梅雨のジメジメや冬の結露対策に活躍する除湿機と、花粉やハウスダストを除去してくれる空気清浄機。
どちらも欲しいけれど、2台も置くスペースがない…そんなお悩みを解決してくれるのが「除湿機と空気清浄機の一体型モデル」ですよね。
一台で二役をこなす便利な家電ですが、購入してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、事前にデメリットをしっかり把握しておくことが大切なんです。
また、電気代は本当に高くなるのか、お手入れは複雑ではないのか、といった疑問も湧いてきますよね。
この記事では、家電量販店で働く私が、除湿機と空気清浄機が一体型になったモデルのデメリットから、ご自身のライフスタイルに合った賢い選び方のポイントまで、詳しく解説していきます。
除湿機と空気清浄機一体型のデメリットを徹底解説

除湿機と空気清浄機の一体型モデルは、省スペースで便利な反面、購入前に知っておきたいデメリットがいくつかあります。
ここでは、お客様からよくご質問いただくポイントを中心に、具体的なデメリットを一つひとつ詳しく見ていきましょう。
ご自身の使い方に合うかどうか、じっくり検討してみてくださいね。
一体型はお手入れが大変って本当?
これは、私が店頭でも本当によく聞かれる質問の一つですね。
結論から言うと、別々に持つよりお手入れの手間が増える可能性があるのは事実です。
なぜなら、空気清浄機能のフィルターと除湿機能のタンク、両方のお手入れが必要になるからなんです。
空気清浄機のフィルターは、ホコリや汚れが溜まると性能が落ちてしまうため、定期的な掃除が欠かせません。
機種にもよりますが、プレフィルターは2週間に1回程度、集塵フィルターや脱臭フィルターは数ヶ月に1回の掃除や交換が推奨されていることが多いですね。
一方、除湿機能を使うとタンクに水が溜まります。
この水を放置してしまうと、カビや雑菌が繁殖して嫌なニオイの原因になることも。
そのため、タンクの水は満水になる前にこまめに捨てる必要がありますし、タンク自体の洗浄も定期的に行わなければなりません。
これが一体型になると、これらの作業をすべて一台で行うことになります。
フィルターの種類も多く、構造が少し複雑になるため、お手入れが面倒に感じてしまう方がいらっしゃるのも無理はないかもしれません。
ただ、最近のモデルはフィルターの取り外しが簡単になっていたり、お手入れ時期をランプで知らせてくれたりする機能が付いているものも多いので、そこまで心配しすぎる必要はないと思いますよ。
本体サイズが大きくなる傾向に注意
除湿機と空気清浄機の一体型モデルを選ぶ際に、見落としがちなのが本体のサイズです。
2つの機能を1台にまとめているため、どうしても単機能のモデルと比べると、本体が大きく、そして重くなる傾向があります。
特に、広いリビングに対応するようなパワフルなモデルほど、その傾向は顕著になりますね。
「省スペースになると思って買ったのに、思ったより圧迫感があって部屋が狭く感じる…」なんてことになったら、少し残念ですよね。
購入前には、必ず設置したい場所のスペースを正確に測っておくことが大切です。幅や奥行きはもちろんですが、高さもしっかり確認しておきましょう。
コンセントの位置や、お手入れの際にフィルターを取り出したりタンクを出し入れしたりするためのスペースも考慮に入れておくと、さらに安心です。
また、本体重量も確認しておきたいポイント。
リビングで使ったり、寝室で使ったりと、部屋から部屋へ移動させて使いたいと考えている方もいらっしゃると思います。
一体型モデルは10kgを超えるものがほとんどで、中には20kg近い製品も。キャスターが付いているモデルも多いですが、段差のある場所を移動させるのは結構大変かもしれません。
購入を検討する際は、カタログやウェブサイトで本体寸法と質量をしっかりとチェックして、ご自宅の環境に合うかどうかをイメージしてみてください。
除湿と空気清浄の同時利用はできる?
「一体型なんだから、除湿と空気清浄は同時に使えるのが当たり前じゃないの?」と思われるかもしれませんね。
はい、その通りで、ほとんどの機種では除湿運転と空気清浄運転を同時に行うことが可能です。
湿気を取り除きながら、お部屋の空気をキレイにしてくれるので、特に梅雨の時期などは大活躍してくれると思います。
ただし、注意点が一つあります。
それは、一部の運転モードでは、どちらかの機能が優先されたり、制限されたりする場合があるということです。
例えば、衣類乾燥モードなど、除湿をパワフルに行うことを目的とした運転モードの場合、空気清浄機能の風量が自動的に調整されることがあります。
逆に、花粉モードなど、空気清浄をメインにしたい場合は、除湿機能が控えめな運転になることも。
もちろん、多くのモデルでは「自動運転」モードが搭載されていて、お部屋の湿度や空気の汚れ具合をセンサーが検知して、最適なバランスで除湿と空気清浄を自動でコントロールしてくれます。
ですから、普段使いで不便を感じることは少ないかもしれません。
もし、特定の機能を常に最大限のパワーで使いたいというこだわりがある場合は、購入前に取扱説明書などで、各運転モードの詳細を確認しておくと安心ですね。
基本的には「同時利用はできるけど、モードによってはバランスが変わる」と覚えておくと良いでしょう。
電気代は別々で使うより高くなる?
電気代は家計に直結する問題なので、気になるところですよね。
「一体型は機能が多い分、電気代も高いんじゃないか」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
この点については、除湿方式によって大きく変わってくるので、少し詳しく見ていきましょう。
除湿機には、主に「コンプレッサー式」と「デシカント式」という2つの方式があります。コンプレッサー式は、エアコンの除湿と同じ仕組みで、消費電力が比較的少ないのが特徴です。
一方、デシカント式はヒーターを使って湿気を集めるため、消費電力は大きくなる傾向があります。
一体型モデルの多くは、このコンプレッサー式、あるいは両方の良いところを合わせたハイブリッド式を採用しています。
では、単機能の除湿機と空気清浄機をそれぞれ別々に使う場合と比べてどうなのでしょうか?
単純に考えると、2台同時に動かすよりも1台で済ませる方が、消費電力は抑えられる傾向にあります。
例えば、あるメーカーのモデルで見てみると、除湿と空気清浄を同時に使った場合の消費電力は、同程度の性能の単機能モデル2台を同時に使うよりも低く抑えられていました。
ただし、これはあくまで一般的な傾向です。
先ほどお話ししたデシカント式のモデルや、パワフルな衣類乾燥モードなどを長時間使用すると、電気代は高くなる可能性があります。
電気代を少しでも抑えたい場合は、省エネ性能の高いコンプレッサー式やハイブリッド式のモデルを選ぶこと、そしてお部屋の広さに合った適用畳数の製品を選ぶことが大切になってきますね。
コンプレッサー式とデシカント式の違い
先ほど少し触れましたが、除湿機には「コンプレッサー式」と「デシカント式」、そして両方を組み合わせた「ハイブリッド式」があります。
除湿空気清浄機を選ぶ上で、この違いを理解しておくことはとても重要なので、それぞれの特徴をもう少し詳しく見ていきましょう。
方式 | メリット | デメリット | おすすめの季節 |
---|---|---|---|
コンプレッサー式 |
消費電力が少ない
室温が上がりにくい
梅雨~夏場にパワフル
|
冬場など気温が低いと除湿能力が落ちる
コンプレッサーの作動音が大きい傾向
|
春~秋 |
デシカント式 |
冬場でも除湿能力が落ちにくい
本体が軽量・コンパクトなモデルが多い
運転音が比較的静か
|
ヒーターを使うため消費電力が大きい
運転時に熱を出すため室温が上がる
|
秋~冬 |
ハイブリッド式 |
夏はコンプレッサー式、冬はデシカント式と使い分けられる
一年中、効率よく除湿できる
|
本体価格が高くなる
構造が複雑なため本体が大きく重くなる
|
一年中 |
現在、除湿と空気清浄の一体型モデルの主流は「コンプレッサー式」です。パワフルで電気代も比較的安いため、特に梅雨時期の湿気対策や部屋干しに活躍してくれます。
ただし、冬場の結露対策も重視したいという場合は、気温が低くても能力が落ちにくい「ハイブリッド式」がおすすめです。
ご自身がどの季節に一番使いたいかを考えると、どの方式が合っているか見えてくると思いますよ。ライフスタイルに合わせて最適な方式を選んでくださいね。
小型モデルの選択肢が少ない理由
「一人暮らしのワンルームで使いたいから、できるだけコンパクトなモデルが欲しい」というご要望もよくいただきます。
しかし、除湿と空気清浄の一体型モデルは、残念ながら小型の製品のラインナップが少ないのが現状です。その理由は、やはり2つの機能を1台の本体に搭載する必要があるからです。
パワフルな除湿能力を発揮するためのコンプレッサーや熱交換器、そして空気をキレイにするための大きな集塵フィルターや脱臭フィルター。これらの部品をすべてコンパクトなボディに収めるのは、技術的にとても難しいことなんだそうです。
特に、適用畳数が8畳以下の小型モデルとなると、選択肢はかなり限られてしまいます。
もし、どうしてもコンパクトさを最優先したいのであれば、小型の除湿機と小型の空気清浄機をそれぞれ別々に購入するというのも、一つの有効な選択肢だと思います。
最近はデザイン性の高いコンパクトな家電も増えていますから、インテリアに合わせてコーディネートするのも楽しいかもしれません。
設置スペースに余裕があるか、それともコンパクトさが絶対条件なのか。このあたりを一度整理してみると、ご自身にとってのベストな選択が見えてくるのではないでしょうか。
空気清浄機と除湿機一体型のデメリットを踏まえた選び方

ここまで一体型モデルのデメリットを見てきましたが、「じゃあ、どうやって選べばいいの?」と思いますよね。
ここからは、これまでお伝えしたデメリットを踏まえた上で、後悔しないための賢い選び方のポイントを解説していきます。ご自身のライフスタイルを思い浮かべながら、一緒に見ていきましょう。
除湿機と空気清浄機は別々がいい場合
一体型モデルはとても便利ですが、すべての人におすすめできるわけではありません。場合によっては、除湿機と空気清浄機を別々に揃えた方が快適に使えるケースもあります。
具体的にどのような場合に別々での購入を検討した方が良いか、いくつか例を挙げてみますね。
お手入れの手間を少しでも減らしたい方
先ほどもお伝えしたように、一体型はフィルターとタンクの両方のお手入れが必要です。
もし、家電のお手入れを少しでも楽にしたい、シンプルにしたい、と考えているなら、単機能モデルを2台持つ方が向いているかもしれません。構造がシンプルな分、お手入れも比較的簡単です。
どちらかの機能に特化した高性能を求める方
例えば「とにかく除湿能力が一番高いモデルが欲しい」「ペットのニオイを強力に脱臭できる空気清浄機がいい」というように、特定の機能にこだわりがある場合です。
単機能モデルの方が、それぞれの機能に特化したハイエンドな製品を見つけやすい傾向があります。
使う場所がリビングと寝室など離れている方
日中は家族が集まるリビングで空気清浄機を使い、夜は寝室で除湿機を使いたい、というように、同時に異なる場所で使いたい場合も別々の方が便利ですよね。
一体型だと1台しかないので、このような使い方はできません。
これらの点に当てはまる方は、一度、単機能モデルを2台購入することも視野に入れて検討してみることをおすすめします。
加湿機能付きモデルとの違いと比較
家電量販店でお客様をご案内していると、「加湿機能も付いているモデルと何が違うの?」とよく聞かれます。
確かに、最近は「除湿」「加湿」「空気清浄」の3つの機能を搭載した、いわゆる「除加湿空気清浄機」も人気ですよね。
ここで、それぞれの違いを整理しておきましょう。
製品タイプ | 主な機能 | 得意なこと | 向いている人 |
---|---|---|---|
除湿空気清浄機 |
除湿 + 空気清浄
|
梅雨の湿気対策
夏の部屋干し
冬の結露防止
通年の空気清浄
|
湿気に悩んでいて、一年中快適な湿度で過ごしたい人。花粉やハウスダスト対策もしたい人。 |
除加湿空気清浄機 |
除湿 + 加湿 + 空気清浄
|
梅雨の湿気対策
夏の部屋干し
冬の結露防止
通年の空気清浄
冬の乾燥対策
|
一台で年間を通した空気の悩みをすべて解決したい人。 |
除加湿空気清浄機は、一台ですべてをこなせる究極のモデルと言えますが、その分、本体価格が高くなること、そして本体サイズがさらに大きく重くなるというデメリットがあります。
また、お手入れも除湿タンク、加湿トレー、各種フィルターと、さらに複雑になります。
大切なのは、「ご自身に加湿機能が本当に必要か」を考えることです。
もし、冬場の乾燥はそこまで気にならない、あるいは既に加湿器を持っているという場合は、機能がシンプルな除湿空気清浄機の方が価格も抑えられ、お手入れも楽になる可能性があります。
ご自身のライフスタイルと必要な機能を照らし合わせて、最適な一台を選んでくださいね。
人気メーカーごとの特徴と評判
除湿空気清浄機は、いくつかの大手メーカーが主力モデルを発売しています。
ここでは、特に人気の高いシャープ、ダイキンの2社に絞って、それぞれの特徴と、私が店頭でお客様からよくお聞きする評判をご紹介しますね。
(※ご紹介する機種は2025年8月時点の現行モデルです)
購入前に確認すべきポイントまとめ
さて、いよいよ最終チェックです。デザインやメーカーだけで決めてしまう前に、ご自身の使い方に本当に合っているか、以下のポイントを最終確認しましょう。
これをチェックしておけば、購入後の「失敗した…」をぐっと減らせるはずです。
適用畳数
まず基本となるのが、お部屋の広さに合った「適用畳数」を選ぶことです。空気清浄能力、除湿能力それぞれに目安となる畳数が記載されています。
実際に使いたいお部屋よりも、少し余裕のあるモデルを選ぶのがおすすめです。その方が、スピーディーに除湿や空気清浄ができますし、結果的に省エネに繋がることもあります。
除湿能力とタンク容量
一日にどれくらいの水分を除湿できるかを示す「除湿能力」と、タンクに溜められる水の量「タンク容量」も重要です。洗濯物をよく部屋干しするご家庭や、湿気が多いお部屋で使う場合は、除湿能力が高いモデルを選ぶと快適です。
タンク容量が大きいほど、水を捨てる手間が省けますが、その分本体は大きくなる傾向にあります。ご自身の水捨ての頻度と許容できる本体サイズのバランスを考えてみてください。
運転音(静音性)
寝室や書斎など、静かな環境で使いたい場合は、運転音の大きさもチェックしておきたいポイントです。デシベル(dB)という単位で表示されており、数値が小さいほど静かです。
特に、就寝中に使うことを想定しているなら「静音モード」や「おやすみモード」などが搭載されているかを確認すると良いでしょう。
フィルターの種類と交換目安
空気清浄機能の心臓部であるフィルター。ホコリなどを捕集する「集塵フィルター」と、ニオイを取る「脱臭フィルター」が主です。
これらのフィルターの寿命や、交換にかかる費用も事前に確認しておくと安心です。中には「10年間交換不要」といった長寿命フィルターを搭載したモデルもありますよ。
こんな人には一体型がおすすめ
これまでデメリットや選び方のポイントをお話ししてきましたが、もちろん一体型モデルがぴったりな方もたくさんいらっしゃいます。最後に、どのような方に除湿と空気清浄の一体型がおすすめなのかをまとめてみました。
まず、「家電を置くスペースをできるだけ節約したい」という方です。
これは一体型モデルの最大のメリットと言えるでしょう。ワンルームにお住まいの方や、お部屋にあまり物を置きたくない方にとっては、非常に魅力的な選択肢だと思います。
次に、「複数の家電を管理するのが面倒に感じる」方にもおすすめです。
コンセントは一つで済みますし、お手入れや操作も一台に集約されます。シンプルに家電を管理したい方にはぴったりですね。
そして、「梅雨の湿気対策と花粉シーズン、両方に対応したい」というように、年間を通して空気の悩みを解決したい方にも最適です。
季節ごとに除湿機や空気清浄機を押し入れから出し入れする手間がなく、一年中出しっぱなしにしておけるのは、想像以上に快適ですよ。
これらの点に魅力を感じるのであれば、除湿と空気清浄機の一体型モデルは、あなたの生活をより快適にしてくれる心強いパートナーになってくれるはずです。
総括:除湿機と空気清浄機の一体型にあるデメリット
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。