最近、光熱費の節約のために給湯器を交換しようと検討されている方が増えていますね。特にガス代がお得になる「エコジョーズ」は非常に人気があります。
でも、ちょっと待ってください。
インターネットで検索すると「後悔」とか「苦情」といった不穏な言葉が出てきて、不安になってしまった方もいるのではないでしょうか?
実は、エコジョーズはその高い省エネ性能ゆえに、従来型とは異なる「排気」や「水」が出るため、設置場所によってはご近所トラブルの原因になってしまうことがあるんです。
せっかく環境にもお財布にも優しい給湯器を選んだのに、ご近所さんとの関係が悪くなってしまったら元も子もありませんよね?
「じゃあ、うちは設置できないの?」と諦めるのはまだ早いです。
実は、こういったトラブルのほとんどは、事前に正しい知識を持って対策をしておけば防げるものばかりなんです。なぜ白煙が出るのか、どうしてフェンスが錆びてしまうのか、そのメカニズムをしっかりと理解することが解決への第一歩になります。
この記事では、家電量販店で働く私の視点から、エコジョーズが近所迷惑と言われてしまう物理的な原因と、それを回避するための具体的なアイテムや設置の工夫について、包み隠さずお話ししていこうと思います。
これから交換を考えている方も、すでに設置してトラブルに悩んでいる方も、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
- エコジョーズ特有の排気が引き起こすトラブルの原因
- 酸性の排気ガスによるアルミ腐食のメカニズムと修復方法
- 騒音や低周波音のリスクと効果的な防音フェンスの選び方
- トラブルを未然に防ぐための適切な設置場所と業者選び
エコジョーズが近所迷惑になる原因

ここでは、なぜ高効率でエコなはずの給湯器が、ご近所トラブルの火種になってしまうのか、その根本的な原因を掘り下げていきます。
単なる感情論ではなく、物理的・化学的なメカニズムを知ることで、納得感のある対策が見えてくるはずですよ。
急増する普及率とトラブル背景
最近、街を歩いていると新しいお家の給湯器はほとんどがエコジョーズになっていることに気づきませんか?
実際、メーカーさんの出荷データを見ても、省エネタイプの給湯器が市場を牽引しているのは間違いありません。2024年のデータではガス・石油機器市場は4,000億円規模に達していて、まさに国策レベルで普及が進んでいるんです。
これだけ普及しているということは、それだけ多くの住宅に設置されているということ。日本の住宅事情、特に都市部は隣のお家との距離がとっても近いですよね。そこに、従来型とは性質の異なる排気を出すエコジョーズが増えれば、当然ながら摩擦も起きやすくなります。
「昔の給湯器では何も言われなかったのに、新しくしたら苦情が来た」というケースが後を絶たないのは、製品が悪くなったわけではなく、設置環境と製品特性のミスマッチが原因なんです。
便利さの裏側に潜むリスクを、まずはしっかりと直視することが大切ですね。
設置後に後悔しないための事前知識
「こんなことになるなら、普通の給湯器にしておけばよかった…」そんな風に後悔されているお客様の声を、残念ながら私も耳にすることがあります。
後悔の多くは、性能への不満ではなく、設置後の予期せぬ近隣トラブルに起因していることがほとんどです。具体的には、「排気」「腐食」「騒音」の3大トラブルですね。
カタログには「ガス代がお得!」「CO2削減!」といったメリットが大きく書かれていますが、デメリットや設置リスクについては、小さな文字で書かれていたり、そもそもあまり詳しく説明されなかったりすることも。
販売店としてはメリットを伝えたい気持ちもわかりますが、私としては、リスクも含めて納得して選んでいただきたいなと思うんです。
特に、お隣の家の窓やベランダがすぐ近くにある場合や、アルミ製のフェンスが隣接している場合は要注意。設置してから「知らなかった」では済まされない問題に発展することもあるので、この後の章で詳しく解説するメカニズムを、ぜひ頭の片隅に入れておいてください。
排気トラブルによる白煙や湿気の影響

冬場の寒い日、エコジョーズの排気口からモクモクと白い煙が出ているのを見たことはありませんか?
あれは煙ではなく、実は「水蒸気」なんです。
従来型の給湯器は排気温度が約200℃と高温だったため、水分は気体のまま空高く飛んでいっていました。ところが、エコジョーズはその熱を再利用して、排気温度を50℃〜60℃くらいまで下げています。
これ自体は素晴らしい技術なんですが、温度が下がった排気は、外気に触れるとすぐに冷やされて結露し、大量の白い湯気になってしまうんですね。
この白煙が、お隣の家の窓やベランダを直撃してしまうと大変です。「視界が遮られる」「洗濯物が乾きにくい」「湿気でカビが生えそう」といった苦情に直結します。
特に雨の日や湿度の高い日は、白い湯気がいつまでも滞留してしまい、ご近所さんに不快感を与えてしまうことも。
これは「煙」と誤解されやすいので、「何か燃えているんじゃないか?」と心配されてしまうこともあります。
ただの水蒸気とはいえ、毎日のこととなると精神的なストレスにもなりかねないので、排気の行方には十分な配慮が必要なんです。
酸性の排気ガスでフェンスが腐食する?
ここが一番怖いポイントかもしれません。
エコジョーズの排気ガスに含まれる水分、ただの水だと思っていませんか?
実はこれ、pH3〜4程度の酸性を示します。
(出典:賃貸集合給湯省エネ2025事業「ドレン排水の取扱いについて」)
都市ガスの成分が燃焼すると二酸化炭素や微量の硫黄酸化物が出るのですが、これらが結露水に溶け込むことで酸性になるんです。理科の実験みたいですが、これが金属にとっては大敵なんですよ。
特に被害を受けやすいのが、隣地境界によくある「アルミフェンス」や「アルミサッシ」です。
アルミニウムは表面に酸化被膜があって錆びにくい金属ですが、酸性の排気が当たり続けると、この被膜が壊されてしまいます。その結果、表面に白い斑点のような「白サビ」が発生したり、最悪の場合はボロボロに腐食してしまったりすることも。
「お宅の給湯器のせいでフェンスがダメになった」と弁償問題に発展するケースも少なくありません。一度発生した白サビは普通に洗っても落ちないので、専用の薬剤や研磨が必要になるなど、修復も結構大変なんです。
物損事故になるリスクも
単なる汚れではなく「化学的な腐食」なので、放置するとフェンスや外壁の寿命を縮めてしまいます。お隣の所有物に損害を与えてしまう可能性があることは、十分に認識しておく必要がありますね。
夜中に響く運転音と低周波音のリスク
「音」の問題もデリケートですよね。
エコジョーズは、燃焼のためのファンや、溜まった水を排出するポンプなどが動いています。これらの運転音は、カタログ上の数値(dB)では静かな部類に入るのですが、問題はその「質」にあります。ブーンという唸るような低周波音が含まれる場合があるんです。
低周波音は、壁や窓ガラスを通り抜けやすく、遠くまで届く性質があります。昼間は気にならなくても、周りが静まり返った夜中、特にお風呂の追い焚きや保温で長時間稼働している時に、お隣の寝室に「ブーン…」という音が響いてしまうと、不眠やストレスの原因になりかねません。
人によって音の感じ方は違いますが、一度気になり出すと止まらないのが騒音トラブルの怖いところ。機械的な故障ではなくても、「うるさくて眠れない」という苦情につながることがあるので、設置場所とお隣の寝室の位置関係は、事前にチェックしておきたいポイントです。
集合住宅での低周波音の伝わり方や具体的な防音グッズについては、洗濯機の騒音トラブルと防音対策を詳しく解説した記事も参考になります。
近隣から寄せられる苦情の具体例
修理受付のデータや同僚からの話を聞いていると、実際にどんな苦情が来ているのかが見えてきます。
一番多いのはやはり「湯気(白煙)」に関するものですね。
「毎日窓の外が真っ白で気が滅いる」「洗濯物に湿気がついて困る」といった声です。視覚的なインパクトがあるので、気になりやすいんだと思います。
次に深刻なのが、「フェンスが変色した」「外壁が汚れた」という物損系の苦情です。
これに関しては、「弁償してほしい」という金銭的な要求を含む重いトラブルに発展しやすい傾向があります。
そして「夜中に音が響く」という騒音系。
これらが複合的に絡み合って、「エコジョーズに変えてから迷惑している」という感情的な対立になってしまうことも。
こうした事例を知っておくことは、自分の身を守るためにも非常に重要です。
「うちは大丈夫」と思わずに、リスクを想定しておくことが、円満なご近所付き合いのカギになりますよ。
エコジョーズの近所迷惑を回避する対策

ここまで怖い話ばかりしてしまいましたが、安心してください。これらのトラブルには、ちゃんとした「解決策」があります。
メーカーさんも様々な対策部材を出していますし、設置の工夫次第で回避できることも多いんです。ここからは、具体的な対策方法をご紹介します。
排気口と機器の離隔距離
基本中の基本ですが、まずは「距離」をとることです。
排気口から出た排気が拡散して温度が下がり、酸性度も薄まるだけの十分なスペースがあれば、影響は最小限に抑えられます。一般的には、排気口の正面に可燃物や開口部がある場合、600mm(60cm)以上の距離を確保することが推奨されています。
もし、お隣の家の給気口(換気扇の吸い込み口など)が近くにある場合は、さらに注意が必要です。排気がそのまま吸い込まれてしまうと、一酸化炭素中毒などの深刻な事故につながる恐れがあるからです。
とは言っても、日本の住宅事情では十分な距離を取るのが難しいことも多いですよね。そんな時こそ、次に紹介する「排気カバー」の出番です。
「うちは狭いから無理かも」と諦める前に、まずは物理的な距離がどれくらい取れるか、メジャーで測ってみることから始めてみましょう。
排気カバーやアダプターによる方向変更
距離が取れないなら、排気の「向き」を変えてしまえばいいんです。これが最も確実で効果的な対策になります。
各メーカーから、排気を横や上に逃がすための専用カバーが販売されています。これを使うことで、お隣の窓やフェンスを直撃するのを防ぐことができるんです。
例えば、ノーリツの給湯器なら「側方排気カバー S50」という部材が定番です。これをつけると、排気を左右に逃がすことができます。
また、リンナイなら「WOP-3030」といったアダプタがありますね。
もっと狭い場所で、横にも逃がせない場合は、排気を真上に打ち上げる「上方排気カバー」(リンナイの「WOP-6301-A」など)という最終兵器もあります。
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さらにパロマには、斜め方向に排気できる「HHFA-8E」なんて便利なアダプタも。
これらの部材は数千円〜1万円程度で購入できることが多いので、後々のトラブル解決費用に比べれば安いものです。
DIYで取り付けようとする方もいますが、ネジの締め付けトルクや、給気口を塞がないような注意が必要なので、できれば設置工事の時に業者さんにお願いして付けてもらうのが一番安心ですよ。
| メーカー | 主な製品型番 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| ノーリツ | 側方排気カバー S50 排気カバー C120 |
排気を左右に変更。GT-Cシリーズなどで広く使用される標準的なカバー。 |
| リンナイ | 側方排気アダプタ WOP-3030 上方排気カバー WOP-6301-A |
左右への変更に加え、狭小地向けに真上へ排気するタイプも充実。 |
| パロマ | 排気変更アダプター HHFA-8E | 斜め方向への排気が可能。障害物をピンポイントで避けたい時に便利。 |
防音フェンス等の騒音対策

音のトラブルには、音の出口を塞ぐか、境界で遮断するかの二段構えで対策します。
まず機器側には、「エコピタットパネル」のような制振パネルを本体に取り付ける方法があります。これは磁石やビスで簡単に取り付けられて、振動を抑えてくれるスグレモノです。
そして境界側には、防音性能のあるフェンスを設置するのが効果的です。
LIXILの「防音フェンス すやや」などは、音を遮る構造になっていて、近隣への音漏れを軽減してくれます。
本格的なフェンス工事は費用がかかりますが、DIYで何とかしたいという方には、「防音シート」などを既存のフェンスに取り付ける方法もあります。ただし、見た目や風の影響も考慮する必要があるので、あくまで簡易的な対策として考えるのが良いかもしれません。
夜間の騒音は精神的な苦痛に直結しやすいので、早めのケアが大切です。
エアコンの室外機からの低周波音や振動への対処法については、室外機の設置位置と防振ゴムによる騒音対策を詳しく解説した記事もあわせてチェックしておくと、より具体的なイメージがつかみやすくなります。
環境に応じエコジョーズにするかしないか
ここまで対策を話してきましたが、究極の選択肢として「あえてエコジョーズにしない」という判断も間違いではありません。
確かにガス代は安くなりますが、排気カバーを特注したり、防音工事をしたりして初期費用が跳ね上がってしまっては、元を取るのに何年もかかってしまいます。
また、どうしてもお隣との距離が近すぎて、どんな対策をしても迷惑をかけてしまいそうな場合は、従来型(非エコジョーズ)を選ぶのも立派な配慮です。
最近は従来型でも熱効率の良い機種が出ていますし、初期費用も安く済みます。
「流行りだから」「なんとなくお得そうだから」という理由だけで決めるのではなく、ご自宅の立地環境やお隣との関係性を冷静に見て、トータルコストとリスクを天秤にかけて選ぶのが賢い消費者のあり方かなと思います。
また、各メーカーの特徴や保証内容の違いを事前に押さえておきたい方は、主要4社のガス給湯器メーカーを比較した記事も参考にしてみてください。
信頼できる業者選びと交換できるくん
給湯器の交換は、ただ機械を付け替えれば終わりではありません。
「排気の向きはどうするか」
「配管の腐食対策はできているか」
といった現場判断が非常に重要になります。
だからこそ、知識と経験が豊富な業者さんを選ぶことが、トラブル回避の最大の鍵になります。
私が個人的におすすめしたいのが、ネットでの見積もりが簡単で、施工実績も豊富な「交換できるくん」のようなサービスです。
こういった大手サービスは、過去の膨大な施工事例から「この設置条件ならこの排気カバーが必要」といった提案を的確にしてくれますし、写真だけで見積もりが完結するのも手軽でいいですよね。
もちろん、地元のガス会社さんにお願いするのも安心感がありますが、選択肢の一つとして、ネット完結型のサービスも検討してみる価値は大いにありますよ。
明朗会計で追加費用の心配が少ないのも、主婦としては嬉しいポイントです!
業者選びのチェックポイント
- 排気カバーの提案をきちんとしてくれるか
- 近隣への配慮(工事の挨拶や養生など)があるか
- 設置後のアフターフォローや保証が明確か
エコジョーズの近所迷惑を未然に防ぐ
最後に、万が一トラブルが起きてしまった時や、念のためのメンテナンスについても触れておきますね。
もし、すでにお隣のフェンスに白サビが出てしまっている場合は、早急な対応が必要です。
プロも使う「ボルツ10」や、ホームセンターでも手に入るカンペハピオの「復活洗浄剤 アルミ用」などを使って綺麗に修復してあげましょう。
誠意を持って対応すれば、関係悪化を防げることもあります。
エコジョーズは素晴らしい技術の結晶ですが、使う場所を選ぶ製品でもあります。トラブルの原因は「水」と「酸」と「音」。これらを排気カバーや配置の工夫でコントロールできれば、快適なエコライフが待っています。
ご近所さんへのちょっとした気遣いが、自分自身の快適な生活を守ることにもつながりますから、ぜひ設置前のシミュレーションを大切にしてくださいね。
| トラブルの種類 | 主な原因 | 推奨される解決策・アイテム |
|---|---|---|
| 白煙・湿気 | 排気温度低下による結露(水蒸気) |
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| 腐食・白サビ | 排気の酸性化(pH3〜4) |
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| 騒音・低周波音 | ファンやポンプの振動音 |
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まとめ
エコジョーズ導入の際は、給湯器の性能だけでなく「排気の行方」までセットで考えるのが成功の秘訣です。信頼できる業者さんと相談しながら、ご自宅にぴったりの対策を見つけてくださいね。


