炊飯器を使っているのに、なぜかご飯がべちゃべちゃになったり、逆に固すぎたりすることはありませんか?
実は、多くの方が見落としがちなのが目盛りの見方なんです。
お米1合は何ccなのか正確に知っていますか?
内釜に2つの線があるとき、どっちを使えばいいのか迷ったことはありませんか?
炊飯器の内釜には、おかゆ用や玄米用など様々な目盛りが刻まれていますが、それぞれの使い分けを理解している人は意外と少ないものです。長年使っていると目盛りが消えて見えない状態になったり、水を入れても目盛りと合わない経験をした方も多いはず。
また、無洗米を炊くときは目盛り以上に水を入れる必要があるのか、赤飯やおこわを作るときはどうすればいいのかなど、疑問は尽きませんよね。
家電量販店で働いていると、こうした炊飯器の基本的な使い方について質問をいただくことがよくあります。実はちょっとしたコツを知るだけで、毎日のご飯が格段に美味しくなるんです。
この記事では、炊飯器の目盛りの正しい見方から、お米の種類別の水加減のコツまで、美味しいご飯を炊くための実践的な知識をお伝えします。
炊飯器の目盛りの見方【基本編】

- まずは正しいお米の量り方
- 基本的な目盛りの見方
- お米1合は何ccが正しい?
- 目盛りが2つあるけどどっち?
- 水平に置いて左右で確認する
- 目盛りが消えた・見えない時の対処法
まずは、美味しいごはんを炊くための「基本」からおさらいしましょう。炊飯器の目盛りを正しく見るためには、その前提となるお米の量り方から大切になってきます。
「当たり前」と思っていることでも、意外な落とし穴があるかもしれませんよ。
まずは正しいお米の量り方
美味しいごはんを炊く第一歩は、「お米を正確に量る」ことです。ここがズレてしまうと、いくら目盛りに正確に水を入れても、水加減が合わなくなってしまいますからね。
ほとんどの炊飯器には、お米専用の計量カップ(通常1合=180ml)が付属していると思います。まず、この付属カップを使うことが大切です。
量り方のポイントは、カップにお米を入れたら、お箸や指などを使って「すりきり」にすることです。山盛りになったまま量ったり、カップを揺すってお米を詰め込んだりするのはNGです。
なぜここまで正確さが求められるかというと、お米の量が多すぎれば水が足りず硬いごはんに、少なすぎれば水が多すぎてべちゃっとしたごはんになってしまうからです。
特に、お米を押さえつけて量ってしまうと、炊飯器が想定している量よりも多くのお米が入ることになります。すると炊きムラができたり、ごはんの底面が焦げすぎたりする原因にもなるんです。
たかが1合、されど1合。
この「すりきり1杯」を徹底するだけで、炊き上がりの安定感がぐっと増しますよ。
基本的な目盛りの見方
お米を正しく量れたら、次はいよいよ本題の水加減ですね。
炊飯器の内釜(うちがま)を見ると、たくさんの線と数字が書かれています。
まず確認してほしいのは、「どの目盛りを見るか」です。
内釜には、「白米」「無洗米」「玄米」「おかゆ」など、炊くお米の種類やメニューごとに目盛りが分かれていることがほとんどです。自分が今から炊こうとしているお米の種類を確認し、必ず対応した目盛りに合わせてください。
例えば、「白米」を3合炊くのであれば、「白米」と書かれたグループにある「3」の線まで水を入れます。とても単純なことのように思えますが、急いでいると間違えやすいポイントでもあります。
この目盛りは、各メーカーがその炊飯器で最も美味しく炊けると研究し尽くした「黄金バランス」なんです。ですから、基本的にはこの目盛りにぴったり合わせることが、失敗しない一番の近道ですね。
お米1合は何ccが正しい?
ここでよくある質問が、「お米1合って、結局何cc(ml)なんですか?」というものです。
答えは、「お米1合 = 約180ml(cc)」です。
この「180ml」という単位は、昔使われていた「升(しょう)」に由来していて、今でもお米を量る独自の単位として使われ続けているんですね。
ここで注意したいのが、お料理で使う計量カップ(200ml)と間違えないことです。
もし、炊飯器付属の180mlカップをなくしてしまい、お料理用の200mlカップで「すりきり1杯」を量ってしまうと、1合(180ml)よりもお米の量が多くなってしまいます。(200ml入ってしまいますからね)
その状態(お米が多い状態)で内釜の「1合」の目盛りに水を入れると、お米に対して水が足りないことになり、固くて芯が残ったようなごはんになってしまうんです。
豆知識:お米1合と水の量の関係
お米1合(180ml)は約150gです。これに対して、美味しく炊くために必要な水の量は約200ml前後(お米の容量の約1.1~1.2倍)とされています。
炊飯器の内釜の目盛りも、この「1合(180ml)のお米に対して約200mlの水」という比率をベースに調整されています。ですから、お米は180mlカップ、水は内釜の目盛り、と覚えておくのが一番簡単ですね。
付属カップをなくした場合は、100円ショップなどでもお米専用(180ml)のカップが売っていますので、一つ用意しておくことをおすすめします。
目盛りが2つあるけどどっち?

「内釜を見たら、目盛りがたくさんあって、どっちを見たらいいか分かりません!」
これも、お客様からよくいただくご質問です。最近の炊飯器は多機能なので、目盛りが複雑になっていることもありますよね。
先ほどもお伝えしたように、目盛りは基本的に炊くお米の種類で分かれています。
例えば、以下のように線が引かれていませんか?
これらは、それぞれのお米の特性や炊き方に合わせて、必要な水の量が違うために設けられています。
例えば、「無洗米」は、とぎ洗いしない分、ぬかが取れており、同じ1合カップでもお米の粒が(白米より)多く入ります。そのため、白米と同じ目盛りで炊くと水が足りなくなりがちなんです。だから、無洗米専用の目盛りが用意されているんですね。
炊きこみごはん用の目盛りも、具材や調味料から出る水分を考慮して、通常の白米より少なめに設定されています。
まずは、自分が炊くメニュー(お米の種類)を確認し、それに対応する目盛りを探すこと。これが正解です。
「白米」を炊くなら、他の目盛りは無視して「白米」の線だけを見てくださいね。
水平に置いて左右で確認する
さあ、お米も量ったし、見るべき目盛りも分かりました。いよいよ水を入れます。
ここで、とっっっても大事なポイントがあります。それは、「内釜を水平な場所に置く」ことです。
炊飯器本体に内釜を入れたまま水を入れる方も多いと思うのですが、もし炊飯器を置いている場所(ワゴンや棚)が少しでも傾いていたらどうなるでしょう?
当然、水位も斜めになってしまい、正確な水加減ができなくなってしまいますよね。
おすすめなのは、一度内釜を取り出して、キッチンの平らな台の上で水を入れることです。そして、水を入れる際は、目盛りを真横から見てください。上から覗き込むように見ると、視差で水位がズレて見えることがあります。
左右の目盛りで最終チェック!
多くの炊飯器の内釜には、左右(対角線上)の2ヶ所、あるいは複数箇所に目盛りが付いています。これは、傾きをチェックするためでもあるんです。
水を入れたら、左右両方の目盛りを見て、水位がぴったり合っているか確認しましょう。
もしズレているようなら、内釜が傾いているか、中のお米が平らにならされていない証拠です。お米を優しく手でならして、再度確認してみてください。
このひと手間で、炊きムラのない美味しいごはんに近づきますよ。
目盛りが消えた・見えない時の対処法
「長年使っている炊飯器で、内釜の目盛りがこすれて消えちゃった…」
これは結構大変ですよね。
でも、あきらめるのはまだ早いです。対処法はありますよ。
対処法1:計量カップで水を直接量る
目盛りが使えない以上、一番正確なのは計量カップでお水も量ってしまう方法です。
ここでポイントになるのが、「お米1合(180ml)に対して、必要な水は約200ml」という目安量です。
もし、お米を量った付属のカップ(180ml)でお水も量ろうとすると、「1杯(180ml)と、あともう少し(約20ml)」という面倒な作業になってしまいます。
ですから、もしお料理用の計量カップ(200ml)がお手元にあれば、それを使うのが一番簡単です。「お米1合(付属の180mlカップですりきり)につき、お料理用カップ(200ml)で水1杯(=200ml)」と覚えておけば、ほぼ目盛り通りの水加減になりますよ。
ただし、これはあくまで「白米」の目安です。無洗米なら水を少し多めに(1合あたり220~230ml)、新米なら少なめに(1合あたり190ml)するなど、微調整が必要になります。
対処法2:手や指で量る(緊急避難的)
昔から言われている方法ですが、計量カップすらない!という時の裏ワザです。
内釜にお米を入れ、平らにならした後、そっと手のひらをお米の上に乗せます。そして、「手首のいちばん太い骨のあたり」まで水を入れる、という方法です。(※個人差があります)
または、お米の表面に中指を垂直に立てて、「指の第一関節」あたりまで水を入れる、という方法もあります。
この手や指で量る方法は、お米の量(2合でも5合でも)にかかわらず、お米の表面からの「深さ」で見るため、ある程度は対応できます。ただし、手の大きさや指の長さには個人差がありますし、あくまでも目安です。「いつもの炊き上がりと違うな」と感じたら、微調整してみてくださいね。
一番良いのは、やはり目盛りが消える前に内釜を買い替えるか、炊飯器本体の買い替えを検討することかもしれませんね(笑)
炊飯器の目盛りの見方【応用編】

- 水位線と目盛りが合わない原因
- 固め・柔らかめの水加減
- 無洗米は目盛り以上に入れる?
- 新米を炊くときの水加減
- おかゆモードの水加減
- 玄米を炊く時の水加減
- 赤飯やおこわを炊く場合
基本が分かったところで、ここからは応用編です。
「目盛り通りに炊いているのに、なんだか好みの味にならない…」そんなお悩みや、白米以外を炊くときのポイントを解説していきますね。
水位線と目盛りが合わない原因
「目盛り通りに水を入れたはずなのに、炊き上がりがいつもおかしい…」
その場合、水を入れる前の段階、つまり「基本編」でお話ししたどこかのプロセスに原因が隠れている可能性が高いです。
主な原因を3つ、おさらいしてみましょう。
「全部ちゃんとやっているはずなのに!」という場合は、お米自体の特性(古米で乾燥しているなど)も考えられますが、まずはこの基本の3ポイントを見直してみてください。ほとんどの場合、これで解決するはずですよ。
固め・柔らかめの水加減
「うちはカレーライスが多いから固めが好き」
「家族がお年寄りだから柔らかめがいい」
など、ご家庭によってごはんの好みは様々ですよね。
炊飯器の目盛りはあくまで「標準」です。ここからお好みに合わせて微調整することは、もちろん可能です。
目安としては、目盛りの線から上下に1~2mmの範囲、または「1合分の目盛りの高さの1/3の範囲内」で調整するのがおすすめです。
| 炊き上がりの好み | 水の調整(目安) |
|---|---|
| 固めにしたい時 | 目盛りの線よりやや少なく(1~2mm程度)する |
| 柔らかめにしたい時 | 目盛りの線よりやや多く(1~2mm程度)する |
水の入れすぎ・減らしすぎに注意!
「柔らかめが好きだから」といって、水を大量に入れすぎると、お米がうまく対流できず、べちゃべちゃで芯が残るような炊き上がりになったり、吹きこぼれの原因になったりします。
逆に減らしすぎも、焦げつきや炊きムラの原因になります。各メーカーが推奨している調整範囲(取扱説明書に記載がある場合も)を守って、少しずつ試してみるのが一番ですね。
無洗米は目盛り以上に入れる?
無洗米、とっても便利ですよね。
とぎ洗い不要で、お水も節約できます。
さて、この無洗米の水加減ですが、「無洗米専用の目盛りがあるか」で対応が変わります。
そのため、「白米」の目盛りに合わせた水では、少し足りないんです。
無洗米(目盛りなし)の水加減
目安として、「白米」の目盛りよりも、お米1合あたり大さじ1~2杯程度(15~30ml)お水を多く入れます。
または、無洗米専用の計量カップ(171ml)が付属している場合もあるので、それを使うのも手ですね。
最近の炊飯器には「無洗米」コースが搭載されていることも多いです。このコースを選ぶと、炊き方自体も無洗米に最適化してくれるので、ぜひ活用してみてください。
新米を炊くときの水加減
秋になると出回る新米! ツヤツヤで香りも良くて、本当に美味しいですよね。
新米は、収穫されてから間もないお米なので、お米自体に含まれている水分量が(古米に比べて)多いのが特徴です。
もうお分かりですね?
そうです、いつもと同じ水加減(白米の目盛りぴったり)で炊いてしまうと、水分が多すぎて、少し柔らかめに炊き上がることがあります。
もちろん、その柔らかさが新米の良さでもあるんですが、「いつも通りの固さがいいな」という場合は、白米の目盛りよりもほんの少し(1mm程度)水を減らして炊いてみてください。
ただ、最近は精米技術や保存技術も上がっているので、そこまで神経質にならなくても大丈夫、という声もあります。まずは一度いつもの目盛りで炊いてみて、「ちょっと柔らかいな」と感じたら、次回から少し減らしてみる、というのが賢いやり方かもしれませんね。
おかゆモードの水加減
体調が悪い時や、ちょっと胃を休めたい時に食べたいおかゆ。これも炊飯器で簡単に作れます。
内釜を見ていただくと、「おかゆ」専用の目盛りがあるはずです。しかも、「全がゆ」と「五分がゆ(または七分がゆ)」のように、さらに分かれていることが多いですね。
これはもう、迷うことはありません。
作りたいおかゆの種類の専用目盛り(例えば「全がゆ」の「0.5」合の線など)に、きっちり合わせてください。
「白米」モードでおかゆは炊かないで!
「おかゆモード」は、通常より火力を抑えてゆっくり炊き上げるように設計されています。もし、「白米」モードで無理やりおかゆを炊こうとすると(水をたくさん入れて炊くと)、ほぼ確実に吹きこぼれます!
高温で一気に加熱するため、粘り気のある水分が蒸気口から溢れ出し、炊飯器の故障や火傷の原因にもなりかねません。
必ず「おかゆ」モード(または「おかゆ」コース)を選んで炊いてくださいね。
玄米を炊く時の水加減
健康志向の方に人気の玄米。これも水加減が白米とは全く異なります。
玄米は、白米の表面を覆っている「ぬか層」や「胚芽」がそのまま残っています。この部分は水を吸いにくく、硬いのが特徴です。
そのため、白米よりも多くの水と、長い浸水時間、そして高温での炊飯が必要になります。
内釜に「玄米」専用の目盛りがあれば、必ずそれに従ってください。白米の目盛りと比べると、かなり水位が高いことが分かると思います。(目安として、玄米1合に対し、水の量は1.5倍~1.7倍程度必要とされます)
しっかり吸水させることで、硬い玄米もふっくらと炊き上がりますよ。
赤飯やおこわを炊く場合

お祝い事などで炊く赤飯や、山菜おこわ。これらは「もち米」を使いますよね。
もち米は、私たちが普段食べている「うるち米(白米)」とは、でんぷんの質が異なり、吸水率がうるち米より低いという特徴があります。
「吸水率が低いなら、水を多くするの?」と思ってしまいそうですが、逆なんです。
もち米は炊き上がると粘り気が強く出るため、白米と同じ水加減で炊くとべちゃべちゃになってしまいます。
そのため、内釜に「おこわ」専用の目盛り(または「赤飯」目盛り)があれば、必ずそれに従ってください。白米の目盛りよりも、かなり水量が少なく設定されているはずです。
目安として、もち米1合(180ml)に対し、水も同量(180ml)、つまり「もち米:水 = 1:1」が基本とされています。「おこわ」目盛りも、これに近い比率で設定されていることが多いですね。
炊き込みおこわなどで調味料(醤油やお酒)を入れる場合は、その調味料も水分として計算し、全体の水量を「おこわ」の目盛りから超えないように調整するのがコツですよ。
総括:炊飯器の目盛りを正しく理解
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。



