毎日の洗濯で、ついつい洗濯機に洗濯物を詰め込みすぎてしまうことはありませんか?
忙しい日々の中で少しでも洗濯の回数を減らしたいと思うのは自然なことですが、洗濯物の入れすぎは思わぬトラブルを招く可能性があります。
洗濯機から普段とは違う暴れるような異音が聞こえたり、水漏れが発生したりした経験はないでしょうか?
また、洗濯機が回らない状態になったり、焦げ臭いにおいがしたりする場合も、洗濯物の入れすぎが原因かもしれません。
適切な目安を知らずに使い続けると、脱水時にエラーが発生したり、最悪の場合は故障につながったりすることもあります。また洗濯ネットの使い方を間違えても、同様のトラブルが起こる可能性があるんです。
この記事では、洗濯機への適切な洗濯物の量から、トラブルが発生した際の対処法まで、安全で効果的な洗濯機の使い方について詳しく解説します。
洗濯機に入れすぎるとどうなる?トラブルと対策

洗濯機に洗濯物を入れすぎると、様々なトラブルが発生してしまいます。まずは、どのような症状が現れるのか、そして適切な洗濯物の量はどの程度なのかを確認していきましょう。
洗濯物を入れすぎるとどうなる?
洗濯機に洗濯物を詰め込みすぎると、さまざまなトラブルが発生してしまいます。
まず最も大きな問題として、洗浄力の低下が挙げられるでしょう。
洗濯機は水流によって衣類の汚れを落とす仕組みになっています。衣類を詰め込みすぎると、洗濯槽内で衣類が同じ場所から動かなくなり、十分な水流が生まれません。すると、こすり洗いの効果が期待できず、汚れが落ちにくくなってしまうんですね。
また、洗濯物の量が多いと洗剤も規定量より多く入れがちですが、しっかりとすすぎきれない状態になります。柔軟剤や洗剤が洗濯槽に残ってしまい、これが雑菌繁殖の温床となって汚れや臭いの原因を作ってしまうんです。
さらに深刻なのは、洗濯機本体への負担です。規定容量以上の衣類を入れて使用すると、洗濯槽の底にあるパルセーターに大きな負担がかかります。衣類が片寄って洗濯槽のバランスが崩れ、スムーズな回転ができなくなってしまいます。
洗濯機から異音がしたり、エラー表示が出て停止してしまったりする場合、洗濯物の入れすぎが原因である可能性が高いでしょう。最悪の場合はパルセーターの故障につながり、修理や交換が必要になることもあります。
入れすぎの目安

洗濯機への適切な洗濯物の量を判断するには、洗濯槽の容量を目安にするのが一番分かりやすい方法です。洗濯機に入れられる衣類の容量は、70%までがベストとされています。
なので洗濯槽を目で見て7割程度に抑えることが大切です。洗濯槽がいっぱいになるまで詰め込んでしまうと、洗濯機が上手に回らない可能性があるので注意が必要なんですね。
洗濯機のサイズは洗濯物の重さでも表示されていますが、季節によって衣類の重さは大きく異なります。一日当たりのひとり分の洗濯物は約1.5キログラムといわれていますが、重さだけで判断するのは意外と難しいものです。
例えば、容量7キログラムの洗濯機で4人家族の洗濯物をまとめて洗うと、洗濯機に対して洗濯物が多くなってしまう可能性があります。一般的には「人数×1.6キログラム」が1日あたりの目安とされていますが、毛布やシーツなどの大物を洗う場合は、目安よりも大きめのサイズを選ぶことをおすすめします。
私もお客様から「どのくらい入れていいのか分からない」というご相談をよくいただきます。迷った時は、洗濯槽の8割が埋まる程度を上限として考えていただくと良いでしょう。
洗えてない状態になる
洗濯物を入れすぎた場合の最も分かりやすい症状が、汚れがじゅうぶんに落ちない状態です。洗濯機は縦型なら底についている回転羽根の攪拌による「もみ洗い」、ドラム式なら衣服を持ち上げて上から落とす「たたき洗い」で汚れを落とします。
どちらの場合でも、適度なスペースがないとうまく洗浄できません。洗濯物をぎゅうぎゅう詰めにしてしまうと、特に皮脂汚れや食べこぼしなどの頑固な汚れが落ちにくくなってしまいます。
衣類に付着した汗や皮脂などの汚れが残ると、黄ばみや黒ずみの原因となります。「洗濯物がなんだか臭う」と感じる場合、皮脂が洗濯物に残っている可能性が高いでしょう。部屋干しで臭いが出やすいケースも、洗濯機への入れすぎが原因かもしれません。
汚れが落ちないことは、雑菌の繁殖にもつながります。洗濯は衣類をきれいにするために行っているのに、雑菌を繁殖させてしまっては本末転倒ですよね。
雑菌が繁殖すると、いわゆる「生乾き臭」と呼ばれる嫌な臭いが発生します。一度付着した生乾き臭はなかなか取ることができないため、洗濯物の詰め込みすぎは控えた方が良いでしょう。
暴れる音がする

洗濯機から「ガタガタ」という大きな音が聞こえる場合、洗濯物の入れすぎが原因である可能性が高いです。特に脱水時の音が大きくなることが多く、近隣への迷惑も心配になってしまいますね。
洗濯物の量が多いと、縦型洗濯機の場合は重みでパルセーターが正常に動かず、脱水ができなくなる場合があります。パルセーター自体は動作したとしても、洗濯物の量が多く重心が片寄ってしまうと、脱水がうまくいかなくなってしまうんです。
布団や毛布、クッションなど厚手のものは、水を吸うとかなり重くなります。脱水の際は重い洗濯物に遠心力が強くかかった状態で洗濯槽内が回るため、洗濯機全体の回転がぶれてガタガタと振動しながら大きな音を立てます。
バスタオルやシーツなどの大物と、ハンカチや下着などの小物を一緒に洗う場合も要注意です。洗濯時に大きな洗濯物が小物を包み込んでしまい、ばらけないことで洗濯機内の重さが均等にならないことがあります。
衣類が一部分に片寄っていると、洗濯槽のバランスが悪くなって異常音や振動が発生してしまいます。運転を一時停止して、衣類をできるだけ均等に、平らになるようにほぐすことで改善される場合が多いでしょう。
最悪の場合、洗濯機の故障につながったり、洗濯機自体が横転する可能性もあり非常に危険です。異常な音がしたら早めに対処することが大切ですね。
故障のもと?

洗濯物の入れすぎは、確実に洗濯機の故障リスクを高めます。規定容量以上の洗濯物を詰め込むと、洗濯槽や回転羽根に余計な負担がかかり、故障や不具合を起こす可能性が高くなるんです。
先ほどの話と重複しますが、特に問題となるのがパルセーターへの負荷です。パルセーターは洗濯物をかき混ぜる重要なパーツですが、非常に高速で回転するため大きな負荷がかかりやすい部分でもあります。中央部分の歯車状になっている箇所が徐々に摩耗し、軸とかみ合わずに回転しなくなることで水漏れの原因にもなります。
縦型洗濯機は下の部分が回るように作られているため、衣類が多すぎるとこの部分に負担がかかってしまいます。結果として「洗濯機から水漏れがする」「洗濯機が回らなくなった」などの故障につながるため注意が必要です。
洗濯機の軸が歪むと、回転が不安定になってガタガタといった騒音や振動が増加します。洗濯機の軸が歪んでいると、洗濯物にもかなりのストレスがかかり、洗濯物自体に被害を及ぼす可能性もあるでしょう。
洗濯機は高価な家電機器です。少しでも長く使い続けるためにも、正しい洗濯物の量を心がけることが重要ですね。修理費用も決して安くはありません。縦型洗濯機の場合、回転しない故障で10,000~60,000円、ドラム式洗濯機では6,000~80,000円程度の修理費用がかかることもあります。
洗濯機の入れすぎを防ぐ正しい使い方

洗濯機のトラブルを未然に防ぐためには、正しい使い方を身につけることが大切です。
ここからは、水漏れや故障のリスクを避けながら効果的に洗濯するための方法をご紹介します。
水漏れのリスク
洗濯物の入れすぎは、水漏れの原因にもなってしまいます。脱水時の振動により、排水ホースがゆるんだり外れかかったりすることで水漏れが起こるケースが多いんです。特に排水ホースを延長している場合はゆるみやすいため注意が必要でしょう。
排水ホースや排水口にゴミが溜まっているとうまく排水できなくなり、洗濯槽と脱水槽の間に水が残ってしまいます。そうなると脱水槽の回転バランスが崩れて振動や音が大きくなり、さらなる水漏れリスクを招いてしまうんですね。
また、先ほどもお伝えしたとおりパルセーターの摩耗も水漏れの原因となります。摩耗により劣化したパルセーター本体は修復が難しいため、パーツを取り換える必要があります。パルセーターの交換作業は、部品が手に入れば自分で交換することも可能ですが、細かい作業になるため不安な方はメーカーに依頼することをおすすめします。
洗濯機が水平に設置されていないと、洗濯物が片寄って振動してしまうことがあります。水準器を使って気泡が円の内側に入っているか確認し、気泡が円の内側に入っていない場合は調節脚で高さを調整してください。
水漏れを発見した場合は、すぐに洗濯機の電源を切ってコンセントを外し、蛇口を締めることが大切です。水漏れは汚れによるつまりが原因で起こることが多いので、水漏れしている箇所を突き止めてパーツを外して掃除してみましょう。
洗濯機が回らない・焦げ臭い

洗濯槽に入れた洗濯物が回らない場合、入れすぎによるものが最も多い原因です。容量オーバーになると洗濯物は回らなくなってしまい、場合によっては焦げ臭いにおいがすることもあります。
洗濯機に洗濯物を入れすぎたり、1つの洗濯ネットに詰め込みすぎたりすると、洗濯物が偏ってしまい洗濯槽が回らないことがあります。モーターに過度な負荷がかかることで焦げ臭いにおいが発生する可能性もあるでしょう。
パルセーターの不調も考えられます。パルセーターは洗濯槽の底についている回転翼で、洗濯機の稼働時に回転して水流をつくり洗濯物をかくはんする役割があります。このパーツに負荷がかかりすぎると正常に動作しなくなってしまうんです。
洗濯機のモーターに問題が生じている場合、規則的な音が聞こえることがあります。モーターの経年劣化やベルト、パルセーター部分の不調が原因として考えられるでしょう。
焦げ臭いにおいがする場合は、すぐに洗濯機の使用を停止してください。モーターの過熱が原因である可能性が高く、続けて使用すると火災の危険性もあります。
このような症状が現れた場合は、1回に入れる洗濯物の量を減らし偏りを解消することから始めましょう。洗濯物は洗濯槽の8割が埋まる程度に抑えることが大切です。
入れすぎた時の対処法
洗濯物を入れすぎてしまった場合の対処法をご紹介しますね。まずは慌てずに、洗濯機を一時停止させることから始めましょう。
脱水時に洗濯機から異常な音がしたり、エラー表示が出た場合は、洗濯物の片寄りが原因である可能性が高いです。運転を一時停止し、衣類をできるだけ均等に平らになるようにほぐしてください。衣類をドーナツ状に配置すると脱水しやすくなります。
洗濯物の量そのものが多すぎる場合は、一部を取り出して量を調整しましょう。洗濯槽の7割程度になるまで減らすことがポイントです。取り出した洗濯物は、次回の洗濯で分けて洗うようにしてください。
パナソニック製の洗濯機では、脱水時に衣類の片寄りがあると自動的に給水・すすぎを行って衣類の位置を変える補正運転を行います。連続して3回補正運転を行っても改善されない場合は「U13」のエラーが表示されるんです。
この場合も同様に、洗濯物を取り出して量を調整したり、均等に配置し直したりすることで解決できます。また、洗濯機が水平に設置されているかも確認してみてください。
排水の流れが悪い場合も脱水エラーの原因となります。排水口や排水ホースにゴミが詰まっていないか確認し、必要に応じて掃除を行いましょう。排水口は年に2回程度の定期的なお手入れが推奨されています。
脱水でも入れすぎはダメ?

脱水時の入れすぎも、洗濯時と同様に様々な問題を引き起こします。脱水は洗濯槽の高速回転によって洗濯物の水分を飛ばす仕組みのため、洗濯槽内の洗濯物が遠心力によって片寄ってしまいやすいんです。
洗濯物が片寄ってしまうと、洗濯槽の回転が激しさを増し洗濯機そのものが大きく揺れてしまいます。場合によっては転倒してしまう恐れもあり非常に危険です。このような事故を防ぐため、洗濯機には異常な振動を検知する機能が付いており、検知に引っかかると脱水が止まる仕組みになっています。
ドラム式洗濯機の場合、逆にバスタオル1枚だけなど少ない量だと偏心して脱水がうまく立ち上がらなかったり、振動の原因になったりします。適量を守ることが大切ですね。
レインコートやウィンドブレーカー、おねしょシーツなど防水性のあるものは、洗濯機の脱水モードと非常に相性が悪いです。脱水時に洗濯槽内に広がるとうまく脱水できずに水が溜まり、そこだけ重くなってしまいます。
防水性のあるものや水を多く吸収するクッションなどは脱水時に片寄りやすいため注意が必要です。座布団・クッション・枕類、防水性のシートや衣類、大型や厚手のマット類・カーペットカバー、紙おむつなどは脱水時に大きな振動が発生したり故障の原因になったりするため洗濯できません。
脱水時にすすぎ運転に戻ってしまう場合は、洗濯槽内の衣類が片寄っている証拠です。一回の補正運転で改善されない場合は、一度運転を停止して洗濯物をならすようにしましょう。
洗濯ネットの入れすぎも要注意

洗濯ネットに衣類を詰め込みすぎることも、洗濯機のトラブルの原因となります。たくさんの衣類を詰め込んだ洗濯ネットを洗濯槽に入れると、片寄りが発生しやすくなり故障のリスクが高まってしまうんです。
洗濯ネットを使用する際は、サイズの合わないものを使ったり、なんでもかんでもまとめて入れすぎたりしないよう注意が必要です。脱水の際に洗濯物がかたより、ガタガタとうるさい音がする原因にもなります。
洗濯ネットは本来、形が崩れやすいデリケートな衣類や、面ファスナーやフックなどの金具付きの衣類を保護するために使用するものです。ドラム式の場合はドアのゴムパッキンに挟まってしまうことがあるため、靴下のような小さな衣類にも洗濯ネットの使用をおすすめします。
ただし、便利だからとすべての洗濯物をネットに入れてしまうと、脱水時に片寄る原因になりかねません。ネットに入れる物を吟味することがコツです。
洗濯ネットを使用する際は、1つのネットに対して衣類は1〜2枚程度に留めておくのが理想的でしょう。複数枚を入れる場合も、ネットの中で衣類が自由に動けるくらいの余裕を持たせることが大切です。
また、洗濯ネットのサイズは衣類に適したものを選びましょう。大きすぎるネットに小さな衣類を入れると、ネットの中で衣類が偏ってしまい本来の効果が期待できません。逆に小さすぎるネットに無理やり詰め込むのも、衣類を傷める原因となってしまいます。
洗濯ネットを効果的に使用することで、衣類のダメージを防ぎながら安全に洗濯できます。しかし、使い方を間違えると洗濯機のトラブルにつながるため、適切な使用方法を心がけてくださいね。
総括:洗濯機に入れすぎが原因の故障を防ぐ
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。