「今月の電気代、何かの間違いじゃない?」ポストに入っていた請求書を見て、思わず二度見してしまった経験はありませんか?
特に2024年から2025年の冬は、電気料金そのものが上がっていることもあって、家計へのダメージは深刻ですよね。「パネルヒーターは省エネだって聞いたのに!」という悲痛な叫び、本当によく分かります。
静かで空気も汚さない、あの心地よい暖かさは最高ですが、使い方を一歩間違えると、とんでもない「金食い虫」に豹変してしまうことがあるんです。
でも、諦めないでください。パネルヒーターの電気代が高すぎるのには、明確な「物理的な理由」と、それを回避する「裏技」が存在します。この仕組みさえ知ってしまえば、あの快適さを手放さずに、お財布への負担だけをグッと減らすことができるんですよ。
この記事では、家電量販店で働いている私が、売り場ではなかなか話しきれない「本当のコストの仕組み」から、今日からできる「具体的な節約術」、そして「選ぶべき正解モデル」まで、余すことなくお話しします。
一緒に賢く冬を乗り切りましょう!
- 大型とミニで電気代は雲泥の差
- エアコンとの併用が節約の鍵
- 窓際設置で冷気をシャットアウト
- 足元用は在宅ワークの救世主
パネルヒーターの電気代が高すぎると感じる理由

「どうしてこんなに高いの?」その疑問、ごもっともです。実はパネルヒーターという製品の特性上、どうしても避けられない「宿命」のようなものがあるんです。
まずは敵を知ることから始めましょう。ここを理解すると、対策が見えてきますよ。
大型とミニで異なる電気代
まず最初にお伝えしたいのが、「パネルヒーター」とひと口に言っても、実は2種類の全く異なる生き物が存在しているということなんです。ここを混同してしまうと、「安いはずなのに高い!」という悲劇が生まれてしまいます。
一つは、お部屋全体を暖めることを目的とした「大型パネルヒーター」。デロンギや山善などの製品が代表的ですね。これらは消費電力が最大で1000Wから1200Wほどあります。
もし1200Wで運転し続けた場合、1時間あたりの電気代は約37.2円にもなるんです。これを1日10時間使ったら約372円、1ヶ月でなんと1万円オーバー…。これを「高い」と感じるのは当然の感覚だと思います。
一方で、デスクの下などに置く「足元用ミニパネルヒーター」はどうでしょうか。こちらは消費電力が160Wから200W程度。160Wなら1時間あたり約5円以下です。これなら1日中使ってもお財布に優しいですよね。
「電気代が高すぎる!」と嘆いている方のほとんどは、前者の大型タイプを、エアコンと同じような感覚で長時間メイン暖房として使ってしまっているケースが非常に多いんです。まずはご自宅のヒーターがどちらのタイプか、再確認してみてくださいね。
エアコンとの電気代を徹底比較
お店に立っていると「エアコンは風が苦手だから、パネルヒーターに買い替えたい」というご相談をよく受けます。快適性を求めるお気持ちは痛いほど分かるのですが、こと「電気代」に関しては、残念ながらパネルヒーターはエアコンに完敗してしまいます。
なぜなら、エアコン(ヒートポンプ技術)は、投入した電力の3倍から6倍もの熱エネルギーを生み出すことができる「効率の王者」だからです。
14畳用のエアコンなら、1時間あたりの電気代は平均して8円から12円程度で済みます。先ほどお話しした大型パネルヒーターが約37円ですから、単純計算で3倍から4倍近くのコスト差が出てしまうことになるんです。
エアコン暖房の具体的な電気代シミュレーションや節約術をまとめたエアコン暖房26度設定の1時間の電気代と節約方法の解説記事もあわせてチェックしてみてください。
「電気代を節約するためにエアコンをやめてパネルヒーターにする」という選択は、経済的には逆効果になる可能性が高いです。
パネルヒーターの価値は「無風・無音・乾燥しにくい」という「質」にあります。コストパフォーマンスだけで見ればエアコンが圧倒的に優秀。
ですから、「安く暖める」ならエアコン、「高くても快適さを買う」ならパネルヒーター、という住み分けが必要なんです。ここを誤解されている方が本当に多いので、ぜひ覚えておいてくださいね。
オイルヒーターとの電気代の違い
「じゃあ、オイルヒーターと比べたらどうなの?」という疑問もよく湧きますよね。見た目も似ていますし、よく比較対象にされます。
結論から言ってしまうと、電気代に関しては「ほぼ同じ」と考えていただいて構いません。より詳しくオイルヒーターの電気代が高くなる理由や安く使うコツを知りたい方は、オイルヒーターの電気代と節約術を徹底解説した記事も参考にしてみてください。
どちらも最大出力は1200W〜1500W程度で、電気を熱に変える効率も同じです。
ただ、微妙な違いとしては「即暖性」でしょうか。
オイルヒーターは中のオイルが温まるまでに20〜30分かかってしまいますが、パネルヒーターはスイッチを入れて数分でパネル自体が熱くなります。この「待ち時間」の電気代を考えると、短時間の使用ならパネルヒーターの方がわずかにお得かもしれません。
また、意外と見落としがちなのが「処分のしやすさ」です。
オイルヒーターは捨てる時に中のオイル処理が面倒で、自治体によっては回収してくれないことも。その点、パネルヒーターは粗大ゴミとして出しやすいという隠れたメリットがあります。
「電気代はドッコイだけど、使い勝手はパネルヒーターが少し身軽」といったイメージでしょうか。どちらも部屋全体を暖めるにはパワーが必要な暖房器具だという点は共通しています。
足元用パネルヒーターのデメリット

在宅ワークの方に大人気の「足元用パネルヒーター」。
私もデスクワークの時には手放せませんが、実際に使ってみると「あれ?思ったより…」というデメリットも見えてきます。購入前にここを知っておくと後悔しませんよ。
一番の悩みは「邪魔になる」こと。
一般的な3面タイプなどは意外とサイズが大きく、デスクの下で椅子のキャスターが引っかかったり、足を組めなくなったりします。「Kindil」のようなしっかりした製品ほど、その傾向がありますね。
それから「膝上が寒い」問題。
足先はポカポカなんですが、高さが40cm〜50cmくらいだと、どうしても太ももや膝上がスースーして寒いんです。
解決策は「こたつ化」
上からブランケットを掛けて、パネルヒーターごと覆ってしまうんです。これで熱が逃げず、膝上までポカポカ。簡易こたつの完成です!
あと、地味に面倒なのがスイッチ操作。
机の下に潜り込んでオンオフするのは結構大変です。最近は手元スイッチ付きや人感センサー付きのモデルも増えているので、そういった機能付きを選ぶのが正解ですよ。
とはいえ、デメリットを理解した上で工夫すれば、これほど頼もしい相棒はいません。
暖房効率に関わるジュール熱とCOPの基礎知識
少しだけ難しい話をさせてください。
でもここを知っておくと「なぜ高いのか」が理屈でストンと落ちるはずです。
キーワードは「ジュール熱」と「COP」です。
パネルヒーターは、電気抵抗に電気を流して熱を発生させる「ジュール熱」を利用しています。物理学的には、電気エネルギーを100%熱に変えることができるので、ロスはありません。
効率100%、すごく良い響きですよね?
でも、ここに落とし穴があるんです。
エアコンのCOP(エネルギー消費効率)は「3.0〜6.0」。
つまり、電気1の力で3〜6倍の熱を生み出せるんです。
これに対してパネルヒーターのCOPは常に「1.0」。
電気1に対して熱も1しか生まれません。
これが「エアコンより効率が悪い」と言われる正体です。
物理の法則上、パネルヒーターがエアコンより少ない電気代で同じ熱量を出すことは不可能なんです。
この「1対1の交換」という宿命を背負っているからこそ、パネルヒーターを使う時は「いかに熱を逃がさないか」という工夫が、エアコン以上に重要になってくるわけですね。
パネルヒーターの電気代が高すぎる問題の解決策

ここまでちょっと怖い話をしてしまいましたが、安心してください。パネルヒーターにはパネルヒーターなりの「賢い戦い方」があります。
ここからは、私が実践している節約術や、お店でおすすめしている具体的な方法をご紹介します。
パネルヒーターの電気代を安くする方法
電気代を安くするための最強のメソッドは、「ハイブリッド運用」です。
正直なところ、断熱性能が高くない一般的な日本の住宅で、真冬に大型パネルヒーター1台だけで過ごそうとするのは、お財布にとって自殺行為です。
おすすめは、エアコンの設定温度をいつもより低めにしてベースの室温を作り、自分が座っている場所の近くに「足元用パネルヒーター」を置くという方法。
これなら、エアコンの負荷を下げつつ、体感温度はポカポカに保てます。
特に在宅勤務の方は、部屋全体をガンガン暖める必要はないですよね?
暖房の設定温度を1℃下げるだけで消費電力量が約10%削減できるというデータもあり、まずは無理のない範囲で設定温度を低めに抑えることが大切です。
(出典:環境省「エアコンの使い方について」)
具体的なシミュレーション
・エアコン単独(強):11円/時 × 8時間 = 88円
・ハイブリッド(エアコン弱+足元):5円/時 + 5円/時 = 80円
微々たる差に見えるかもしれませんが、快適さは段違いです。頭がボーッとするのを防げるので、仕事の効率も上がりますよ。
また、大型パネルヒーターを使う場合も、設定温度に到達したらパワーを抑える「サーモスタット」や「ECOモード」がついている機種を選び、設定温度を控えめにすることが鉄則です。
コールドドラフトを防ぐ窓際設置のテクニック

大型パネルヒーターをお持ちの方に、絶対に試してほしい配置テクニックがあります。
それが「窓際設置」です。
「え?窓際に置いたら熱が逃げちゃうんじゃない?」と思われがちですが、実は逆なんです。
冬の部屋が寒い最大の原因は、窓ガラスで冷やされた空気が床に降りてくる「コールドドラフト現象」。これが床を這って足元を冷やすから、いくら暖房しても寒く感じるんです。
そこで、パネルヒーターを「窓の下」に、窓を背にする形で置いてみてください。
こうすると、ヒーターから立ち昇る暖かい空気が「エアカーテン」の役割を果たし、窓からの冷気をシャットアウトしてくれます。
冷気の侵入を防げれば、部屋全体の温度低下が防げるので、結果としてヒーターの稼働率が下がり、電気代の節約に繋がるんです。デロンギなどのコンベクターヒーターは、まさにこの使い方のための形状をしているんですよ。
置く場所を変えるだけ。
今日からすぐにできる0円の節約術です。
断熱グッズや掃除で暖房コストを削減する
「穴の空いたバケツに水を注ぐ」ような状態では、どんなに高性能なヒーターも無駄になります。窓の断熱性を上げることは、電気代削減への最短ルートです。
でも、窓のリフォームなんて数万円もかかって大変ですよね。
そこでおすすめなのが、ニトムズの「断熱カーテンライナー」です。
カーテンレールに吊るすだけのビニールカーテンなんですが、これ一枚で窓との間に空気の層ができて、驚くほど冷気が止まります。
裾を床に垂らすように設置するのがポイント。
1,000円ちょっとで買えて、ひと冬で元が取れちゃうコスパ最強グッズです。
それから、ヒーターの「掃除」も忘れないでください。
フィン(放熱板)の隙間にホコリが溜まっていませんか?ホコリは断熱材になってしまい、熱が出るのを邪魔します。
私は「Redecker(レデッカー)」の隙間ブラシを愛用しています。長い山羊毛が奥まで届いて気持ちいいくらい取れるんです。
仕上げはマキタの充電式クリーナー「CL107FD」などで吸い取れば完璧。メンテナンスをするだけで、暖まり方が変わって電気代の無駄が減りますよ。
窓から逃げる熱を防ぐための断熱シートの選び方やコールドドラフト対策をより深く知りたい方は、窓ガラスの断熱で暖房効率を高めるテクニックをまとめた解説記事もチェックしてみてください。
電気代を抑えるパネルヒーターのおすすめモデル
最後に、2025年の冬におすすめしたい、電気代を意識したパネルヒーターを厳選してご紹介します。あなたのライフスタイルに合わせて選んでみてくださいね。
【足元・デスク下用なら】
やはりコスト優先ならアイリスオーヤマの「APH-16B-H」や「DEH-45」ですね。
160Wと省エネで、シンプルイズベスト。安価ですが温度ヒューズなどの安全機能もしっかりしています。
もう少し機能を求めるなら、plus moreの「PBAWA004」。
人感センサー付きで、席を立った時の消し忘れを防げるので、うっかり屋さんには特におすすめです。
【部屋全体用なら】
大型なら、デロンギのコンベクターヒーター「HXJ60L12」が一押し。窓際設置に特化した薄型デザインで、即暖性も比較的高めです。
また、少しお値段は張りますが、日本遠赤外線の「サンルミエ・キュート E800LS」やアールシーエスの「夢暖望 660型」も根強い人気があります。
これらは遠赤外線の効果が高く、低いワット数(400W〜)でも身体の芯から温まるので、結果的に電気代を抑えやすいんです。国産ならではの安心感も嬉しいポイントですね。
パネルヒーターの電気代が高すぎる悩みの結論
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。パネルヒーターの電気代について、モヤモヤは晴れましたでしょうか?
最後に要点を整理しておきましょう。
| 暖房タイプ | 電気代目安(1H) | 最適な使い方 |
|---|---|---|
| 大型パネル | 約37円 | 窓際に置いて冷気遮断 短時間や補助暖房として |
| 足元パネル | 約5円 | 在宅ワークの必需品 ブランケット併用で最強 |
| エアコン | 約10円 | 部屋全体のベース暖房 コスト重視ならコレ |
「パネルヒーター=電気代が高い」というのは事実ですが、それは適材適所ではない使い方をした場合の話です。
部屋全体を暖めるのはエアコンに任せて、足元や冷気の侵入元(窓)をパネルヒーターで守る。この「いいとこ取り」こそが、電気代高騰時代の賢い乗り切り方です。
ぜひ、ご自身の生活スタイルに合った方法で、暖かく快適な冬を過ごしてくださいね!


