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ファンヒーターのシリコン除去方法!スプレー使用の注意点も解説

ヒーター

寒い季節、帰宅してすぐに温まりたいのに、ファンヒーターのスイッチを入れても「ピー」というエラー音と共に消えてしまう……。
そんな経験、ありませんか?

「まだ買ったばかりなのに」「灯油は入っているのに」と不思議に思われるかもしれませんが、その犯人は意外なところに潜んでいます。

それは、毎日の生活で使っているヘアケア製品などに含まれるシリコンなんです。

「えっ、シリコンが?」と驚かれる方も多いですよね。
でも、このシリコンがファンヒーターにとっては大敵。内部のセンサーにガラスのようにこびりついて、炎を検知できなくしてしまうんです。

この記事では、そんな厄介なファンヒーターのシリコン除去方法について、家電量販店で働く私の視点から、修理のリスクや具体的な手順、そして予防策までを詳しくお話ししていこうと思います。

少しディープな内容ですが、愛着のあるヒーターを長く使うためのヒントになれば嬉しいです!

この記事のポイント
  • シリコンがガラス化して故障する仕組み
  • 自己修理のリスクと買い替えの判断基準
  • 紙やすりを使った正しい除去手順
  • 今日からできるシリコン対策と予防法
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ファンヒーターのシリコン除去方法と故障原因

クリーン家電ガイド:イメージ

まずは敵を知ることから始めましょう。
「なぜシリコンが付くとダメなのか」「どのメーカーなら大丈夫なのか」。

お店でもよく聞かれるこれらの疑問について、ファンヒーターの仕組みを少しだけ掘り下げて解説しますね。ここを理解すると対処法の意味がよく分かるようになりますよ。

シリコンが付着するのはなぜ?

「普通に使っているだけなのに、どうしてシリコンが付くの?」と疑問に思いますよね。

実は、私たちが普段何気なく使っているヘアトリートメント、枝毛コート、柔軟剤、家具の艶出しスプレーなどには、「揮発性シリコン」という成分が含まれていることが多いんです。

これらは髪をツヤツヤにしたり手触りを良くしたりする素晴らしい成分なんですが、ファンヒーターにとってはちょっと厄介な存在なんです。

ファンヒーターは部屋の空気を大量に吸い込んで燃焼に使います。この時、空気中に漂っている目に見えないシリコン成分も一緒に吸い込んでしまうんですね。

そして、燃焼室の中は1000℃を超える高温。ここでシリコンが化学反応を起こすと、なんと「二酸化ケイ素」、つまりガラスの粉のようなものに変化してしまうんです。

このガラス質の物質が、炎の中にある「フレームロッド」という重要なセンサーに白く焼き付きます。このセンサーは本来、金属部分で炎の電気を感じ取っているのですが、絶縁体であるガラス(シリコン酸化物)で覆われてしまうと、「炎がない!」と誤解してしまうんです。

その結果、安全装置が働いてエラー停止してしまう。これがシリコン付着による故障のメカニズムなんです。油汚れではなく「ガラス」だからこそ、簡単には取れないんですね。
出典:ダイニチ工業「安全に長くお使いいただくために シリコーン配合製品を使用しない」

ファンヒーターの寿命は何年?

「ファンヒーターって、そもそも何年くらい使えるものなの?」というご質問もよくいただきます。

メーカーが定めている標準的な設計上の使用期間は、一般的に8年とされています。本体の裏側などに貼ってあるシールを見ると書いてあることが多いですよ。

ですが、シリコン配合製品を頻繁に使う環境だと、この寿命は劇的に短くなってしまうことがあるんです。酷い場合だと、購入して2〜3年で「点火不良」や「途中消火」といった症状が出始めることも珍しくありません。

「3年で壊れるなんて早すぎる!」とお叱りを受けることもあるのですが、実は機械自体の寿命というよりは、シリコン汚れによるセンサーの誤作動であることがほとんどなんです。

ポンプやモーターといった心臓部は10年以上持つポテンシャルがあるのに、センサー汚れだけで使えなくなるのはもったいないですよね。

ただ、8年以上使っている機種に関しては、ゴムパッキンの劣化や電装部の老朽化も進んでいます。もし古い機種でシリコン除去を考えているなら、「そろそろ買い替え時かも?」という視点も持ちつつ、安全第一で判断してほしいなと思います。

より詳しい寿命の目安や危険なサイン、処分方法まで知りたい方は、石油ファンヒーターの寿命や買い替えどきを詳しく解説した記事もあわせてチェックしてみてください。

使用期間の確認方法

本体側面や背面のシールに「製造年」が記載されています。まずはここをチェックして、8年を超えていないか確認してみましょう。

修理代と自己修理のリスク

クリーン家電ガイド:イメージ

さて、いざ故障したとなると気になるのがお財布事情ですよね。

メーカーや修理業者に依頼した場合、シリコン除去(フレームロッドの研磨や交換)にかかる費用は、出張費込みで15,000円〜22,000円程度が相場です。

「えっ、新品が買えちゃう値段……」と絶句されるお客様も正直多いです。

そこで「自分で直せないか?」と考える方が増えているのですが、ここには大きなリスクが潜んでいます。

ファンヒーターは灯油を燃やす「火気使用機器」です。
分解して組み立て直す際に、ネジを一本締め忘れたり、パッキンの位置がズレたりするだけで、灯油漏れや不完全燃焼、最悪の場合は火災や一酸化炭素中毒といった重大な事故に繋がる可能性があります。

自己修理の絶対的な注意点

ご自身での分解・修理はメーカー保証の対象外となります。失敗しても修理を受け付けてもらえなくなる可能性が高いです。あくまで「自己責任」の範囲内で行う覚悟が必要です。

私としては、保証期間内(通常1年、一部メーカーは3年)であれば迷わずメーカー修理をおすすめします。

保証が切れていて、かつ買い替えも視野に入れている場合に限り、ダメ元での自己修理(DIY)という選択肢が出てくるのかな、といったところですね。

シリコンに強いメーカーと製品の選び方

「次はシリコンに強いメーカーに買い替えたい!」という切実な声もよく耳にします。

結論から言うと、どのメーカーも安全のために炎を検知する仕組み(フレームロッド方式)を採用している以上、「シリコンに完全に強くて壊れないメーカー」というのは残念ながら存在しません。

ただ、それぞれの特徴を知ることで、メンテナンスしやすい機種を選ぶことはできます。

例えば、シェアNo.1のダイニチは、着火が早くて便利ですが、構造上シリコンの影響を受けやすい傾向があります。
その代わり、前面パネルが外しやすく、メンテナンス(自己責任になりますが)へのアクセスは比較的容易な設計になっています。

一方、コロナは燃焼方式が異なり、壺のような燃焼筒の中で燃やすタイプです。消費電力が低く、頑丈さが売りですが、分解するには多くのネジを外す必要があり、内部構造も少し複雑です。
ただ、強火力で汚れを焼き切るクリーニング機能の効果が比較的高いとも言われています。

トヨトミも頑丈さには定評がありますが、シリコンに対して無敵というわけではありません。

もしご自身でメンテナンスをしながら長く使いたいと考えるなら、構造がシンプルで分解情報も多いダイニチのエントリーモデル、例えば「FW-32S4」などを選び、定期的に手入れをするのが経済的かもしれませんね。

ファンヒーターのシリコン除去方法と再発防止

クリーン家電ガイド:イメージ

ここからは、リスクを理解した上での「実践編」です。

シリコン除去はただの掃除ではなく、ガラス質の膜を削り落とす精密作業。必要な道具や手順、そして再発を防ぐための予防策について詳しく見ていきましょう。

ファンヒーターの掃除方法

まずは本体内部へのアクセス方法です。

ここでは一般的なダイニチ製のファンヒーターを例に挙げてみますね。作業前には必ずコンセントを抜き、本体が完全に冷えていることを確認してください。火傷や感電の原因になりますからね。

基本的には、前面のパネル(温風が出てくる部分のパネル)を外すところからスタートします。下部の左右にある化粧ネジ(プラスチックのキャップがついていることが多いです)を外すと、パネルの下側を手前に引けるようになります。そのまま少し持ち上げると、上部のツメが外れてパネル全体が取れます。

パネルを外すと、金属製の「遮熱板」が見えてきます。この奥が燃焼室です。遮熱板を固定しているネジを外せば、いよいよバーナー部分とご対面です。この時、溜まっているホコリも一緒に掃除機で吸い取っておきましょう。ホコリ自体も不完全燃焼の原因になりますし、ホコリがシリコン成分を吸着していることも多いんです。

ネジの紛失に注意!

外したネジはどこの箇所かわからなくなりがちです。小皿に分けるか、外した順に並べて写真を撮っておくと、元に戻す時に慌てなくて済みますよ。

除去スプレーの使い方の注意点と選定

「スプレーを吹きかけるだけで直る!」という情報、ネットで見かけませんか?
特に「シリコンオフ」を使えばいいという説。結論から言ってしまうと、それだけでは直りませんし、選び方を間違えると逆効果になってしまいます。

ここで、正しい知識を整理しておきましょう。

そもそも、ファンヒーターのロッドに付着している白い塊は、熱で化学変化した「ガラス(二酸化ケイ素)」です。自動車用のシリコンオフ(脱脂剤)は「油」を溶かすものなので、ガラス化した汚れには全く歯が立ちません。

スプレーの役割は、「汚れを溶かす」ことではなく、「研磨作業で出た削りカスを洗い流す」ことにあるんです。

私がお店でご案内している正解のスプレーは、KURE(呉工業)「エレクトロニッククリーナー」一択です。これはプラスチックを傷めにくい速乾性の洗浄剤です。

正しい使い方は以下の通りです。この手順を守らないと、せっかくの修理が無駄になってしまいますよ。

  1. まずは紙やすりでロッドの白い汚れを物理的に削り落とす(※スプレーをかける前に行う必須作業です)。
  2. 削ると細かい金属やガラスの粉が出ます。
  3. その粉を飛ばすために、エレクトロニッククリーナーを「シューッ」と吹きかけて洗浄します。
  4. 速乾性ですが、念のため数分待って完全に乾いたのを確認してから組み立てます。

接点復活剤の使い所に注意!

「接点復活剤」は、ロッドそのものではなく、配線のコネクタ(カプラー)部分の接触不良を直すのには有効です。しかし、高温になるロッド部分に塗ると、油分が焦げて真っ黒になり故障の原因になります。「ロッドには洗浄剤(エレクトロニッククリーナー)のみ」と覚えておいてくださいね。

種類 製品例 ロッドへの使用 理由
洗浄剤(推奨) KURE エレクトロニッククリーナー ◎(洗浄用) 速乾性で油分を残さず、削りカスをきれいに飛ばせるため。
脱脂剤 自動車用シリコンオフ ×(効果なし) ガラス質の汚れは溶かせないため。
接点復活剤 コンタクトスプレー等 ×(絶対NG) 油分が残り、熱で炭化して逆に絶縁体になってしまうため。

フィルターなどによるシリコン対策と予防

「せっかく直したんだから、もうシリコンを入れたくない! 後ろにフィルターを貼ればいいんじゃない?」

お店でもよくそういったご質問をいただくのですが、実はそれ、逆効果になってしまう可能性が高い危険な行為なんです。ここ、すごく大切なポイントなので詳しくお話ししますね。

まず、換気扇用のフィルターなどを切ってファンヒーターの吸気口に貼るのはおすすめできません。ファンヒーターは大量の空気を吸い込んで燃やす設計になっているので、フィルターで抵抗を増やしてしまうと、酸欠になったり内部温度が異常上昇したりして、別のエラー(「E03」や「換気サイン」など)を引き起こす原因になります。

メーカーさんも取扱説明書で「市販のフィルターを覆わないでください」と注意喚起していることが多いですよ。

それに、一番の強敵であるシリコン成分は、空気中に溶け込んだ「ガス」の状態です。ホコリを止めるためのフィルターの目は、ガス分子にとってはスカスカのトンネルのようなもの。つまり、フィルターを貼ってもシリコンガスは素通りして内部に入り込んでしまうんです。

「じゃあどうすればいいの?」ってなりますよね。
一番確実で、お金もかからない最強の予防策は、ずばり「発生源を断つこと」「換気」です。

今日からできる鉄壁の予防策

  • 洗い流さないトリートメントやヘアスプレーは、ファンヒーターのない洗面所などで使う。
  • 柔軟剤を使った洗濯物の部屋干しは、ヒーター運転中は避ける。
  • 使用前後にしっかり換気をして、部屋の空気中のシリコン濃度を下げる。

そして、背面の「ファンフィルター(網)」自体のお手入れも忘れないでくださいね。ここにホコリが溜まっていると、空気の流れが悪くなって燃焼状態が悪化します。

週に1回は掃除機でホコリを吸い取り、汚れがひどい時は台所用洗剤で洗ってしっかり乾かしてから取り付ける。この「当たり前のメンテナンス」こそが、ファンヒーターを長持ちさせる一番の近道なんですよ。

紙やすりを使ったフレームロッドの研磨

いよいよ核心部分、フレームロッドの研磨です。ここが一番の腕の見せ所ですね。

用意していただきたいのは、3Mの「スポンジ研磨材 赤(#320-#600相当)」と、仕上げ用のタミヤ「フィニッシングペーパー #1000」です。

通常の紙やすりだと、棒状のロッドに対して面で当たらず、削りムラができやすいんです。その点、スポンジ研磨材なら曲面にフィットして均一に磨けます。

ロッド(L字型の金属棒)が白くなっている部分を、スポンジ研磨材で優しく包み込むようにして、白い汚れが落ちて金属の地肌が出るまで磨きます。

この時、絶対に力を入れすぎてロッドを曲げないように注意してください。位置が数ミリずれるだけで炎に当たらなくなり、別のエラーが出てしまいます。

白さが取れたら、最後に#1000番のペーパーで仕上げ磨きをします。

これ、すごく重要です!
表面がザラザラのままだと、その傷にまたシリコンが引っかかりやすくなり、再発までの期間が短くなってしまうんです。ツルツルの鏡面に近づけるイメージで仕上げてあげてくださいね。

ファンヒーターのシリコン除去方法のまとめ

ここまで、ファンヒーターのシリコン除去について長々とお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。

少し専門的な話も多かったですが、要点を整理してみましょう。

原因 ヘアケア製品等のシリコンが燃焼でガラス化し、絶縁被膜を作る
除去法 溶剤は無効。3Mスポンジ研磨材などで物理的に削り落とす
注意点 自己修理は保証対象外。古い機種は買い替えも検討する
予防策 シリコン製品の使用を控える、背面フィルターの掃除

シリコン付着によるトラブルは、現代の生活様式とファンヒーターの相性の問題とも言えます。
もし「やっぱり自分でやるのは怖そうだな」と思ったら、無理せず新しいヒーターをお迎えするのも賢い選択です。

というか、自己責任とはいえ決して小さくないリスクを回避するために、是非そうしてください。最新の機種は省エネ性能も上がっていますし、何より安心して冬を過ごせるのが一番ですからね。

具体的な灯油代や電気代の違いが気になる方は、最新石油ファンヒーターの燃費性能やランニングコストを比較した記事も参考になると思います。
素敵な温もりライフをお過ごしください!

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