家電量販店で働いていると、炊飯器売り場でお客様から「一升炊きって、実際どうなの?」とよく聞かれるんです。
実は、この大容量炊飯器には多くの方が知らない意外な落とし穴や、逆に「え、そんな使い方があるの?」と驚くような活用法があるんです。
「大きいから当然美味しく炊けるでしょ?」と思われがちですが、実際には一升炊き炊飯器ならではの特殊な事情があります。
例えば、少量を炊く時の意外な問題や、保温機能で気をつけたいポイントなど、購入してから「こんなはずじゃなかった」とならないために知っておきたいことがたくさんあるんです。
一方で、上手に使いこなせば家事の時短効果は絶大ですし、最近の高機能モデルには圧力IH技術や銘柄炊き分け機能など、驚くほど進化した機能が搭載されています。
安価なモデルから高級機まで価格帯も幅広く、メーカーごとに個性的な特徴があるのも面白いところです。
この記事では、そんな一升炊き炊飯器の知られざる真実から賢い選び方まで、家電のプロとして日々お客様とお話しする中で感じた生の情報をお伝えしていきますね。
おすすめの一升炊き炊飯器の選び方

- 1升とは何合?
- 何人分炊ける?
- メリットとデメリット
- 少量を炊くとまずい?
- 1升炊きで美味しいご飯を炊くコツ
まずは、一升炊き炊飯器を選ぶうえで「これだけは知っておきたい!」という基本的な知識から、一緒に見ていきましょう。
ご自身のライフスタイルに合うかどうか、イメージしながら読んでみてくださいね。
1升とは何合?
まず、基本のところですが、「1升(いっしょう)」は「10合(ごう)」のことなんです。
お米屋さんやスーパーでお米を買うとき、5kgとか10kgとか「重さ」で買うことが多いので、あまり「升」という単位には馴染みがないかもしれませんね。古くから使われているお米の体積の単位です。
10合炊けるということは、炊き上がりの量で言うと、だいたい中くらいのお茶碗で約20杯~23杯分くらいになります。改めて聞くとすごい量ですよね!
これだけ炊けると、例えば週末にまとめて炊飯して、1食分ずつ小分けにして冷凍保存しておく…
という使い方ができるのが魅力です。
一升炊きは、そういった「家事の時短」を考えている方にも、とってもおすすめなんです。
ちなみに、お米1合は約150g(炊飯前)ですので、10合だと約1.5kgのお米を一度に炊く計算になります。炊き上がると水分を含んで、重さは2倍以上になりますから、内釜もかなり重くなります。
力に自信のない方は、お店で一度内釜を持ってみるのも良いかもしれませんね。
何人分炊ける?
お店でも「うちは〇人家族なんだけど、5.5合と一升、どっちがいい?」と、一番よく聞かれるご質問です。
あくまで目安ですが、だいたい「4人~5人以上」のご家族や、食べ盛りのお子さんがいらっしゃるご家庭にぴったりのサイズだと思います。
例えば、4人家族でも「パパと息子2人がお弁当持ち」とか、「育ち盛りで、夕飯におかわりするのが当たり前」といったご家庭だと、5.5合炊きではあっという間に無くなってしまう…というお声も多いんです。
毎回「あ、足りないかも」と心配しながらご飯をよそうのって、ちょっとしたストレスじゃないでしょうか。
一方で先ほどもお伝えしたように、最近ではご家族の人数に関わらず「週末にまとめて1週間分炊いて、冷凍保存する」という使い方のために選ぶ方も本当に増えています。
メリットとデメリット
一升炊きを選ぶかどうかは、メリットとデメリットをしっかり知っておくことが大切ですよね。
それぞれ整理してみましょう。
一升炊きのメリット
なんといっても最大のメリットは、「一度にたっぷり炊ける」ことです。
炊飯の回数を減らせるので、結果的に電気代の節約につながりますし、なにより「お米を研ぐ」「炊飯器を洗う」といった家事の手間を大幅に減らせるのが嬉しいポイントです。
また、内釜が広くて深いので、ローストビーフや煮込み料理、ケーキ作りなど、炊飯以外の「調理モード」で活用しやすいのも隠れた魅力だと思います。お料理のレパートリーも広がるかもしれません。
一升炊きのデメリット
もちろん、デメリットというか、知っておいてほしい注意点もあります。
一つは、炊飯容量が多いぶん、炊き上がりにかかる時間が5.5合炊きより少し長め(約60分前後)の機種が多いことです。「早炊きモード」を使えば40分ほどで炊けるモデルもありますが、味は通常炊飯にはかなわないことが多いですね。
もう一つは、「長時間の保温が苦手」なことです。
一度にたくさん炊けるぶん、どうしても保温時間が長くなりがちですが、水分が飛んでご飯がパサついたり、黄ばんできたりしやすいんです。
あとは、先ほども少し触れましたが、内釜が大きくて重いので、洗うときに「よっこいしょ」と気合がいるのも、人によってはデメリットかもしれませんね。
少量を炊くとまずい?

これも、お客様から本当によく聞かれるご質問です。「普段は3合しか炊かないけど、週末だけまとめて炊きたい」という方、結構いらっしゃいます。
正直にお伝えすると、一升炊き炊飯器は「3合以下の少量を炊くのはちょっと苦手」なんです。
炊飯器って、広い内釜の中でお米を激しく対流させて、熱を均一に伝えることで美味しく炊く設計になっています。でも、お米の量が少なすぎると、釜の上部に空間ができすぎて熱効率が悪くなり、お米がうまく対流できずに「炊きムラ」が出やすくなるんですね。
お米がベチャッとしたり、逆に硬すぎたり…。
せっかく炊いたのに美味しくないと残念ですよね。
「じゃあ、一升炊きは諦めるしかないの?」と思っちゃいますよね。
でも、待ってください!
最近のモデルは、その弱点をカバーするために「少量炊きモード」を搭載している機種が増えてきました。
これは、少ない量でも熱がしっかり伝わるように、火加減を細かくコントロールしてくれる機能なんです。これなら、2合や3合でも美味しく炊き上げやすくなります。
もし「普段は少なく、週末は多く」という炊き方をする可能性があるなら、この「少量炊きモード」が付いているかどうかも、ぜひチェックしてみてください。
日立などは、少量炊飯にすごく力を入れている印象がありますね。
1升炊きで美味しいご飯を炊くコツ
一升炊き炊飯器の実力を最大限に引き出して、美味しいご飯を炊くには、実はちょっとしたコツがあるんです。
それは、容量いっぱいで炊かないこと。
「え、10合炊けるのがメリットじゃないの?」と思われるかもしれませんが、実は内釜パンパンの10合で炊くよりも、「8合」くらいで炊いた方が、釜の中にお米が対流するスペースが適度に残るんです。
先ほど「少量炊きが苦手」とお話ししたのと、理屈は同じですね。
お米が対流するスペース(「あそび」と呼んだりします)がしっかりあることで、お米一粒一粒にムラなく熱が伝わって、ふっくらと甘みのあるご飯に炊き上がります。
私もお店で「一番おいしく炊けるのは、だいたい最大容量の8割くらいですよ」とご案内することが多いです。これは5.5合炊きでも同じですね。
もちろん、10合炊いても「まずい」わけではありませんが、「最高の美味しさを引き出したい!」と思うなら、少し余裕を持たせて炊いてあげるのがポイントです。
もし「いつも10合炊かないと足りない」という場合は、もしかしたら一升炊きでは容量不足かもしれません…。その場合は2台持ちなども検討する必要があるかもしれませんね。
おすすめの一升炊き炊飯器ランキング

- 圧力IHという選択肢
- おすすめの1升炊き高級モデル
- おすすめの安い1升炊き炊飯器
- 1升炊きランキングTOP5
選び方の基本がわかったところで、ここからは具体的にどんな炊飯器がおすすめなのか、価格帯や機能に注目してご紹介していきますね。
きっと、お好みに合う一台が見つかると思いますよ!
圧力IHという選択肢
炊飯器の「美味しさ」を左右する一番大きなポイントは、「加熱方式」です。
結論から言うと、ご予算が許すなら「圧力IH式」が断然おすすめです。
加熱方式には主に3つのタイプがあるので、それぞれの特徴を見ていきましょう。
| 加熱方式 | 特徴 | 価格帯(1升炊き) |
|---|---|---|
| 圧力IH式 | 釜内部に圧力をかけて100℃以上の高温で炊き上げる。お米の甘みや粘りを最大限に引き出す。一番おすすめ! | 高価格(3万円~) |
| IH式 | 電磁力で内釜全体を直接発熱させる。火力が強く、炊きムラが少ない。現在の主流。 | 中価格(2万円~) |
| マイコン式 | 底部のヒーターで釜を温める。火力が弱く、炊きムラが出やすい。安価なモデルに多い。 | 低価格(1万円前後~) |
「マイコン式」は、価格が安いのが最大のメリットですが、底のヒーターだけで温めるので、一升炊きのように量が多いと炊きムラが出やすいのが難点です。
「IH式」は内釜全体が発熱するので火力が強いため、炊きムラが少なく今の主流ですね。「コストは抑えたいけど、美味しいご飯が食べたい」という方にすごくバランスの取れた方式です。
そして「圧力IH式」は、そのIHのパワーに加えて、さらに釜の内部に圧力をかけます。
圧力をかけると、水の沸点が100℃以上(だいたい105℃前後)になります。この高温で一気に炊き上げることでお米の芯までしっかり火が通り、お米本来の甘みやモチモチとした粘りを最大限に引き出してくれるんです。
デメリットとしては、他の方式より「価格が高くなる」ことや、圧力機構のぶん、お手入れの点数が1~2点増える機種もあることが挙げられます。
とはいえ、最近のモデルは内ぶたが一体型になっているなど、お手入れもすごく簡単になってきているんですよ。毎日食べるご飯の味にこだわりたい方には、ぜひ検討してほしい方式です。
おすすめの1升炊き高級モデル
家電量販店で炊飯器コーナーに行くと、5万円、ときには10万円を超えるような「高級炊飯器」が並んでいて驚きませんか?
「そんなに高いなんて何が違うの?」と思いますよね。
高級炊飯器は、ズバリ「内釜の素材」と「炊き分け技術」が全く違います。
加熱方式は、もちろん「圧力IH式」が基本です。
そのうえで、内釜にものすごくこだわっています。
例えば、タイガーは本物の「土鍋」を使った「ご泡火(ほうび)炊き」が有名ですね。
土鍋の高い蓄熱性と遠赤外線効果で、お米の旨みをじっくり引き出します。
象印は「鉄」にこだわった「炎舞(えんぶ)炊き」。
釜の底のIHヒーターを複数に分けて、それぞれ独立して制御することで、かまどの激しい炎の「ゆらぎ」を再現する技術です。釜の中でお米が激しく舞うことで、一粒一粒にムラなく熱が伝わるんです。
パナソニックの「Wおどり炊き」は、圧力をかけたりゆるめたりする「可変圧力」と、釜の底と側面からIHで加熱する「大火力IH」を組み合わせて、お米をおどらせる技術が特徴ですね。
このように、各メーカーが「かまど炊きの美味しさ」をどう再現するかに技術をつぎ込んだ結果、内釜の素材や構造がすごくリッチになっているんです。
お値段は張りますが、炊き上がりのご飯を食べ比べると「これが同じお米?」と驚くくらい、甘みや香りが違って感じられますよ。
毎日頑張っている自分へのご褒美として、最高のご飯体験を求めてみるのも素敵だと思います。
安い1升炊きのおすすめモデル

一方で、1万円台で買えるような「安い」一升炊き炊飯器もあります。
高級機とはどういった点が違うのでしょうか。
まず、一番の違いは「加熱方式」です。
この価格帯の多くは、先ほどもお話しした「マイコン式」になります。底のヒーターだけで加熱するので、どうしてもパワー不足で、特に一升炊きのように量が多いと炊きムラが出やすくなります。
内釜もアルミ製などのシンプルな一層構造のものがほとんどで、蓄熱性や熱伝導性はあまり期待できません。
また機能面でも、炊き分け機能や保温機能は最低限のシンプルなものが多いですね。
ただ、「とにかく一度にたくさん炊ければいい」「味にはそこまでこだわらない」「炊飯機能だけで十分」という方にとっては、コストを抑えられる大きなメリットがあります。
お店でも「寮生活で使うから」「週末の作り置き用で、味はそこまで…」という方には、こうしたシンプルなモデルもご案内します。
最近では、アイリスオーヤマのように低価格帯でも「IH式」を採用したり、40銘柄の「炊き分け機能」を付けたりと、すごく頑張っているメーカーもあります。
例えば「RC-ME10」のようなモデルは、マイコン式ですが1万円ちょっとで銘柄炊き分けができると人気ですし、「RC-IK10」のようなモデルは、2万円以下で「IH式」が選べたりします。
ご自身の「炊飯器に何を一番求めるか」をハッキリさせることが、満足いく一台に出会うコツだと思います。
1升炊きランキングTOP5
「いろいろありすぎて選べない!」という方のために、ここでは、私がお店でお客様の反応を見たり、お話を聞いたりする中で「これは人気があるな」「おすすめしやすいな」と感じるモデルを5つ、厳選してご紹介しますね。
【第1位】象印 極め炊き NW-BA18
やはり象印のこのモデル(またはその後継機)は、人気・実力ともにトップクラスだと感じます。
「圧力IH」で、最大1.3気圧という高い圧力で、ご飯の甘みと粘りをしっかり引き出してくれます。内釜も「鉄器コート黒まる厚釜」で熱効率もバッチリです。
最大の魅力は、なんといっても「わが家炊き」機能!
前回炊いたご飯の感想(「硬かった」「柔らかすぎた」など)をアンケート形式で入力すると、炊飯器が自動で炊き方を微調整してくれるんです。最大49通り(モデルによる)も調整できるので、使っていくうちに、どんどん「我が家の味」になっていくのが楽しいですよ。
保温も「極め保温」(最大40時間)を選べるので保温性能も高いです。「迷ったらコレ」とおすすめしやすい、バランスの取れた一台ですね。
【第2位】タイガー 炊きたて JPV-S180-KO
タイガーも根強い人気です。
特にこのモデルは美味しい「圧力IH」でありながら機能も充実しています。
内釜は「遠赤5層蓄熱コート釜」という、蓄熱性にこだわった釜を採用しています。「ご泡火炊き」ほどの土鍋感はありませんが、お米の甘みを引き出す力は十分です。
タイガーならではの機能として、「少量高速」メニューがあります。機種にもよりますが、なんと1合なら約17分で炊き上がるんです!
「ちょっとだけ炊きたい」「お弁当のぶんだけ急いで!」という時に、これは本当に便利ですよね。一升炊きなのに少量も得意、というのが嬉しいポイントです。
もちろん、「冷凍ご飯」メニューや、玄米、麦ごはんもしっかり炊けますよ。
【第3位】パナソニック おどり炊き SR-N518D
パナソニックの「おどり炊き」も、指名買いが多い人気シリーズです。
「可変圧力IH」と「全面発熱5段IH」で釜の中でお米を激しく「おどらせる」ことで、一粒一粒にムラなく熱が伝わり、ハリがあって甘みのある大粒なご飯に炊き上がります。
このモデルは高級機ほどの複雑な炊き分けはありませんが、「もちもち」「しゃっきり」の炊き分けはできるので、カレーの時や和食の時など使い分けも楽しめます。
また、パナソニックは「冷凍用ごはんコース」に力を入れています。
保温で美味しく、というよりは「美味しく冷凍しよう!」という考え方ですね。まとめ炊き派には、すごく理にかなった機能だと思います。
【第4位】東芝 真空IH RC-18VRV
「炊きたての味も大事だけど、保温したご飯も美味しく食べたい!」という方には、東芝の「真空」シリーズが本当におすすめです。
炊飯前の「真空ひたし」でお米の芯まで吸水させ、炊き上がりをふっくら甘くします。
そして、最大の魅力は「真空保温」。
保温中も釜の中を真空に近づけることで、ご飯の酸化や水分の蒸発を防ぎ、最大40時間も黄ばみやパサつきを抑えてくれるんです。
お店でも「朝炊いたご飯を、夜も美味しく食べたい」というお客様には、この真空保温がすごく好評ですね。「保温ごはんのイヤな匂いがしなくなった」というお声も聞きますよ。
【第5位】アイリスオーヤマ 銘柄炊き RC-PD10
最後は、コスパ重視の方に大人気のアイリスオーヤマです。
このモデルのすごいところは、2万円前後という価格帯でありながら「圧力IH式」を採用している点です。内釜も3.1mmの「極厚火釜」を使っていて、火力にもしっかりこだわっています。
さらに、「40銘柄炊き分け」機能も搭載。コシヒカリやあきたこまちなど、お米の銘柄に合わせて、火力や時間を自動で調整してくれます。この価格でここまで多機能なのは、本当にすごいと思います。
「圧力IHを試してみたいけど、高いのはちょっと…」という方の、最初のステップとしてもぴったりな一台ですね。
総括:おすすめの一升炊き炊飯器
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。


