洗濯機を設置するとき、床に直接置いて良いのか迷ったことはありませんか?
特に賃貸にお住まいの方なら、退去時の床の傷やへこみが心配ですよね。
また、夜間に洗濯機を回すとき、振動や音が気になって仕方ない…そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
実は、洗濯機の下敷きや防振ゴムは、単なる「あったら便利」なアイテムではありません。床を守り、騒音トラブルを防ぎ、快適な暮らしを実現するための重要な役割を担っているんです。
でも、本当に必要なのか、防水パンとの違いは何なのか、底上げしたほうが良いのか、そして防振ゴムの寿命はどのくらいなのか…疑問は尽きませんよね。
さらに、防振ゴムを設置したのに逆効果で音が大きくなってしまったという声や、防振マットとキャスター付き台のどっちを選べば良いのか分からないという悩みもよく耳にします。
この記事では、家電量販店で日々お客様の疑問にお答えしている私が、洗濯機の下敷きや防振ゴムの必要性から、人気の「ふんばるマン」のメリットやデメリット、さらには失敗しない選び方まで、実体験と専門知識を交えて詳しく解説します。
洗濯機の下敷き防振ゴムは本当に必要?

- 洗濯機の下敷きは必要か?
- 防振ゴムは必要?
- 防水パンは必要?
- 底上げしたほうが良い?
- 賃貸なら必須?
- 防振ゴムが逆効果でいらないケース
- 防振ゴムの寿命
まずは、「そもそも洗濯機の下敷きや防振ゴムって、うちにも必要なの?」という基本的な疑問から解決していきましょう。
それは、住んでいるお家の環境や使っている洗濯機によっても必要性は変わってきます。それぞれの役割をしっかり理解して、ご自身の環境に合うかどうかを判断してみてくださいね。
洗濯機の下敷きは必要か?
お店にいると、「洗濯機の下って、何か敷いたほうがいいですか?」というご質問を本当によくいただきます。
私の答えとしては、「はい、基本的には敷くことをおすすめします」とお伝えしています。
なぜなら、洗濯機の下敷きには大切な役割がいくつかあるからなんです。
一番の役割は、床の保護ですね。
洗濯機って、実はすごく重いんです。ドラム式だと80kgを超えるものも珍しくありません。そんな重いものが長期間同じ場所にあると、特にフローリングやクッションフロアの床は、へこんだり傷が付いたりする原因になります。後から「しまった!」と思っても、床の修復は結構大変ですよね。
また、万が一の水漏れの際に、被害を少しでも食い止めてくれるという役割もあります。
排水ホースが外れてしまったり、接続部が緩んでしまったり…なんていうトラブルは、絶対にないとは言い切れません。下敷きがあれば、床に直接水が染み込むのを防いでくれる、いわば「お守り」のような存在になってくれます。
さらに、振動を少し和らげてくれる効果も期待できます。完全に音を消すことは難しいですが、床に直接振動が伝わるのを和らげることで、不快なガタガタ音を軽減してくれるのは嬉しいポイントです。
特に新しいお家や賃貸にお住まいの方は、床をキレイに保つためにも、ぜひ下敷きの設置を検討してみてくださいね。
防振ゴムは必要?
「下敷きは分かったけど、あの四隅に置く黒いゴム(防振ゴム)まではいらないんじゃない?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
これも、特に集合住宅にお住まいの方や夜に洗濯機を回すことが多い方には、ぜひ使っていただきたいアイテムです。
防振ゴムの最大の役割は、その名の通り「振動を吸収して、音を軽減する」ことです。洗濯機、特に脱水の時はモーターが高速で回転するので、大きな振動と音が発生しますよね。この振動が床を伝って、下の階やお隣の部屋に響いてしまうことが、騒音トラブルの原因になるケースは少なくありません。
実際に、お客様からも「これを置いたら、洗濯中のガタガタ音が本当に静かになって驚きました!」「夜に洗濯する罪悪感がなくなりました」なんていう嬉しいお声をたくさんいただきます。
もちろん、戸建ての1階で周りに気を使わない環境であれば、必ずしも必要ではないかもしれません。ただ、洗濯機自体の揺れも抑えられるので、洗濯機が安定し、長持ちに繋がるという隠れたメリットもあるんですよ。
数百円から数千円で得られる安心感としては、とてもコストパフォーマンスが高いと思います。
防水パンは必要?
防水パン(洗濯パン)については、最近の戸建てでは「見た目がスッキリしないから」という理由で設置しないお家も増えてきましたね。これもまた、悩ましいポイントだと思います。
防水パンの最大のメリットは、万が一の水漏れに対する「保険」としての役割です。
洗濯機の故障や排水ホースが外れるといった不測の事態が起きたときに、床が水浸しになるのを防いでくれます。特にマンションなどの集合住宅で階下へ水漏れさせてしまうと、修理費用などで大きな問題に発展しかねません。そう考えると、防水パンがある安心感は大きいですよね。
一方で、デメリットとしてよく挙げられるのが「掃除のしにくさ」です。
確かに、昔ながらのフラットな防水パンは、洗濯機との隙間にホコリや髪の毛が溜まりやすく、掃除が本当に大変なんです…。私も以前住んでいたマンションで苦労した経験があります。
最近は「かさ上げタイプ」の防水パンが主流です
最近の住宅では、洗濯機を置く四隅が高くなっていて、中央部分に空間ができる「かさ上げタイプ」の防水パンが増えています。これなら洗濯機の下に手や掃除用具が入りやすく、排水口の掃除も格段に楽になるので、昔の防水パンのイメージとは少し違ってきているんですよ。
もし、これからお家を建てる、あるいはリフォームを考えている方で迷っているのであれば、掃除のしやすい「かさ上げタイプ」の防水パンを検討してみるのがおすすめです。
すでにお住まいのお家に防水パンがない場合は、後から設置するのは大掛かりな工事になるので、次に紹介する「底上げ」の方法で代用するのが現実的かもしれません。
底上げしたほうが良い?
洗濯機の「底上げ(かさ上げ)」、これもぜひ検討していただきたいポイントです。防振ゴムもかさ上げの役割を兼ねているものが多いですが、ここでは主に「お掃除」と「排水」の観点からお話ししますね。
底上げする一番のメリットは、洗濯機の下に空間ができて、圧倒的に掃除がしやすくなることです。
洗濯機の下って、湿気とホコリで、放っておくとカビの温床になりがち…。でも、重たい洗濯機を動かして掃除するのは、本当に重労働ですよね。
底上げして数センチの隙間を作るだけで、フロアワイパーや掃除機のノズルがスッと入るようになります。これだけで、日々の掃除のハードルがぐっと下がりますよ。常に清潔な状態を保てるのは、とても気持ちが良いものです。
もう一つの重要なメリットが、排水ホースの経路をしっかり確保できることです。
特に、排水口が洗濯機の真下にある「真下排水」の場合、底上げしないと排水ホースが洗濯機の重みで潰れてしまうことがあります。ホースが潰れると、水の流れが悪くなって排水エラーが出たり、最悪の場合はホースが破損して水漏れに繋がったりする危険性もあるんです。
底上げする際の注意点
良いことの多い底上げですが、注意点もあります。あまり高くしすぎると、身長によっては洗濯槽の底にある洗濯物が取り出しにくくなることがあります。
また、上に棚などを設置している場合は、洗濯機のフタが棚にぶつからないか、事前に高さを確認しておくことが大切です。
賃貸なら必須?

「賃貸住宅に住んでいるんですけど、やっぱり防振ゴムとかは必要ですか?」というご質問、これも非常に多いです。
これはもう、自信を持って「はい、ほぼ必須だとお考えください!」とお答えしています。
賃貸住宅で一番気をつけたいのは、退去時の「原状回復」ですよね。洗濯機を長期間置いていると、その重みでクッションフロアやフローリングにくっきりと跡が残ってしまったり、へこんでしまったりすることがあります。これが「故意・過失による損傷」と判断されると、修繕費用を請求される可能性があるんです。
また、先ほどもお伝えしたように、騒音問題も集合住宅では特にデリケートな問題です。自分は気にならない音でも、隣や下の階の方にとっては大きなストレスになっていることも…。ご近所トラブルを避けるためにも、防振ゴムで対策しておくのは、もはやマナーと言っても良いかもしれません。
「どうせ引っ越すから…」と思わずに、自分自身が気持ちよく、そして安心して暮らすためのお守りだと思って、ぜひ対策をしてみてください。数千円の投資で、退去時の余計な出費やトラブルを防げるなら、決して高くないお買い物だと思いますよ。
床を保護するマットと、振動を抑える防振ゴム、この2つをセットで使うのが、賃貸住宅にお住まいの方には最強の組み合わせだと私は考えています。
防振ゴムが逆効果でいらないケース
ここまで防振ゴムのメリットをたくさんお話ししてきましたが、「じゃあ、どんな場合でも付ければOKなの?」というと、実はそうでもないんです。まれにですが、防振ゴムを設置したことで、逆に揺れが大きくなってしまったというケースもあります。
その最も多い原因が、洗濯機自体が水平に設置されていないことです。
洗濯機には、脚の部分に高さを微調整できるアジャスターが付いていることが多いのですが、この調整がうまくいっておらず、本体がガタついている状態で防振ゴムを敷いてしまうと、不安定な土台の上で揺れが増幅されてしまうことがあるんです。
防振ゴムを置く前に、まずは洗濯機本体を四隅を揺さぶってみて、ガタつきがないかを確認してください。もしガタつくようなら、脚のアジャスターを回して、しっかりと安定させることが先決です。
「防振ゴムを置いたのに、なんだか余計にうるさくなった…」と感じたときは、一度ゴムを外して、洗濯機本体の設置状況から見直してみてくださいね。
防振ゴムの寿命
防振ゴムは一度設置したら、ずっと使えるものなのでしょうか?
実は、防振ゴムも消耗品なんです。
素材や使用環境にもよりますが、いつまでも新品の時と同じ性能を保てるわけではありません。
一般的に、ゴム製品は時間と共に紫外線や空気中のオゾン、温度変化などの影響で、少しずつ硬くなったり(硬化)、弾力性が失われたりしていきます。振動を吸収するという大切な役割を担っている防振ゴムも、劣化が進むとその性能が落ちてしまうんです。
明確な寿命が定められているわけではありませんが、ひとつの目安としては3年~5年くらいで一度、状態をチェックしてみることをおすすめします。
洗濯機を買い替えるタイミングで、防振ゴムも一緒に新しくするのが一番分かりやすくておすすめです。
まだ使えると思っていても、新しい洗濯機の性能を最大限に活かすためにも、ぜひ一緒に交換を検討してみてくださいね。
おすすめの洗濯機下敷き防振ゴムと選び方

- おすすめの防振ゴム3選
- ふんばるマンのメリット・デメリット
- ふんばるマンは防水パンありなしで違う?
- ふんばるマンとキャスターはどっちが良い?
- ふんばるマンはどこに売ってる?
さて、ここからはもっと具体的に、商品選びについて見ていきましょう。
「いろいろ種類があって、どれを選べばいいか分からない!」という方のために、定番商品から選び方のポイントまで、詳しく解説していきますね。
おすすめの防振ゴム3選
市場にはたくさんの防振ゴムがありますが、今回はお店でも人気が高く、お客様からの評判も良い商品を3つ、厳選してご紹介しますね。
それぞれの特徴を比較して、ご自身の目的や環境に合ったものを選んでみてください。
商品名 | 特徴 | こんな人におすすめ |
---|---|---|
因幡電工「ふんばるマン」 | 高い防振性能と安定感で人気の定番商品。独自の柱状構造で振動をしっかり吸収します。価格と性能のバランスが良く、迷ったらコレ!と言える製品です。 | 初めて防振ゴムを買う方 防振性能と安定性を重視する方 ドラム式洗濯機を使っている方 |
タツフト「あしあげ隊」 | 高さを出して、洗濯機下の掃除をしやすくすることに特化した商品。高さのバリエーションが豊富で、重ねて使用することも可能です。排水スペースの確保にも最適。 | 洗濯機下の掃除を楽にしたい方 真下排水でホースの経路に困っている方 洗濯物を取り出しやすくしたい方 |
東京防音「ニューしずか」 | 非反発ゴムという特殊な素材を使用し、優れた静音性を発揮します。薄型なので、あまり高さを出したくない場合にもおすすめです。振動吸収性に定評があります。 | とにかく音を静かにしたい方 洗濯機の高さをあまり変えたくない方 薄型でも高性能なものを探している方 |



どれも素晴らしい商品ですが、それぞれに得意なことがあります。ご自身が「振動を抑えたい」のか、「掃除をしやすくしたい」のか、目的をはっきりさせると選びやすいですよ。
ふんばるマンのメリット・デメリット
先ほどおすすめの一つとして挙げた因幡電工の「ふんばるマン」は、防振ゴムの中でも特に人気が高く、定番中の定番と言える商品です。
ここでは「ふんばるマン」について、もう少し詳しくメリットとデメリットを掘り下げてみたいと思います。
デメリットも理解した上で選べば、ふんばるマンは多くの方にとって、とても満足度の高い製品だと思います。迷ったらまずこれを試してみる、というのも良い選択肢ですね。
ふんばるマンは防水パンありなしで違う?

「うちは防水パンがあるんだけど、その上にもふんばるマンって置けるの?」というのも、よくいただくご質問です。
はい、ご安心ください。
ふんばるマンは防水パンがあってもなくても、どちらの環境でも使用できます。
防水パンがない床に直接置く場合は、特に気をつけることはありません。床をきれいに拭いてから、滑り止めシートが付いている面を下にして置くだけです。
防水パンの上に設置する場合には、一つだけ注意点があります。それは防水パンの「フチの丸み(R部)」を避けて、平らな面に設置するということです。
防水パンの四隅は、強度を出すために少し丸みを帯びた形状になっていますよね。この傾斜がある部分にふんばるマンを置いてしまうと、ぐらついて不安定になり、防振効果が十分に得られないばかりか、かえって揺れが大きくなる原因にもなってしまいます。
説明書にも記載がありますが、防水パンのフチから5mm以上内側の、完全に平らな部分に設置するようにしてください。
この点さえ守れば、防水パンの上でも全く問題なく、ふんばるマンの性能をしっかり発揮させることができますよ。実際に、防水パンの上で使っているお客様の方が多いくらいです。
ふんばるマンとキャスターはどっちが良い?
洗濯機のかさ上げグッズとして、ふんばるマンのような「固定式」の他に、台にキャスターが付いた「移動式」のタイプもありますね。これもどちらが良いか迷われる方が多いです。

これはもう、何を一番重視するかによって、おすすめが変わってきます。
ふんばるマン(固定式) | キャスター付き台(移動式) | |
---|---|---|
防振・防音性 | ◎(非常に高い) | △(振動で音が大きくなることも) |
安定性 | ◎(ズレにくく、地震時も安心) | △(ロックが甘いと動いてしまう) |
掃除のしやすさ | ◯(下の隙間は掃除しやすい) | ◎(本体を動かせるので完璧に掃除可能) |
こんな人におすすめ | 騒音や振動をとにかく抑えたい人。安定感を重視する人。 | 洗濯機を動かして裏側まで完璧に掃除したい人。 |
防振・防音性や安定性を最優先するなら、断然ふんばるマンのような固定式がおすすめです。
キャスター付きの台は、どうしても構造上、振動でガタガタと音が出やすくなりますし、脚で固定するタイプでも、その固定が緩むと騒音の原因になります。
一方で、「洗濯機を動かして、裏の壁や排水口周りまで徹底的に掃除したい!」という、お掃除を最優先に考える方には、キャスター付きの台が魅力的でしょう。重たい洗濯機を手軽に動かせるのは、大きなメリットですよね。
ただし、キャスター付き台を選ぶ場合は、耐荷重が十分にあるか、そしてキャスターのロック機能がしっかりしているかを必ず確認してください。ロックが甘いと、脱水時の振動で洗濯機が動いてしまい、とても危険です。
ふんばるマンはどこに売ってる?
「よし、ふんばるマンを買ってみよう!」と思った時、どこに行けば手に入るのでしょうか?
ふんばるマンはとても人気のある商品なので、比較的いろいろな場所で取り扱いがありますよ。
家電量販店
もちろん、私が働いているような大手家電量販店の洗濯機アクセサリーコーナーには、ほぼ確実に置いてあります。実際に商品を見て、大きさや質感を確かめたいという方にはおすすめです。もし見当たらなければ、店員さんに気軽に声をかけてみてくださいね。
ホームセンター
カインズホーム、コメリ、ビバホームといった大型のホームセンターでも、洗濯機用品のコーナーで販売されていることが多いです。お家の他の買い物と一緒に探せるのが便利ですね。
インターネット通販
Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの大手通販サイトでも、もちろん購入可能です。お店に行く時間がない方や、価格を比較して少しでもお得に買いたいという方にはネット通販が便利です。口コミレビューもたくさん見ることができるので、購入前の参考になります。

ただ、先ほども少し触れましたが、ネット通販では見た目がそっくりな類似品も多く出品されています。「因幡電工」というメーカー名と、「OP-SG600」という型番をしっかり確認して、間違えないように注意してくださいね。
実店舗でもネットでも、手軽に購入できるのが嬉しいポイントです。ぜひ、ご自身が利用しやすい方法で探してみてください。
総括:洗濯機の下敷き防振ゴムで快適な毎日を
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。