夏の暑さ対策として冷房専用エアコンの購入を検討している方も多いのではないでしょうか。価格が安く手軽に導入できそうな冷房専用エアコンですが、実際には思わぬデメリットが潜んでいることをご存知ですか?
私の家電量販店での経験ですが、冷房専用エアコンを購入された後に「こんなはずじゃなかった」とおっしゃるお客様を何度も見てきました。暖房機能がないため冬場に困ったり、想像以上に電気代がかかったり、冷房能力が不足して後悔されるケースは決して珍しくありません。
また、窓用タイプと壁掛けタイプのどちらを選ぶべきか迷われたり、適用畳数の選び方で失敗されたりする方も多くいらっしゃいます。せっかく購入するなら、事前にしっかりとデメリットを理解した上で、自分に最適なモデルを選びたいですよね。
この記事では、冷房専用エアコンの隠れたデメリットから賢い選び方まで、購入前に知っておくべき重要なポイントを詳しく解説します。コロナの最新モデル情報や電気代の実態、設置時の注意点まで幅広くお伝えしますので、失敗のない選択をするためにぜひ参考にしてください。
冷房専用エアコンのデメリット|基本情報

冷房専用エアコンについて詳しく知るために、まずは基本的な仕組みやメリット・デメリット、電気代の実態について見ていきましょう。
一般的なエアコンとの違いや、なぜ価格が安いのかといった疑問から、実際の使用感まで幅広く解説していきます。
冷房専用エアコンとは何か?冷暖房エアコンとの違い
冷房専用エアコンは、その名の通り冷房機能のみを搭載したエアコンです。一般的な冷暖房エアコンと違って暖房機能がないため、構造がシンプルで価格を抑えられるのが特徴ですね。
現在、冷房専用エアコンを製造・販売しているのはコロナ社がメインとなっています。通常のエアコンと外観はほとんど同じですが、よく見ると室外機がひとまわり小さく、当たり前ですがリモコンには暖房ボタンがないことがわかります。
冷暖房エアコンとの大きな違いは、当然ながら暖房機能の有無です。また、風向きを変えるルーバーも手動調整のものが多く、最新の高機能エアコンに慣れた方には少し物足りなく感じるかもしれません。
機能面では、フィルター自動掃除機能や空気清浄機能、人感センサーなどの便利な機能は基本的に搭載されていません。そのため、非常にシンプルで「使わない機能を省いたエアコン」と考えるとよいでしょう。
価格帯としては、6畳用で3~5万円、10畳用で4~7万円、14畳用で6~10万円程度が相場です。工事費込みでの販売も多く見かけますので、初期費用を抑えたい方には魅力的な選択肢といえます。
冷房専用エアコンのメリット・デメリット
まず、メリットから見ていきましょう。最大の利点は価格の安さです。暖房機能がない分、本体価格が大幅に抑えられています。「夏に冷房のみでしかエアコンを使わない」という地域の方には非常に合理的な選択といえるでしょう。
また、構造がシンプルなため故障のリスクも比較的少なく、メンテナンスも楽になります。複雑な機能がない分、操作も直感的で分かりやすいのも嬉しいポイントですね。
一方で、デメリットも少なくありません。最も大きな問題は、冬場に別の暖房器具が必要になることです。石油ストーブやガスファンヒーターを追加で購入すると、トータルコストが予想以上に膨らんでしまうケースが多々あります。
機能面では、省エネ性能が最新の冷暖房エアコンに劣る場合があります。ニッチな機種のため開発費用が限られており、コストパフォーマンスの面で厳しい部分もあるのが実情です。
音の問題も見逃せません。室外機の騒音トラブルが報告されることがあり、特に近隣との距離が近い場合は注意が必要です。また、窓用タイプでは断熱性や結露の問題も発生しやすくなります。
電気代や消費電力について

冷房専用エアコンの電気代は、実は一般的な冷暖房エアコンより高くなる傾向があります。これは多くの方が誤解しやすい点なので、しっかりと理解しておきましょう。
6畳用の壁掛けタイプの場合、1時間あたりの消費電力は約0.5~0.8kWhです。1日9時間運転すると、毎月の電気代は約3,100円~5,000円になります。夏季(7月~9月)を通して毎日使用した場合、約14,000円前後が相場となるでしょう。
10畳用では年間約20,000円、14畳用では約35,000円程度の電気代がかかると考えておけば間違いありません。これらの計算は1kWh=32円で算出していますが、電力会社やプランによって変動します。
なぜ冷房専用なのに電気代が高いのでしょうか。理由は、ニッチな機種のため最新の省エネ技術が十分に投入されていないことにあります。大手メーカーは高機能・高価格帯の商品に多くの開発費をかけているため、冷房専用モデルの省エネ性能は限定的になってしまうのです。
ただし、最新モデルではインバーター機能の進化により省エネ化が進んでいるものもあります。また、電力会社のプランを見直すことで電気代を抑えることも可能です。昼間電力単価が安いプランに切り替えるなど、工夫次第で節約効果を高められるでしょう。
冷房専用エアコンで除湿はできる?
部屋の温度が高い場合
夏の暑い日
すばやく涼しくしたい時
湿度が高い場合
梅雨時期
室内干しをする時
冷房専用エアコンでも除湿機能は基本的に搭載されています。ただし、一般的な冷暖房エアコンとは仕組みが異なる場合があるので、詳しく解説していきますね。
除湿機能には主に3つの種類があります。まず「弱冷房除湿」は、弱い冷房運転で空気を冷やして除湿する方式です。冷房よりも消費電力が少なく、電気代も抑えられるメリットがあります。
次に「再熱除湿」は、一度冷やした空気を暖めなおして送風する方式です。室温を下げずに除湿できる優れた機能ですが、消費電力が大きく電気代が高くなってしまいます。
最後の「ハイブリッド除湿」は、冷却した空気と部屋の空気を混ぜて温度を調整する方式です。再熱除湿よりも省エネで、弱冷房除湿よりも室温を下げにくい特徴があります。
冷房専用エアコンの多くは弱冷房除湿を採用しており、梅雨時期や湿度の高い日には十分活用できます。人が快適に感じる湿度は50~60%とされており、冷房と除湿を適切に使い分けることで快適な環境を維持できるでしょう。
冷房と除湿の使い分けとしては、部屋の温度が高い場合は冷房、湿度が高い場合は除湿を選ぶのが基本です。特に春から梅雨にかけては除湿機能を積極的に活用することをおすすめします。
冷房のみだと安い?

「冷房専用だから安い」という認識は、実は正確ではありません。確かに本体価格は安いのですが、総合的に考えると必ずしもお得とは言えないケースが多いんです。
本体価格だけを見れば、冷房専用エアコンは確実に安く購入できます。6畳用なら工事費込みで5万円程度から手に入るため、初期費用を大幅に抑えることが可能です。この点は間違いなくメリットといえるでしょう。
しかし、先ほどもお伝えしたように、冬場には別の暖房器具が必要になります。石油ストーブやガスファンヒーターを追加購入すると、結果的に冷暖房エアコン1台分と同じか、それ以上の費用がかかってしまうことも珍しくありません。
また、省エネ性能の面でも注意が必要です。最新の冷暖房エアコンは非常に効率が良く、年間を通してみると電気代が安くなる場合があります。冷房専用エアコンは構造がシンプルな分、最新の省エネ技術が十分に活用されていないものも多いのです。
さらに、機能面での違いも考慮すべきポイントです。自動掃除機能がないため手入れが大変だったり、人感センサーがないため無駄な電力を消費したりする可能性もあります。
したがって、本当に夏場の冷房しか使わない確信がある場合や、暖房は別の手段で十分カバーできる環境でなければ、冷房専用エアコンが必ずしも経済的とは限らないのが実情です。
冷房専用エアコンのデメリット|後悔しない選び方

ここからは、冷房専用エアコンを購入する際の具体的な選び方について詳しく解説していきます。
窓用と壁掛けタイプの違いや、適用畳数の考え方、最新モデルの特徴まで、失敗しないためのポイントを順番に見ていきましょう。
窓用エアコンと壁掛けタイプどっちがいい?
冷房専用エアコンには大きく分けて窓用タイプと壁掛けタイプがあります。どちらを選ぶかで使い勝手や費用が大きく変わるので、それぞれの特徴をしっかりと把握しておきましょう。
窓用エアコンの最大のメリットは工事が不要なことです。室内機と室外機が一体化しているため、窓枠に取り付けるだけで使用できます。賃貸住宅で壁に穴を開けられない場合や、すぐに使いたい場合には非常に便利ですね。
価格も4万円台から購入でき、設置費用がかからないため初期コストを最小限に抑えられます。また、手の届く高さに設置するためフィルター清掃などのメンテナンスが簡単で、吹き出し口が低い位置にあるため設定温度が高くても涼しさを感じやすいのも特徴です。
ただし、窓用エアコンにはいくつかのデメリットもあります。まず、出力が小さいため大部屋の空調には向いていません。また、窓の端に設置するため冷風が部屋全体に行き渡りにくく、運転音も壁掛けタイプより大きめです。
壁掛けタイプは通常のエアコンと同様の設置方法で、冷房能力も高く部屋全体を効率的に冷やすことができます。見た目もスッキリしており、運転音も比較的静かです。
一方で、設置工事が必要なため工事費用がかかり、賃貸では大家さんの許可が必要になります。また、室外機の設置場所も確保する必要があるでしょう。
使用環境を考慮して選ぶことが大切です。賃貸住宅や一時的な使用なら窓用、持ち家で長期間使用するなら壁掛けタイプがおすすめといえるでしょう。
使用場所と適用畳数の選び方

エアコン選びで最も重要なのが適用畳数です。部屋の広さに対して能力が不足していると十分に冷えませんし、逆に能力が過剰だと電気代が無駄になってしまいます。
基本的には、冷房の適用畳数を基準に選ぶのが一般的です。ただし、部屋の条件によって必要な能力は変わるため、いくつかのポイントを考慮する必要があります。
一人暮らし・子供部屋
寝室・書斎に最適
リビング・ダイニング
標準的な居間に最適
広いリビング・LDK
大きめの空間に最適
6畳用が主流
適度な冷房能力
10~14畳用
家族全員の快適性
6~10畳用
省エネ性も考慮
まず、部屋の向きと日当たりです。南向きで日当たりが良い部屋は、北向きの部屋より多くの冷房能力が必要になります。また、最上階や角部屋も熱がこもりやすいため、ワンランク上の能力を選んだほうが安心でしょう。
窓の大きさも重要な要素です。大きな窓がある部屋は外気の影響を受けやすく、特に西日が当たる窓がある場合は注意が必要ですね。断熱性の低い建物や古い住宅では、表示畳数より小さめの部屋でも大きな能力が必要になることがあります。
天井の高さも考慮すべきポイントです。一般的な2.4m程度なら問題ありませんが、それより高い場合は空間容積が増えるため、適用畳数より余裕を持った選択をおすすめします。
具体的な目安としては、6畳用は実際の4~6畳、8畳用は6~8畳、10畳用は8~10畳程度で考えると良いでしょう。迷った場合は少し大きめの能力を選んでおくと、夏の猛暑日でも安心して使用できます。
使用場所も重要な判断材料です。寝室なら静音性を重視し、リビングなら冷房能力を優先するといった具合に、用途に応じて選び方を変えることが大切です。
コロナのおすすめ最新最新モデル
2025年現在、冷房専用エアコンを製造している主要メーカーはコロナ社です。最新のReLaLaシリーズから、おすすめモデルを紹介していきますね。
まず、RC-V4025Rは14畳用のハイパワーモデルです。期間消費電力量は510kWhで、冷房能力4.0kWの本格的な冷房性能を持っています。広いリビングやLDKでも十分な冷房効果を発揮するでしょう。室内機のサイズは795×290×235mmとコンパクトで、室外機も780×533×278mmに収まっています。
RC-V2825Rは10畳用のバランス型モデルです。期間消費電力量336kWh、冷房能力2.8kWで、多くのご家庭にちょうど良いサイズといえます。価格も手頃で、工事費込みで8万円程度から購入できるため、コストパフォーマンスに優れているのが魅力です。
RC-2225Rは6畳用のコンパクトモデルです。一人暮らしや子供部屋、書斎などにぴったりのサイズですね。50Hz地域で2.0kW、60Hz地域で2.2kWの冷房能力を持ち、期間消費電力量は367~429kWhとなっています。
全モデル共通の特徴として、単相100V電源で動作し、一般的なコンセントで使用できます。また、ZAM(亜鉛合金めっき鋼板)を採用しており、錆に強く耐久性に優れているのも嬉しいポイントです。
機能面では非常にシンプルで、フィルター自動掃除機能や空気清浄機能は搭載されていません。しかし、その分価格が抑えられており、「余計な機能は不要」という方には最適な選択といえるでしょう。
購入前に確認すべきポイントまとめ

冷房専用エアコンを購入する前に、必ず確認しておきたいポイントをまとめて紹介します。後悔しない選択をするために、これらの項目を一つずつチェックしていきましょう。
まず、設置環境の確認が最も重要です。エアコン専用コンセントの有無、配管穴の位置、室外機の設置場所をしっかりと確認してください。古いエアコンがある場合は撤去費用も考慮する必要があります。
窓用エアコンを検討している場合は、窓のタイプと寸法を必ず測定しましょう。引き違い窓のみ対応で、窓の幅、高さ、立ち上がりの条件を満たしている必要があります。
電気代についても事前に計算しておくことをおすすめします。期間消費電力量から年間の電気代を算出し、現在使用している冷房器具と比較してみてください。
工事費用の詳細も確認が必要です。標準工事に含まれる内容と、追加料金が発生する可能性のある作業を明確にしておきましょう。家電量販店では工事費込みプランも多いので、複数の店舗で見積もりを取ることをおすすめします。
アフターサービスや保証内容も重要なポイントです。メーカー保証の期間や内容、延長保証の有無、修理対応の体制などを確認しておくと安心ですね。
また、近隣への配慮も忘れてはいけません。室外機の設置位置や運転音のレベルを確認し、隣家への影響がないか事前に検討しましょう。
最後に、本当に冷房専用で問題ないかを再度検討してください。将来的に暖房機能が必要になる可能性や、トータルコストを含めて冷暖房エアコンとの比較を行うことが大切です。
総括:冷房専用エアコンのデメリット
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。