エアコンを購入する際、お掃除機能付きのモデルにするかどうか迷われる方は少なくありません。フィルター自動清掃があれば手間が省けそうだけれど、本体価格が高くなってしまうし、本当に効果があるのか不安に感じますよね。
実際に私も家電量販店で働いていると、エアコンのお掃除機能は必要かという質問を頻繁にいただきます。自動清掃があっても結局メンテナンスは必要なのか、故障しやすいという話も聞くけれど実際はどうなのか、クリーニング費用はどれくらい変わるのか、といった疑問をお持ちの方が多いんです。
お掃除機能付きエアコンには確かにメリットがありますが、同時にデメリットや注意点も存在します。購入してから後悔しないためには、機能の特徴やコスト面での影響をしっかりと理解しておくことが大切です。
この記事では、エアコンのお掃除機能について多角的に検証し、あなたにとって本当に必要な機能なのかを判断するための情報をお伝えします。
エアコンのお掃除機能は必要か?効果について

エアコンのお掃除機能について、まずは基本的な仕組みから効果まで詳しく見ていきましょう。購入前に知っておきたい重要なポイントや、実際の使用感についてもお伝えしていきます。
お掃除機能のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
フィルター清掃の手間軽減
高いところの作業が不要になり、特に高齢者や体力に不安がある方にとって大きなメリット
電気代節約効果
フィルターの目詰まりによる消費電力増加(25%)を防ぎ、電気代を抑制
定期的な自動清掃
お掃除ユニットがフィルター表面を往復してホコリを除去し、ダストボックスに収集
忘れがちな清掃をサポート
定期的な清掃を忘れやすい方でも、自動で清掃が行われるため安心
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本体価格の高額化
お掃除機能なしと比較して約3万円程度の価格差、最上位モデルでは20万円超も
故障リスクの増加
モーター、センサー、ギアなど可動部品が多く、基本エアコンより故障箇所が多様
完全メンテナンスフリーではない
ダストボックスの定期清掃が必要、油汚れやタバコのヤニ汚れは除去不可
クリーニング費用の高額化
専門業者のクリーニングが通常より5,000円~9,000円高額、業者によっては対応拒否も
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最大のメリットは、フィルター清掃の手間が軽減されることです。高いところにあるエアコンのフィルターを定期的に掃除するのは、特に高齢の方や体力に不安がある方にとって大変な作業ですよね。お掃除機能があれば、フィルター表面をお掃除ユニットが往復してホコリを除去し、ダストボックスに収集してくれます。
また、フィルターが目詰まりすると消費電力が25%も高くなってしまうため、定期的な清掃は電気代節約にもつながるんです。これは嬉しいポイントだと思います。
一方で、デメリットも無視できません。まず、本体価格がお掃除機能なしのモデルと比較して3万円前後高額になることが多く、最上位モデルでは20万円を超えることもあります。また、構造が複雑になるため、モーターやセンサー、ギアなどの可動部品が多く、故障リスクが増加してしまいます。
さらに、完全なメンテナンスフリーではないことも知っておく必要があります。ダストボックスの定期的な清掃は必要ですし、油汚れやタバコのヤニ汚れまでは落とせません。フィルターの細かい汚れも完全には除去できないため、「掃除の手間がゼロになる」わけではないんですね。
お掃除機能付きモデルの見分け方

お掃除機能が付いているかどうかを見分ける方法をご紹介します。購入前や既に設置済みのエアコンでも簡単にチェックできますよ。
最も分かりやすいのは、リモコンを確認することです。「お掃除」や「フィルターお掃除」といったボタンがあれば、お掃除機能付きモデルと判断できます。また、エアコンのパネルを開けてみて、「ダストボックス」や「お掃除ユニット」が見えるかどうかも確認してみてください。
取扱説明書や本体にお掃除機能付きの表記があることも多いので、こちらもチェックポイントになります。ただし、注意したいのは「内部クリーン」という機能です。これは自動お掃除機能ではなく、運転停止後にエアコン内部を乾燥させる機能なので、混同しないよう気をつけましょう。
各メーカーでお掃除機能の名称が異なることも覚えておくと便利です。ダイキンでは「フィルター自動お掃除」、パナソニックは「フィルターお掃除ロボット」、富士通は「フィルター自動お掃除機能」、日立は「ステンレス・クリンシステム」、シャープは「フィルター自動掃除機能」、三菱電機は「おそうじメカ」といった具合に呼び方が変わります。
動作にかかる時間と電気代

お掃除機能の動作時間と電気代について詳しく見ていきましょう。これらの情報を知っておくと、実際の使用時にも安心ですね。
フィルター自動掃除の動作時間は約7~9分程度です。動作する条件は、積算で約一日運転した後に停止すると作動する仕組みになっています。冷房や除湿運転時は、自動内部クリーンの終了後に作動し、暖房や加湿では運転停止後に直接作動します。
気になる電気代ですが、内部クリーン機能の電気代は1回約3~5円程度となっています。手動で行う場合は2~4円、自動で行う場合は3~5円といったところでしょうか。夏の間(6月~9月)に毎日使用したとしても、366~610円程度なので、それほど大きな負担にはならないと考えられます。
ただし、お掃除機能の動作中は「カタカタ」「バサッ」といった動作音が発生することがあります。深夜や早朝の使用では、この音が気になる方もいらっしゃるかもしれません。特に寝室で使用する場合は、動作時間を考慮して設定することをおすすめします。
お掃除機能が故障したら?

お掃除機能が故障した場合の対応について詳しく説明します。構造が複雑なだけに、トラブルが起きた時の対処法を知っておくことが大切です。
お掃除機能部分が故障した場合、基本的には全体の修理が必要になることが多いんです。エアコン本体の冷暖房機能は正常でも、お掃除機能の故障により全体的な点検・修理が必要になってしまいます。部品交換費用も高額になりがちで、修理期間も長期化する傾向があります。
特に注意したいのは、機能部品の寿命です。基本的なエアコンの寿命は約10年ですが、お掃除機能の可動部品はより短期間で故障リスクが高まります。モーター、センサー、ギアなど多くの部品があるため、故障箇所も多様になってしまうんですね。
ブラシの動作不良やホコリ詰まりによる機構トラブルも発生しやすく、これらが原因でエアコン全体の性能に影響を与えることもあります。メーカーによっては、お掃除機能の故障でも保証期間内であれば無償修理の対象になる場合もあるので、購入時に保証内容をよく確認しておくことをおすすめします。
無効化はできる?

お掃除機能を無効化したいと考える方もいらっしゃると思います。動作音が気になったり、電気代を節約したいといった理由からですね。
残念ながら、基本的にお掃除機能の完全無効化は困難です。リモコンで手動モードに設定可能な機種もありますが、対応している機種は限定的なのが現状です。また、無理に無効化しようとすると、メーカー保証の対象外となるリスクも伴います。
一部のメーカーでは、お掃除機能の動作タイミングを調整できる機種もあります。例えば、深夜帯の動作を避けたり、週に一度だけ動作させるといった設定が可能な場合もあるんです。これらの機能があるかどうかは、取扱説明書で確認するか、メーカーに直接問い合わせてみると良いでしょう。
もし購入前であれば、お掃除機能なしのモデルを選ぶという選択肢もあります。最近では、お掃除機能なしでも内部乾燥機能を搭載したモデルが多く、これらを選ぶことで清潔さを保ちながらシンプルな構造のエアコンを使用できます。
エアコンのお掃除機能が必要かを多角度的に検証

ここからは、より具体的なコスト面や実用性について検証していきます。お掃除機能なしのモデルとの比較や、どのような方にお掃除機能が向いているかについても詳しく解説します。
エアコンクリーニングも必要か
お掃除機能付きエアコンでも、定期的なプロのクリーニングは必要になります。これは多くの方が誤解しやすいポイントなんですね。
お掃除機能があっても、清掃範囲はエアコンフィルターと一部の部品のみに限定されています。エアコン内部に溜まったホコリや発生したカビまでは除去できません。すでに発生したカビや内部の細かいホコリ汚れには効果がないため、完全にメンテナンスフリーにはならないんです。
実際に、お掃除機能付きのエアコンでもカビが発生することは珍しくありません。特に熱交換器やドレンパン、送風ファンといった部分は、お掃除機能では清掃できない箇所です。これらの部分に汚れが蓄積すると、エアコンの効率が低下したり、嫌な臭いの原因になったりします。
したがって、お掃除機能付きエアコンでも2~3年に一度は専門業者によるクリーニングを受けることをおすすめします。むしろ、お掃除機能なしのエアコンを年に一度クリーニングしてもらう方が、清潔さを保てるという専門家の意見もあるほどです。
お掃除機能付きのクリーニング料金は高くつく?

エアコンタイプ | 一般的な相場 (2025年3月時点) |
価格差 | 備考 |
---|---|---|---|
お掃除機能なし | 8,000円〜10,000円 | – | 標準的な清掃 |
お掃除機能付き | 13,000円〜19,000円 | +5,000円〜9,000円 | 分解・組立に時間要 |
特殊機種 (富士通・シャープ・三菱電機) |
上記価格 + 追加料金 | +7,700円 | 分解に特別な技術が必要 |
• 構造が複雑なため、分解・組み立てに通常の1.3倍〜1.6倍の時間が必要
• キャンペーン時には多少安くなる場合がありますが、価格差は依然として存在します
• 構造が複雑なため、分解・組み立てに通常の1.3倍〜1.6倍の時間が必要
• キャンペーン時には多少安くなる場合がありますが、価格差は依然として存在します
お掃除機能付きエアコンのクリーニング料金について、具体的な相場をご紹介します。これは購入前に知っておきたい情報ですよね。
2025年3月時点での料金相場を見ると、壁掛けタイプのエアコンクリーニングでは、お掃除機能なしが8,000円~10,000円であるのに対し、お掃除機能付きは13,000円~19,000円となっています。つまり、5,000円~9,000円の追加料金が発生することになります。
大手家電量販店のヤマダデンキでは、通常価格でフィルター自動洗浄なしが13,200円、フィルター自動洗浄付きが22,000円となっており、約1.7倍の価格差があります。キャンペーン時には多少安くなりますが、それでも相当な差額が生じてしまいます。
さらに注意したいのは、特殊機種の追加料金です。富士通製ノクリアXシリーズ、シャープ製エアレスト、三菱電機製FZシリーズなどは、分解に時間がかかるため7,700円ほどの追加料金が発生する場合が多いんです。
また、業者によってはお掃除機能付きエアコンの対応自体を断る場合もあります。構造が複雑で分解・組み立てに時間がかかることが理由です。
自動お掃除なしのおすすめモデル
メーカー・モデル | 対応畳数 | 主な特徴 | 価格帯 |
---|---|---|---|
ダイキン
S225ATES-W
|
6畳用 | ストリーマ空気清浄 室温パトロール機能 コンパクト設計 |
約7万円 |
日立 白くまくん
AJシリーズ RAS-AJ22R(W)
|
6畳用 | ソフト除湿機能 コンパクトサイズ シンプル操作 |
約6万円 |
パナソニック エオリア
DFLシリーズ CS-225DFL-W
|
6畳用 | エオリアアプリ対応 無線LANアダプター対応 省エネ運転 |
約7万円 |
三菱電機 霧ヶ峰
MSZ-GV2225-W
|
6畳用 | 除湿機能 シンプル操作リモコン 省エネ性能 |
約6万円 |
お掃除機能なしのエアコンにも優秀なモデルがたくさんあります。価格面でのメリットも大きく、同スペックで比較すると約3万円安くなることが多いんです。
2025年の人気お掃除機能なしモデルをご紹介しましょう。
ダイキンのS225ATES-Wは6畳用で、ストリーマ空気清浄と室温パトロール機能を搭載しています。コンパクト設計でありながら必要な機能はしっかり備えているモデルです。
AJ22R(W)は6畳用で、コストパフォーマンスに優れています。ソフト除湿機能も搭載されており、シンプルな操作で使いやすい設計になっています。
パナソニックのエオリアDFLシリーズCS-225DFL-Wも6畳用で、エオリアアプリに対応しているのが特徴です。無線LANアダプターを使えば、スマートフォンからの操作も可能になります。省エネ運転機能も魅力的ですね。
三菱電機の霧ヶ峰MSZ-GV2225-Wは、除湿機能とシンプル操作リモコンが特徴的です。省エネ性能も高く、使いやすさを重視したモデルといえるでしょう。
これらのモデルは、定期的にフィルター掃除を行える方には十分な性能を持っています。最近の機種は運転停止後の乾燥機能を標準搭載しているものが多く、清潔さを保ちやすくなっているのも魅力的ですね。
必要な人と不要な人

お掃除機能が必要な人 | お掃除機能が不要な人 |
---|---|
高所作業が困難な高齢者の方
エアコンの掃除を忘れがちな方
ハウスダストアレルギーのある家族がいる
ペットを飼っている家庭
予算に余裕がある方
メンテナンスの手間を極力減らしたい方
忙しくて掃除の時間が取れない方
|
定期的にメンテナンスができる方
コストパフォーマンスを重視する方
シンプルな機能を好む方
クリーニング業者を定期利用する方
購入予算を抑えたい方
故障リスクを避けたい方
自分でフィルター掃除ができる方
|
最後に、お掃除機能はどのような人に向いているのか考察してみましょう。
まずは、機能の有無に関して費用面から考えてみましょう。
10年間の総コストで比較してみると、違いが明確になります。お掃除機能ありエアコン(10畳用)の場合、本体価格約20万円にクリーニング費用(4・8年目に各2万円)を加えると、総コストは約24万円になります。
一方、お掃除機能なしエアコン(10畳用)では、本体価格約8万円にクリーニング費用(2・4・6・8年目に各1万円)を加えても、総コストは約12万円で済みます。この差額は12万円にもなるんですね。
お掃除機能が有効な人は、高所作業が困難な高齢者、エアコンの掃除を忘れがちな人、ハウスダストアレルギーのある家族がいる人、ペットを飼っている家庭、予算に余裕がある人といったところでしょうか。
逆に、お掃除機能が不要な人は、定期的にメンテナンスできる人、コストパフォーマンスを重視する人、シンプルな機能を好む人、クリーニング業者を定期利用する人、予算を抑えたい人などが挙げられます。
まとめると、お掃除機能に過度な期待をせず、あくまで補助的な機能として捉えることが大切だと思います。完全にメンテナンスフリーになるわけではないことを理解した上で、ご自身のライフスタイルに合った選択をされることをおすすめします。
ちなみに我が家では、できるだけシンプルな機能のエアコンを選ぶようにしています。そのほうが、後々安上がりになったり、面倒な故障に悩まされずに済むからなんですね。
立場上、あまり各メーカーさんの最新技術に関して踏み込んだ言及はできませんが、私の個人的見解がお役に立てば幸いです。
総括:エアコンのお掃除機能は必要か
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。