冬の寒さが厳しくなると、エアコンの暖房運転が欠かせなくなりますよね。でも、快適に過ごしたいけれど電気代が心配という方も多いのではないでしょうか。
特に、エアコン暖房を26度に設定して1時間運転した場合の電気代がどれくらいなのか、気になっている方は少なくありません。また、一人暮らしの方なら毎月の暖房費がいくらになるのかも気になるところです。
1日つけっぱなしにした方がお得なのか、それともこまめに消した方がいいのか。さらに、何度設定が一番安いのか、冷房と暖房ではどっちが高いのか、暖房器具の電気代が安いランキングではエアコンはどの位置にいるのかなど、冬の電気代に関する疑問は尽きません。
私は家電量販店で長年働いているのですが、この時期になると本当にたくさんのお客様からこうした質問をいただきます。特に最近は電気料金の値上がりもあって、賢く節約しながら快適に過ごす方法を知りたいという声が増えています。
この記事では、エアコン暖房の電気代について具体的な数字を示しながら、誰でもすぐに実践できる節約テクニックまで詳しくご紹介していきます。
設定温度を少し変えるだけで年間数千円の節約になることもあるんですよ。ぜひ最後まで読んで、この冬の電気代対策に役立ててくださいね!
エアコン暖房26度の1時間あたりの電気代は?

- エアコン暖房26度の1時間の電気代を比較
- 部屋の広さで電気代は変わる?
- 暖房は何度の設定が一番安い?
- 暖房つけっぱなしの1日の電気代
- 一人暮らしの暖房費は1ヶ月いくら?
- 夜の暖房は外気温何度からつける?
- 冷房と暖房、電気代が高いのはどっち?
まずは、皆さんが一番気になっているであろう、エアコン暖房の電気代について具体的に見ていきましょう。
設定温度を1度変えるだけで、あるいは部屋の広さが違うだけで、電気代にはどれくらいの差が生まれるのでしょうか。ここでは、さまざまな角度から電気代を詳しく解説していきますね。
エアコン暖房26度の1時間の電気代を比較
冬にエアコンの暖房を使うとき、快適な温度として26度に設定している方は多いのではないでしょうか。では、実際に設定温度26度で1時間運転した場合、電気代はいくらになるのでしょう?
エアコンの電気代は、「消費電力(kWh) × 電気料金単価(円/kWh)」という計算式で算出できます。これだけだと少し分かりにくいので、具体的な機種を例に見てみましょう。
例えば、一人暮らし(8畳)を想定して日立の「白くまくん RAS-XR2525S」という機種で計算してみます。
電気料金単価を31円/kWhと仮定した場合、基準となる20度設定での1時間あたりの電気代は約4.99円です。設定温度を1度上げると消費エネルギーが約10%増えると言われているので、これを基に26度の場合を計算すると…
つまり、8畳用のエアコンを26度で1時間使うと、電気代は約8円かかる、ということになりますね。これが1日10時間使うと約80円、1ヶ月(30日)だと約2,400円になります。
もちろん、これはあくまで目安の金額です。
お使いのエアコンの性能やお部屋の断熱性、外の気温によっても変わってくるので、ご自宅のエアコンの消費電力を一度確認してみるのがおすすめですよ。
部屋の広さで電気代は変わる?
「広い部屋の方が電気代は高くなるんだろうな」と、なんとなくイメージされている方は多いと思います。その通り、エアコンの電気代はお部屋の広さ(畳数)によって大きく変わってきます。
広いお部屋を暖めるには、それだけパワフルなエアコンが必要になり、消費電力も大きくなるからなんです。
先ほどと同じように具体的な数字で比較してみましょう。
部屋の広さ(想定) | エアコン機種(例) | 設定温度26度での1時間あたりの電気代(目安) |
---|---|---|
8畳(一人暮らし) | 日立 白くまくん RAS-XR2525S | 約7.99円 |
14畳(4人家族) | 日立 白くまくん RAS-XR4025D | 約13.11円 |
このように、14畳のお部屋になると1時間あたりの電気代は約13円となり、8畳の場合と比べて1.6倍以上になっていますね。これはあくまで一例ですが、お部屋が広くなればなるほど、電気代の差はさらに開いていきます。
お部屋の広さに合っていないエアコンを使うのも、実は電気代が高くなる原因になるんです。
例えば、広いリビングに6畳用のエアコンを設置しても、お部屋を暖めるのにフルパワーで稼働し続けることになり、結果的に電気代がかさんでしまいます。
エアコンを選ぶときは、必ずお部屋の広さに合ったモデルを選ぶようにしてくださいね。
暖房は何度の設定が一番安い?
「じゃあ、結局何度に設定するのが一番電気代を安くできるの?」という疑問がわいてきますよね。
電気代だけを考えるなら、当然ながら設定温度は低ければ低いほど安くなります。
環境省が推奨している「ウォームビズ」では、暖房時の室温の目安として20℃を推奨しています。設定温度を1℃下げるだけで、消費電力を約10%も削減できると言われているんですよ。
例えば、設定温度を21℃から20℃に下げるだけで、年間で約1,650円も節約につながるというデータもあります。(参照:経済産業省 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト)
ただ、ここで大切なのは「快適さとのバランス」です。
電気代を気にするあまり、寒いのを我慢して体調を崩してしまっては元も子もありませんよね。20℃を目安にしつつも、ご自身の体感に合わせて無理のない温度に設定するのが一番です。
暖房つけっぱなしの1日の電気代
冬場、特に寒い日には「エアコンをつけっぱなしにするのと、こまめに消すの、どっちがお得なの?」と悩むことはありませんか?
実はこれ、状況によって答えが変わってくるんです。
エアコンが一番電力を消費するのは、お部屋が冷え切った状態から設定温度まで一気に暖める「起動時」なんですね。
ダイキン工業が行った実験によると、30分程度の短い外出であれば、電源を切らずにつけっぱなしにしておいた方が、消費電力が少なく済むという結果が出ています。こまめにオン・オフを繰り返すと、そのたびに多くの電力を消費する「起動」を繰り返すことになり、かえって電気代が高くなってしまう可能性があるんです。
また、パナソニックの調査では、外の気温が3℃を下回るような厳しい寒さの日も、つけっぱなし運転の方が節約につながりやすいという結果も出ています。外が寒いと、一度電源を切ったお部屋はすぐに冷えてしまい、再び暖めるのに大きなパワーが必要になるからです。
お住まいの地域の気温や、外出時間に合わせて上手に使い分けるのがポイントですよ。
一人暮らしの暖房費は1ヶ月いくら?

これから一人暮らしを始める方や、すでにお一人で暮らしている方にとって、毎月の光熱費は気になるところですよね。特に冬場のエアコン暖房費は、家計にどれくらい影響するのでしょうか。
もちろん使い方によって大きく変わりますが、一つの目安として、先ほどご紹介した8畳のお部屋の例で見てみましょう。
設定温度 | 1日の電気代(1日8時間使用と仮定) | 1ヶ月の電気代(30日) |
---|---|---|
20℃ | 約72円 | 約2,160円 |
22℃ | 約86円 | 約2,580円 |
26℃ | 約115円 | 約3,450円 |
※1時間あたりの電気代を、20℃:4.99円、22℃:5.99円、26℃:7.99円として計算。1日あたりの使用時間を多めに見積もっています。
このように、設定温度20℃と26℃では、1ヶ月で1,000円以上の差が出てくることがわかりますね。
総務省の家計調査(2023年1~3月期)によると、単身世帯の1ヶ月の平均電気代は9,340円だそうです。その中でエアコンが占める割合は約3割と言われているので、大体3,000円前後がエアコン暖房費の平均的な金額と考えて良いかもしれません。
あくまで目安ですが、ご自身の電気代と比べてみて、使い方の見直しの参考にしてみてくださいね。
夜の暖房は外気温何度からつける?
「夜、寝るときに暖房をつけるか迷う…」という方も多いのではないでしょうか。特に、どのくらいの寒さになったらつけ始めるべきか、その目安が知りたいですよね。
明確な基準があるわけではありませんが、一般的に快適な睡眠環境のためには、寝室の温度が18℃~20℃程度に保たれているのが理想だと言われています。そのため、夜中から朝方にかけて、室温がそれを下回ってしまうような日であれば、暖房の使用を検討するのが良いと思います。
外気温で言うと、お部屋の断熱性にもよりますが外の気温が10℃を下回るような日は夜間に室温もかなり下がることが多いので、一つの目安になるかもしれません。
寒さを我慢して眠りが浅くなってしまうと、翌日の体調にも影響します。無理せずエアコンを上手に使って快適な睡眠環境を整えることが大切ですね。
冷房と暖房、電気代が高いのはどっち?
これは、私がお店でも本当によく聞かれる質問の一つです。
「夏と冬、エアコンを同じくらい使っているはずなのに、なぜか冬の方が電気代が高い気がする…」と感じたことはありませんか?
その感覚、実は正しいんです。
一般的に、エアコンは冷房よりも暖房の方が電気代が高くなる傾向にあります。
その理由は、「外の気温と設定温度との差」にあります。エアコンは、室内の温度を設定温度に近づけるために稼働しますが、この温度差が大きければ大きいほど、たくさんのパワーが必要になり、電気代も高くなる仕組みなんです。
具体的に考えてみましょう。
このように、冬の方が夏に比べて、エアコンが頑張って埋めなければならない温度差が倍以上になることが多いんですね。これが冬の暖房の方が電気代が高くなりがちな大きな理由です。
冬場の電気代が気になるのは、ある意味仕方のないことかもしれません。だからこそ、これからご紹介する節約術を上手に取り入れて、少しでも賢く冬を乗り切りたいものですね。
エアコン暖房26度の電気代を賢く節約する方法

- 誰でもできる簡単な節約テクニック
- フィルター掃除で賢く節電
- サーキュレーターを上手に使う
- 冬に使わないエアコン室外機の処置
- 電気代が安い暖房器具ランキング
さて、ここまでエアコン暖房の電気代について詳しく見てきましたが、ここからは「どうすればその電気代を節約できるのか」という、実践的なテクニックをご紹介していきます。
どれも今日からすぐに試せる簡単なことばかりなので、ぜひご自身の生活に取り入れてみてください。少しの工夫で、冬の電気代は大きく変わってきますよ。
誰でもできる簡単な節約テクニック
電気代を節約したいと思っても、「何から始めたらいいかわからない…」という方も多いかもしれません。まずは、誰でも簡単に始められる基本的な節約テクニックからご紹介しますね。
風量は「自動運転」が基本
「電気代がもったいないから」と、風量を「弱」で運転している方はいませんか?
実はこれ、かえって電気代が高くなることがあるんです。
弱風だとお部屋が暖まるまでに時間がかかってしまい、その分、電力を多く消費するコンプレッサーが長く稼働し続けることになります。
一番効率的なのは「自動運転」です。
自動運転に設定しておけば、最初は強風で一気にお部屋を暖め、設定温度に近づいたら自動で風量を調整してくれます。エアコンに任せてしまうのが、一番の節約になるんですよ。
風向きは「下向き」に
暖かい空気は、軽いのでお部屋の上の方に溜まりやすい性質があります。そのため、暖房を使うときは風向きをできるだけ「下向き」に設定するのがポイントです。
暖かい空気を足元に送ることで、お部屋全体に効率よく循環させることができます。床に溜まった暖かい空気が自然と上昇していくので、温度のムラがなくなり、快適性もアップします。
窓の断熱対策を忘れずに
せっかくエアコンで暖めたお部屋の熱は、実はその多くが「窓」から逃げていっています。お部屋の熱の約58%は窓などの開口部から流出するとも言われているんです。
そこで効果的なのが、厚手のカーテンや断熱シートの活用です。
カーテンを床まで届く長さにしたり、窓に断熱シートを貼ったりするだけで、外からの冷気をシャットアウトし、室内の暖かい空気を逃がしにくくしてくれます。これだけでも、暖房効率がぐっと上がりますよ。
フィルター掃除で賢く節電
エアコンの節約術として、簡単なのに効果がとても大きいのが「フィルター掃除」です。これは本当に侮れないんですよ。
エアコンは、お部屋の空気を吸い込んで、それを暖めたり冷やしたりして吹き出しています。そのとき、空気中のホコリやゴミをキャッチしてくれるのがフィルターの役割です。このフィルターがホコリで目詰まりしてしまうと、空気の通り道がふさがれてしまい、エアコンは必要以上にパワーを使わないと空気を吸い込めなくなってしまいます。
環境省によると、フィルターを2週間に1度掃除するだけで、暖房時で約6%、冷房時で約4%の消費電力を削減できるとされています。年間にすると、約990円もの節約につながるという試算もあるくらいです。
たったこれだけの作業で、電気代の節約になるだけでなく、エアコンから出てくる空気がキレイになるという嬉しいおまけもついてきます。
お部屋の空気環境を良くするためにも、ぜひ習慣にしてみてくださいね。
サーキュレーターを上手に使う
「サーキュレーターって、夏に使うものじゃないの?」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は冬の暖房時にこそ、その真価を発揮してくれるんです。
先ほどもお伝えしたように、暖かい空気はお部屋の上の方に溜まってしまいます。そのため、「エアコンをつけているのに、なぜか足元がスースーして寒い…」という経験はありませんか?
そこで活躍するのがサーキュレーターです。
サーキュレーターを使ってお部屋の空気をかき混ぜてあげることで、天井付近に溜まった暖かい空気を足元まで届けることができ、お部屋全体の温度ムラを解消してくれます。
冬の暖房時の効果的な置き方
ポイントは、サーキュレーターをお部屋の真ん中あたりに置き、真上に向けて運転させることです。床付近の冷たい空気を吸い上げて天井に送り、天井に溜まった暖かい空気を押し出すことで、お部屋全体に効率的な空気の循環が生まれます。
体感温度が上がるので、エアコンの設定温度を1~2℃下げても快適に過ごせるようになることが多いんですよ。エアコンの設定温度を1℃下げれば約10%の節電になるので、これはとても大きな効果ですよね。
サーキュレーター自体の電気代は1時間あたり1円未満のものがほとんどなので、トータルで見ると断然お得になります。ぜひ試してみてください。
冬に使わないエアコン室外機の処置

雪国にお住まいの方や、冬の間はエアコン暖房をあまり使わず、他の暖房器具をメインで使っているというご家庭もあるかと思います。
そんなとき、屋外に設置されている「室外機」は、そのままで大丈夫なのでしょうか?
基本的に、短期間使わない程度であれば特別な処置は必要ありません。しかし、特に雪が多い地域では注意が必要です。
室外機の周りが雪で埋まってしまうと、空気の吸い込み口や吹き出し口がふさがれてしまいます。この状態で運転すると、暖房効率が著しく低下するだけでなく、ファンが正常に回らずに故障してしまう原因にもなりかねません。
また、屋根からの落雪が直撃するような場所に室外機が設置されている場合は、とても危険です。長期間使わない場合や、豪雪地帯にお住まいの場合は、「防雪フード」や「室外機カバー」を取り付けておくことを強くおすすめします。
これらを使うことで、雪や凍結から室外機を守り、エアコンの寿命を延ばすことにもつながりますよ。
電気代が安い暖房器具ランキング
ここまでエアコンの節約術についてお話してきましたが、「そもそも、エアコン以外の暖房器具と比べて電気代はどうなの?」という点も気になりますよね。
暖房器具にはそれぞれ特徴があって、得意な暖めかたも違います。状況に応じて上手に使い分けるのが一番の節約につながるんです。
ここでは1時間あたりの電気代が安い順に、代表的な暖房器具をランキング形式でご紹介しますね。
順位 | 暖房器具 | 1時間あたりの電気代(目安) | 特徴 |
---|---|---|---|
1位 | 電気毛布 | 約0.3円~2.3円 | 体を直接暖めるので効率が良い。ピンポイントで使いたい時に最適。 |
2位 | こたつ | 約3.1円~6.2円 | 足元から体を温める。家族団らんのスペースにも。 |
3位 | ホットカーペット | 約6.2円~ | 床から直接暖かさが伝わる。部屋全体は暖まらない。 |
4位 | パネルヒーター | 約4.96円~37.2円 | 空気を汚さず音も静かなのが嬉しいポイント。持ち運びも簡単で、寝室や書斎にぴったりですね。 |
5位 | オイルヒーター | 約9.3円~37.2円 | お部屋が乾燥しにくく、じんわりと全体が暖まります。空気がクリーンなのも魅力です。 |
6位 | ハロゲンヒーター | 約9.3円~37.2円 | とにかく「すぐ暖まりたい!」という時に頼りになります。足元など、局所的に使うのに向いています。 |
7位 | カーボンヒーター | 約9.3円~37.2円 | ハロゲンヒーターよりも速く暖まる印象です。遠赤外線で体の芯からポカポカしてくる感じがしますよ。 |
8位 | エアコン暖房(10畳用) | 約24.7円 | 部屋全体をパワフルに暖める。メインの暖房器具として活躍。 |
9位 | セラミックファンヒーター | 約17.1円~37.2円 | スイッチを入れるとすぐに暖かい風が出る。脱衣所など狭い場所に。 |
※電気代は製品の消費電力や設定によって大きく変動します。
こうして見ると、やはり体を直接暖めるタイプの暖房器具は電気代が圧倒的に安いことがわかりますね。一方で、エアコンは部屋全体を暖める能力がある分、電気代は高めになります。
総括:エアコン暖房26度の1時間あたりの電気代と節約術
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。