冬の寒さが厳しくなってくると、恋しくなるのがお部屋の暖かさですよね。
特に小さなお子さんがいたり、ペットと暮らしていたりすると、空気の汚れや乾燥が気になって、オイルヒーターを検討する方も多いのではないでしょうか。
お店でも「オイルヒーターって、ずっとつけておくと電気代が怖いんだけど…」という相談、本当によく受けるんです。
エアコンのように風が出なくて、陽だまりのような優しい暖かさは最高なんですが、ネットで検索すると「電気代が高い」なんて言葉ばかり目に入ってきて不安になりますよね。
でも、実は使い方のコツや、お家の環境を少し整えるだけで、あの極上の快適さを手に入れつつ、電気代を現実的な範囲に抑えることは十分に可能なんです。
この記事では、みんなが気になっている一ヶ月つけっぱなしにした時のリアルな電気代シミュレーションから、絶対に知っておいてほしい安全な使い方まで、家電量販店で働いている私だからこそお伝えできる情報を、包み隠さず全部お話ししちゃいます。
賢く使って、今年の冬こそは我慢せずにポカポカ生活を送りましょう!
- 24時間運転時のリアルな電気代を解説
- 断熱性能で変わるコストの差を比較
- エアコンと併用する賢い節約術を紹介
- 安全に連続運転するための火災対策
オイルヒーター|一ヶ月つけっぱなしの電気代を検証

まずは、実際に24時間つけっぱなしにしたらどれくらいの金額になるのか、そしてどうすれば安く抑えられるのか、具体的な数字を見ながら一緒に確認していきましょう。
24時間運転時のモード別料金シミュレーション
いきなり核心に触れますが、オイルヒーターを何も考えずに最大パワーで24時間つけっぱなしにするのは、正直おすすめできません。お店でお客様に説明するときも、ここの数字は正直にお伝えするようにしています。
仕組みから整理したい場合は、オイルヒーターの電気代が高すぎる理由と安くする裏ワザも参考になります。
例えば、一般的な1200Wのモデルを例に挙げてみましょう。
電気代の単価を31円/kWhとして計算すると、もし1200Wのフルパワーでずーっと運転し続けた場合、1時間あたり約37.2円かかります。
これを24時間続けると1日で約892円。
そして驚かないでくださいね、一ヶ月(30日)だと約26,784円にもなってしまうんです。
「えっ、高すぎ!」って思いましたよね。
私も思います(笑)
でも、これはあくまで「常にフルパワーで動き続けた場合」の最悪のケースなんです。
実際には、オイルヒーターにはサーモスタット(温度調節機能)がついているので、設定温度になったら自動でOFFになったり、弱運転に切り替わったりします。

現実的なラインで言うと、お部屋が温まった後は「中運転」や「弱運転」、あるいは「Ecoモード」で維持することになります。
それぞれのモードで24時間運転した場合の試算をまとめてみました。
| 運転モード(平均消費電力) | 1時間あたりのコスト | 一ヶ月(24時間×30日) |
|---|---|---|
| 最大出力(1200W) | 37.2円 | 約26,784円 |
| 強運転相当(900W) | 27.9円 | 約20,088円 |
| 中運転相当(600W) | 18.6円 | 約13,392円 |
| Eco維持(200W相当) | 6.2円 | 約4,464円 |
どうでしょう?
うまくEcoモードなどで温度維持ができれば、月額5,000円以下に抑えられる可能性もあるんです。
つまり、「いかに早く設定温度に到達させ、その後はいかに低い電力で維持するか」が勝負なんですよ。
建物の断熱性能による光熱費の劇的な違い

ここで一つ、残酷な現実をお伝えしなくてはいけません。
オイルヒーターの電気代が「天国」になるか「地獄」になるかは、あなたが住んでいるお部屋の「断熱性能」でほぼ決まってしまうんです。
例えば、最近のマンションや高気密・高断熱の注文住宅(断熱等級4以上)にお住まいの方。こういうお家は「魔法瓶」のようなものなので、一度暖まってしまえば、熱が外に逃げにくいんです。
壁や床自体が蓄熱してくれるので、ヒーターは微弱な運転(200W〜400W程度)をするだけでポカポカを維持できます。これなら、24時間つけっぱなしでも月額5,000円〜10,000円程度で済むことも珍しくありません。
注意が必要なケース
一方で、断熱材が入っていない古い木造住宅や、窓が単板ガラス(一枚ガラス)のお部屋は要注意です。これは例えるなら「穴の空いたバケツ」に水を注ぎ続けるようなもの。せっかく作った熱がどんどん窓や壁から外へ逃げていくので、ヒーターはずっとフルパワーで頑張り続けることになります。結果、月額3万円、4万円という請求が来てしまう…というのは、だいたいこのケースなんです。
もし、ご自宅が少し古めの木造建築だったり、窓際がスースーするような環境だったりする場合は、正直に言います。
何の対策もなしにオイルヒーターだけで24時間暖房するのは、お財布にとってかなり危険です。
でも諦めないでくださいね。
後ほど紹介する対策をすれば、状況は変えられますから。
エアコンと併用するハイブリッド運用の節約術

「じゃあ、うちはオイルヒーター使えないの?」と思った方、大丈夫です。
私のおすすめは、エアコンとの「いいとこ取り」をするハイブリッド運用です。
オイルヒーターの最大の弱点は「部屋が暖まるのが遅いこと」。
スイッチを入れてから実際に暖かさを感じるまで、30分から1時間はかかってしまいます。この一番エネルギーを使う立ち上がりの時間を、暖房効率の良いエアコンに任せてしまうんです。
おすすめの運用ステップ
- Step 1: 帰宅時や起床時は、まずエアコンとオイルヒーターを同時にONにする。
- Step 2: エアコンのパワフルな温風で、一気に室温を20℃くらいまで上げる(最初の30分程度)。
- Step 3: 部屋が暖まったらエアコンをOFFにし、オイルヒーターのみで温度を維持する。
これなら、電気代の安いエアコンでベースを作り、乾燥や風が気になる長時間の滞在時間はオイルヒーターの快適さを楽しむことができます。この方法なら、24時間つけっぱなしには及びませんが、月額8,000円〜15,000円程度で、かなり快適な冬を過ごせるはずです。
私も自宅ではこのスタイルですが、喉がイガイガしなくなって本当に快適ですよ。
窓の断熱対策で暖房効率を最大化する方法

先ほど「穴の空いたバケツ」の話をしましたが、その最大の穴、実は「窓」なんです。
なんと、冬場に室内の熱が逃げていく原因の約58%は窓などの開口部からと言われています。
(出典:環境省「平成16年版 図でみる環境白書」)
つまり、窓さえ攻略すれば、オイルヒーターの効き目は劇的に良くなるんです。高価なリフォームをしなくても、手軽にできる対策はたくさんありますよ。
断熱カーテンライナーを活用する
これはコスパ最強です。
「明和グラビア」などのメーカーから出ている、ビニール製の透明なカーテンライナーをご存知ですか?これを今あるカーテンと窓ガラスの間に吊るすだけで、空気の層ができて断熱効果がアップします。
窓際にヒーターを置く(コールドドラフト対策)
これは設置場所のテクニック。
「邪魔だから」といって部屋の壁側に置いていませんか?実は、オイルヒーターの特等席は「窓の下」なんです。
冷たい窓ガラスで冷やされた空気は、重くなって床を這うように降りてきます。これを「コールドドラフト現象」と言って、足元が冷える主犯格なんですね。
窓の下にヒーターを置くと、ヒーターから立ち昇る暖かい空気(アップドラフト)が冷気をブロックして、「ヒートカーテン」の役割を果たしてくれるんです。これだけで体感温度が全然違いますよ。
隙間風もブロック!
ドアの下の隙間も意外と盲点。「すきま風ストッパー」やスポンジタイプの隙間テープを貼るだけで、冷気の侵入を物理的にシャットアウトできます。これらはホームセンターや100円ショップでも手に入るので、ぜひ試してみてください。
デロンギなど主要メーカーの省エネ機能比較
最新の機種は、昔のものと比べて「賢さ」が段違いです。これから購入を考えているなら、各メーカーの省エネ機能をチェックしておくと良いでしょう。
私が店頭で見ていて「これは!」と思うポイントを紹介しますね。
DeLonghi(デロンギ)
やっぱり人気なのはデロンギですよね。特に最上位の「マルチダイナミックヒーター(MDHUシリーズ)」は凄いです。厳密にはオイルを使わない構造なんですが、従来の2倍の速さで暖まる速暖性を持っています。
すごいのが「オートアダプティブテクノロジー」。なんと±0.1℃単位で温度制御してくれるので、無駄な温めすぎを防いで、旧来型に比べて最大63%も節電できると謳っています。初期費用はかかりますが、長く使うなら元は取れるかなと思います。
eureks(ユーレックス)
こちらは長野県のメーカーで、日本の住宅事情を知り尽くしている感じが頼もしいです。
「ヘリテイジヒーター」などの上位機種や、「VFシリーズ」についている「マイタイマー」機能が個人的に推しポイント。1時間ごとに室温設定を変えられるので、「寝ている間は低めに、起きる1時間前に高めに」といった細かい設定ができて、無駄な電力をカットできます。
IRIS OHYAMA(アイリスオーヤマ)
コスパ重視ならアイリスオーヤマ。「ウェーブ型オイルヒーター」は、フィンの形を波型にして表面積を増やし、熱効率を上げています。
シンプルな機能で価格も抑えられているので、初めて導入する方や、子供部屋などの個室用としても選びやすいですね。
一ヶ月間オイルヒーターをつけっぱなしのリスクと安全管理

さて、ここからはお金の話以上に大切な「安全」のお話です。
オイルヒーターは「火を使わないから安全」とよく言われますが、それはあくまで「燃えている火が見えない」というだけ。熱を扱う家電である以上、使い方を間違えればリスクはあります。
家族を守るためにも、ここだけはしっかり読んでくださいね。
連続運転時に注意すべき火災の原因と対策
オイルヒーターで一番やってはいけないこと、それは「本体に洗濯物をかけて乾かすこと」です。これ、本当に危険なので絶対にやめてくださいね。
フィン(放熱板)の部分にタオルや衣類をかけてしまうと、熱がこもって本体が異常過熱し、最悪の場合、発火したり、ヒーターのセンサーが故障したりします。
「ちょっとだけなら…」という油断が禁物です。洗濯物を乾かしたい場合は、ヒーターから離した場所にハンガーラックなどを置いて、温かい空気を利用するようにしましょう。
また、カーテンや布団、ソファなどが密着しているのもNGです。本体の周りには、最低でも20cm〜50cmくらいのスペースを空けてください。
特に寝室で使う場合、寝ている間に布団を蹴っ飛ばしてヒーターに触れてしまう…なんてことがないように、配置には十分気をつけてくださいね。
コンセントのトラッキング現象を防ぐ掃除法

一ヶ月つけっぱなしにする場合、コンセント周りの点検も欠かせません。
オイルヒーターは最大で1200W〜1500Wという大きな電力を使います。これは家庭用の壁コンセント(定格15A)の限界ギリギリの数値なんです。
長期間プラグを挿しっぱなしにしていると、プラグとコンセントの隙間にホコリが溜まり、そこに湿気が加わると「トラッキング現象」という発火事故が起きることがあります。
家具の裏などに隠れたコンセントは特に注意!
月に一回はプラグを抜いて、乾いた布でホコリを拭き取ってください。
トラッキング現象の仕組みと掃除のポイントは、洗濯機のコンセントの掃除とほこり対策でも詳しくまとめています。
延長コードは原則禁止!
一般的な電源タップや延長コードの使用は厳禁です。大電流に耐えられず、タップが溶けたり発火したりする事故が多発しています。必ず壁のコンセントから直接電源を取るようにしてください。
本当に乾燥しないのか湿度変化の真実を知る
「オイルヒーターは乾燥しない」という噂、よく聞きますよね。これ、半分正解で半分間違いなんです。
確かに、エアコンのように温風を出さないので、肌の水分が奪われるような乾燥感は少ないです。また、ストーブのように燃焼しないので、室内の空気が汚れません。
でも、物理的なお話をすると、部屋の温度が上がれば、空気中に含むことができる水分の量(飽和水蒸気量)が増えるため、水分量が変わらなければ「相対湿度(%)」は下がります。
つまり、数値上は湿度は下がるんです。なので、加湿器を併用したり、部屋の中に濡れタオルを干したりして、湿度40%〜60%くらいをキープするのがおすすめです。
湿度の目安や加湿方式ごとの特徴を整理したい方は、空気清浄機と加湿器の違い・併用のコツや一体型の選び方も参考になります。ただ、喉への負担はエアコンより圧倒的に少ないので、そこは安心してくださいね。
睡眠の質を高める静音性と空気清浄メリット

オイルヒーターを使っていて一番感動するのは、その「静けさ」かもしれません。ファンがないので、運転音はほぼ無音。時々、金属が熱で膨張するときの「パキッ」という小さな音がするくらいです。
さらに、風が出ないので床のホコリや花粉、ペットの毛などを巻き上げません。これ、アレルギー持ちの方や喘息気味の方にとっては本当に救世主だと思います。
寝室で使っても睡眠を邪魔されず、朝起きた時の喉の調子も良い。このメリットだけでも、電気代を払う価値があると感じる方は多いですよ。
低温火傷や転倒事故を防ぐ安全な配置場所
表面温度は平均して60℃〜80℃くらいになります。ガスファンヒーターのように一瞬で火傷するほど熱くはありませんが、ずっと触れていると「低温火傷」をするリスクがあります。特に皮膚が薄い赤ちゃんや、感覚が鈍くなっている高齢者の方は注意が必要です。
小さなお子さんがいるご家庭なら、表面温度を約60℃に抑えたデロンギの「RHJシリーズ」のようなモデルを選んだり、ヒーターガード(柵)を設置したりするのが安心です。
転倒に関しては、最近のモデルならほぼ全ての製品に「転倒時電源遮断装置」がついています。地震などで倒れたり傾いたりすると自動で電源が切れるので、その点は安心して大丈夫ですよ。
一ヶ月間オイルヒーターをつけっぱなしの総括

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
「つけっぱなし」のリスクとメリット、なんとなくイメージできましたでしょうか?
最後に、今回のお話を改めて整理しておきますね。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 電気代 | 24時間MAX運転は月2.6万円超えのリスクあり。断熱性の高い部屋やエコモード活用で月5,000円〜1万円程度に抑制可能。 |
| 運用テクニック | 最初の立ち上がりはエアコンに任せる「ハイブリッド運用」が最強。窓には断熱シートやカーテンライナーを。 |
| 安全性 | 洗濯物は乗せない。延長コードは使わない。壁コンセント直結で。 |
| おすすめユーザー | 静かさ、空気のきれいさを最優先したい人。寝室や子供部屋には最適。 |
オイルヒーターは、単なる暖房器具というより、「質の高い冬の暮らし」を買うものだと私は思っています。
確かに電気代の工夫は必要ですが、あの無音で陽だまりのような暖かさを一度体験すると、もう他の暖房には戻れないかも…なんて方も多いんですよ。
ぜひ、あなたのお家やライフスタイルに合った使い方を見つけて、今年の冬は我慢せずにポカポカ快適に過ごしてくださいね!


