洗濯機の嫌なニオイやカビが気になるけれど、専用の洗濯槽クリーナーを買いに行く時間がない。
そんな経験はありませんか?
実は、お家にあるキッチンハイターが洗濯槽クリーナーの代わりに使えるという話を聞いたことがある方も多いはず。でも同時に、洗濯機が壊れるんじゃないかと心配になりますよね?
私も家電量販店で働いていると、お客様から「キッチンハイターで洗濯機を掃除しても大丈夫?」「使い方や量はどれくらい?」といった質問をよくいただきます。確かに、正しい知識なしに使ってしまうと、思わぬトラブルを招く可能性もあるんです。
しかし正しい方法で使用すれば、洗濯槽の奥に潜むカビはもちろん、見落としがちなゴミ取りネットやゴムパッキンのカビ取りにも活用できるキッチンハイター。つけおき時間や適切な濃度を守れば、コスパ良く洗濯機をピカピカにできるんですよ。
この記事では、キッチンハイターを使った洗濯機掃除の正しい手順から、絶対に知っておくべき注意点、さらにはメーカーの見解まで、家電のプロ目線で詳しく解説していきます。安全に、そして効果的に洗濯機をお手入れするための情報が、この記事にすべて詰まっています。
キッチンハイターを使った洗濯機の掃除方法

- 洗濯槽クリーナーの代わりにハイターで掃除
- 効果的なつけおきの時間と手順
- 正しい使い方とハイターの量
- ゴミ取りネットの掃除にも活用可能
- 気になるゴムパッキンのカビ取り
- 掃除後のすすぎは念入りに
まずは、実際にキッチンハイターを使って洗濯機をキレイにする方法から見ていきましょう。専用のクリーナーがなくても、お家にあるもので手軽にできるのが嬉しいポイントですよね。
ただし、やり方を間違えると効果が半減してしまうこともあるので、正しい手順をしっかり確認していきましょう。
洗濯槽クリーナーの代わりにハイターで掃除
市販の洗濯槽クリーナーが手元にないとき、キッチンハイターで代用することができます。私もお客様から「クリーナーがうちに無いんだけど、何かいい方法ない?」と聞かれることがありますが、そんな時にお話しするのがこの方法なんです。
キッチンハイターの主成分は「次亜塩素酸ナトリウム」というもので、これは多くの洗濯槽クリーナー(塩素系)にも含まれている成分。カビを分解して除去する強力な殺菌効果が期待できるんですね。
一番のメリットは、なんといってもコストパフォーマンスの高さじゃないでしょうか。専用のクリーナーは千円を超える商品も多いですが、キッチンハイターなら数百円で手に入ることが多いので、定期的にお手入れしたい方にとっては経済的で嬉しいですよね。
ただし、本来は台所用品の漂白・除菌に使うものなので、洗濯槽への使用はメーカーが推奨しているわけではありません。あくまでも「用途外使用」になるので、試す場合は自己責任で、というのが大前提になります。
この点はしっかり覚えておいてくださいね。
衣類用ハイターとの違いは?
同じ花王製品の「ハイター」には衣類用もありますが、キッチンハイターとの大きな違いは「界面活性剤」の有無です。
キッチンハイターにはこの界面活性剤が含まれているため泡立ちやすく、その泡が汚れに密着して効果を発揮します。一方、この泡立ちが洗濯機にとってはトラブルの原因になる可能性もあるんです。このあたりは後ほど詳しく解説しますね。
「じゃあ、どっちがいいの?」と迷うかもしれませんが、まずはキッチンハイターが使えるという点を押さえておきましょう。
それでは、具体的な掃除の手順に進みますね。
効果的なつけおきの時間と手順
キッチンハイターで洗濯槽を掃除する上で一番大切なのが「つけおき」です。成分をじっくり浸透させることで、見えない裏側のカビまでしっかり分解してくれますよ。
手順はとっても簡単なので、一緒に見ていきましょう。
つけおきしている間に、洗濯機のフタや周りの拭き掃除を済ませておくと、効率的でいいですよね。私もいつもそうしています。

正しい使い方とハイターの量
洗浄効果を最大限に引き出し、かつ安全に掃除するために、キッチンハイターの正しい使い方と量を知っておくことはとても重要です。多ければ多いほどキレイになる、というわけではないので注意が必要ですね。
一般的な目安として推奨されているのは、「水10Lに対して、キッチンハイターを約50ml」です。多くの縦型洗濯機は満水時で50L〜70L程度の水量なので、洗濯機の取扱説明書でご自宅の機種の水量を確認してみてください。
洗濯機の水量 | キッチンハイターの量(目安) |
---|---|
50L | 約250ml |
60L | 約300ml |
70L | 約350ml |
キッチンハイターのキャップは1杯あたり約25mlなので、例えば50Lならキャップ10杯分くらいですね。計量が面倒な方は、600mlのボトルなら半分くらい、と覚えておくと便利かもしれません。
入れすぎは絶対にNG!
「汚れをしっかり落としたいから」と、規定量より多く入れるのは避けてください。濃度が高すぎると、洗濯槽のステンレス部分やゴムパッキンを傷めてしまう可能性があります。
また、すすぎきれずに成分が残ってしまうと、次に洗う衣類の色落ちや肌トラブルの原因にもなりかねません。必ず適量を守ることが大切です。
ちなみに、花王の公式サイトでは、キッチンハイターの洗濯槽への使用方法は明記されていません。あくまでも自己責任の範囲で行う方法として、この目安量を参考にしてくださいね。
ゴミ取りネットの掃除にも活用可能

洗濯槽の掃除とあわせて、ぜひお手入れしてほしいのが「ゴミ取りネット(糸くずフィルター)」です。ここは常に湿っていて、糸くずや洗剤カスが溜まるのでカビや雑菌が繁殖しやすい場所なんです。
ここが汚れていると、せっかく洗濯槽をキレイにしても洗濯物に汚れが再付着してしまう原因になります。お手入れは、「キッチン泡ハイター」を使うととっても簡単ですよ。

汚れがひどい場合は、洗面器などにぬるま湯をはり、液体タイプのキッチンハイターを少し溶かして30分ほどつけおきするのも効果的です。つけおき後、ブラシでこすれば頑固な汚れもスッキリ落ちますよ。
ゴミ取りネットは、できれば洗濯のたびにゴミを捨て、月に1回はこのようにお手入れするのが理想ですね。清潔なネットを保つことで洗濯物への汚れ移りを防げます。
気になるゴムパッキンのカビ取り
特にドラム式洗濯機をお使いの方が気になるのが、ドアのフチにある「ゴムパッキン」のカビですよね。この部分は水が溜まりやすくホコリも付きやすいので、黒カビが発生しやすいんです。
この部分的なカビ取りにもキッチンハイターは活躍してくれます。ただし洗濯槽全体を洗浄するのとは少し違うアプローチが必要です。
この方法は少し手間がかかりますが、ピンポイントでカビを狙い撃ちできるので効果的ですよ。ジェルタイプのカビ取り剤を使うのも一つの手ですね。
一番の予防策は、洗濯が終わるたびにゴムパッキンの内側の水分をサッと拭き取っておくことです。日々のちょっとした習慣で、カビの発生をかなり抑えることができますよ。

掃除後のすすぎは念入りに
キッチンハイターで洗濯槽の掃除をした後、実は一番と言っていいほど大切なのが「すすぎ」の工程です。塩素系の成分が洗濯槽に残っていると、さまざまなトラブルの原因になってしまう可能性があるんです。
私がお客様にこのお掃除方法をお伝えするときは、「最後のすすぎは、これでもかというくらい念入りにしてくださいね」と必ず付け加えています。
なぜ、念入りなすすぎが必要かというと、理由は大きく2つあります。
少し時間に余裕があるなら、掃除が終わった後に、もう一度高水位で「すすぎ」と「脱水」を行うのが最も確実でおすすめです。
せっかく洗濯槽をキレイにしたのですから、最後の仕上げまでしっかり行って、気持ちよく毎日のお洗濯をしたいですね。
キッチンハイターで洗濯機を掃除する注意点

- キッチンハイターで洗濯機は壊れる?
- 衣類用ハイターとの違いは成分
- ワイドハイターは洗濯槽洗浄に不向き
- ドラム式洗濯機には使えない?
- 酸性洗剤との混合は絶対にNG
- メーカーは使用を推奨している?
さて、ここまで具体的な掃除方法を見てきましたが、ここからはさらに重要な「注意点」についてです。
手軽で効果的な方法ではありますが、やはり用途外の使用にはリスクも伴います。安全に、そして洗濯機を長く大切に使うためにも、これからお話しするポイントは必ず押さえておいてくださいね。
キッチンハイターで洗濯機は壊れる?
「キッチンハイターで洗濯機が壊れるって本当?」これは、皆さんが一番心配される点じゃないでしょうか。
結論から言うと、「壊れる可能性はゼロではない」というのが正直なところです。
主な原因として考えられるのは、キッチンハイターに含まれる「界面活性剤」による過剰な泡立ちです。洗濯槽の洗浄中に泡が立ちすぎると、センサーが誤作動を起こして運転が止まってしまったり、ひどい場合には洗濯槽の外に泡が溢れ出て、内部の電子部品にかかって故障につながる…なんてことも考えられます。
また、塩素系漂白剤は強力なため、長期間にわたって高頻度で使用したり、規定より濃い濃度で使ったりすると、洗濯槽のステンレス部分やゴム製の部品を傷め、劣化を早めてしまう可能性も指摘されています。
実際に「キッチンハイターを使ったらすぐに壊れた」という話はあまり聞きませんが、リスクがあることは事実です。もし試される場合は、「何かあっても自己責任」ということを念頭に置き、洗濯機の様子をよく観察しながら、慎重に行ってくださいね。
少しでも不安な方は、やはりメーカー純正品や市販の洗濯槽専用クリーナーを使うのが一番安心だと思います。

衣類用ハイターとの違いは成分
「キッチンハイターがダメなら、衣類用のハイターならいいの?」という疑問もよくいただきます。同じ「ハイター」という名前ですが、実は成分に少し違いがあるんです。
一番大きな違いは、先ほどもお伝えした「界面活性剤」が入っているかどうかです。キッチンハイターは、食器やまな板の汚れに泡が密着して効果を発揮するように、この界面活性剤が配合されています。一方で、衣類用のハイターには基本的に入っていません。
それぞれの成分を簡単な表にまとめてみました。
種類 | 主成分 | 特徴的な成分 | 洗濯槽掃除での懸念点 |
---|---|---|---|
キッチンハイター | 次亜塩素酸ナトリウム | 界面活性剤、水酸化ナトリウム | 過剰な泡立ちによる故障リスク |
衣類用ハイター | 次亜塩素酸ナトリウム | アルカリ剤 | 泡立ちが少なく、比較的リスクが低い |
このため、一部の洗濯機メーカー(パナソニックや日立など)では、「衣類用の塩素系漂白剤」を使ったお手入れを推奨している場合があります。キッチンハイターに比べて泡立ちが少ない分、故障のリスクは低いと考えられるからですね。
もし、ハイター類で洗濯槽掃除をするのであれば、キッチン用よりも衣類用のハイターを選ぶ方が、より安全に近い選択と言えるかもしれません。ただし、これも使用前には必ずご自宅の洗濯機の取扱説明書を確認してくださいね。
ワイドハイターは洗濯槽洗浄に不向き
衣類用の漂白剤というと、「ワイドハイター」を思い浮かべる方も多いと思います。「これも使えるの?」と聞かれることがあるのですが、残念ながらワイドハイターは洗濯槽の本格的なカビ取り掃除には不向きなんです。
その理由は、漂白剤の種類が根本的に違うから。キッチンハイターや衣類用ハイターが「塩素系漂白剤」なのに対して、ワイドハイターは「酸素系漂白剤」に分類されます。
酸素系漂白剤は、発泡作用で汚れを剥がし落とすため、洗濯槽の裏側にこびりついた大量のカビを一度に剥がしてしまい、それがフィルターに詰まったり、すすぎきれずに洗濯物に付着したりすることがあります。
一方で、一部のワイドハイター製品には「洗濯槽の防カビ」効果が記載されているものもあります。これは、あくまで普段のお洗濯に使うことで「カビを予防する」という補助的な役割です。既に発生してしまった頑固な黒カビを落とすほどの洗浄力は期待できない、と理解しておくのが良いでしょう。
「ごっそり取れる」というイメージから酸素系クリーナーを選ぶ方もいますが、後の処理が結構大変だったりするので、カビを「溶かしてなくす」塩素系の方が、実は手軽だったりするんですよね。
ドラム式洗濯機には使えない?

縦型洗濯機に比べて、ドラム式洗濯機は構造が複雑なため、キッチンハイターの使用はさらに慎重になるべき、というのが私の考えです。
ドラム式洗濯機にキッチンハイターをおすすめしにくい理由は、主に2つあります。
お店でも、ドラム式をお使いのお客様には、必ずメーカー指定の専用クリーナーを使うようにお願いしています。構造がデリケートなので、安全第一で考えてあげてくださいね。
特に、最近の高性能なドラム式洗濯機は精密なセンサーを多数搭載しています。万が一の故障を防ぐためにも、ドラム式洗濯機へのキッチンハイターの使用は避けて、取扱説明書に従ったお手入れを心がけるのが賢明だと思います。
酸性洗剤との混合は絶対にNG
これは洗濯槽掃除に限らず、塩素系漂白剤を使う上で最も重要な注意点です。キッチンハイターなどの塩素系漂白剤は、絶対に「酸性タイプ」の製品と混ぜないでください。
【混ぜるな危険】有毒な塩素ガスが発生します!
塩素系漂白剤と酸性洗剤が混ざると、化学反応を起こして人体に極めて有害な「塩素ガス」が発生します。このガスを吸い込むと、呼吸器系に深刻なダメージを受け、最悪の場合、命に関わることもあります。お掃除の際は、他の洗剤と混ざらないよう、細心の注意を払ってください。
「酸性タイプの製品」とは、具体的にはお酢やクエン酸、一部のトイレ用洗剤などが該当します。「ナチュラルクリーニングでクエン酸を使った後に、カビ取りでハイターを…」といった使い方は非常に危険です。
また、作業中は必ず換気を行うことも忘れないでください。窓を開けたり、換気扇を回したりして、空気の通り道を確保しましょう。そして、原液が皮膚に直接触れないよう、ゴム手袋の着用も必須です。安全に作業するためにも、これらの点は必ず守ってくださいね。
メーカーは使用を推奨している?
ここまでキッチンハイターのリスクについてお話ししてきましたが、「じゃあ、メーカーの公式な見解はどうなの?」と気になりますよね。
結論として、ほとんどの洗濯機メーカーは「キッチンハイター」を洗濯槽の掃除に使うことを推奨していません。繰り返しになりますが、あくまで台所用の洗剤であり、洗濯機での使用は想定されていないからです。
ただし、メーカーによって対応は少しずつ異なります。
このように、メーカーや機種によって推奨されるお手入れ方法は大きく異なります。一番確実で安全なのは、お手持ちの洗濯機の「取扱説明書」をしっかり確認することです。説明書には、推奨されるクリーナーの種類や、正しい槽洗浄コースの使い方が詳しく書かれています。
もし説明書をなくしてしまった場合は、メーカーの公式サイトで型番を検索すれば、電子版を閲覧できることが多いですよ。
手軽さからキッチンハイターを選びたくなる気持ちもよく分かりますが、大切な洗濯機を長く使うためにも、まずはメーカーの推奨する方法を確認するのが一番のおすすめですね。
総括:キッチンハイターで洗濯機を掃除
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。