「都市ガスもプロパンガスも、結局は火がつくだけだし、都市ガスとプロパンガスは変わらないでしょ?」なんて思っていませんか?
実を言うと、私も家電量販店で働き始める前までは、そう思っていたんです。
でも、仕事で生活家電の光熱費データを扱ったり、裏方としてお客様の悩みを聞いたりしているうちに、その考えが大きな間違いだったことに気づかされました。
使い勝手自体は確かに変わりませんが、毎月支払う料金や、その裏にある仕組みには驚くほどの違いがあるんです。
特にこれから一人暮らしを始める方や、引越しを考えている方にとっては、この違いを知っているかどうかで、年間数万円もの損をしてしまう可能性だってあります。
家賃が安いからといって飛びついた物件がプロパンガスで、結果的に高いガス代を払う羽目になったら悲しいですよね。
この記事では、そんな「ガスの見えない差」について、私の経験と知識をフル活用して、わかりやすくお話ししていこうと思います!
- 料金差は年間4万円以上になることも
- 賃貸のプロパンが高い裏事情を解説
- 災害時に強いのは実はプロパンガス
- 家電選びでガス代は大幅に節約可能
都市ガスとプロパンガスは変わらない?誤解と料金差

ここでは、都市ガスとプロパンガスは変わらないという誤解を解きながら、実は全く異なるその性質や、誰もが気になる「お金」の話について深掘りしていきますね。
仕組みを知れば、なぜ料金に差が出るのかがストンと腑に落ちるはずですよ。
プロパンと都市ガスの違い
まずはお勉強っぽくならないように、サクッと基本の違いをお話ししますね。
私たちが普段使っているガスには、大きく分けて「都市ガス」と「プロパンガス(LPガス)」の2種類があります。これ、実は原料からして全然違うものなんです。
都市ガスはメタンが主成分で、地面の下にある導管を通って各家庭に運ばれてきます。水道と同じで、蛇口をひねれば出てくるイメージですね。
一方、プロパンガスはプロパンやブタンが主成分。こちらはガスボンベを配送員さんがトラックで運んできて、家の裏などに設置します。
「都市ガスとプロパンガスは変わらない」と思われがちですが、供給方法が「配管」か「配送」かという時点で、コストの掛かり方が全く違うことがわかりますよね。
それからここが重要なのですが、プロパンガスは都市ガスの約2.2倍の熱量を持っています。
つまり、同じ体積ならプロパンガスの方が2倍以上パワフルなんです。だから単純に単価だけで比較しちゃうと計算が合わなくなるので注意が必要ですよ。
ただ、このパワーの違いを考慮しても、料金には大きな「差」が生まれてしまうのが現実なんです。 この熱量の差は、(出典:資源エネルギー庁「エネルギー源別標準発熱量一覧表」)でも確認できます。
どちらがお得か?
結論からズバリ言ってしまうと、経済的な面で言えば圧倒的に「都市ガス」がお得です。
これはもう、私が家電量販店で見てきたデータからも明らかなんです。
なぜここまで差が出るのかというと、やっぱり「配送コスト」が大きいです。
都市ガスは一度パイプを通してしまえば、あとは自動的にガスが流れてきますが、プロパンガスは人の手で重いボンベを運んで、交換しなければなりません。人件費やトラックのガソリン代がかかる分、どうしても基本料金や従量料金が高くなってしまうんですね。
「でも、プロパンガスの方が火力が強いんでしょ?」という声も聞きますが、実は家庭用のコンロでは、都市ガス用もプロパンガス用も、最終的に出る火力は同じになるように調整されているんです。
だから、料理の味が変わるわけでも、お湯が早く沸くわけでもないんですよ。使い勝手が全く同じなのに、毎月の支払いだけが高くなるなんて、ちょっと悔しいですよね。
「使い勝手」は変わらないけれど、「お財布への優しさ」は都市ガスの圧勝です。
どっちが安いか比較
では、実際にどれくらい安いのか、もう少し踏み込んで比較してみましょう。
都市ガスは公共料金としての性格が強く、料金設定に透明性があります。規制緩和で自由化されたとはいえ、極端な価格設定はされにくいんです。
一方で、プロパンガスは昔から「自由料金制」。
これが結構クセモノで、ガス会社さんが自由に値段を決められるんです。極端な話、お隣さんと同じガス会社を使っているのに、料金が違うなんてこともザラにあるんですよ。
具体的な数字で見ると、基本料金だけでも都市ガスが750円前後なのに対し、プロパンガスは1,800円〜2,200円ほどかかることが多いです。スタート地点ですでに1,000円以上の差がついている状態ですね。
ここに使った分の料金が上乗せされるわけですが、その単価もプロパンガスの方が割高に設定されていることがほとんど。熱量の違い(2.2倍)を計算に入れて調整したとしても、やっぱりプロパンガスの方が高くなる傾向にあるんです。
1ヶ月のガス代はいくら違う?
「じゃあ結局、毎月いくら損するの?」ここが一番気になりますよね。
平均的なデータで言うと、だいたい月額で3,000円〜4,000円くらいの差が出ることが多いです。
例えば、一人暮らしや二人暮らしで、冬場にお風呂も沸かして料理もして……と普通に生活した場合、都市ガスなら4,000円で済むところが、プロパンガスだと8,000円近く請求が来た、なんて話は春先の新生活シーズンによく耳にします。
月3,000円違うとすると、年間で36,000円。
もし4,000円違えば、年間48,000円もの差になります。
ガス代シミュレーションや給湯器選びの損益分岐点をもっと具体的に知りたい方は、エコジョーズと普通の給湯器の違いと元が取れる家庭の特徴も参考になるはずです。
約5万円あったら何ができるでしょう?
最新の高級家電が買えちゃいますし、ちょっといい温泉旅行にだって行けちゃいますよね。
毎月ポストに入っている検針票を見て「高いなぁ」とため息をつくストレスも含めると、この差額は決して無視できない大きさだと思います。
これから物件を探す方は、家賃だけで判断せずに、この「隠れたコスト」も計算に入れるのが賢いやり方ですよ。
一人暮らしならどっちがいい?
これから一人暮らしを始める方には、私は迷わず「都市ガス物件」を強くおすすめします。
一人暮らしって、ただでさえ何かとお金がかかるじゃないですか。
家賃、光熱費、食費、通信費……。その中で、固定費を削れるところは削っておきたいですよね。
一人暮らしの場合、ガスの使用量はそれほど多くないかもしれません。でも、先ほどお話しした通り、プロパンガスは「基本料金」が高いんです。使っても使わなくても毎月2,000円近く取られてしまうのは、お財布にボディブローのように効いてきます。
「私は自炊もしないし、シャワーだけだから大丈夫」という方もいるかもしれませんが、冬場のシャワーは意外とガスを使います。特に寒冷地だと、水温が低いのでお湯にするまでにたくさんのエネルギーが必要なんです。
気がついたらガス代が1万円を超えていた……なんてことになったら、せっかくの自炊節約も水の泡。精神衛生上も、都市ガスを選んでおいた方が安心して新生活をスタートできると思いますよ。
シャワー中心の暮らしで給湯器の選び方やランニングコストを詳しく知りたい方は、シャワーのみ生活のガス給湯器選びガイドもチェックしてみてください。
賃貸ならどっちがいい?

賃貸物件を選ぶ際も、基本的には都市ガスが有利なのは変わりません。
でも、賃貸市場には「プロパンガス物件」が山のようにありますよね。特に新築のアパートなんかだと、プロパンガス率が結構高かったりします。
なぜかというと、アパートのオーナーさんにとってプロパンガス会社は「神様」のような存在だからなんです。
実は、アパートを建てる時に、ガス会社が配管工事費や給湯器、エアコン、ひどい時にはインターホンやウォシュレットまで「無償(タダ)」で提供してくれる契約があるんです。
これを業界用語で「無償貸与契約」なんて言ったりします。
オーナーさんは初期費用が浮いてハッピーですが、そのかかった費用はどこで回収されると思いますか?
そう、入居者の皆さんが支払うガス料金に上乗せされるんです。
つまり、賃貸のプロパンガス料金には、純粋なガス代だけでなく、アパートの設備代(ローン)が含まれているようなものなんです。
これが、賃貸のプロパンガスが持ち家よりもさらに高くなるカラクリなんですね。
賃貸のプロパンガス料金は、アパートの設備代を肩代わりして払わされている可能性が高いです。
都市ガスとプロパンのメリット・デメリット
ここまでプロパンガスに対して厳しいことばかり言ってしまいましたが、公平にジャッジするために、それぞれのメリット・デメリットを整理しておきましょう。
プロパンガスにも、都市ガスにはない素晴らしい長所があるんです。
都市ガスのメリットは、なんといっても「料金の安さ」と「透明性」。デメリットは、災害時に地中の導管が破損すると、復旧までに時間がかかることです。
東日本大震災や能登半島地震の時も、復旧まで数週間〜1ヶ月以上かかった地域がありました。
一方、プロパンガスの最大のメリットは「災害への強さ(レジリエンス)」です。
これは本当にすごいです。各家庭にボンベがあるので、もし配管が無事なら点検だけですぐに使えますし、配管がダメでもボンベと調整器とゴムホースがあれば、その場で炊き出しやお風呂の熱源として活躍します。
「軒下在庫」なんて呼ばれていて、まさに分散型エネルギーの王様です。
乳幼児や介護が必要な方がいるご家庭など、「何があってもお湯や熱源を確保したい」という安心感を優先するなら、コストが高くてもプロパンガスを選ぶ価値は十分にあると思います。
都市ガスとプロパンガスは変わらない?生活のための物件選び

さて、ここからはもう少し実践的なお話を。
「都市ガスとプロパンガスは変わらないの?」と気になっているあなたが、実際に物件を選ぶ時や、今の生活でどう立ち回ればいいのか、家電量販店員の視点も交えながらアドバイスさせていただきますね。
賃貸のプロパンガスはやめとけと言われる理由
ネットで検索すると「賃貸 プロパンガス やめとけ」なんて過激な言葉が出てきてドキッとしませんか?
でも、これにはちゃんとした理由があるんです。
一番の理由は、先ほどお話しした「無償貸与契約」による料金の高止まりです。
入居者にはガス会社を選ぶ権利がないので、どんなに高くてもそのガス会社と契約するしかありません。言い方は悪いですが、一種の「言い値」で契約させられるような状況になりがちなんですよね。
それに、料金設定が不透明なこともストレスの要因です。
「原料費調整」という名目でいつの間にか値上げされていたり、大家さんが変わったら急にガス会社が変わって料金が跳ね上がったり……。
自分ではコントロールできない部分で家計が圧迫されるリスクがあるからこそ、経験者は「やめとけ」と警鐘を鳴らすのだと思います。
私もお客様から「ガス代が高すぎて引っ越したい」という相談を受けたことが何度もありますから、その気持ちは痛いほどわかります。
賃貸物件での都市ガスとプロパンガスの見分け方
では、地雷を踏まないためにはどうすればいいのでしょうか?
物件探しの段階で見分ける方法はいくつかあります。
まずは、不動産屋さんでもらう物件図面の「設備」欄をよーく見てください。
「都市ガス」「公営ガス」と書いてあればOKですが、「LPG」「プロパン」と書いてあったら要注意です。
たまに記載がない場合もありますが、その時は建物の外観写真やGoogleストリートビューを見てみましょう。建物の脇にグレーのガスボンベが並んでいたら、それは間違いなくプロパンガス物件です。
そして一番確実なのは、契約する前に不動産屋さんに聞いてしまうこと。
「この物件のガス料金表を見せてください」と言ってみるのがおすすめです。
ちょっと勇気がいるかもしれませんが、「以前高いガス代で困ったことがあって……」と言えば、まともな業者さんなら確認してくれます。もしここで情報の開示を渋るようなら、その物件はちょっと怪しいかもしれませんね。
気に入った物件がプロパンガスだった場合
「どうしても住みたい素敵な物件が見つかったけど、プロパンガスだった……」
そんな時、諦めるのはまだ早いです!トータルコストで考えてみましょう。
例えば、その物件の家賃が相場より5,000円安かったらどうでしょう?
ガス代が月3,000円高くても、トータルでは2,000円お得になりますよね。
また、プロパンガス物件は設備が充実していることが多いとお話ししました。
もし、最新のエアコンや温水洗浄便座、さらに高速インターネットまで無料でついているなら、自分でそれらを揃えたり契約したりするコスト(ネット代月4,000円〜5,000円など)が浮く計算になります。
「ガス代は高いけど、ネット代込みの家賃だと思えば安いかも」と割り切れるなら、プロパンガス物件も「アリ」な選択肢に変わります。大切なのは感情的に避けるのではなく、電卓を叩いて冷静に計算することですね。
賃貸で変更は可能?

これ、よく聞かれる質問なんですが、残念ながら賃貸物件で入居者が個人的にプロパンガスから都市ガスに変更したり、ガス会社を変えたりすることは「ほぼ不可能」です。
ガス会社と契約しているのは、あくまで建物のオーナーさん。
しかも、例の「無償貸与契約」で10年〜15年の縛り期間があることが多く、途中で解約しようとするとオーナーさんに多額の違約金が発生してしまうんです。いち入居者の要望でそれを覆すのは現実的ではありません。
もしガス代が高くて困っているなら、ガス会社を変えるのではなく、私たちの生活スタイルを変える方が手っ取り早いです。
例えば、調理をガスから電気に変えるとか。
キッチンのガスコンロを使わずに、据え置き型のIHクッキングヒーターを導入するのは賢い手ですよ。
アイリスオーヤマの「IHK-WT41S-B」なんかは、コンセントに挿すだけで使えて、お値段も1万円台とお手頃。これで調理分の高いガス代をカットできちゃいます。
家電店員の裏ワザ
ガスコンロがあってもあえて使わず、IHコンロを上に置いて料理する。これだけでガス代節約になります!
買い替えなら交換できるくんがお得かも
もしあなたが持ち家にお住まいで、古くなった給湯器やガスコンロの交換を考えているなら、ネットで注文できるサービスを利用するのも一つの手です。「交換できるくん」などが有名ですね。
こういうサービスの良いところは、見積もりが明朗会計で、しつこい営業がないところ。
実はガス機器って、都市ガス用(13A)とプロパンガス用(LP)で型番が違うだけで、本体価格は変わらないことが多いんです。でも、プロパンガス会社経由で買うと、どうしても割高な定価に近い価格で見積もりが出てきがち。
ネット系の施工業者なら、大量仕入れで本体価格を抑えているので、同じリンナイやノーリツの製品でも、数万円安く済むことがよくあります。
具体的なガス給湯器メーカーの特徴や、交換できるくんを活用した買い替えのコツについては、ガス給湯器はどこのメーカーが良いかを解説した記事で詳しく紹介しています。
特に最近人気のガス衣類乾燥機「乾太くん」を導入したい時なんかは、初期費用を抑えるために相見積もりを取ってみるといいですよ。浮いたお金で、デラックスタイプのフィルター掃除が楽なモデル(RDT-93など)にグレードアップできちゃうかもしれません。
まとめ:都市ガスとプロパンガスは変わらないのか
長々とお話ししてきましたが、最後にこれまでの内容をギュッとまとめておきますね。
都市ガスとプロパンガス、使い勝手は変わらなくても、その中身は別物だということが伝わったでしょうか?
| 項目 | 都市ガス | プロパンガス |
|---|---|---|
| 料金 | 安い(公共料金ベース) | 高い(自由料金・設備費転嫁) |
| 災害時の復旧 | 遅い(導管点検が必要) | 早い(個別復旧が可能) |
| 賃貸での選択 | 基本おすすめ | 家賃や設備とのバランスで判断 |
| 節約のコツ | こまめな使用量削減 | IH家電や電気ケトルの活用 |
物件選びでは「基本は都市ガス狙い」、でも「プロパンなら家賃と設備の充実度をチェック」というスタンスが最強かなと思います。
もしどうしてもプロパンガス物件に住むことになったら、ティファールの電気ケトルでお湯を沸かしたり、レンジでパスタを茹でたりして、楽しみながらゲーム感覚でガス使用量を減らしてみてください。
「あ、今月はこれだけ浮いた!」と実感できると、案外楽しいものですよ。
皆さんの新生活が、快適でお得なものになりますように!


