新しい洗濯機を購入したのに、いざ設置しようとしたら防水パンからはみ出てしまって困っていませんか?
「もしかして、サイズを間違えちゃったかな…」と不安になりますよね。
特にドラム式洗濯機はサイズが大きくなりがちなので、奥行きが足りずに防水パンに入らないというケースは少なくないんです。また、賃貸物件だと防水パンが小さめに作られていることもあります。
でも、諦めるのはまだ早いですよ。洗濯機が防水パンからはみ出る場合でも、正しい知識と方法でしっかり設置できる可能性があります。
無理に置くと故障や水漏れの原因にもなりかねないので、まずは落ち着いて原因を確認することが大切です。
この記事では、家電量販店で働く私が、洗濯機が防水パンからはみ出る問題について、原因の確認方法から具体的な設置方法、さらには新築での防水パンの必要性に至るまで、分かりやすく解説していきます。
洗濯機が防水パンからはみ出る?まず原因を確認

新しい洗濯機が防水パンに収まらないと、本当に焦りますよね。
でもまずは落ち着いて、なぜはみ出てしまうのか、ご自宅の状況と照らし合わせながら原因を一緒に探っていきましょう。
原因が分かれば、適切な対策が見えてきますよ。
サイズが合わない主な理由
洗濯機と防水パンのサイズが合わない理由は、実はいくつか考えられます。
一番多いのは、やはり単純な採寸ミスや確認不足ですね。
洗濯機を選ぶとき、本体の横幅や奥行きはチェックすると思うのですが、意外と見落としがちなのが「脚部」のサイズなんです。洗濯機の本体は防水パンに収まるけれど、脚がパンの縁に乗ってしまうというケースは、本当によくあります。
特に最近のドラム式洗濯機はデザイン性が高くて、本体下部が曲線的になっているモデルも多いので、脚の位置が分かりにくいこともあるかもしれません。
また、防水パン自体のサイズもポイントです。
防水パンにはいくつかの規格サイズがありますが、ご自宅のものが一般的ではない小さいサイズだったという可能性も考えられます。特に古い賃貸物件などでは、コンパクトな防水パンが設置されていることがありますね。
さらに、排水口の位置も重要です。
洗濯機の排水ホースと防水パンの排水口の位置が合わないと、ホースの取り回しの関係で洗濯機を正しい位置に置けず、結果的にはみ出てしまうこともあります。
購入前に、ご自宅の防水パンのサイズ(特に内寸)と排水口の位置を、メジャーでしっかり測っておくことが、失敗しないための何よりの秘訣だと思います。
正しいサイズの測り方
「うちの防水パン、サイズはいくつなんだろう?」と思ったら、早速測ってみましょう。
測るべきポイントは「内寸」です。防水パンの縁の外側から外側までを測る「外寸」ではなく、洗濯機の脚が実際に乗る平らな部分の縦と横の長さを測ってくださいね。
メジャーを用意して、防水パンのフチの内側から反対側の内側までの長さを、縦と横、それぞれ計測します。このとき、フチの立ち上がり部分は含めずに、平らな底面の部分だけを測るのがポイントです。
一般的な防水パンの内寸サイズは、主に以下の4種類です。
横幅内寸 | 奥行内寸 | 適称サイズ |
640mm | 640mm | 640サイズ(正方形) |
740mm | 640mm | 740サイズ(長方形) |
800mm | 640mm | 800サイズ(長方形) |
現在、最も標準的なのは「640mm × 640mm」の正方形タイプですね。多くの洗濯機が、このサイズを基準に設計されています。
ご自宅の防水パンを測ってみて、この内寸より小さい場合は、設置できる洗濯機が限られてくる可能性が高いです。
また、測る際には排水口の位置や、壁からの距離も一緒に確認しておくと良いですよ。壁と防水パンの間に十分なスペースがないと、洗濯機のフタが開けにくかったり、給水ホースが取り付けられなかったりすることもありますからね。
正確な採寸が、ぴったりの洗濯機を見つける第一歩です。
賃貸物件で小さい場合の注意点
賃貸物件にお住まいで防水パンが小さい場合、いくつか注意しておきたいポイントがあります。
まず、自己判断で防水パンを交換したり、無理やり大きな洗濯機を設置したりするのは絶対に避けてくださいね。
賃貸物件は、退去時に「原状回復」の義務があります。
つまり、入居した時と同じ状態に戻さなければなりません。防水パンを勝手に交換してしまうと、この原状回復義務に違反してしまい、退去時に高額な費用を請求される可能性があります。
もし、どうしても置きたい洗濯機が防水パンに収まらない場合は、まず大家さんや管理会社に相談してみるのが一番です。事情を説明すれば、防水パンの交換を許可してくれたり、他の解決策を提案してくれたりするかもしれません。
また、かさ上げ台などを使って設置する場合も注意が必要です。
かさ上げ台を使うこと自体は問題ないことが多いですが、設置によって床や壁を傷つけてしまわないように、慎重に作業する必要があります。振動で床に傷がつくのを防ぐために、防振ゴムなどを敷くのも良い方法ですね。
私がお客様にご案内する際も、賃貸物件の場合は特に、現状の設備を活かした設置方法を最優先で考えるようにしています。
例えば、コンパクトタイプの洗濯機を選んだり、後ほどご紹介するような設置用のアイテムをうまく活用したりする方法です。大切な住まいですから、ルールを守って快適な洗濯ライフを送りたいですよね。
ドラム式洗濯機が奥行き不足ではみ出るケース
ドラム式洗濯機は、縦型洗濯機に比べて本体サイズ、特に奥行きが大きいモデルが多いのが特徴です。
そのため、「横幅は防水パンに収まるのに、奥行きが足りなくてはみ出てしまう」というご相談は、家電量販店でも本当によくいただきます。
なぜドラム式は奥行きが必要かというと、洗濯槽が横向き(正確には少し斜め)に設置されている構造だからです。洗濯物をたたき洗いするため、槽を回転させるモーターや、振動を抑えるためのダンパーなどが本体後方に配置されており、どうしても奥行きが必要になるんですね。
防水パンの奥行き内寸が一般的な640mmの場合でも、最新の高性能なドラム式洗濯機だと、本体の奥行きが700mmを超えるモデルも珍しくありません。これでは、当然ながら防水パンの奥の壁に本体がぶつかってしまい、手前側がはみ出してしまいます。
また、見落としがちなのが、本体背面にある給水用の蛇口や、排水ホースのスペースです。洗濯機のカタログに記載されている本体奥行きの寸法は、あくまで本体のみのサイズ。実際に設置する際には、これらのホース類の取り回しのために、さらに数センチの余裕が必要になります。
ドラム式洗濯機の購入を検討している場合は、まずご自宅の防水パンの奥行き内寸を正確に測ること。そして、カタログで洗濯機の本体サイズを確認するだけでなく、設置に必要なスペース(「設置可能防水パン」などの項目で記載されています)もしっかりチェックすることがとても大切です。
縦型洗濯機が入らないときの対処法
「ドラム式じゃなくて縦型なのに、防水パンに入らない…」というケースも、実はあるんです。
縦型洗濯機はドラム式に比べてスリムなモデルが多いですが、大容量タイプになってくると、やはり本体サイズも大きくなります。
縦型洗濯機が防水パンに収まらない場合、まず考えられるのは、ドラム式と同じく脚の位置の問題です。洗濯機の脚がちょうど防水パンの四隅の平らな部分に乗るかどうかを確認してみてください。
少しでも縁の立ち上がった部分に脚がかかってしまうと、洗濯機が傾いてしまい、運転中に大きな振動や騒音、故障の原因になる可能性があります。これはとても危険なので、絶対に避けてくださいね。
もし脚が乗りきらない場合は、後ほど詳しくご紹介する「かさ上げ台」や「洗濯機台」を使うのが有効な解決策になります。これらのアイテムを使えば、洗濯機全体をかさ上げして、脚を防水パンの外側の床に設置することができるようになります。
また、排水口の位置が合わずに設置できないという可能性も考えられます。
防水パンの真下や横に排水口がある場合、洗濯機の真下排水用のホースが別途必要になったり、ホースの長さが足りなかったりすることがあります。この場合も、かさ上げ台を使って洗濯機の下にスペースを作ることで、排水ホースの取り回しがしやすくなり、問題が解決することが多いですよ。
まずは、なぜ入らないのか、脚の位置なのか、排水の問題なのかを冷静に見極めることが大切ですね。
新築に本当に必要か
これから新築でお家を建てる方から、「洗濯機の防水パンって、絶対に必要なの?」という質問をいただくことがあります。
結論から言うと、必ずしも必須ではありませんが、設置しておくことを強くおすすめします。
最近の洗濯機は、水漏れ防止機能が非常に進化しているので、「洗濯機が原因で水漏れが起きる」というケースは昔に比べて格段に減りました。そのため、デザイン性を重視して、フローリングの床に直接洗濯機を置くご家庭も増えていますね。見た目がスッキリするのは確かです。
しかし、水漏れのリスクはゼロではありません。洗濯機本体からではなく、給水ホースの接続部分や排水ホースの劣化、排水口の詰まりなどが原因で水が溢れてしまう可能性は十分に考えられます。
もし防水パンがなければ、溢れた水が床材を傷めたり、階下へ漏水してしまったりと、大きな被害につながる恐れがあります。特に2階以上に洗濯機を設置する場合は、万が一のことを考えると、防水パンはあった方が安心じゃないでしょうか。
また、防水パンには結露を受け止める役割もあります。洗濯機周りは湿気がこもりやすく、特に夏場は床が結露で濡れてしまうことがあります。防水パンがあれば、床材が直接濡れるのを防いでくれるので、カビや腐食の防止にもつながります。
掃除のしやすさというメリットもありますね。防水パンがあることで、床との間に少し隙間ができ、ホコリなどが溜まっても掃除がしやすくなります。
最近では、見た目にも配慮されたフラットなデザインの防水パンもありますので、新築やリフォームの際には、ぜひ設置を検討してみてほしいと思います。
防水パンからはみ出る洗濯機の具体的な設置方法

原因がわかったところで、いよいよ具体的な解決策を見ていきましょう。
洗濯機が防水パンからはみ出てしまう場合でも、便利なアイテムを使ったり、少し工夫したりすることで、安全に設置できる方法がいくつかあります。
ご家庭の状況に合った方法がきっと見つかるはずですよ。
防水パンをまたいで設置するのは可能か
「防水パンに乗りきらないなら、いっそまたいで設置できないかな?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんね。
つまり、洗濯機の脚のいくつかを防水パンの中、残りを外の床に置くという方法です。
これは、絶対にやってはいけない設置方法の一つです。
洗濯機の脚は、4本すべてが同じ高さの水平な場所にないと、本体が傾いてしまいます。傾いた状態で運転すると、洗濯槽が正常に回転せず、異常な振動や騒音が発生する原因になります。
最悪の場合、洗濯機が転倒したり、内部の部品が破損して重大な故障につながったりする危険性が非常に高いです。
また、洗濯機には振動を検知して自動で運転を停止する安全装置が付いていることが多いですが、傾いた状態ではこの装置が誤作動を繰り返し、まともに洗濯ができなくなってしまうことも考えられます。
メーカーの取扱説明書にも、必ず「水平で安定した場所に設置する」と記載されています。防水パンをまたいでの設置は、この基本原則から外れてしまうんですね。
もし、どうしても設置スペースが足りない場合は、この後ご紹介する「かさ上げ台」や、洗濯機用のラックなどを使って、4本の脚がすべて同じ高さの平面に乗るように工夫する必要があります。
安全に長く洗濯機を使うためにも、またいで設置するのは避けてくださいね。
かさ上げでドラム式洗濯機のはみ出しを解消
奥行きが足りずにドラム式洗濯機がはみ出てしまう場合、最もポピュラーで効果的な解決策が「かさ上げ台」を使う方法です。
これは、四隅の脚の下にブロック状の台を設置して、洗濯機全体を高く持ち上げるアイテムですね。
かさ上げ台を使う最大のメリットは、洗濯機の下に空間ができることです。この空間を利用して、はみ出してしまう洗濯機の手前の脚を防水パンの「外側」の床に、奥の脚を防水パンの「内側」に置く、といった設置が可能になります。
ただしこの場合、床と防水パンの高さの差を埋めるために、手前の脚の下に適切な厚みの板などを敷いて、必ず水平を保つ必要があります。
より一般的な使い方は、防水パンの中に4つのかさ上げ台を置き、その上に洗濯機を設置する方法です。こうすることで、防水パンの縁の立ち上がりを乗り越えて、より大きな洗濯機を設置できるようになります。
かさ上げには、他にも嬉しいポイントがたくさんあります。洗濯機の下にスペースができるので、排水ホースの取り回しが楽になったり、防水パンや排水口の掃除が格段にしやすくなったりします。これは本当に便利ですよ。
また、床から洗濯物を出し入れする位置が高くなるので、腰への負担が軽くなるというメリットもあります。
家電量販店やホームセンター、オンラインストアなどで様々な種類のかさ上げ台が販売されています。代表的な商品としては、因幡電工の「ふんばるマン」などが有名ですね。耐荷重やサイズを確認して、ご自宅の洗濯機に合ったものを選んでみてください。
防水パンが小さい洗濯機のおすすめ設置方法
防水パンそのものが小さくて、どうしても洗濯機が収まらないという場合、いくつか設置方法の選択肢があります。
先ほどもお伝えしたとおり、賃貸物件の場合はまず大家さんや管理会社への相談が先決ですが、持ち家の場合はより柔軟な対応が可能です。
設置台(フレームタイプ)を利用する
一つ目は、防水パンをまたぐように設置できる、金属製のフレームでできた洗濯機台を利用する方法です。これは「洗濯機置き台」や「キャスター付き洗濯機台」などの名称で販売されています。
このタイプの台を使えば、防水パンのサイズに関係なく、その上の空間に洗濯機を安定して設置することができます。
キャスター付きのモデルを選べば、掃除の際に洗濯機を楽に動かせるので、とても便利だと思います。選ぶ際は、必ず洗濯機の重量に耐えられる「耐荷重」を確認してくださいね。
防水パンを交換する
もし持ち家で、リフォームなども検討されているのであれば、防水パン自体を大きいサイズのものに交換するというのが最も根本的な解決策になります。
工事が必要になるので費用はかかりますが、一度交換してしまえば、将来洗濯機を買い替える際の選択肢が大きく広がります。
最近の洗濯機サイズに合わせて、内寸640mm×640mm以上のものに交換するのがおすすめです。
コンパクトな洗濯機に買い替える
最終的な手段として、現在の防水パンに収まるサイズの洗濯機に買い替えるという選択肢もあります。最近では、コンパクト設計のドラム式洗濯機や、スリムな縦型洗濯機も登場しています。
例えば、シャープの「ES-S7K」のようなコンパクトドラムは、本体幅・奥行きが約60cmとスリムで、一般的な防水パンにも設置しやすいと評判です。
買い替えは大きな出費になりますが、設置のストレスなく安心して使えるのは大きなメリットですね。
気になる隙間を埋めるには
洗濯機を無事に設置できた後、意外と気になるのが洗濯機と防水パン、あるいは壁との間にできる「隙間」ですよね。
この隙間にホコリが溜まったり、小物を落としてしまったり…なんて経験、ありませんか?
この隙間をどうにかしたい、というお客様の声もよく聞きます。そんな時におすすめなのが、「隙間カバー」や「隙間ガード」といった商品です。
これは、シリコンや樹脂でできた帯状のカバーで、洗濯機と防水パンの縁の間に置くだけで、ホコリや髪の毛、水の侵入を防いでくれる便利なアイテムです。汚れたらサッと拭くだけで綺麗になるので、掃除の手間がぐっと減りますよ。
ハサミで好きな長さにカットできるタイプが多いので、ご自宅の設置状況に合わせてぴったりフィットさせることができます。
また、DIYが得意な方であれば、プラスチック段ボール(プラダン)や発泡スチロールの板などをサイズに合わせてカットして、隙間を埋めるという方法もあります。見た目を気にするなら、上からマスキングテープやリメイクシートを貼ると、インテリアにも馴染みやすくなりますね。
ただし、隙間を完全に塞いでしまうと、湿気がこもってカビの原因になる可能性もあります。通気性を少し確保できるように工夫したり、定期的にお掃除したりすることを忘れないようにしてください。
ちょっとした工夫で、洗濯機周りをより清潔で快適な空間にできると嬉しいですよね。
水がたまる問題と排水口の掃除方法
「最近、防水パンに水がたまるようになった…」これは、排水系統に何らかのトラブルが起きているサインかもしれません。
主な原因は、排水口の詰まりです。
洗濯のたびに出る衣類の糸くずや髪の毛、洗剤の溶け残りなどが、排水口内部にある「排水トラップ」という部品に少しずつ蓄積し、水の流れを悪くしてしまうんです。
これを放置しておくと、排水が追いつかずに防水パンから水が溢れ、床が水浸しになってしまう危険性があります。そうなる前に、定期的な排水口の掃除を心がけましょう。
手順 | 作業内容 | 詳細説明 |
1 | 部品の取り外し | 排水口のカバー(目皿)を外します。その下にある筒状の部品(トラップ)も、回しながら引き抜くと外れる場合が多いです。製品によって構造が違うので、難しい場合は取扱説明書を確認してください。 |
2 | ゴミの除去 | 取り外した部品や、排水口の内部に溜まった髪の毛やヘドロ状の汚れを、使い古しの歯ブラシなどを使って丁寧に取り除きます。 |
3 | 洗浄 | パイプクリーナーなどの洗浄剤を使って、排水管の奥の汚れも溶かして洗い流します。洗浄剤を使った後は、指定された時間放置してから、十分な量の水で洗い流してください。 |
4 | 部品の取り付け | 掃除が終わったら、取り外した部品を元の順番で正確に取り付けます。部品がしっかりはまっていないと、下水の臭いが上がってきたり、水漏れの原因になったりするので注意してください。 |
月に1回程度、このお掃除をするだけで、排水口の詰まりはかなり防げるはずです。
洗濯機を長く快適に使うためにも、ぜひ習慣にしてみてください。
総括:防水パンからはみ出る洗濯機の問題と対策
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。