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まだエアコン掃除スプレー使ってる?故障の危険性と正しい対処法

エアコン掃除

「エアコン掃除スプレーって、手軽で便利そうだけど本当に使っても大丈夫?」
これ、実は私がお店に立っていて、お客様から非常によく聞かれる質問なんです。

ドラッグストアやホームセンターに行くと、数百円で買える洗浄スプレーがずらりと並んでいますよね。「業者に頼むと1万円以上かかるし、これなら安上がりでいいかも!」と手に取りたくなる気持ち、すっごく分かります。

シュッとするだけで嫌な臭いやカビが消えるなら、こんなに嬉しいことはないですよね?

でも、ちょっと待ってください。
家電販売員として、心を鬼にして言わせてください。

そのスプレー、実はエアコンの寿命を縮める「時限爆弾」になるかもしれません。

メーカーやNITE(製品評価技術基盤機構)がなぜ警鐘を鳴らしているのか、ご存知でしょうか?
実は、「汚れが落ちない」どころか、内部でカビを培養したり、最悪の場合は火災を引き起こしたりするリスクが潜んでいるんです。

「えっ、そんな大げさな…」と思われるかもしれませんが、お店には「自分で掃除して壊してしまった」というお客様が、修理相談や買い替えで駆け込んでくることが後を絶ちません。

この記事では、なぜ安易なスプレー使用が危険なのか、その裏側にあるメカニズムを包み隠さずお話しします。また、すでに使ってしまって不安な方への対処法や、本当にエアコンをキレイにするための安全な選択肢もご紹介しますね。

大切なお家のエアコンを守るために、ぜひ最後までお付き合いください!

この記事のポイント
  • カビの原因になるリスク
  • トラッキング現象による火災の危険性
  • 重曹やアルカリ電解水を使う是非
  • 安全で確実なメンテナンスとは
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市販のエアコン掃除スプレーの危険性

クリーン家電ガイド:イメージ

「手軽にキレイ!」というキャッチコピーの裏側には、実は家電製品としての構造的なリスクがたくさん潜んでいるんです。

ここでは、なぜ私たちが安易なスプレー使用をオススメしないのか、その理由をちょっと専門的な視点も交えて、でも分かりやすく解説していきますね。

本当にエアコン掃除スプレーを使ってもいい?

結論から言うと、私たち家電量販店の店員としては「使用はおすすめしません」というのが正直なところです。

もちろん、販売されている以上は法的に問題があるわけではありませんし、表面的なホコリを濡らす程度の効果はあるかもしれません。でも、エアコンという機械は、私たちが思っている以上に精密でデリケートな構造をしているんです。

最近のエアコン、特に「省エネ」を謳っている機種は、熱交換器(アルミフィン)が非常に複雑に入り組んでいて、隙間がものすごく狭くなっています。そこに、市販のスプレー缶程度の弱い圧力で洗浄液を吹きかけるとどうなると思いますか?

実は、汚れを洗い流すどころか、表面の汚れをフィンの奥深くに「押し込んで」しまうことが多いんです。これを専門用語で「パッキング現象」なんて呼んだりすることもあるようですが、要は詰まってしまうんですね。

メーカーの説明書をよく読んでみると、多くの機種で「市販の洗浄剤は使用しないでください」と小さく、でもしっかりと書かれているはずですよ。

まずは「手軽さ」よりも「リスク」の方が圧倒的に大きいという事実を、知っていただけると嬉しいです。

より詳しく「自分でできるエアコン掃除の安全な範囲」と「プロに任せるべき箇所」について知りたい方は、エアコン掃除を自分でどこまでやるべきか解説した記事も参考にしてみてください。

逆に汚れが固まる逆効果とデメリット

「洗剤をかけたんだから、汚れは分解されるはずでしょ?」
そう思われるかもしれませんが、ここに大きな落とし穴があります。

多くの市販スプレーは「洗い流し不要」と書かれていますが、これは「結露水で自然に流れるから大丈夫」という理屈なんです。

しかし、これには無理があるんです。
洗浄成分である界面活性剤や、汚れを固めるための薬剤が、十分な水量ですすぎ流されないまま内部に残ってしまいます。すると、残った洗剤成分がノリのような役割を果たしてしまい、新しいホコリやカビの胞子を吸着してしまうんです。

これが、掃除したはずなのに数週間後に「なんだか余計に臭くなった…」という現象の正体です。

リバウンド現象に注意!

スプレー後の残留成分が栄養源となり、以前よりもカビが爆発的に増殖してしまうことがあります。
これを「リバウンド」と呼びますが、せっかく掃除したのに逆効果なんて悲しすぎますよね。

さらに怖いのが、溶け出した汚れと洗剤が混ざってヘドロ状になり、排水経路である「ドレンホース」を詰まらせてしまうことです。

夏場にエアコンから水漏れがして、壁紙がビショビショに…なんていうトラブルの原因の多くが、実はこの「中途半端な掃除」にあるんですよ。

内部の部品が腐食して壊れるリスク

クリーン家電ガイド:イメージ

エアコンの内部には、熱交換器のすぐ横に「電装ボックス」という、人間でいう脳みそにあたる重要な電子部品の塊があります。スプレーを噴射した勢いで、洗浄液がこの電装部分に飛び散ってしまったら…想像するだけで怖くないですか?

特に恐ろしいのが、「トラッキング現象」による火災事故です。
NITE(製品評価技術基盤機構)も毎年注意喚起をしていますが、洗浄液が電気部品の端子に付着すると、そこでショートして発火することがあるんです。
(出典:NITE「エアコンの内部洗浄による事故に注意」

しかも怖いのは、掃除した直後ではなく、数週間〜数ヶ月経って、湿気が高まった時に突然発火するケースがあること。
「忘れた頃に火事になる」なんて、絶対に避けたいですよね。

また、プラスチック部品に洗浄液がかかると、「ソルベントクラック」といって、樹脂が化学反応で割れてしまうこともあります。
「掃除したら前面パネルがバキッと割れて落ちてきた!」なんていうホラーのような話も、実は現場ではたまに聞く話なんですよ。

重曹スプレーはアルミフィンを溶かす

「市販の洗剤がダメなら、エコな重曹なら安心でしょ?」
ナチュラルクリーニングが流行っているので、そう思う方も多いですよね。

キッチンのお掃除なんかでは大活躍の重曹ですが、エアコン掃除に関しては「絶対NG」なんです。

理由は簡単、化学反応です。
エアコンの熱交換器は「アルミニウム」でできています。理科の実験を思い出していただきたいのですが、アルミは「アルカリ性」に弱い金属なんです。弱アルカリ性の重曹水をアルミフィンにかけると、化学反応を起こしてアルミが腐食し、溶けてしまいます。

親水性コーティングの剥離

アルミフィンには、水滴を流れやすくするための特殊なコーティングが施されています。
重曹はこのコーティングを剥がしてしまうため、水飛び(エアコンから水滴が飛んでくる現象)の原因になります。

フィンの表面がボロボロになると、熱交換の効率が下がるだけでなく、エアコンの寿命を一気に縮めてしまいます。
「エコ」を求めて「エアコンを破壊」してしまっては本末転倒ですから、重曹水のスプレーは絶対にやめてくださいね。

アルカリ電解水も使用は避けるべき

重曹と同じ理由で、「アルカリ電解水」もエアコン内部への使用は非常に危険です。

重曹よりもさらにアルカリ性が強い製品も多いため、アルミフィンの腐食スピードはさらに早まる可能性があります。

また、ネット上の情報で「カビキラー(塩素系漂白剤)」を使っている例を見かけることがありますが、これはもっと危険です!

カビキラーに含まれる次亜塩素酸ナトリウムは、強力なアルカリ性であるだけでなく、強烈な腐食作用があります。金属部品を一瞬でサビさせるだけでなく、すすぎが完全にできないエアコン内部に残ると、運転時に有毒な塩素ガスのような臭いを撒き散らすことになります。

自分や家族の健康を守るためにも、キッチン用の強力な洗剤をエアコンに流用するのは絶対に避けてください。

エアコンにはエアコン専用の(しかも中性の)洗剤が必要ですが、それを正しく扱うにはプロの技術が必要なんです。

スプレーを使ってしまった時の対処法

「この記事を読む前に、もう使っちゃったよ…!」
という方、焦らなくても大丈夫です。今すぐできる応急処置をお伝えしますね。

まずは落ち着いて、以下の手順を確認してください。

  1. すぐに運転を停止し、電源プラグを抜く
    万が一の漏電やショートを防ぐため、まずは電気を遮断しましょう。
  2. 液垂れを拭き取る
    プラスチック部分や吹き出し口周辺に垂れた洗浄液は、固く絞ったタオルですぐに拭き取ってください。放置するとプラスチック割れの原因になります。
  3. 十分な乾燥時間をとる
    これが一番重要です!コンセントを戻した後、すぐに冷房を使わず、「送風モード」または「最高温度の暖房」で最低でも1〜2時間は運転し、内部をカラカラに乾かしてください。

もし、「変な音がする」「焦げ臭いにおいがする」「水が垂れてきた」といった異常を感じたら、すぐに使用を中止してメーカーのサポートセンターか修理業者に連絡してください。
無理に使い続けると、修理代が高額になるどころか、最悪の場合は買い替え(10万円コース…涙)になってしまいます。

「やってしまった」は仕方ありません。大切なのはその後のリカバリーですよ!

エアコン掃除スプレーより安全な方法

クリーン家電ガイド:イメージ

「じゃあ、汚れたエアコンはどうすればいいの?」と途方に暮れてしまいますよね。
大丈夫です、スプレーを使わなくても家庭でできる「安全なメンテナンス」と、確実にキレイにする方法はちゃんとあります。

ここでは、私が自信を持っておすすめできる、正しいエアコンケアのアプローチをご紹介します。

自分でできる正しい掃除のやり方

自分でやるなら、「洗剤を使わない掃除」に徹するのが正解です。
具体的には、フィルターと、手の届く範囲の吹き出し口の拭き掃除です。

「えっ、それだけ?」と思われるかもしれませんが、実はエアコンのトラブルや効き目の悪さの8割くらいは、フィルターの詰まりが原因なんです。

用意するのは、掃除機と中性洗剤を薄めた水、そしてキレイなタオル。
本体カバーを開けてフィルターを外し、掃除機でホコリを吸い取ります。

この時、フィルターの「外側(表)」から吸うのがポイント!
内側から吸うと、ホコリが目に詰まってしまいます。

本体のルーバー(風向きを変える羽)などは、無理に動かさず、優しく拭き掃除を。
特に三菱電機の「霧ヶ峰」(FLシリーズやZシリーズなど)をお使いの方はラッキーです!
「はずせるボディ」という機能で、前面パネルやフラップが工具なしでガバッと外せるので、通風路の中まで拭き掃除ができちゃうんです。

もしこれからエアコンを買い替える予定があるなら、掃除のしやすさで「霧ヶ峰」を選ぶのは、店員としてもイチオシですよ。

フィルターやファンの安全な洗浄方法

取り外したフィルターは、お風呂場でシャワーを使って水洗いしましょう。
汚れがひどい場合は、台所用の中性洗剤と柔らかいブラシ(使い古しの歯ブラシでOK)を使って優しく洗ってください。

洗った後は、陰干しで完全に乾かすことをお忘れなく。生乾きでセットすると、それがカビの原因になっちゃいます。

フィルター掃除の詳しい手順や電気代への効果をもっと知りたい方は、フィルター掃除で電気代と効き目が劇的に変わることを解説した記事もチェックしてみてください。

さて、難関なのが「送風ファン(シロッコファン)」です。 吹き出し口の奥にある、筒状の回転する部品ですね。ここは一番カビが生えやすいですが、素人が手を出すとファンを折ってしまったり、バランスを崩して異音の原因になったりします。

どうしても自分でやりたい場合は、コパ・コーポレーションの「ファンファン(Fan-Fan)」や、コジットの「のびのびエアコン汚れごっそりすき間職人」などのエアコン専用ブラシが便利です。
ファンの形に沿って曲がっているので、水で濡らして差し込み、汚れを掻き出すことができます。

ただし、これらを使う場合も「洗剤」は使わず、水だけで行ってください。
洗剤を使うとすすぎが大変ですし、前述のリスクがありますからね。

【重要】本格DIYに挑戦したい方へ

どうしても洗浄液で丸洗いしたいなら、スプレー缶ではなく工進(KOSHIN)の「蓄圧式噴霧器 HS-401E」のような園芸用噴霧器と、イチネンTASCOの「壁掛用エアコン洗浄シート TA918CA」を用意してください。
十分な水量ですすぐことと、部屋を汚さない完全な養生。これができて初めて、スタートラインに立てると考えてください(それでも自己責任ですが…!)。

プロと自分でやる掃除の決定的な違い

クリーン家電ガイド:イメージ

「プロに頼むと高い」と感じるかもしれませんが、やっている作業の内容を見ると、実はコスパが良いことに気づきます。

私たち素人が使うスプレーと、プロの機材には決定的な3つの違いがあるんです。

  1. 圧力の違い
    プロは高圧洗浄機を使います。その圧力はスプレー缶の比ではありません。アルミフィンの奥の奥まで水を貫通させて、汚れを裏側へ突き抜けて落とします。
  2. 水量の違い
    ここが一番重要です。プロはバケツ何杯分もの大量の水ですすぎを行います。 洗剤成分を一切残さないレベルまで洗い流すので、リバウンドや腐食のリスクが極限まで低いんです。
  3. 養生の技術
    部屋の壁や床、そしてエアコンの電装部を濡らさないためのマスキング(養生)技術。これこそがプロの技です。自分でやって壁紙にシミを作ってしまったら、その修繕費の方が高くつきますからね。

失敗しないエアコン掃除おすすめ業者

では、どこの業者さんに頼めばいいのでしょうか?
私がお客様におすすめしているのは、大きく分けて2つのパターンです。

一つ目は、「おそうじ本舗」さんのような大手チェーン。全国展開していて予約が取りやすく、技術研修もしっかりしています。

「完全分解洗浄」というオプションがある店舗なら、ドレンパンやファンまで外して洗ってくれるので、新品同様になりますよ。価格も1万円ちょっとからと、相場の中ではバランスが良いですね。

二つ目は、「くらしのマーケット」などのマッチングサイト。こちらは地元の個人業者さんが多いので、当たり外れがあるのも事実です。

ですが、口コミをしっかりチェックして、「損害賠償補償」に入っている業者さんを選べば、8,000円〜10,000円程度とかなり安く抑えられます。「とりあえず安く済ませたい!」という方には、こちらで評判の良い方を探すのが裏技的におすすめです。

くらしのマーケット

各社の料金やサービス内容を比較しながら自分に合った業者を選びたい方は、エアコンクリーニングの業者選びで失敗しないためのポイントをまとめた記事も参考にしてみてください。

エアコン掃除スプレーは使わずプロへ

ここまで、ちょっと怖い話も含めて長々とお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?

「数千円をケチって、10万円のエアコンを壊すリスク」と、「1万円で安心してピカピカにしてもらうメリット」。 天秤にかけてみると答えは明白ですよね。

エアコン掃除スプレーは、一見魔法のアイテムに見えますが、その代償はあまりに大きいです。
私たち家電店員としても、お客様には長く安全にエアコンを使っていただきたいので、ぜひ無理なDIYは避けていただければなと思います。

最後に、今回の要点をまとめておきますね。

方法 コスト 安全性 おすすめ度
市販スプレー 数百円 × 危険
(故障・火災リスク大)
★☆☆☆☆
フィルター掃除
(自分)
0円 ◎ 安全 ★★★★★
(必須!)
プロ業者
(クリーニング)
約1万円〜 ◎ 安全 ★★★★☆
(最も確実)

この記事が少しでも役に立って、あなたのお部屋が快適な空気になって気持ちのいい毎日を過ごせますように!

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