食洗機でクエン酸を使ったお手入れについて、実際にお客様からご質問をいただくことがとても多い話題です。
毎日活躍してくれる食洗機だからこそ、庫内の水垢や気になる臭い取りには適切なケアをしてあげたいですよね。
特にクエン酸は自然由来の洗剤として人気が高く、安心して使えるイメージがある一方で、実は使用する量や頻度、そして何より重要なのがお使いの機種で本当に使っても大丈夫なのかという点です。
間違った使い方をすると故障の原因になってしまったり、重曹との使い分けを知らないまま使ってしまったりと、良かれと思って行ったお手入れが思わぬトラブルを招くこともあります。
でも安心してください。
正しい知識さえ身につければ、クエン酸は食洗機のお手入れにとても頼りになるパートナーになってくれます。
この記事では、クエン酸を使った食洗機のお手入れ方法から注意点まで、安全で効果的な使い方をしっかりとお伝えしていきます。
食洗機の掃除にクエン酸を使う基本

- 食洗機の手入れにクエン酸は使える?
- 簡単なお手入れと掃除のやり方
- 掃除に使うクエン酸の適切な量
- おすすめの掃除の頻度は?
- 頑固な臭い取りへの効果
- クエン酸スプレーの活用法
まずは、クエン酸が食洗機掃除のどんな場面で活躍してくれるのか、基本的な使い方から見ていきましょう。とても簡単なので、きっと「これなら私にもできそう!」と思っていただけると思います。
正しい知識を身につけて、食洗機をピカピカに保ちましょう。
食洗機の手入れにクエン酸は使える?
結論から言うと、食洗機のお手入れにクエン酸は使えます。
ただし、すべての機種で使えるわけではない、という点がとても重要なんです。
クエン酸は酸性の性質を持っていて、水垢などのアルカリ性の汚れを中和して落としてくれる、とても優秀なお掃除アイテムです。食洗機の庫内に付着する白いザラザラした汚れは、主に水道水に含まれるミネラル分が固まった水垢なので、クエン酸が効果的なんですね。
しかし、食洗機のメーカーや機種によっては、クエン酸の使用を推奨していない場合があります。その理由は、庫内に使われている金属パーツが、クエン酸の酸によって錆びてしまう可能性があるからです。
特に、海外製の食洗機や古いモデルでは注意が必要だと思います。
お使いの食洗機の取扱説明書を必ず確認!
クエン酸を使ってお掃除をする前には、必ずお使いの食洗機の取扱説明書を確認してください。「クエン酸使用可」の記載がない場合は、使用を控えるのが安心です。
もし取扱説明書をなくしてしまった場合は、メーカーの公式サイトで確認できることが多いですよ。
私も家電量販店で、「ネットで見てクエン酸を使ったら、なんだか庫内が変色してしまった…」というご相談を稀に受けることがあります。
せっかくキレイにしようと思ったのに、故障の原因になってしまっては悲しいですよね。そのため、最初の確認だけはしっかり行いましょう。
簡単なお手入れと掃除のやり方
お使いの食洗機でクエン酸が使えることを確認できたら、さっそくお掃除を始めてみましょう。
やり方は驚くほど簡単で、特別な手間はほとんどかかりません。
基本的な流れは、「クエン酸を入れて、普段通りに運転するだけ」なんです。これなら、忙しい毎日の中でも手軽に取り入れられそうじゃないでしょうか。
ポイントは、運転前に残菜フィルターのゴミをキレイにしておくことです。フィルターが詰まっていると、せっかくクエン酸で浮かせた汚れがうまく排出されず、庫内に再付着してしまう可能性があるからです。
運転が終わったあとに扉を開けると、庫内がワントーン明るくなったような、スッキリとした印象になっていると思います。水垢が取れるだけで、清潔感がぐっとアップするのは嬉しいポイントですよね。

掃除に使うクエン酸の適切な量

クエン酸を使ったお掃除で、意外と迷ってしまうのが「どれくらいの量を入れればいいの?」という点じゃないでしょうか。
一般的な家庭用の食洗機の場合、1回のお掃除で使うクエン酸の量は、大さじ2~3杯程度が目安になります。
「たくさん入れた方が、もっとキレイになるかも!」と思ってしまう気持ち、すごくよく分かります。でも、実はクエン酸の場合、量を増やしたからといって洗浄力が格段に上がるわけではないんです。
むしろ、多すぎると溶け残ってしまい、それが新たな汚れの原因になる可能性も考えられます。
何事も「適量」が一番大切なんですよね。
食洗機専用の洗剤も同じで、たくさん入れても洗浄力は変わらないどころか、すすぎ残りの原因になることも。記載されている量を守るのが、一番効果的な使い方だと思います。
もしお使いの食洗機がコンパクトタイプなら大さじ2杯、大型のファミリータイプなら大さじ3杯、というように、庫内の大きさに合わせて少し調整してあげるのが良いですね。
まずは基本の量で試してみて、もし水垢が残るようであれば、次回少しだけ増やしてみる、という方法がおすすめです。
おすすめの掃除の頻度は?
クエン酸を使った食洗機のお手入れは、どのくらいの頻度で行うのが理想的なのでしょうか。
これはお住まいの地域の水質や、食洗機の使用頻度によっても変わってくるのですが、一般的には月に1回程度のお手入れをおすすめします。
定期的に庫内をクエン酸で洗浄することで、水垢が頑固にこびりついてしまうのを防ぎ、キレイな状態をキープしやすくなります。毎日のお皿洗いが終わったあと、月末の恒例行事としてカレンダーに印をつけておくのも良いかもしれませんね。
上記のようなサインに気づいたら、月に1回と言わず、そのタイミングでお掃除してあげるのがベストです。汚れは溜め込んでしまうと、落とすのが結構大変になってしまいますからね。こまめなケアで、食洗機を長持ちさせてあげましょう。
もちろん、これはあくまで庫内全体のお掃除の頻度です。残菜フィルターのお掃除は、食洗機を使った都度行うのが鉄則ですよ。
頑固な臭い取りへの効果
食洗機を使っていると、だんだんと気になってくるのが「ニオイ」の問題です。生乾きのような、少しカビ臭いような、なんとも言えないニオイがすることはありませんか?
実は、そういったニオイの原因の多くは、庫内に発生した雑菌やカビなんです。そして、その雑菌やカビのエサになってしまうのが、今回お話ししている「水垢」や、水垢に付着したわずかな汚れだったりします。
つまり、クエン酸でニオイの根本原因である水垢をしっかり取り除くことで、雑菌の繁殖を抑え、結果的に臭い取りにも繋がるというわけですね。ニオイが気になるときに芳香剤などでごまかすのではなく、原因から絶つというのが、お掃除の基本だと思います。
ただし、ニオイの種類によってはクエン酸だけでは太刀打ちできない場合もあります。
例えば、魚の生臭さや、油が酸化したようなニオイは、水垢とは別の原因が考えられます。そういった場合は、後ほどご紹介する他の洗浄剤との使い分けが効果的になってくるんです。
クエン酸スプレーの活用法
クエン酸を使った食洗機のお掃除には、庫内全体を洗浄する方法の他にもう一つ、便利な活用法があります。それが「クエン酸スプレー」を使った部分的なお掃除です。
作り方はとても簡単。スプレーボトルに水100mlとクエン酸小さじ1/2程度を入れて、よく振って溶かすだけで完成です。
このスプレーが活躍するのは、洗浄コースを運転しただけでは落ちきらなかった頑固な水垢や、扉のフチ、パッキンの溝といった細かい部分のお掃除です。洗浄水が当たりにくい場所は、どうしても汚れが残りやすいんですよね。
スプレーして少し時間を置くことで、クエン酸の成分がじっくりと水垢に浸透し、汚れが緩んで落としやすくなります。食洗機だけでなく、キッチンのシンクや蛇口の水垢掃除にも使えるので、一本常備しておくととても便利だと思います。
食洗機へクエン酸を使う際の注意点

- クエン酸が故障の原因になる場合
- 間違った使い方はつまりを招く
- 他の洗剤と混ぜてはいけない理由
- クエン酸と重曹の使い分け
- 食洗機洗剤をクエン酸で代用できる?
ここまでクエン酸の便利な点をお伝えしてきましたが、ここからは少し注意が必要な点についてお話しします。
どんなに便利なアイテムでも、使い方を間違えるとトラブルのもとになってしまうことがあります。安全に、そして効果的にお掃除するために、これからお伝えするポイントをぜひ覚えておいてくださいね。
クエン酸が故障の原因になる場合
先ほどもお伝えしたように、クエン酸を使う上で最も注意していただきたいのが、メーカーが使用を推奨していない食洗機で使ってしまうケースです。
クエン酸の酸は、水垢を溶かすだけでなく、金属を酸化させてしまう力も持っています。そのため、庫内にコーティングされていない金属パーツが多く使われている機種の場合、サビを発生させてしまう可能性があるんです。
サビは一度発生すると取り除くのが難しく、食洗機の寿命を縮めてしまうことにもなりかねません。
また、もしメーカー非推奨の使い方で故障してしまった場合、保証期間内であっても無償修理の対象外となる可能性が高いです。これは家電量販店で働く立場としても、ぜひ知っておいていただきたい大切なポイントです。
保証が効かなくなる可能性も
取扱説明書に記載されていない方法でのお手入れによる故障は、お客様の過失と判断され、メーカー保証の対象外となることがあります。修理費用が高額になってしまうケースもあるため、必ず推奨されたお手入れ方法を守りましょう。
「ちょっとくらい大丈夫だろう」という気持ちが、思わぬ出費に繋がってしまうこともあります。大切な食洗機を長く使うためにも、ルールを守ったお手入れを心がけたいですね。
間違った使い方はつまりを招く
「クエン酸を使うと、配管が詰まることがあるって聞いたけど本当?」という質問をいただくことがあります。
結論から言うと、クエン酸自体が原因で食洗機が詰まる可能性は非常に低いと考えられます。
クエン酸は水にとても溶けやすい性質を持っているので、通常の量を使っている分には、溶け残って固まるということはまずありません。
むしろ、食洗機のつまりの原因となりやすいのは、クエン酸とよく比較される「重曹」の方なんです。
重曹はクエン酸に比べて水に溶けにくく、一度に大量に使用すると、溶け残った粉が排水経路の途中で固まってしまい、つまりを引き起こすことがあります。
そのため、多くの食洗機メーカーでは、洗浄や掃除目的での重曹の使用を禁止しています。(一部、重曹コースが搭載されている機種を除きます)
クエン酸と重曹、どちらも自然由来のお掃除アイテムとして人気ですが、性質は全く異なります。それぞれの特性を理解して、正しく使い分けることが大切ですね。
他の洗剤と混ぜてはいけない理由

これはクエン酸に限らず、お掃除全般に言える非常に重要な注意点です。
酸性の洗浄剤(クエン酸など)と、塩素系の洗浄剤・漂白剤(キッチンハイターなど)は、絶対に混ぜてはいけません。
【危険】「まぜるな危険」の重大性
酸性のものと塩素系のものが混ざると、化学反応を起こし、人体に非常に有害な「塩素ガス」が発生します。
塩素ガスは、少量でも吸い込むと目や喉、呼吸器に激しい刺激を与え、最悪の場合、命に関わることもあります。絶対に混ぜないでください。
「食洗機のカビも気になるから、ハイターとクエン酸を一緒に使って一気にキレイにしよう」なんてことは、絶対に考えないでくださいね。これはお店でもお客様に必ずお伝えしている、本当に大切な安全上のお願いです。
もし、カビ取りのために塩素系漂白剤を使った場合は、その日のクエン酸によるお掃除は諦めてください。
一度しっかりと洗浄・すすぎ運転を行い、庫内に塩素系の成分が残っていないことを確認してから、日を改めてクエン酸でのお掃除を行うようにしましょう。
クエン酸と重曹の使い分け
先ほど少し触れましたが、クエン酸と重曹は汚れに対する得意・不得意がはっきりと分かれています。この違いを理解しておくと、食洗機だけでなく、家中のお掃除がぐっと効率的になりますよ。
簡単に言うと、「酸性のクエン酸はアルカリ性の汚れに、アルカリ性の重曹は酸性の汚れに強い」と覚えておきましょう。
クエン酸 | 重曹 | |
---|---|---|
性質 | 酸性 | 弱アルカリ性 |
得意な汚れ | アルカリ性の汚れ (水垢、石鹸カス、アンモニア臭など) | 酸性の汚れ (油汚れ、皮脂汚れ、焦げ付きなど) |
食洗機での主な用途 | 庫内の水垢掃除 | 基本的に使用不可(詰まりのリスク) |
このように、食洗機の庫内に溜まりやすい白い水垢はアルカリ性の汚れなので、酸性のクエン酸が効果的というわけです。
一方で、食器についた油汚れは酸性の汚れなので、本来であればアルカリ性のものが有効ですが、前述の通り、重曹は食洗機での使用に適していません。食器の油汚れは、食洗機専用の洗剤に任せるのが一番ですね。
食洗機洗剤をクエン酸で代用できる?
「食洗機の洗剤が切れてしまった!代わりにクエン酸を使ってもいい?」これは、緊急時にふと考えてしまうかもしれませんね。
ですが、答えははっきりと「NO」です。
食洗機用の洗剤の代わりにクエン酸を使うことはできません。
その理由は、汚れを落とす仕組みが全く違うからです。
もしクエン酸で食器を洗おうとしても、油汚れはほとんど落ちずにベタベタのまま、ご飯粒もこびりついたまま…という残念な結果になってしまいます。
専用の洗剤って、やっぱりそのために研究・開発されているだけあって、すごいパワーを持っているんですよね。
また、たとえ緊急時でも食器用の中性洗剤(手洗い用)で代用するのもNGです。庫内が泡だらけになって、水漏れや故障の原因になりますから注意してくださいね!
クエン酸はあくまで「食洗機本体のお掃除用」、食器を洗うのは「食洗機専用洗剤」と、しっかりと役割を分けて考えることが大切です。

総括:食洗機の掃除にクエン酸を上手に活用
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。