。現在販売されている東芝の「ZABOON TW-127XM4L」やパナソニックの「NA-LX129DL」などの最新モデルでは、高い節水性能を実現しています。
コース選択も水道代に影響します。汚れが軽い場合は「おいそぎコース」を選択することで、洗濯時間の短縮とともに水使用量も削減できます。
洗濯頻度の見直しも検討してみてください。タオルやシーツなどは毎日交換する必要はなく、使用状況に応じて洗濯頻度を調整することで水道代の節約につながります。
総括:洗濯機の水量は多い方がいいのか
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。