寒い季節、冷え切った布団をポカポカにしてくれる電気毛布は、一度使うと手放せない冬の最強アイテムですよね。
毎日肌に触れるものだからこそ、汗や皮脂の汚れが気になってくるものですが、「これって本当に洗えるの?」「中の線が切れたりしない?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
実際、お店でお客様とお話ししていると、「洗い方がわからなくて、何年もそのまま使っている」なんてお声をよく耳にします。
でも実は、電気毛布のクリーニングは、正しい知識とちょっとしたコツさえ押さえれば、自宅で安全に行うことができるんです。逆に、自己流で洗ってしまったり、間違った方法でコインランドリーを利用したりすると、故障や事故の原因になりかねません。
この記事では、家電販売員である私が店頭でお客様にこっそりお伝えしている「プロ直伝のメンテナンス術」や、絶対に避けるべき「NG行動」を詳しく解説します。
クリーニング代を節約しながら、来シーズンも安心して使えるフワフワの状態を保つための秘訣を持ち帰ってくださいね!
- クリーニング店やコインランドリーは基本NG
- 自宅洗いが最も安全でコスパが良い
- ドラム式洗濯機と乾燥機は絶対に使わない
- 浴槽での足踏み洗いが配線に優しい
電気毛布はクリーニングできるか

「電気毛布を洗いたいけれど、失敗して壊すのが怖い」という相談、本当によく受けます。
そんな時、多くの方が「プロにお願いすれば安心かな?」と考えるのですが、実は電気毛布に関しては、プロ任せが必ずしも正解とは限らないんです。
ここでは、クリーニング店やコインランドリーといった外部サービスを利用する場合のリスクと、なぜ自宅洗いが推奨されるのか、その理由を家電販売員の視点から分かりやすく紐解いていきますね。
電気毛布はクリーニング店に出せる?
「大事な毛布だし、クリーニング店にお願いしようかな」と考える気持ち、すごくよく分かります。でも、いざお店に持っていくと、「電気毛布はお預かりできません」と断られてしまうケースが意外と多いんですよ。
これはなぜかというと、クリーニング店側にとっても電気毛布は「リスクの塊」だからなんです。
電気毛布の内部には、非常に繊細な発熱線(ヒーター線)が張り巡らされています。もし洗浄中にこの線が切れてしまっても、外見からは全く分かりませんよね。
家に持ち帰って電源を入れたら「温まらない」「煙が出た」なんてトラブルになっても、お店側は責任が取れないため、最初から受け付けないか、「破損時の補償なし」という条件付きでの引き受けになることがほとんどです。
また、一般的な衣類のクリーニングで使われる「ドライクリーニング」は、電気毛布にとっては天敵です。ドライクリーニングで使われる石油系の溶剤は、内部の絶縁樹脂や接着剤を溶かしたり膨張させたりする性質があります。
これにより、中の配線がむき出しになってショートする危険性が高まるため、PanasonicやKOIZUMIといった主要メーカーのほとんどがドライクリーニング不可としています。
もしお店に出すなら、「水洗いでお願いします」と指定する必要がありますが、水洗い対応のお店を探すだけでも一苦労かもしれません。
タグの確認は必須
洗濯表示タグに「ドライクリーニング不可」のマークがある場合、クリーニング店への持ち込みは非常にリスクが高いです。無理に頼むのはやめましょう。
コインランドリーで洗える?
最近は大型のコインランドリーが増えていて、羽毛布団やカーペットまで洗えるので便利ですよね。「電気毛布もついでに!」と思いたくなりますが、ここでストップをかけさせてください。
なぜなら、電気毛布をコインランドリーで洗うのは非常に危険だからです。
コインランドリーの洗濯機は、家庭用とは比べ物にならないほど強力な洗浄力を持っています。
大量の洗濯物を叩きつけるように洗う「タンブル洗浄」は、汚れ落ちは抜群ですが、電気毛布のような精密機器にとっては過酷すぎます。ドラムの中で高い位置からドスンと落とされる衝撃で、内部の金属線が引っ張られたり、断線したりする事故が後を絶ちません。
お店でも「コインランドリーで洗ったら温まらなくなった」というお客様の悲鳴を毎年のように聞きます。
さらに致命的なのが乾燥機です。
コインランドリーのガス乾燥機は80℃近くの高温になります。電気毛布に使われているプラスチック部品やビニールコードは、そこまでの耐熱設計にはなっていません。高温でドロドロに溶けて変形したり、最悪の場合は発火の原因にもなります。
メーカーの取扱説明書でも衣類乾燥機の使用は故障の原因になるため使わないよう明記されています(出典:パナソニック『電気しき毛布 取扱説明書(DB-U8T)』)。
時短したい気持ちはグッとこらえて、コインランドリーの使用は避けるのが賢明ですよ。
自宅での安全な干し方のコツは電気毛布の乾燥機使用はなぜ危険?家電店員が教える洗濯と乾燥の正解でも確認できます。
対応してくれる有料サービス

「じゃあ、どうしても自分で洗えない場合はどうすればいいの?」と思いますよね。
実は、数は少ないですが、電気毛布やホットカーペットを洗ってくれる宅配クリーニングサービスも存在します。
例えば、布団クリーニングで有名な「しももとクリーニング」などは、コントローラーが取り外せるタイプであれば、丸洗いを受け付けてくれる数少ないお店の一つです。
一方で、宅配クリーニング大手の「ふとんリネット」などでは、電気毛布は「取扱除外品」に指定されていることが多いんです。これは、万が一の故障リスクを避けるためですね。
もし近所のクリーニング店にお願いしたい場合は、「白洋舎」のような大手であっても店舗によって対応が異なるため、持ち込む前に必ず電話で「電気毛布は洗えますか?」と確認するのが無難です。
ただ、こういった特殊クリーニングは、手間がかかる分だけ料金も割高になりがちです。相場としては、送料込みで1枚あたり3,000円〜5,000円程度かかることが多いですね。
ここで冷静に考えてみてほしいのが、電気毛布本体の価格です。
例えば、人気の「Sugiyama」の洗える電気毛布シリーズや、「YAMAZEN」のスタンダードモデルなどは、新品でも3,000円〜4,000円台で購入できるものがたくさんあります。
「クリーニング代で新品が買えてしまう」という逆転現象が起きやすいのが、電気毛布の悩ましいところなんです。
高級な電気毛布や、思い出の品でない限り、高額なクリーニング代を払うよりは、寿命が来たら買い替えるというサイクルのほうが、安全面でも経済面でも合理的かもしれません。
寿命のサインや、故障の原因をチェックして判断したい方は、電気毛布の寿命は何年?壊れる原因と直し方の注意点を徹底ガイド!も参考にしてください。
コストと安全面から自宅での手入れが最適な選択
ここまでお話ししてきた通り、クリーニング店は受付のハードルが高く、コインランドリーは破損リスクが高すぎます。そして専門サービスはコストがかさみます。
そう考えると、消去法ではなく積極的な理由として、自宅での手入れが最も理にかなった選択だと言えるんです。
「自宅で洗うなんて難しそう」と身構える必要はありません。最近の電気毛布は、コントローラーさえ外せば「丸洗いOK」のものが主流です。
自宅であれば、自分の目で状態を確認しながら、優しく洗うことができますし、何よりコストは水道代と洗剤代の数十円だけ。
浮いたお金で、美味しいスイーツを買ったり、他の家電の購入資金に充てたりすることもできますよね。
私が働いているお店でも、最近は「自宅で洗えること」を第一条件に選ばれるお客様が圧倒的に多いです。
メーカー側もそれを理解していて、家庭での洗濯に耐えられるように接続部分を強化したり、乾きやすいポリエステル素材を採用したりと改良を重ねています。
正しい手順さえ知っていれば、自宅洗いは決して怖いものではありません。次章からは、その具体的な手順をしっかり伝授しますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
初心者でも失敗しない自宅での電気毛布のクリーニング手順

さあ、ここからは実践編です。
お家で電気毛布を洗うための具体的なステップをご紹介します。
「洗濯機を使う方法」と「手洗いする方法」がありますが、どちらも基本は「優しく扱うこと」。まるで赤ちゃんの肌着を洗うような気持ちで接してあげてくださいね。
この手順通りに進めれば、故障のリスクを最小限に抑えて、清潔な状態を取り戻すことができますよ。
洗濯表示のマークを確認してコントローラーを外す
まず最初に行うべき儀式、それは「洗濯表示タグの確認」です。
これは絶対に飛ばさないでくださいね。
タグにある「桶(おけ)のマーク」をチェックします。桶の中に数字(30や40)があれば洗濯機OK、手のひらのマークがあれば手洗いのみOK、×印があれば水洗い不可です。
洗濯機が使えないマークの見分け方に迷ったら、洗濯機がダメなマークの見分け方と対処法!衣類を守る洗濯表示ガイドも参考になります。
もし「水洗い不可」だった場合は、残念ながらこれから紹介する方法は使えません。汚れた部分を固く絞ったタオルで拭く程度に留めてください。
洗えると分かったら、次は最重要工程であるコントローラーの取り外しです。
電気毛布の故障原因のナンバーワンは、このコントローラーの水没なんですよ。本体からプラグを引き抜き、コントローラーとコードを完全に分離させます。
このコントローラー部分は精密機械そのものですから、絶対に水に濡らしてはいけません。
古い製品には注意
かなり昔の製品や、一部の安価な製品には、コントローラーが本体から外せない「一体型」が存在します。このタイプは丸洗いができません。無理に洗うと感電の危険があるので、買い替えを検討する良いタイミングかもしれませんね。
生地を傷めないためにおしゃれ着洗剤と柔軟剤を用意
洗う準備ができたら、洗剤を選びましょう。
ここでいつもの粉末洗剤や、洗浄力の強いアルカリ性洗剤を使うのはタブーです。
電気毛布の生地や内部の絶縁被覆を傷めないためには、「おしゃれ着洗い用」の中性洗剤がベストです。「アクロン」や「エマール」などが有名ですよね。これらは繊維をケアしながら汚れを落としてくれるので、毛布の風合いを保つのに最適です。
そして、ぜひ一緒に使ってほしいのが「柔軟剤」です。冬場は静電気が起きやすく、パチパチして不快なだけでなく、静電気が空気中のホコリやダニの死骸を引き寄せてしまいます。
柔軟剤に含まれる成分は、繊維の表面を滑らかにして静電気を防ぐコーティングの役割を果たしてくれます。さらに、毛玉(ピリング)ができるのも防いでくれるので、肌触りが長持ちしますよ。
お近くのドラッグストアで、お好みの香りの柔軟剤を見つけてみてください。寝るときにふわっといい香りがすると、幸せな気分で眠りにつけますからね。
洗濯機で洗う場合は特大ネットに入れてコースを選ぶ
洗濯機を使う場合、そのまま裸で放り込むのはNGです。必ず「洗濯ネット」に入れてください。
それも、100円ショップで売っているような小さなものではなく、毛布専用の「特大サイズ」が必要です。
「ダイヤ」などのメーカーから出ている「ふくらむ洗濯ネット 特大」などが使いやすくておすすめです。
畳み方にもコツがあります。
コントローラーを差し込む硬いプラグ部分が、毛布の内側にくるように畳んでください。これが外側にあると、洗濯槽の壁にガツンガツン当たって破損したり、洗濯槽を傷つけたりしてしまいます。
屏風畳みにしてからクルクルと丸め、ネットに入れます。こうすることで脱水時のバランスが良くなり、洗濯機が暴れるのを防げます。
洗濯機のコース選びも重要です。
標準コースではなく、水流の優しい「毛布コース」「手洗いコース」「ドライコース」などを選んでください。
ドラム式洗濯機の場合は、先ほどもお話しした通り「叩き洗い」になるため基本的には使用を避けてほしいのですが、どうしても使う場合は「洗濯槽を回転させないコース」などがあるか説明書を確認してくださいね。
浴槽での足踏み洗いが最も配線に優しい洗い方

私が個人的に一番推しているのが、この「浴槽での足踏み洗い」です。
洗濯機よりも少し手間はかかりますが、配線への負担が最も少なく、断線リスクを極限まで下げられる安全な方法だからです。
「お気に入りの毛布を絶対に壊したくない!」という方は、ぜひこの方法を試してみてください。
手順は簡単です。
浴槽に30〜40℃のぬるま湯を少し張り、中性洗剤を溶かします。そこに畳んだ毛布を沈めて、まずは20分ほど「つけ置き」します。これだけで汚れが浮き上がってきます。
その後、浴槽に入って足で優しく踏み洗いをします。
グイグイ踏む必要はありません。全体を優しくリズミカルに踏むだけで十分です。
洗い終わったらお湯を抜き、新しいお湯ですすぎます。
泡が出なくなるまで2〜3回繰り返してください。柔軟剤を使うなら最後のすすぎの時に入れましょう。
この方法は、毛布全体に均一に圧力がかかるので、配線が一点だけ引っ張られるということがありません。週末にちょっとした運動がてら、お風呂場で踏み洗いをするのも意外と楽しいですよ。
脱水は1分以内に設定して陰干しで完全に乾かす
洗濯工程のクライマックス、そして最大の難所が「脱水と乾燥」です。
ここで失敗すると全てが台無しになります。
まず脱水ですが、洗濯機を使う場合は時間を30秒〜1分以内という極短時間に設定してください。遠心力が長時間かかると、中の配線がねじれて切れる原因になります。
手洗いの場合は、絶対に雑巾絞りのようにねじってはいけません。浴槽のフチにかけて、自然に水が滴り落ちるのを待つのが一番安全です。
干すときは、直射日光を避けて「陰干し」にします。日光の紫外線はプラスチックや繊維を劣化させてしまいます。物干し竿を2本使って「M字干し」にすると、間に空気が通って乾きが早くなりますよ。
中綿が入っている電気毛布は乾きにくいので、表面が乾いたと思っても、コネクタの差し込み口を振って水が出てこないか確認し、念には念を入れて乾燥させてください。
乾燥の裏技
早く乾かしたいときは、衣類乾燥除湿機の出番です。「Panasonic」の「F-YHVX120」のようなハイブリッド方式なら、熱風を使わずに風で乾かすので、電気毛布にもダメージを与えません。部屋干しの嫌なニオイも防げて一石二鳥ですよ。
保管前のダニ対策としまい洗いで来シーズンも快適に
シーズンが終わって押し入れにしまう前には、必ず「しまい洗い」を行ってください。
「あまり汚れてないからいいか」とそのまましまうのは危険です。目に見えない皮脂汚れは、半年間の保管中に酸化して変色したり、ダニのエサになったりします。
保管前に「ダニ退治モード」を使ってダニを死滅させるのも有効ですが、死骸やフンは残ったままなので、その後に掃除機で吸い取るか、洗濯をして洗い流すのが理想的です。掃除機を使う際は、布団用ノズルをつけてゆっくりと吸引してください。
そして保管時の注意点がもう一つ。
防虫剤(ナフタリンや樟脳)は絶対に入れないでください。防虫剤の成分がコントローラーや配線の樹脂を溶かしてしまうことがあるんです。代わりに「シリカゲル」などの乾燥剤を入れて、湿気から守るようにしましょう。
購入時の箱に入れて保管するのが、配線に変な折り癖がつかなくて一番おすすめですよ。
まとめ:正しい電気毛布のクリーニング
ここまで、電気毛布のクリーニングについて詳しく解説してきました。
少し工程が多く感じるかもしれませんが、一度慣れてしまえば、自宅でも安全に、しかも安くメンテナンスができるようになります。
「外部サービスには頼らない」
「優しく手洗い」
「しっかり陰干し」
この基本を守れば、あなたの大切な電気毛布はもっと長く活躍してくれるはずです。
最後に、今回の大事なポイントを表にまとめておきますね。
これを見返して、ぜひ実践してみてください。
| 工程 | ポイント・注意点 |
|---|---|
| 可否判断 | 洗濯表示を確認。コントローラーが外せるかチェック。 クリーニング店やコインランドリーは避ける。 |
| 洗い方 | 浴槽での「足踏み洗い」がベスト。 洗濯機なら「特大ネット」+「毛布コース」。 洗剤は「中性洗剤(おしゃれ着洗い)」を使用。 |
| 脱水・乾燥 | 脱水は1分以内。ねじり絞り厳禁。 風通しの良い日陰で「M字干し」。コネクタの水気に注意。 |
| 保管 | 防虫剤はNG(樹脂を溶かすため)。 乾燥剤と一緒に箱に入れて保管する。 |
もし、「もう何年も使っていて、生地が薄くなってきたな」「温まりにムラがあるかも」と感じたら、それは寿命のサインかもしれません。無理に使って事故になる前に、買い替えを検討するのも賢い選択です。
適切なお手入れで、清潔で温かい冬を過ごしてくださいね!


