お風呂場のしつこい黒カビ、気になりませんか?
話題の高圧洗浄機を使ったカビ取りですが、「本当に効果があるの?」「床や排水口に使っても大丈夫?」といった疑問も多いはずです。
メリットとデメリットをしっかり理解し、スチームクリーナーとの違いや水垢への効果も把握した上で、ご自宅のお風呂掃除に活かせるか判断したいですよね。
この記事では、高圧洗浄機による風呂場のカビ取りについて、基本から応用まで詳しく解説します。
高圧洗浄機で風呂場のカビ取り|基本と注意点

ここでは、高圧洗浄機を風呂場のカビ取りに使う上での基本的な知識と、特に注意すべき点について解説します。
メリットだけでなくデメリットも理解し、安全に使用するための準備を整えましょう。
高圧洗浄機を使うメリット・デメリット
高圧洗浄機をお風呂掃除に使うことには、いくつかの良い点と、注意が必要なポイントがあります。
まずメリットとしては、強い水圧によって、ブラシでは届きにくい細かい溝や、普段あまり掃除しないような場所の汚れまで、効率的に洗い流せる点が挙げられます。
洗剤を使わずに水だけで汚れを落とせる場合もあり、洗剤による手荒れや、すすぎ残しの心配を減らせる可能性もあります。
また、カビやヌメリといった、直接触りたくない汚れにも触れずに掃除できるのは嬉しいポイントでしょう。
一方でデメリットとしては、水の勢いが非常に強いため、使い方を誤るとお風呂場の設備を傷つけてしまう可能性があることです。
特に、古くなったコーキング(目地のゴム部分)や、塗装された浴槽などは、水圧で剥がれたり傷ついたりする恐れがあります。
また、作動音が大きい機種が多く、集合住宅などでは使用する時間帯に配慮が必要です。さらに、高圧洗浄機本体が大きく重い場合があり、準備や後片付けに手間がかかる点も考慮すべきでしょう。
本当にきれいに落ちるのか?
高圧洗浄機の強力な水圧は、お風呂場の表面に付着したカビを物理的に剥がし取る効果が期待できます。特に、タイルの目地や床の凹凸部分に入り込んだカビに対して、ブラシ掃除よりも効率的にアプローチできる場合があります。
ただし、注意点もあります。
高圧洗浄機はあくまで「表面のカビを吹き飛ばす」ものであり、カビの根(菌糸)まで完全に取り除けるとは限りません。特に、素材の奥深くまで根を張ってしまった黒カビなどは、水圧だけでは落としきれず、再発する可能性があります。
また、カビの種類や発生している場所、素材によっては、高圧洗浄機の使用が適さない、あるいは効果が薄いケースも考えられます。
より確実にカビを除去するためには、高圧洗浄機を使用する前にカビ取り剤でカビを分解したり、洗浄後に防カビ剤を使用したりするなど、他の方法と組み合わせることが推奨される場合が多いです。
床や壁に使える?
高圧洗浄機は、お風呂場の床や壁の掃除にも使用できますが、素材や状態によっては注意が必要です。
一般的に、タイルやコンクリート、硬いプラスチック製の床や壁であれば、比較的安全に使用できることが多いです。これらの素材は耐久性が高く、高圧洗浄機の水圧にも耐えやすい傾向にあります。
特に、床の溝やタイルの目地など、ブラシが届きにくい部分の汚れやカビの除去には効果を発揮しやすいでしょう。
しかし、壁材が塗装されている場合や、ユニットバスの壁パネルが柔らかい素材でできている場合、あるいはコーキング部分などは、強い水圧によって塗装が剥げたり、素材が変形したり、コーキングが損傷したりするリスクがあります。
使用前には、必ず目立たない場所で試してみて、素材への影響を確認することが重要です。
また、水圧を調整できる機種であれば、最初は弱い水圧から試すようにしましょう。
排水口周りにも効果的?

排水口周りは、髪の毛や石鹸カスなどが溜まりやすく、カビやヌメリが発生しやすい場所です。高圧洗浄機は、このような排水口周りの汚れに対しても、ある程度の効果を発揮することがあります。
強い水圧によって、排水口カバーの裏側や、手の届きにくい部分に付着した汚れ、軽度なカビを吹き飛ばすことが期待できます。特に、カバーの細かい網目部分などの掃除には役立つでしょう。
ただし、排水口の奥深く、配管内部の汚れや詰まりに対しては、高圧洗浄機の効果は限定的です。無理に配管内部に向けて噴射すると、汚れを奥に押し込んでしまったり、配管を傷めたりする可能性も考えられます。
また、排水口周りの部品がプラスチック製の場合、強い水圧で破損するリスクもあります。排水口の本格的な清掃や詰まり解消には、専用のパイプクリーナーや業者への依頼を検討する方が適切な場合が多いです。
水垢汚れにも効果はある?
お風呂場に発生する白いウロコ状の水垢は、水道水に含まれるミネラル分が固まったもので、非常に頑固な汚れです。高圧洗浄機の水圧だけで、この硬く固着した水垢を完全に除去するのは難しい場合が多いです。
水圧によって、表面の比較的軽い水垢や、他の汚れと混ざった状態の水垢はある程度落とせるかもしれませんが、鏡や蛇口などにこびりついた頑固な水垢に対しては、効果は限定的と言わざるを得ません。
水垢はアルカリ性の汚れであるため、酸性の洗剤(クエン酸など)を使って化学的に分解する方法が一般的に有効です。
高圧洗浄機は、洗剤を塗布した後のすすぎ作業を効率化したり、洗剤で浮かせた汚れを洗い流したりする補助的な役割として活用することは考えられます。
しかし、水垢除去を主目的とする場合は、高圧洗浄機だけに頼るのではなく、適切な洗剤との併用や、専用の道具を使った物理的な研磨が必要になるでしょう。
使用前の準備と安全対策
高圧洗浄機を安全かつ効果的に使用するためには、事前の準備と安全対策が非常に重要です。
まず準備としては、お風呂場からシャンプーボトルや椅子、洗面器など、移動できるものは全て外に出しておきましょう。これは、高圧洗浄機の水圧で物が飛ばされたり、破損したりするのを防ぐためです。
また、換気扇や照明器具、給湯器のリモコンなど、水がかかると故障する恐れがある箇所は、ビニール袋や養生テープなどでしっかりと保護(養生)する必要があります。コンセントやスイッチ周りも同様に注意が必要です。
安全対策としては、作業時にはゴーグル(保護メガネ)を着用し、水しぶきや跳ね返った汚れから目を保護しましょう。
また、滑りにくい履物を履くことも大切です。高圧洗浄機を使用すると床が濡れて滑りやすくなるため、転倒防止に役立ちます。
水の勢いが強いため、人やペットに向けて噴射することは絶対に避けてください。
電気を使用する機器ですので、感電防止のため、濡れた手でプラグを扱わない、アース線を接続するなど、基本的な電気製品の取り扱いルールも守る必要があります。
高圧洗浄機で風呂場のカビ取り|効果と使い方

ここからは、実際に高圧洗浄機を使って風呂場のカビ取りを行う際の、より具体的な効果や使い方について掘り下げていきます。
しつこい汚れへの対処法や、他の掃除道具との比較、効果的な手順などを確認しましょう。
しつこい黒カビへのアプローチ
先ほどもお伝えしたように、高圧洗浄機の水圧だけでは、素材の奥深くまで根を張ったしつこい黒カビを完全に除去するのは難しい場合があります。このような頑固な黒カビに対しては、高圧洗浄機を使う前に、ひと手間加えることが効果的です。
具体的な方法としては、まず市販のカビ取り剤(塩素系漂白剤など)を黒カビが発生している箇所に塗布し、製品の指示に従って一定時間放置します。これにより、カビの色素や菌糸が分解され、除去しやすくなります。カビ取り剤を使用する際は、必ず換気を十分に行い、ゴム手袋やマスク、ゴーグルを着用してください。
カビ取り剤でカビを弱らせた後、高圧洗浄機を使って洗い流します。この際、水圧でカビ取り剤が広範囲に飛び散る可能性があるため、周囲への養生や自身の保護をより徹底することが重要です。
洗浄後は、しっかりと換気を行い、お風呂場全体を乾燥させることが、カビの再発防止につながります。
スチームクリーナーとの違いは?
高圧洗浄機とスチームクリーナーは、どちらもお風呂掃除に活用できる便利な道具ですが、その仕組みと得意な汚れの種類が異なります。
高圧洗浄機は、「水の圧力」を利用して汚れを物理的に吹き飛ばすのが特徴です。広範囲の泥汚れや、表面に付着したカビなどを効率的に洗い流すのに適しています。水の勢いが強い反面、高温ではありません。
一方、スチームクリーナーは、「高温の蒸気(スチーム)」を利用して汚れを浮かせて落とすのが特徴です。約100℃の高温スチームは、油汚れや皮脂汚れを溶かしたり、カビの除菌効果が期待できたりします。水圧は高圧洗浄機ほど強くありませんが、熱による殺菌効果や、洗剤を使わずに汚れを落とせる点がメリットです。
お風呂場のカビ取りにおいては、表面のカビを広範囲に洗い流したい場合は高圧洗浄機、カビの除菌や、細かい部分の汚れ、皮脂汚れなどを重点的に落としたい場合はスチームクリーナー、というように使い分けるか、あるいは併用するとより効果的な掃除が可能です。
効果的な使い方と掃除の手順
高圧洗浄機を使って効果的にお風呂掃除を行うためには、正しい手順を踏むことが大切です。
高圧洗浄機で浴室をピカピカに
効率的な7ステップガイド
・移動できるものを外に出す
・濡れてはいけない箇所を養生
・安全のためゴーグルを装着
・高圧洗浄機を浴室外に設置
・水道ホースと電源を接続
・ホースを窓から浴室内へ
・目立たない場所で影響確認
・壁や床の素材に問題ないか
・弱い設定から始める
・天井→壁→浴槽→床の順
・ノズルは20~30cm離す
・一定速度で動かす
・排水口周り
・蛇口の根元
・ドアのレールなど
・全体の汚れを洗い流す
・シャワーで軽くすすぐ
・隅々まで確認
・水滴を拭き取る
・換気扇を回す
・カビ予防のため完全に乾燥
注意点
同じ箇所に集中して水圧をかけすぎないようにしましょう。
壁材や目地を傷める恐れがあります。
頑固な汚れがある場合は、洗浄前に洗剤を塗布する工程を加えることも有効です。
賃貸物件で使えるか

賃貸物件のお風呂場で高圧洗浄機を使用する際には、いくつかの点に注意が必要です。
まず、賃貸契約書や管理規約を確認し、高圧洗浄機の使用に関する制限がないかを確認しましょう。特に、騒音に関する規定がある場合、使用できる時間帯が限られる可能性があります。高圧洗浄機の作動音は大きいものが多いため、隣接する住戸への配慮は必須です。
また、万が一、高圧洗浄機の使用によってお風呂場の設備(壁、床、浴槽、コーキング、換気扇など)を破損させてしまった場合、修繕費用は自己負担となる可能性が高いです。退去時の原状回復義務に関わってくるため、使用は慎重に判断する必要があります。特に古い物件や、特殊な素材が使われている浴室の場合は、リスクが高まります。
使用する際には、事前に目立たない場所で試す、水圧を弱めに設定する、養生を徹底するなど、設備を傷つけないための対策を通常以上に講じることが求められます。不安な場合は、大家さんや管理会社に事前に相談することも検討しましょう。
総括:高圧洗浄機で風呂場のカビ取り
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。