キッチンの排水溝の流れが悪くなって、洗い物のたびに水が溜まってイライラしていませんか?
実は、排水溝の詰まりの原因のほとんどは油汚れや食べカスなんです。
でも、業者を呼ぶ前に自分でできる対処法がたくさんあることをご存知でしたか?
正しい方法を知っていれば、数万円の修理費用をかけずに解決できるケースが本当に多いんです。
50度のお湯を使った基本的な方法から、ラバーカップでの物理的な対処、さらにはピーピースルーという強力な薬剤を使った本格的な詰まり解消まで、段階的に試せる方法がいくつもあります。
賃貸にお住まいの方なら、大家さんへの連絡タイミングや費用負担についても気になるところですよね。
また、食洗機やスチームクリーナーといった家電が排水溝トラブルとどう関係しているか、意外と知られていない事実もあるんです。
この記事では、排水溝の流れが悪いときの具体的な対処法を、自宅で今すぐ試せる方法から専門的なアプローチまで、詳しくご紹介していきます。
キッチンの排水溝の流れが悪い時の対処法|自分で試す編

このセクションでは、業者さんを呼ぶ前に、まずご自身で試せる対処法を簡単なものから順にご紹介していきますね。
特別な道具がなくてもできる方法や、常備しておくと安心なアイテムまで、一緒にチェックしていきましょう。
50℃のお湯
キッチンの排水溝の流れが悪くなる最大の原因は、やっぱり「油汚れ」なんです。調理で使った油や、お皿に残ったマヨネーズ、お肉の脂なんかが、排水管の中で冷たい水に触れて白く固まってしまうんですね。それが少しずつ壁に蓄積して、水の通り道を狭くしちゃうんです。
そこで、まず最初に試してほしいのが「50℃~60℃のお湯」を使った方法です。
油が溶け始めるのは40℃くらいからなので、この温度のお湯が一番安全で効果的なんです。
やり方はとっても簡単ですよ。
- 排水口のフタやゴミ受け、あと「ワントラップ」と呼ばれるお椀を逆さにしたような部品も全部取り外します。
- 排水管の入り口に、汚れてもいいタオルや布を詰めて「栓」をします。(この時、タオルが丸ごと落ちてしまわないように、端っこはシンクの外に出しておいてくださいね!)
- シンクの6~7割くらいまで、50℃~60℃のお湯を溜めます。
- お湯が溜まったら、栓にしていたタオルを一気に引き抜きます!
これだけで、お湯の「温度」で油を溶かしつつ、溜まったお湯の「水圧」で一気に汚れを押し流すことができるんです。軽度の油汚れなら、これだけでスッキリ改善することも多いですよ。
熱湯(100℃)は絶対にダメ!
よく「熱湯を流せばいい」と思っている方がいらっしゃるんですが、これは絶対にNGです!
キッチンの排水管は「塩化ビニル管(塩ビ管)」でできていることが多くて、この耐熱温度はだいたい60℃くらいなんです。
沸騰したお湯を流してしまうと、パイプが変形したり、最悪の場合は破損して階下に水漏れしたり…本当に大変なことになりかねません。これはお店でもお客様に必ずお伝えしている注意事項ですね。
じゃあ、どうやって「50℃~60℃」のお湯を用意するかですが、一番簡単なのはキッチンの給湯器のリモコンで温度設定することですよね。
もし、もっと手軽にやりたい!という場合は、「温度調節機能付きの電気ケトル」がすごく便利です。
私も家で愛用してるんですけど、ティファールの「アプレシア ロック コントロール」や、象印の「電気ケトル CK-DA10」なんかは、設定した温度でお湯を沸かせるので、こういうお掃除の時にも大活躍してくれるんですよ。
普段コーヒーやお茶を淹れるのにも最適なので、一台あるととても便利だと思います。
重曹とクエン酸を使った掃除
「強力な薬剤はちょっと使いたくないな…」というナチュラルクリーニング派の方には、「重曹とクエン酸」の組み合わせが定番ですよね。
これは、油汚れやヌメリの「予防」や「軽いお掃除」にピッタリの方法です。
手順は以下の通りです。
- まず、排水口のゴミ受けやワントラップなどの部品を外します。
- 排水口の内部や、外した部品全体に、重曹(カップ1杯くらい)をまんべんなく振りかけます。
- その上から、重曹の半量くらいのクエン酸(またはお酢)をかけ流します。
- そうすると、重曹(アルカリ性)とクエン酸(酸性)が反応して、「シュワシュワ~」っと炭酸ガスの泡が発生します。この泡が、こびり付いたヌメリや汚れを浮かせてくれるんですね。
- この状態で、30分から1時間ほど放置します。
- 最後に、ここでも「50℃くらいのお湯」で、重曹やクエン酸、浮き上がった汚れをしっかりと洗い流してください。
重曹には油汚れを溶かす「乳化作用」、クエン酸には水垢を中和する効果が期待できます。泡の力で汚れを浮かせるのも嬉しいポイントですよね。
ただ正直にお伝えすると、この方法の洗浄力は市販のパイプクリーナーと比べるとかなりマイルドです。すでにガチガチに固まってしまった頑固な油汚れを、これだけで完全に溶かし切るのは難しいかな…と思います。
あくまで、日常のメンテナンスやヌメリの予防、ニオイ対策として取り入れるのがおすすめですね。
【最重要】「混ぜるな危険」のルール
これは本当に、本当に気をつけてほしいことナンバーワンです!
この重曹とクエン酸(酸性)を使ったお掃除をした「直後」に、市販の「塩素系」パイプ洗浄剤(パイプユニッシュやパイプハイターなど)を絶対に続けて使わないでください。
酸性のものと塩素系のものが混ざると、人体にものすごく有害な「塩素ガス」が発生します。最悪の場合、命に関わる重大な事故につながる危険があるんです。
もし両方試したい場合は、お湯でしっかり洗い流した後、最低でも丸一日は時間を空けるなど、絶対に混ざり合わないように細心の注意を払ってくださいね。
ラバーカップ(スッポン)の使い方

お湯や重曹でダメだった場合、次は物理的な力で詰まりを動かす「ラバーカップ(スッポン)」の出番です。トイレ用と兼用するのは衛生的にNGなので、キッチン専用にひとつ用意しておくと安心ですね。
これは、水圧(吸引力と押出力)を利用して詰まりを解消する、昔ながらの定番アイテムです。
ラバーカップの正しい使い方
- まず、排水口のフタ、ゴミ受け、ワントラップをすべて取り外します。
- ラバーカップのゴム部分(ラバーボウル)が、完全に水に浸かるくらいまでシンクに水を溜めます。水がないと圧力がうまく伝わらないので、ここがポイントです。50℃程度のお湯なら、油を緩める効果もプラスされてより効果的ですよ。
- ラバーカップを排水口の穴に、隙間ができないように垂直にピタッと密着させます。
- 柄を両手で持ち、まずはゆっくりとゴム部分がへこむまで強く押し込みます。
- 次に、詰まりを引き抜くイメージで、勢いよく一気に引き上げます!(「押す」より「引く」方が大事なんです)
- 「ゴボゴボッ」という音がして流れが改善するまで、この「押し込んで、引く」動作を5~10回くらい繰り返します。
最重要ポイント:オーバーフロー穴を塞ぐ!
これ、意外と見落としがちなのですが、シンクの側面や上部に、水が溢れるのを防ぐための「オーバーフロー穴」が開いていませんか?
この穴が開いたままだと、ラバーカップでせっかく加えた圧力が全部ここから逃げてしまって、全く効果が得られません。
作業を始める前に、必ずこのオーバーフロー穴を、濡れた雑巾を詰めたり、ガムテープで貼ったりして、しっかりと塞いでくださいね!
ちなみに、ラバーカップよりもさらに強力な吸引力を持つ「真空式パイプクリーナー」というアイテムもあります。SANEIなどから発売されていますが、これは「引き」の力に特化していて、詰まりを強力に引きずり出すことができます。
ラバーカップでダメなら、こういう専門的な道具を試してみるのもアリだと思います。
ペットボトルで圧力をかける
「今すぐなんとかしたいのに、家にラバーカップがない!」
…そんな時の応急処置として使えるのが、「ペットボトル」です。
これは、ラバーカップの水圧とは違って、「空気の圧力」で詰まりを押し出す方法ですね。
用意するものは、500mlサイズの炭酸飲料用のペットボトル。
お茶などの柔らかいものではなく、ある程度強度のある炭酸用というのがポイントです。
ペットボトルを使った対処法
- 排水口のフタ、ゴミ受け、ワントラップをすべて取り外します。
- ペットボトルのキャップは外してください。
- 排水管の穴の入り口に、ペットボトルの口を、隙間ができないように垂直に「グッ」と強く押し当てます。ここが一番のポイントです!
- ペットボトルの胴体部分を両手で持ち、「ベコッ、バコッ」と、強く押したり引いたり(へこませたり戻したり)を繰り返します。
これで排水管内部に空気が送り込まれ、その圧力で詰まりが押し流されるのを狙います。
ただ、これはあくまで応急処置ですね。
排水口の形状とペットボトルの口がうまく合わないと、隙間から空気が「プシュー」と漏れてしまって、十分な圧力がかからず効果が得られないことも多いです。「これで直ったらラッキー」くらいに思っておくのがいいかもしれません。
やはり、一家に一台、キッチン専用のラバーカップを常備しておくのが安心だと思います。
強力な薬剤ピーピースルーの効果
お湯やラバーカップでも流れが改善しない…となると、いよいよ強力な薬剤の出番です。
お店でも「排水溝の詰まりに効く洗剤は?」と聞かれることが多いんですが、市販のパイプクリーナーには色々種類がありますよね。
ドラッグストアでよく見る「パイプハイター」や「パイプユニッシュ」などの液体・ジェルタイプは、実は「予防」や「ヌメリ取り」に向いているんです。
これらの主成分は「水酸化ナトリウム」なんですが、濃度がだいたい1%前後なんですね。粘度が高いので、パイプの内壁に留まってヌメリや髪の毛をじっくり溶かすのは得意なんです。
でも、「流れが悪い」という「詰まりかけ」の状態には、正直ちょっとパワー不足な場合も…。
そこで私のおすすめが、和協産業というメーカーの「ピーピースルーF」です。
業務用レベルの強力洗浄剤「ピーピースルーF」
これは顆粒(粉末)タイプで、なんと水酸化ナトリウムの濃度が4%もあるんです!
一般的なジェルタイプの約4~5倍の濃度と聞くと、その強力さがイメージできるんじゃないでしょうか。もともと業務用として使われていたものが市販されるようになった製品なんですよ。
これは水と反応して「発泡」し、さらに「熱」を発生させるのが特徴です。化学的な溶解力(アルカリ)に加えて、発泡(物理的)と熱(溶解促進)のトリプルパワーで、こびり付いた頑固な油汚れを強力に分解してくれるんです。
これはもう「予防」ではなく、「詰まり解消」のための薬剤ですね。
強力だからこそ「安全上の注意」は徹底してください!
ピーピースルーFは非常に強力な薬剤なので、使う時は細心の注意が必要です。
- 熱湯の使用は厳禁!
粉末と熱湯を合わせると、急激な化学反応や沸騰が起こって、薬剤が噴き出して失明や大火傷をする危険があります。必ず「水」(または指定されたぬるま湯)を使ってください。 - 換気を必ず行う!
反応時に刺激臭(塩素臭など)が発生することがあります。必ず換気扇を回し、窓を開けるなど、十分な換気を行ってください。 - 保護具を着用する!
強アルカリ性は皮膚や粘膜を溶かします。必ずゴム手袋、できれば保護ゴーグルも着用してください。 - 「混ぜるな危険」は絶対!
もちろん、他の塩素系・酸性タイプの洗剤と混ざるのは厳禁です。
安全に正しく使えば、これほど頼りになるアイテムはありません。本気で詰まりに困っている方には、最終手段として試す価値アリだと思います。
賃貸で流れが悪い時の注意点
「キッチンの流れが悪いけど、これって賃貸だから大家さんに言うべき?」
…これ、すごく迷うポイントですよね。
賃貸アパートやマンションの場合、戸建てと違って「責任の所在」と「費用負担」の問題が出てくるので、少し慎重に行動する必要があります。
まずやるべきことと連絡の順番
- まずは自分でDIY対処を試す
これまでご紹介した、市販の薬剤(ピーピースルーF含む)やラバーカップなど、配管にダメージを与えるリスクが低い方法を試してみてください。
ただし、ワイヤーブラシを無理に突っ込んだり、シンク下の配管を自分で分解したりするのは、破損のリスクがあるので避けるのが賢明です。 - 改善しない場合は、必ず「大家さん・管理会社」に連絡
DIYで一切改善しない場合や、固形物を落としたなど原因が明らかな場合は、自分で水道業者を手配する前に、必ず大家さん(貸主)か管理会社に連絡してください。
修理費用は誰が負担するの?
これは「詰まりの原因」によって決まります。
▼入居者(あなた)負担になるケース
入居者の「故意・過失」や「善管注意義務違反」と見なされる場合です。
具体的には、「大量の油や食べカスを日常的に流していた」「固形物を落とした」「ゴミ受けの清掃を明らかに怠っていた」など、普段の使い方やお手入れに問題があった場合ですね。
▼大家(貸主)負担になるケース
建物の「構造的な問題」や「経年劣化」による場合です。
例えば、「排水管の勾配がもともと悪い」「配管が老朽化して破損した」「キッチン以外(洗面所など)も詰まっている(=共用部の問題)」といった場合ですね。
万が一、詰まりが原因で水漏れ(漏水)を起こして、「下の階の住人さんの家財」に損害を与えてしまった…という場合は、入居時に加入した火災保険の「個人賠償責任保険」が使える可能性があります。
ただし、単なる「自分の部屋の詰まり修理費用」自体は、保険の対象外になることがほとんどです。
まずは慌てずDIYを試して、ダメなら管理会社に相談、という流れを覚えておいてくださいね。
キッチンの排水溝の流れが悪い時の対処法|家電活用編

さて、ここからは家電量販店で働く私ならではの視点で、キッチンの排水溝問題に関連する「家電」についてお話ししたいと思います。
「流れが悪い」と感じる前の「サイン」や、一歩進んだお掃除・予防法に、実は家電が大きく関わっているんですよ。
ボコボコ音がする時のサイン
水を流したときに、排水溝の奥から「ボコボコ」「ゴポゴポ」という、なんだか空気が逆流してくるような嫌な音…。これ、経験ありませんか?
実はこの音、排水管が詰まりかけている「前兆」、あるいは「初期症状」なんです!
排水管の内部が、油や汚れでだんだん狭くなってくると、排水時に管内の空気がスムーズに抜けなくなります。この狭くなった部分を水が通過するときに、空気と水がぶつかり合って、あの「ボコボコ音」が発生するんですね。
これは、排水管からの「最後の警告音」だと思ってください。
「警告音」を放置しないで!
この「ボコボコ音」がし始めた段階で対処すれば、先ほどご紹介した「50℃のお湯と水圧」の方法や、「ピーピースルーF」などの強力な薬剤(数千円)で解決できる可能性が高いです。
でも、「まだ流れるからいいや」と放置して、完全に詰まらせてしまうと、数万円の業者さん費用(高圧洗浄など)がかかってしまうことになります。
「音が鳴ったら、すぐ対処!」を合言葉にしてくださいね。
対処法の優先順位としては、まず「50℃のお湯と水圧」を試してみて、それでも音が消えないようなら「ピーピースルーF」などの強力な薬剤を投入するのが効果的だと思います。
戸建ては排水桝の確認を
「キッチンの流れが悪いだけじゃなくて、なんだか洗面所やお風呂場まで、家全体の水の流れがイマイチ…」
もしあなたが戸建てにお住まいで、こんな症状が出ているなら、疑うべきはキッチンの排水口ではなく、その「最終出口」かもしれません。
戸建て住宅の場合、キッチンや洗面所など家中の排水は、最終的に敷地内(お庭や駐車場の隅など)にある「排水桝(はいすいます)」と呼ばれる、小さなマンホールのような場所に集められます。
キッチンから流された油が、この排水桝に流れ着き、そこで冷えて固まり、桝自体や、そこから下水本管へ続く配管を塞いでしまうことがあるんです。
排水桝のDIY清掃と「高圧洗浄機」の活用
マイナスドライバーなどでフタを開けてみて、中に白い油の塊(ラード状のもの)がビッシリ溜まっていたら、それが原因です。ひしゃくやゴミ袋、ブラシなどを使って物理的に取り除くお掃除が必要になります。
…と、文字で書くのは簡単ですが、これがかなりの重労働なんですよね。
そこで、家電店員の私から強くおすすめしたいのが、「高圧洗浄機」の活用です!
ケルヒャーのKシリーズや、京セラ(旧リョービ)のAJPシリーズなどが有名ですね。
これらの強力な水圧を使えば、桝の壁面にこびり付いた頑固な油の塊を、物理的に粉砕・洗浄することができます。
さらに、「パイプクリーニングホース」という専用のアクセサリー(別売)を使えば、桝から先の排水管の内部まで清掃が可能です。
これはホースの先端から水が「逆方向」に噴射される仕組みで、その力でホースが自動的に管の中を進んでいきながら、内部の汚れをかき出してくれる優れものなんですよ。
警告:高圧洗浄機をキッチン排水口に直接使わないで!
ひとつだけ、絶対に守ってほしいことがあります。
高圧洗浄機を、キッチンのシンクにある排水口から直接突っ込むのだけは、絶対にやめてください!
ものすごい勢いの水圧が配管内で行き場を失い、逆流して、シンクから汚水が噴き出す大惨事になります。これはもう、想像するだけで恐ろしいですよね…。高圧洗浄機は、必ず「屋外の排水桝」から使用してくださいね。
食洗機が詰まりの原因になる?

「手洗いの手間が省けて、高温洗浄で除菌もできる!」
…本当に便利な「食洗機(食器洗い乾燥機)」
パナソニックやリンナイのビルトインタイプ、シロカなどの卓上タイプ、どれも大人気です。
でもその食洗機の仕組みが、実は排水管に特有の詰まりを引き起こす可能性があることをご存知でしたか?
これは「便利さの裏側」とも言えるお話なんです。
「油の転移」という現象
食洗機は、手洗いでは使えない60℃~80℃といった高温のお湯と、強力な専用洗剤の力で、食器についた油汚れを完璧に溶かしますよね。ピカピカになった食器を見ると嬉しくなります。
問題は、その「溶けた大量の液体油」がどこへ行くか、です。
それらは排水ホースを通って、キッチンの排水管本管(S字トラップの先など)に合流します。そこで、配管内の冷たい水や、冷えた管壁に触れることで、急激に冷却されて「再固化」してしまうんです。
手洗いの場合、一部の油はキッチンペーパーで拭き取られたり、冷たい水で洗うことでお皿の上で固まってゴミ受けに残ったりします。でも、食洗機は全ての油を効率よく溶かして、排水管の「奥」へ送り込んでしまうんですね。
結果として、「食洗機を多用するご家庭ほど、排水管の『下流(奥)』で、より深刻で固い油の塊による詰まり(ダウンストリーム・クロッグ)を引き起こすリスクがある」と指摘されています。
これは、店頭でお客様のライフスタイルをお伺いする際にも、時々お話しすることです。
食洗機ユーザー必須の対策
「じゃあ、食洗機を使わない方がいいの?」
…いえいえ、そんなことはありません!対策をしっかりすれば大丈夫です。
- 食洗機内の「残さいフィルター」は、最低でも週に1回は清掃してください。
- 月に1回程度、パナソニックの専用庫内クリーナーや、フィニッシュの庫内洗浄剤などを使って、排水ホース内のお掃除をしましょう。
- (これが一番大事!)食洗機が接続されている「キッチンの排水管本管」を、市販のパイプクリーナー(パイプハイターなどのジェルタイプでOK)で、月に1~2回、定期的に洗浄してください。
これで、下流での油の蓄積を防ぐことができます。
便利な家電だからこそ、その特性を理解して、上手に付き合っていくことが大切ですね。
スチームクリーナーでの掃除
次にご紹介する家電は「スチームクリーナー」です。
ケルヒャーの「SC1 EasyFix」のようなハンディタイプや、アイリスオーヤマの製品などが人気ですね。
ここで大事なことを先にお伝えします。スチームクリーナーは、排水管の「奥」の詰まりを解消する道具ではありません。
その代わり、排水口の「入口」部分…つまり、ゴミ受け、ワントラップ、排水口カバーなど、手が届く範囲のヌメリや油汚れを、化学薬品を一切使わずにピカピカにする最強の家電なんです!
高温スチームでヌメリと雑菌を撃退!
スチームクリーナーは、100℃近い高温の蒸気(スチーム)を、ノズルから高圧で噴射します。
この高温のスチームが、ゴミ受けの複雑な網目や、ワントラップのフチにこびり付いた、あのイヤ~なヌメリや油汚れを、瞬時に浮かせて剥がしてくれるんです。
でも、私が一番「嬉しいポイント!」と思うのは、「洗剤なしで除菌・消臭ができる」ことです。
排水溝の悪臭の原因は、ヌメリを栄養源にしている「雑菌」ですよね。スチームクリーナーなら、その雑菌を高温で根本からやっつけてくれます。
使い方は簡単で、取り外した部品にポイントノズルなどでスチームを噴射するだけ。浮き上がった汚れを古い歯ブラシで軽くこすれば、新品みたいにキレイになりますよ。
化学物質を使いたくない方や、小さなお子様がいるご家庭には、本当におすすめの家電です。
業者に依頼する料金相場
「色々試したけど、もうダメ…!」
「スプーンを落としちゃった…」
DIYでの対処には限界があります。
無理をして配管を傷つけてしまう前に、潔く専門の水道修理業者さんに依頼することも大切です。
では業者さんに頼むと、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
これは詰まりの原因や深刻度、使用する機材によって大きく変わってきます。
あくまで一般的な目安ですが、料金相場をまとめてみました。
| 作業内容 | 費用相場(税込) | 作業内容の詳細 |
|---|---|---|
| 軽度の詰まり(薬剤・ポンプ使用) | 5,000円 ~ 11,000円 | 市販品より強力な業務用の薬剤や、真空式ポンプ(ローポンプ)を使って解消する作業です。 |
| 中度の詰まり(トーラー作業) | 15,000円 ~ 33,000円 | 「トーラー」という業務用の電動ワイヤーマシンで、配管内部の固い詰まりを物理的に粉砕・削り取る作業です。 |
| 重度の詰まり(高圧洗浄) | 25,000円 ~ 70,000円+ | 最も強力な方法。高圧洗浄機のノズルを配管に挿入し、強力な水圧で管内を新品同様に洗浄します。 |
| 排水桝の清掃(戸建て) | 20,000円 ~ | 屋外の排水桝の清掃や、そこからの高圧洗浄作業です。 |
コスト防衛という考え方
この表を見ると、業者さんによる「高圧洗浄」は、安くても数万円、場合によっては7万円以上かかることがわかりますよね。
一方で、先ほどご紹介した強力な薬剤「ピーピースルーF」は、1本(1回分)あたり約2,000円です。戸建て用の「高圧洗浄機(家電)」は数万円で購入できます。
そう考えると、業者さんに一度高圧洗浄を依頼する費用で、強力な薬剤なら何十回もメンテナンスができますし、高圧洗浄機(家電)が買えてしまうわけです。
日頃から薬剤でメンテナンスをしたり、戸建てオーナーさんが家電を購入して自分で排水桝を清掃したりすることは、将来的な高額出費を防ぐ、とても合理的な「コスト防衛」と言えるんじゃないでしょうか。
もちろん、これはあくまで目安の金額です。実際の費用は、必ず作業前に現地を調査してもらい、作業内容と総額を明記した「確定見積もり」をもらってから判断してくださいね。
「基本料金◯◯円~」という広告は、追加料金が発生することがほとんどなので注意が必要です。
最終的な判断は、複数の業者さんから見積もりを取る(相見積もり)などして、慎重に行ってください。
私のおススメとしては、技術の「お掃除革命」か、コスパの「くらしのマーケット」での相見積もりですかね。
まとめ:キッチン排水溝の流れが悪い対処法
今回は、「キッチンの排水溝の流れが悪い時の対処法」について、自分でできることから家電を使った専門的な方法まで、詳しくご紹介してきました。
排水溝の流れが悪くなる原因のほとんどは、「油」と「食べ物のカス」です。まずは、これらがなぜ詰まるのかを理解することが解決への第一歩ですね。
流れが悪いと感じたら、まずは慌てずに、
- 50℃のお湯と水圧
- 重曹とクエン酸
- ラバーカップ
- 強力な薬剤(ピーピースルーFなど)
といったDIY対処法を、安全に注意しながら試してみてください。
また、食洗機が詰まりの「原因」になる可能性や、スチームクリーナーが「予防」に役立つこと、戸建てなら高圧洗浄機で「排水桝」を掃除できることなど、家電の特性を知っておくのも、とても大切だと思います。
とはいえ、一番の対処法はなんといっても「日々の予防」です。
「調理で使ったフライパンの油は、洗う前にキッチンペーパーで拭き取る」
「ゴミ受けネットを毎日交換する」
こうした地道な習慣が、結局は一番の節約につながるんですよね。
もしDIYで改善しない場合や、固形物を落としてしまった場合は、無理をせず早めに専門の業者さんに相談してくださいね。
この記事が、あなたのキッチントラブル解決のヒントになれば嬉しいです!



