清潔な食器を期待して食洗機のドアを開けた瞬間、黒い影が…。
考えただけでもゾッとしてしまいますよね。
私も家電量販店で働いていると、「食洗機の中からゴキブリが…」というショックなご相談を時々お受けすることがあるんです。
食器と一緒に洗ってしまったかもしれないという不安や、一度は見つけたのに見失った時の恐怖、そして中で死んでいた時の絶望感は、言葉にできないものがあると思います。
しかし、なぜゴキブリは食洗機に入り込んでしまうのでしょうか?
その侵入経路を断ち切り、正しい対策と退治の方法を知ることで、この悪夢のような状況は解決できるんです。
大切なのは、パニックにならず、一つひとつ落ち着いて対処していくことですね。
この記事では、食洗機にゴキブリが現れる原因から、見つけてしまった後の具体的な対処法、そして二度と姿を見ないための徹底的な予防策まで、家電のプロの視点から分かりやすく解説していきます。
食洗機にゴキブリが出る原因と侵入経路

- ビルトイン食洗機の侵入経路はどこ?
- 卓上型食洗機の侵入経路と注意点
- ゴキブリは排水口からやってくる?
- 食洗機の裏側はゴキブリの隠れ家
まずは、なぜゴキブリが食洗機に惹きつけられるのか、そして一体どこから入ってくるのか、その原因と経路を突き止めることが対策の第一歩です。
敵を知ることで、効果的な対策が見えてきますよ!
ビルトイン食洗機の侵入経路はどこ?
キッチンにスッキリ収まるビルトイン食洗機は、ゴキブリにとって格好の隠れ家になりやすいんです。というのも、キッチンカウンターや床との間に、目に見えないほどの小さな隙間がたくさんあるからなんですね。
特に注意したいのが、シンク下にある給排水管の周りです。
食洗機を設置する際に、給水ホースや排水ホースを通すために穴を開けますが、その穴とホースの間にわずかな隙間ができてしまうことがよくあります。ゴキブリは数ミリの隙間があれば簡単に侵入できてしまうので、ここが最大の侵入経路となり得ます。
また、システムキッチン自体の内部も、彼らにとっては安全な通路。
配管を伝ってキッチンの裏側に入り込み、そこから食洗機のモーター部分など、暖かくて暗い場所を目指して移動してくるんです。普段は見えない場所だからこそ、油断は禁物ですね。
もし隙間を見つけたら、ホームセンターなどで売っている配管用のパテや隙間テープでしっかりと塞ぐことが、最も効果的な対策になります。

新築やリフォームしたばかりのお家でも安心はできません。施工の際にほんの少し隙間ができてしまうことは珍しくないので、一度ご自身の目で確認してみることを強くおすすめします。
卓上型食洗機の侵入経路と注意点
シンクの横などに置く卓上型(据え置き型)食洗機は、ビルトインタイプとはまた違った侵入経路が考えられます。手軽に設置できる反面、外部との接点が多くなるため、注意が必要なんです。
最も多いのは、食洗機の背面や側面と壁の間の隙間に潜んでいたゴキブリが、庫内に侵入するケースです。
食洗機は稼働時に熱を持つため、その裏側はゴキブリにとって非常に居心地の良い暖かい場所。そこに潜んでいて、私たちがドアを開けた隙にさっと入り込んでしまうんですね。
また、給水ホースを分岐させている蛇口周りや、排水ホースをシンクに垂らしている場合、その周辺から登ってくることも考えられます。
ホース自体を伝ってくるというよりは、その周辺の水分や汚れに誘われてやってくることが多いようです。
「乾燥のための扉の半開き」は要注意!
洗浄が終わった後、庫内の湿気を逃がすために少しだけドアを開けておく方、結構いらっしゃるんじゃないでしょうか。実は、この習慣がゴキブリに侵入のチャンスを与えてしまっている可能性があります。
特に夜間、キッチンの電気が消えている間にドアが少しでも開いていると、家の中にいたゴキブリが食べ物の匂いに誘われて、やすやすと中に入ってきてしまうんです。
乾燥は乾燥機能に任せるか、終わったらすぐに食器を取り出してドアをきっちり閉める習慣をつけるのが安心ですね。
卓上型は本体が露出している分、日頃から食洗機の周りを清潔に保ち、食べカスや水滴を残さないようにすることが、侵入を防ぐ上でとても重要になってきます。
ゴキブリは排水口からやってくる?
「ゴキブリが排水口から上がってきて、食洗機の中に…」と考えると、本当に気持ちが悪いですよね。お客様からも、この点を心配される声はよく聞きます。
結論から言うと、キッチンの排水口から排水管を通り、食洗機の排水ホースを逆流して庫内に侵入する、という可能性は極めて低いと考えて大丈夫です。
なぜなら、食洗機の排水ホースは、途中で曲がりくねっていたり、内部に水が残っていたり(排水トラップの役割)、逆止弁がついているモデルもあったりして、ゴキブリが泳いで登ってくるのは物理的に非常に困難だからです。
ただし、安心してはいけません。
問題は、「食洗機の排水ホース」そのものではなく、「排水ホースがシンク下の配管につながる部分の隙間」なんです。
これはビルトイン食洗機の話とも共通しますが、シンク下のキャビネットの床や壁に、排水ホースを通すための穴が開いていますよね。ゴキブリはその穴の隙間から床下や壁の裏から侵入し、シンク下にやってきます。そして、そこから食洗機の裏側など、暖かい場所へと移動していくわけです。
つまり、排水口が怖いというよりは、「配管周りの隙間」こそが本当の危険地帯というわけですね。排水口のヌメリやゴミはゴキブリの餌になるので、もちろん清潔に保つことは大前提ですよ!
排水口からの直接侵入を過度に恐れる必要はありませんが、シンク下の隙間対策は必須だと覚えておいてください。
食洗機の裏側はゴキブリの隠れ家

ここまで何度か触れてきましたが、食洗機の裏側や下部は、残念ながらゴキブリにとって最高の住処の条件が揃ってしまっているんです。
ゴキブリが好む環境の3大条件は、「暗い」「狭い」「暖かい」。そして、できれば近くに「水」と「餌」があること。食洗機の周辺は、これらすべてを満たしてしまいます。
このように考えると、ゴキブリが食洗機周りに集まってくるのは、ある意味で当然のことなのかもしれませんね…。
「新品なのにゴキブリが…」はなぜ?
「買ったばかりの食洗機なのにゴキブリが出た!」という場合、それは食洗機自体に問題があったわけではありません。
もともと家の中や、キッチンのその場所に潜んでいたゴキブリが、新しく設置された居心地の良い「暖かいお家(食洗機)」に集まってきた、と考えるのが自然です。
食洗機はゴキブリを呼び寄せる原因ではなく、あくまで彼らが元々いた環境に、より魅力的なスポットができた、ということなんですね。
食洗機の中だけでなく、その周辺環境全体で対策を考える必要がある、ということがお分かりいただけたかと思います。
食洗機のゴキブリを発見した時の対処と対策

- ゴキブリが食洗機の中で死んでいた…
- 食器と一緒にゴキブリを洗ってしまったら
- ゴキブリを見失った時の探し方
- 食洗機内のゴキブリ退治の方法
- 殺虫剤スプレーは庫内に使える?
- ゴキブリ対策にローズマリーは効果的?
- 二度と見ないためのゴキブリ対策
原因がわかったところで、次はいよいよ実践編です。
もし実際にゴキブリに遭遇してしまったら、どうすればいいのでしょうか。正しい対処法と、今後のための効果的な対策を、順を追って詳しく解説していきますね。
ゴキブリが食洗機の中で死んでいた…
食洗機を開けて、中にゴキブリの死骸があった時の衝撃と不快感は計り知れないですよね。
まずは深呼吸して、落ち着いて対処しましょう。パニックになる気持ちは痛いほど分かりますが、手順通りにやれば大丈夫です。
最初にやるべきことは、もちろん死骸の除去です。
割り箸やティッシュなどを使って直接触れないように取り除き、ビニール袋に入れてしっかりと口を縛って捨ててください。
次に、食洗機庫内の徹底的な洗浄と除菌を行います。
ゴキブリは様々な雑菌を運んでいる可能性がありますから、この洗浄・除菌の工程は絶対に省略しないでくださいね。
ここまでやれば、衛生的な不安はかなり解消されるはずです。精神的なダメージは大きいですが、物理的にはリセットできる、と考えて乗り切りましょう。
食器と一緒にゴキブリを洗ってしまったら
「もしかして、この食器、ゴキブリと一緒に洗っちゃった…?」そう気づいた時の気持ち悪さは、想像を絶しますよね。もう全部捨ててしまいたい、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも、安心してください。食器を捨てる必要はありません。
食洗機の洗浄能力を信じましょう。
食洗機は、高温のお湯を高圧で噴射して汚れを落とします。多くの機種では60℃~80℃のお湯で洗浄・すすぎを行うため、ほとんどの雑菌は洗い流されていると考えて大丈夫です。
それでも、精神的にどうしても気持ちが悪い、という場合は、以下の追加の対処を行うとより安心できます。
対処法 | 手順とポイント |
---|---|
もう一度、食洗機で洗う | 一番手軽で効果的な方法です。今度は最も高い温度設定の「念入りコース」や「高温除菌モード」などを選んで、再度洗浄しましょう。これで衛生面は万全です。 |
手洗い+熱湯消毒 | 食洗機から食器をすべて取り出し、台所用洗剤で一つひとつ丁寧に手洗いします。その後、沸騰したお湯を食器全体にゆっくり回しかけることで、熱湯消毒ができます。やけどには十分注意してくださいね。 |
キッチン用漂白剤でつけ置き | 特に念入りに除菌したい場合は、キッチン用の塩素系漂白剤が有効です。規定の濃度に薄めた液に食器を数分間つけ置きし、その後、流水で十分にすすぎます。素材によっては変色する可能性があるので、必ず注意書きを確認してください。 |
私もお客様に聞かれたら、「高温コースでもう一度洗えば大丈夫ですよ!」とお伝えしています。
食洗機のパワーは私たちが思っている以上にすごいんです。心理的な抵抗感がなくなるまで、念入りに洗浄してあげてくださいね。
ゴキブリを見失った時の探し方
目の前でゴキブリが現れて、一瞬目を離した隙にいなくなってしまった…。これは本当に怖い状況ですよね。
「どこかに潜んでいるかもしれない」と思うと、キッチンにいること自体が苦痛になってしまいます。
まず理解しておきたいのは、見失ったゴキブリを自力で探し出して直接対決するのは、非常に難しいということです。
彼らは隠れるプロ。
食洗機の裏側や冷蔵庫の下、シンク下の奥深くなど、私たちの目が届かない安全な場所に一瞬で逃げ込んでしまいます。
無理に家具を動かして探そうとすると、かえって他の場所に逃げられたり、最悪の場合は家具を傷つけたりする可能性も。
では、どうすればいいのでしょうか?
こういう時こそ、「待ち」の戦法が有効です。
つまり、彼らが自分から出てくるように仕向けるんです。
そのための最強の武器が、ベイト剤(毒餌)タイプの駆除剤、いわゆる「ブラックキャップ」のような置き型の殺虫剤ですね。

姿が見えない不安は大きいですが、下手に殺虫スプレーを撒き散らすよりも、ベイト剤を仕掛けて巣ごと退治する方が長期的にはずっと効果的なんですよ。
食洗機内のゴキブリ退治の方法
食洗機の庫内で、まさに今、生きているゴキブリと遭遇してしまった!
この場合はどうすればいいのでしょうか。
見失った時とは違い、目の前にいる敵への対処法ですね。
まず、絶対にやってはいけないのが、庫内で叩き潰すことです。体液や雑菌が飛び散り、後片付けが非常に大変になりますし、精神的なダメージも大きいです。
一番良いのは、ゴキブリ用の殺虫スプレーで動きを止めて、ティッシュなどで掴んで捨てる方法ですが、これは庫外での話。庫内でスプレーを使うのは避けたいところです(理由は次の項目で詳しく説明します)。
では庫内ではどうするか。いくつか方法が考えられます。
どちらの方法で退治した場合でも、その後は「ゴキブリが食洗機の中で死んでいた…」の項目で説明したように、徹底的な庫内洗浄と除菌が必須になります。
大変ですが、ここを頑張ればまた安心して食洗機を使えるようになりますからね!
殺虫剤スプレーは庫内に使える?
ゴキブリを見つけた時、とっさに殺虫スプレーに手が伸びる、という方は多いと思います。でも、食洗機の「庫内」に殺虫スプレーを噴射するのは、絶対にやめてください。
これには、主に2つの大きな理由があります。
「じゃあ、食洗機の周りや裏側ならいいの?」と思うかもしれませんね。
食洗機の外側、例えばシンク下や壁との隙間に噴射するのは、ゴキブリを追い出す目的であれば有効な場合もあります。ただし、その場合も食洗機の吸排気口やモーター部分に直接スプレーがかからないように、細心の注意が必要です。
基本的には、食洗機周りのゴキブリ対策は、先ほどもお伝えしたようにベイト剤(毒餌)を主体にするのが最も安全で効果的だと、覚えておいてくださいね。
ゴキブリ対策にローズマリーは効果的?

ネットなどで調べると、「ゴキブリ対策にローズマリーなどのハーブが効く」という情報を見かけることがありますよね。食器を扱うキッチンだからこそ、化学薬品ではなく自然なもので対策したい、という気持ち、とてもよく分かります。
では、実際のところ、ローズマリーはゴキブリに効果があるのでしょうか?
答えとしては、「忌避(きひ)効果、つまりゴキブリを寄せ付けにくくする効果は、ある程度期待できる」というのが正直なところです。
ゴキブリは、ミントやローズマリー、クローブなどに含まれる特有の強い香りを嫌う傾向があります。なので、これらのハーブを置いておくことで、ゴキブリがその場所に近づきにくくなる、というわけです。

ただし、ここで一つ大切な注意点があります。
それは、ハーブの効果はあくまで「ゴキブリが嫌がる」というレベルであって、殺虫効果や、すでに住み着いてしまったゴキブリを追い出すほどの強力な効果はない、ということです。
例えるなら、ハーブは「番犬」のようなもの。不審者(ゴキブリ)が入りにくい雰囲気を作ることはできますが、すでに家の中に侵入してしまった強盗(住み着いたゴキブリ)を退治することはできません。
「すでにゴキブリを見てしまった」という場合は、ハーブだけに頼るのではなく、まずはベイト剤などでしっかりと駆除することが先決です。その上で、再発防止策の一つとして、キッチンの香りづけも兼ねてハーブを取り入れる、というのが賢い使い方だと思いますよ。
二度と見ないためのゴキブリ対策
ゴキブリの退治と食洗機の清掃が終わったら、最後に一番大事な仕上げです。
それは、「二度とゴキブリを食洗機に侵入させない」ための環境づくりです。一度でもあの恐怖を味わったら、もう繰り返したくないですものね。
対策のポイントは、「侵入させない」「餌を与えない」「隠れさせない」の3つです。これを徹底することで、ゴキブリが住み着きにくいキッチンを目指しましょう。
1. 侵入経路を徹底的に塞ぐ
これが最も重要です。この記事の前半で解説した、シンク下の配管周りの隙間や、キッチンと床の隙間などを、パテやテープで物理的に完全に塞ぎます。
家の全ての扉を閉めても、一箇所だけ窓が開いていたら虫が入ってくるのと同じで、わずかな隙間も見逃さないことが大切です。
2. 餌になるものを断つ
ゴキブリの餌は、私たちが思う以上に様々です。食べ物のクズはもちろん、油汚れや排水口のヌメリも彼らのごちそうです。
- 食器は予洗いする:食洗機に入れる前に、食べカスやソースなどを水でさっと洗い流す習慣をつけましょう。これだけで庫内に残る餌が激減します。
- 残さいフィルターは毎回掃除:食洗機を使ったら、必ずフィルターのゴミを捨てるようにします。ここに食べカスが残っていると、ゴキブリを呼び寄せる原因になります。
- キッチンを清潔に保つ:調理後の油ハネを拭き取る、床に落ちた食材クズを拾う、生ゴミは蓋付きのゴミ箱に捨てるなど、基本的な清掃を徹底します。
3. 隠れ家を作らない・対策する
ゴキブリが好みそうな場所に先手を打っておきます。
- ベイト剤を定期的に交換:食洗機の下や裏、冷蔵庫の周り、シンク下などに設置したベイト剤は、効果が半年~1年程度です。効果が切れる前に新しいものと交換しましょう。
- 食洗機のドアを開けっ放しにしない:前述の通り、洗浄後の長時間の半開きはNGです。乾燥機能を使うか、すぐに食器を片付けてドアを閉めましょう。
地道な対策に見えるかもしれませんが、この積み重ねが一番効果があるんです。これを習慣にできれば、ゴキブリのいない快適なキッチンを維持できるはずですよ!
総括:食洗機のゴキブリ問題
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。