寒い冬の朝、布団から出るのが億劫になりますよね。
「スイッチひとつで、すぐに部屋中がポカポカになったらいいのに…」そんな願いを叶えてくれる最強の暖房器具、それがガスファンヒーターです。
でも、検索窓に「デメリット」なんて不穏な言葉が出てくると、購入を迷っちゃいますよね。「結露で家が傷むって本当?」「ガス代がとんでもないことになるんじゃ…」
そんな不安、とてもよくわかります。
たしかにガスファンヒーターには、明確なデメリットがあります。
特にプロパンガス地域の方や、高気密住宅にお住まいの方は要注意。でもその「弱点」さえ正しく理解して対策すれば、これほど頼りになる相棒はいません。
この記事では、家電販売員の私が売り場でこっそり教えている「ガスファンヒーターの裏話」を包み隠さずお話しします。デメリットの正体から、それをカバーする賢い使い方、そして絶対に失敗しない機種選びまで。
読んだ後には、あなたにガスファンヒーターが必要かどうかが、ハッキリと分かるはずですよ!
- 結露の原因と具体的な対策
- プロパンと都市ガスのコスト差
- エアコンや石油暖房との違い
- 後悔しない機種と安全な使い方
ガスファンヒーターのデメリットと基礎知識

「ガスファンヒーターって、暖かくて最高!」という評判の一方で、「やめておけばよかった」という声もチラホラ耳にします。なぜ評価が真っ二つに分かれるんでしょうか?
ここでは、購入前に知っておかないと後悔する致命的なデメリットと、基本的な知識について、ちょっと深掘りして解説していきますね。「こんなはずじゃなかった」を防ぐための第一歩です。
ガスファンヒーターのメリットとデメリット
まず結論から言っちゃいますね。
ガスファンヒーターの最大のメリットは、なんといっても「圧倒的な速暖性」と「給油の手間がないこと」です。
スイッチを入れて5秒で温風が出るなんて、エアコンや石油ファンヒーターには真似できません。寒い朝、着替える時のあの辛さから解放される快感は、一度味わうと戻れないレベルですよ。
でも、いいことばかりじゃないんです。
最大のデメリット、それは「結露」です。
なぜガスファンヒーターは結露するの?
これは故障ではなく、化学反応による仕様なんです。都市ガス(メタン)やプロパンガスを燃やすと、化学反応で大量の「水」が発生します。
驚かないでくださいね。なんと、ガスを燃やした量よりも多い水蒸気が室内に放出されるんです。
つまり、ガスファンヒーターは「強力な加湿器」を回しながら暖房しているようなもの。窓ガラスや北側の冷たい壁で空気が冷やされると、その水分が一気に水滴(結露)に変わります。
この結露を放置すると、カビやダニの原因になり、最悪の場合、家の柱を腐らせてしまうことも…。
「加湿されて肌が乾燥しない!」というのはメリットでもありますが、家の健康にとってはリスクでもあるんです。だからこそ二重窓にしたり、結露防止シートを使ったりといった対策が必要になってきます。
さらに、設定温度を工夫して結露と光熱費を抑える方法は、ファンヒーターの設定温度を見直して節約する方法も参考になるはずです。
ガスファンヒーターは体に悪い?
「ガスを燃やした空気を部屋に撒き散らして、体に悪くないの?」という質問、売り場でも本当によく聞かれます。特にお子さんがいるご家庭だと心配ですよね。
これに関しては、「換気をしないと、体に悪い」が正解です。
ガスファンヒーターは室内の酸素を使って燃焼し、排気ガス(二酸化炭素や微量の窒素酸化物など)を室内に戻します。締め切った部屋で使い続けると、空気はどんどん汚れていきます。
ガス機器の安全な使い方をまとめた業界団体も、1時間に1~2回(1~2分)程度の換気を行うよう注意喚起しています。
(出典:一般財団法人日本ガス機器検査協会「ガスファンヒーター・ガスストーブの安全な使い方」)
換気は安全の生命線
一番怖いのは一酸化炭素(CO)中毒です。最近の機種は安全装置が優秀ですが、それでも酸素不足になると不完全燃焼のリスクはゼロではありません。
メーカー推奨は「1時間に1~2回、1分程度の換気」
「せっかく暖まったのに窓を開けるの?」って思いますよね。私も思います(笑)
でも、これがガスファンヒーターを使う上での絶対ルールなんです。
また、窒素酸化物(NOx)は、喘息などの呼吸器系疾患をお持ちの方には刺激になることがあります。敏感な方がご家族にいる場合は、空気を汚さないエアコンや床暖房の方が安心かもしれませんね。
都市ガス12Aと13Aの違いと対応機種の確認
ここ、意外と見落としがちなんですが、超重要ポイントです!
引っ越しなどでガスファンヒーターを譲り受けたり、ネットで中古を買ったりする場合、ガスの種類を間違えると大変なことになります。
都市ガスには昔はいくつか種類がありましたが、現在はほとんどの地域で「13A」という種類に統一されています。でも、一部の地域や古い物件ではまだ「12A」が使われていることも…。
12Aと13Aでは、ガスの熱量が違うんです。
使っているガスの種類をチェック!
ご自宅のガスメーターや検針票を見てみてください。「13A」や「12A」という記載があるはずです。
今のガスファンヒーターの多くは「12A・13A両用」になっていますが、古い機種だと片方専用の場合もあります。
もし種類が合わない機器を使うと、不完全燃焼を起こしたり、火災の原因になったりして非常に危険です。必ず確認してくださいね。
※ガスの種類や機器の適合については、契約しているガス会社の公式サイト等で正確な情報を確認してください。
購入時の注意点と設置の制約

ガスファンヒーターを買う前に、絶対に確認してほしいのが「ガス栓(ガスコンセント)」の場所です。
電気コードと違って、ガスコードは「どこでも繋げる」わけじゃありません。
「あ、この部屋にはガス栓がない!」なんてことになったら、もう目も当てられません…。ガス栓の増設工事もできますが、数万円かかりますし、賃貸だと大家さんの許可も必要です。
それに、ガスコードの長さにも限界があります。
安全上、あまり長いコードで部屋を横断させるのはNG。足に引っかかって転倒したら本体も倒れて危険ですからね。
「今日はリビング、明日は脱衣所」みたいに気軽に移動できないのも、石油ファンヒーターとの大きな違いです。一度設置したら、基本的にはそこが定位置になります。
高齢者が危なくない暖房器具
ご実家のご両親のために暖房器具を探されている方も多いですよね。高齢者にとってガスファンヒーターはどうなんでしょうか。
メリットは、灯油のように重いタンクを持って給油しなくていいこと。これは腰への負担もなくて本当に楽です。でもデメリットとして「火傷」と「転倒」のリスクがあります。
吹き出し口からはかなり高温の風が出ます。感覚が少し鈍くなっていると、気づかないうちに低温火傷をしてしまうことも。また、先ほどお話ししたガスコードに足を取られて転ぶリスクも無視できません。
安全に使うためのひと工夫
もし高齢の方が使うなら、「ファンヒーターガード」は必須アイテムだと思います。
例えば、アイリスオーヤマの「FTE-580N」のような吹き出し口が熱くなりにくいタイプで囲ってしまえば、直接触れるリスクを減らせます。
もっと安全性を重視するなら、オイルヒーターのような表面温度が低い器具も検討の余地ありですが、暖かさをとるなら、ガード付きのガスファンヒーターが現実的な解かなと思います。
ガスファンヒーターのデメリットを補う選び方

デメリットばかり並べてしまいましたが、それでも私がガスファンヒーターを推す理由は、やっぱりそのパワーと快適さが他を圧倒しているからです。
ここからは、他の暖房器具と比較しながらデメリットをどうカバーして賢く使っていくか、家電店員の視点で解説しますね。
暖房能力と省エネ|エアコンとの比較
「エアコンとどっちがいいの?」
これ、永遠のテーマですよね。
これに対する私の答えは、ズバリ「役割分担」です。
| 項目 | ガスファンヒーター | エアコン |
|---|---|---|
| 速暖性 | ◎(爆速) | △(遅い) |
| 足元の暖かさ | ◎(床からポカポカ) | △(顔だけ熱くなりがち) |
| ランニングコスト | △(使い方次第) | ◎(長時間なら最強) |
エアコンは省エネ性能がすごく進化しているので、長時間つけっぱなしにするならエアコンの方が電気代は安く済むことが多いです。
でも、外が氷点下になるような寒い日は、エアコンだと霜取り運転で止まっちゃったりして、なかなか部屋が暖まらないこと、ありますよね?
ガスファンヒーターは外気温に関係なく、ガスのパワーで一気に暖めます。
だから、「朝起きてからの30分」や「帰宅直後」はガスファンヒーター、部屋が暖まったらエアコンに切り替えて温度維持。この「いいとこ取り」のリレー運転が、快適さと節約を両立させる最強のテクニックなんです。
具体的な光熱費のシミュレーションや併用パターンは、ガスファンヒーターとエアコンの光熱費と併用術を詳しく解説した記事でチェックしてみてください。
つけっぱなしにした場合のガス代と節約術
「ガスファンヒーターをつけっぱなしにしたら、請求書を見て気絶しそうになった…」なんて話、笑い事じゃありません。
特に注意が必要なのが、プロパンガス(LPガス)のお宅です。
プロパンガスは都市ガスに比べて単価が高いことが多く、ガスファンヒーターをメイン暖房として一日中つけっぱなしにすると、月に2万円、3万円…と跳ね上がることも珍しくありません。
都市ガスならもう少しリーズナブルですが、それでもエアコンよりは高くなりがちです。
エコ機能を使い倒そう!
最近の機種には必ずと言っていいほど「エコ運転機能」が付いています。
例えばリンナイやノーリツの機種なら、設定温度に達すると自動で燃焼を弱めたり、部屋が暖まりすぎると一時的に運転を停止したりしてくれます。
これをONにするだけで、無駄なガス消費をかなり抑えられますよ。「面倒くさいから」って設定しないのは、お金を燃やしているのと同じです!(笑)
石油ファンヒーターとはどちらがお得?
「灯油の方が安いんじゃない?」というのも鋭い指摘です。
確かに、純粋な燃料代だけで見れば、灯油の方が安く済むケースが多いです(原油価格にもよりますが)。
灯油代や電気代を含めたトータルコストを具体的な数字で確認したい場合は、最新石油ファンヒーターの燃費と総コストを解説した記事も参考になるでしょう。
でも、ここで考えてほしいのが「見えないコスト」です。
寒い中、重いポリタンクを持ってガソリンスタンドまで買いに行く時間。灯油ポンプでシュポシュポ給油する手間。手についた灯油の臭い…。
これらを「労働」として時給換算したら、どうでしょう?
ガスファンヒーターは、ガスコードを繋ぐだけで燃料が無限に供給されます。
「給油ランプが点滅した時のあの絶望感」から解放されるんです。
多少の燃料代の差なら、この「快適さと時間の節約」にお金を払う価値は十分にあると私は思います。特に忙しい共働き世帯や、力仕事が辛い方には、断然ガスをおすすめします。
ガスファンヒーターはいつ買うのが安い?

家電量販店の裏事情をちょっとだけ。
暖房器具が一番売れるのは11月~12月ですが、一番安く買える狙い目は「シーズンの終わり際」、つまり2月~3月頃です。
お店としては在庫を残したくないので、展示品処分や在庫一掃セールでガクッと値段を下げることがあります。ただし、この時期は人気機種はもう売り切れていて選択肢が少ないのが難点です。
逆に、最新機種や特定のデザインが欲しいなら、9月~10月の出始めに予約購入するのも手です。意外とポイント還元が大きかったりするんですよ。
「壊れたから今すぐ欲しい!」という真冬に買うのが一番定価に近いので、計画的に動くのが吉ですね。
デメリットを解消するガスファンヒーターのおすすめ機種
最後に、私が売り場で自信を持っておすすめしている機種をいくつか紹介しますね。
「結露」や「掃除の手間」といったデメリットを少しでも軽くしてくれる機能を持ったものを選びました。
まず、デザインにもこだわりたい方には、リンナイの「A-style(エースタイル) RC-A4401NP」がイチオシ。
これ、ただのヒーターじゃないんです。プラズマクラスター機能がついていて、暖房を使わない時期でもイオン発生機として使えるんですよ。「夏場に邪魔な置物になる」というデメリットを見事に解消しています。
コスパ重視なら、ノーリツの「GFH-4007S」などのスタンダードモデル。
基本性能がしっかりしていて、エコ運転機能も優秀。そして何より運転音が静か!「ボーッ」という音が気になる方にはぴったりです。
まとめ:ガスファンヒーターのデメリット
長くなりましたが、ガスファンヒーターと上手に付き合うためのポイントを整理しましょう。
| 気になるデメリット | こうすれば解決! |
|---|---|
| 結露・カビ | 1時間に1回の換気を徹底する。窓の断熱対策を行う。 |
| ガス代が高い | 「エコ運転」を活用する。部屋が暖まったらエアコンに切り替えるハイブリッド使いをする。 |
| 設置場所の制限 | 購入前にガス栓の位置を確認。長すぎるガスコードは避ける。 |
| 安全性への不安 | ガードを設置する。換気を忘れない。古い機種は使わない。 |
ガスファンヒーターは、確かに「結露」や「換気の手間」といったデメリットがあります。でも、それを補って余りある「最高の暖かさ」があるのも事実。
ご自宅の環境(都市ガスかプロパンか、ガス栓の場所など)をしっかり確認して、ライフスタイルに合っているなら、これほど頼もしい冬の味方はありません。
この記事が、あなたの「寒い冬」を「ポカポカで幸せな冬」に変えるきっかけになれば嬉しいです!


