浴室の床掃除、みなさんはどうされていますか?
いつの間にか黒ずんだり、ピンク色のヌメリが出たり、白いカリカリした汚れがこびりついたり…。一生懸命こすっても、なかなか思うようにキレイにならなくて、正直イヤになっちゃいますよね。
実は、浴室の床には酸性の汚れとアルカリ性の汚れが混在しているんです。だからどんなに評判の良い洗剤を使っても、全部はキレイにならないのは当たり前だったんですね。
黒カビや皮脂汚れは酸性、水アカや石鹸カスはアルカリ性。それぞれに合った掃除方法を知らないと、いくら頑張っても効果は半減してしまいます。
でも大丈夫です。
オキシクリーンやクエン酸、重曹といった定番アイテムに、電動ブラシやスチームクリーナーなどの家電を組み合わせれば、驚くほど楽に、そして確実にキレイになるんです。
特にTOTOのほっカラリ床のような溝がある床材でも、正しい方法なら傷つけずにピカピカにできますよ。
この記事では、浴室の床を悩ませる5大汚れの正体から、それぞれに効く洗剤と家電の組み合わせ、そして毎日のお手入れで汚れを予防する方法まで、家電のプロとして詳しくご紹介していきます。
浴室の床掃除の基本!5大汚れを解説

浴室の床は「酸性の汚れ」と「アルカリ性の汚れ」が混在する、とっても複雑な場所。だからそれぞれの正体を知らないと、効果的なお掃除は難しいんですね。
この章では、まず「敵を知る」ということで、浴室の床を脅かす4大汚れの正体と、話題の「ほっカラリ床」の注意点について、一緒に見ていきましょう!
浴室の床の黒ずみの正体
お風呂の床で一番目立って、一番イヤ~な汚れといえば、やっぱり「黒ずみ」ですよね。
特にタイルの目地や、床の隅っこに出てくる黒い点々…。見つけると本当に気分が下がります。
この黒ずみの正体は、みなさんもご存じの「黒カビ」です。
浴室は「高温多湿」で、黒カビにとっては天国のような環境なんです。
「でも、なんでウチだけ?」と思うかもしれませんが、黒カビが育つには「栄養」が必要なんですね。その栄養というのが、次にお話しする「皮脂汚れ」や「石鹸カス」なんです。
私たちが体を洗ったときに出る皮脂や垢、シャンプーやボディソープの流し残しが、カビたちの大好物。これらが床に残っていると、それをエサにしてどんどん繁殖してしまうんです。
しかも、黒カビは「酸性」の性質を持っています。だから、同じ酸性の洗剤(例えば、水アカ用の酸性洗剤)を使っても、実はあまり効果がないんですね。
黒カビのような酸性の汚れには、アルカリ性の洗剤(塩素系漂白剤や酸素系漂白剤)を使うのがセオリーです。
この黒カビ、表面だけをこすっても、床の溝やパッキンの奥に深く根を張っていることが多いんです…。だから「掃除してもすぐに出てくる」という悪循環に陥りがち。
手ごわい黒カビには、洗剤での「化学的アプローチ」と、家電を使った「物理的アプローチ」の組み合わせがとても重要になってきます。
例えば、カビキラーで表面の黒ずみを漂白した後に、スチームクリーナーの高温蒸気で目地の奥の菌糸まで加熱殺菌する、といった方法ですね。
このあたりは、後の章で詳しくお話しします!
ピンクぬめり(赤カビ)の原因
黒カビと並んで、浴室でよく見かけるのが「ピンクぬめり」ですよね。
気づいたら床の隅や排水溝の周りがピンク色になっていて、「ヌルッとする」あの汚れです。
「これもカビ?」と思われがちですが、実はこれ、黒カビとはちょっと違うんです。
この正体は、「ロドトルラ」と呼ばれる酵母菌の一種なんですね。
黒カビよりも繁殖スピードがとっても早くて、水分とわずかな栄養(皮脂など)さえあれば、数日で一気に広がってしまいます。
「カビじゃないなら安心」と思ったら、それは大きな間違い!
このピンクぬめりは、「これから黒カビが繁殖しますよ」という危険なサインなんです。
ピンクぬめりを放置していると、それをエサにして、あの手ごわい黒カビが発生しやすくなってしまいます。
幸い、ピンクぬめり自体は、黒カビほど頑固ではありません。
中性洗剤(バスマジックリンやウタマロクリーナーなど)とスポンジでこすれば、比較的簡単に落とすことができます。
ただ、問題は「すぐに再発すること」じゃないでしょうか?
「昨日掃除したばっかりなのに!」とガッカリするお声、お客様からもよく聞きます。
この「すぐ再発する」問題を解決するのに、家電がとっても役立つんです。
例えば、「電動お掃除ブラシ(電動ポリッシャー)」。
中性洗剤をスプレーした後に、電動ブラシで床全体をガーッと磨くだけ。手でこするよりずっと楽ですし、ブラシが高速で回転するので、目に見えない菌までしっかりかき出してくれます。
もっと根本的にやっつけたい!という方には、「スチームクリーナー」もおすすめです。
100℃以上の高温スチームで、ピンクぬめりの原因菌をしっかり除菌できます。
ピンクぬめりも黒カビと同じ「酸性」の性質を持っているので、こまめな掃除と家電による除菌が効果的なんですね。
白い汚れは水アカと石鹸カス
黒やピンクの汚れとは対照的に、「白くてカリカリした汚れ」も気になりませんか?
床や鏡、蛇口の根元などに付着する、ウロコ状の頑固な汚れです。
この白い汚れの正体は、主に2つあります。
「水アカ」と「石鹸カス」です。
まず「水アカ」ですが、これは水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムといったミネラル成分が、水分が蒸発した後に残って結晶化したものなんです。
特に床が乾きにくい場所に、どんどん蓄積していきます。
もう一つの「石鹸カス」は、ちょっと厄介です。
私たちが使うシャンプーやボディソープの成分が、水道水のミネラル成分と化学反応を起こして、「金属石鹸」という、水に溶けにくい固い汚れに変化したものなんですね。
そして、ここが一番大事なポイントです。
これら水アカや石鹸カスは、黒カビやピンクぬめり(酸性)とは真逆の、「アルカリ性」の性質を持っているんです。
だから、黒カビに効くカビキラー(アルカリ性)や、皮脂汚れに効く重曹(アルカリ性)をいくら使っても、白いカリカリ汚れは絶対に落ちません。
「浴室用洗剤で掃除してるのに、床がどんどん白っぽくなる…」という場合は、これが原因ですね。
アルカリ性の汚れを落とすには、その逆の「酸性」の洗剤(クエン酸など)が必要になります。
クエン酸を水に溶かしてスプレーし、キッチンペーパーなどでパックしてしばらく置く…というのが定番のお掃除方法です。
酸性洗剤と塩素系洗剤の「混ぜるな危険」
ご存じの方も多いと思いますが、クエン酸などの「酸性タイプ」の洗剤と、カビキラーなどの「塩素系」漂白剤は、絶対に混ぜてはいけません。
有毒な塩素ガスが発生して、命に関わる危険があります。
「水アカもカビも一気に!」と思って同時に使うのは絶対にNGです。
必ず別々の日に作業するか、水で完全に洗い流してから使用してくださいね。
ただ、この白い汚れ、固着してしまうとクエン酸パックでもなかなか手ごわいんですよね… 。
そんな時は、やはり家電の出番です。
タイル床など硬い素材であれば、電動ポリッシャーのハードタイプのブラシで物理的に研磨するのも一つの手です。
また、タイル目地などに固着した汚れには、「高圧洗浄機」が使える場合もあります。
ただし、使える床材や圧力(10MPa以下が目安)に制限があるので、これは上級者向けの方法ですね。
ケルヒャーの「K2 サイレント BC」などは、その上限に適合するモデルの一つです。
皮脂汚れはカビのエサになる

さて、ここまで「黒カビ(酸性)」「水アカ(アルカリ性)」という厄介な汚れを見てきましたが、これらすべての原因の始まりとも言えるのが「皮脂汚れ」です。
皮脂汚れは、私たちがお風呂で体を洗ったときに出る皮脂や垢(あか)のこと。
これはお風呂に入る以上、絶対に避けられない汚れですよね。
この皮脂汚れ自体は、目に見えにくいことが多いんです。
でも放置しておくと、床がなんとなくヌルッとしたり、黒ずんできたりします。
性質としては、人間の体から出るものなので「酸性」です。
だからお掃除するにはアルカリ性の洗剤、例えば「重曹」や「セスキ炭酸ソーダ」が有効なんですね。
ただ、この皮脂汚れの一番怖いところは、「黒カビやピンクぬめりの、大好物のエサになる」ことなんです。
皮脂汚れを放置する
↓
それをエサにピンクぬめり(酵母菌)が繁殖する
↓
さらにそれをエサに黒カビが根を張る
という、恐怖の「汚れスパイラル」が始まってしまうんです…。
だから、浴室の床 掃除で一番大切なのは、「その日のうちに皮脂汚れをしっかり洗い流すこと」だと言えます。
毎日のお風呂上がりに、床全体をシャワーでサーッと流すだけでも、カビの予防効果は全然違いますよ。
そして、皮脂汚れは「油汚れ」の一種です。
キッチンの油汚れを思い浮かべてほしいんですが、油汚れって「高温」に弱いですよね?
そうです、ここでも「スチームクリーナー」が大活躍するんです!
100℃以上の高温スチームは、皮脂(油)をスッキリ溶かしてくれます。
洗剤を使わなくても、熱の力だけで皮脂汚れを分解し、同時に除菌もしてくれるなんて、本当に嬉しいポイントですよね。
ケルヒャーの「SC1 MINI」のようなハンディタイプなら、気になったときにサッと使えて便利だと思います。
TOTOほっカラリ床の掃除の注意点
最近の浴室で、本当によく採用されているのがTOTOの「ほっカラリ床」ですよね!
お店でも、「今度入るお風呂、ほっカラリ床なの」というお客様、すごく多いです。あの畳のような柔らかい踏み心地と、水はけの良さが魅力ですよね。
でも、同時に「ほっカラリ床の掃除って、どうしたらいいの?」というご相談も、同じくらい多いんです。
ほっカラリ床には、大きな特徴が2つあります。
1つは、水はけを良くするための「微細な溝(パターン)」があること。
もう1つは、あの柔らかさを実現するための「柔らかい樹脂素材」でできていること。
この2つが、お掃除する上で悩ましいポイントになるんですね…。
つまり、「溝に汚れが溜まりやすい」のに、「キズが付きやすいから強くこすれない」というジレンマです。
TOTOの公式サイトでも、「毛先が柔らかい樹脂製(ポリプロピレンなど)のブラシ」と「浴室用中性洗剤」で、溝に沿ってこすることが推奨されています。
(出典:TOTO公式「床のお手入れ」)
これを手動でやろうとすると、結構な重労働ですよね…?
ほっカラリ床で「絶対NG」な掃除方法
「お客様、それだと床が傷んじゃいます!」と、店頭で思わず止めてしまった事例があります。
- 硬いブラシ(タワシなど)でゴシゴシ:一発で傷だらけになります。
- 高圧洗浄機:素材を傷める可能性大です。絶対にやめましょう。
- スチームクリーナー:メーカーは推奨していません。熱で変形するリスクがあります。
- 塩素系漂白剤(カビキラー)の放置:変色のおそれがあります。使う場合は放置せず、すぐに洗い流してください。
せっかくの床をダメにしないためにも、これだけは守ってくださいね。
じゃあ、どうすればいいの!?となりますよね。
この「TOTOほっカラリ床」のジレンマを、最も安全かつ効果的に解決してくれる家電が、まさに「電動ポリッシャー(電動お掃除ブラシ)」なんです。
ポイントは、「メーカー推奨の”柔らかいブラシ”を装着できる」こと。
例えば、EPEIOS(エペイオス)の「HM115」というロングタイプの電動ブラシは、7種類ものブラシヘッドが付いてくるんです。
その中から、TOTOが推奨するような「柔らかいブラシ」を選んで使えば、床を傷つけるリスクを最小限に抑えつつ、手動では不可能な「高速回転」で、あの微細な溝の汚れを効率的にかき出してくれます。
「ほっカラリ床にしたけど、掃除が大変…」と悩んでいる方にこそ、ぜひ試してみてほしい家電ソリューションですね!
家電で解決!浴室の床掃除の方法

さて、前半では浴室の床を汚す「5大汚れ」の正体を見てきました。
酸性やらアルカリ性やら、なんだか化学の授業みたいでしたよね(笑)
でも、敵の正体がわかれば、あとは「どうやって倒すか」です!
ここからは、オキシクリーンなどの人気洗剤の「本当の実力」と、私たち家電のプロがおすすめする「お掃除家電」を組み合わせて、面倒な浴室の床掃除をいかに楽に、いかにキレイにするか、具体的な方法を見ていきましょう!
オキシクリーン(オキシ漬け)の効果
SNSやテレビでも大人気、「オキシクリーン」を使った「オキシ漬け」。
試したことがある方も多いんじゃないでしょうか?
オキシクリーンは「酸素系漂白剤」の一種です。
お湯に溶かすとシュワシュワ~っと酸素の泡が出て、汚れを分解してくれます。
性質は「弱アルカリ性」。
ということは、そう!前半で出てきた「酸性」の汚れ、つまり「黒カビ」や「皮脂汚れ」にとても有効なんです。
塩素系漂白剤(カビキラー)のようなツンとした臭いがなく、色柄物にも使えるのが嬉しいポイントですよね。
浴室の床でオキシ漬けをする場合は、こんな手順が一般的です。
- 排水口にビニール袋に水を入れたものなどで栓(水止め)をする。
- 床全体に40℃~60℃のお湯を溜める。
- オキシクリーン(日本版ならお湯4Lに付属スプーン1杯程度)を溶かす。
- そのまま2~6時間ほど放置する。
- 放置後、栓を抜き、ブラシでこすりながら洗い流す。
これで床全体の皮脂汚れや軽い黒カビがリセットされて、ワントーン明るくなることもあります。
…と、いいこと尽くしのように聞こえますが、実際にやってみると、いくつかの「壁」にぶつかるんです。
お客様からも「思ったより大変だった」というお声、結構いただきます。
手動「オキシ漬け」の2つの限界
1. 温度の壁
オキシクリーンが最も効果を発揮するのは「40℃~60℃」なんです。でも、浴室の床でこの温度を数時間も維持するのって、現実的に不可能じゃないですか?
追い焚き機能もないですし、すぐ冷めてしまいます。これでは効果も半減ですよね。
2. 研磨力の壁
オキシクリーンは、カビキラーに比べて洗浄力は穏やかです。あくまで「汚れを浮かせる」のが得意。
だから、漬け置き後に「ブラシでこする」という物理的な力が絶対に必要なんです。
でも、床全体をこするのはかなりの重労働ですよね…。
この「温度」と「研磨力」の壁を、一気に解決してくれるのが「家電」なんです。
まず「温度の壁」。
これを解決するのが「スチームクリーナー」です。
スチームクリーナーは、100℃以上の高温蒸気を安定して供給できます。オキシクリーンを床に撒いた上からスチームを当てれば、オキシクリーンが最も活性化する温度(60℃以上)を簡単に作り出せます。
まさに「追いオキシ」状態ですね!
皮脂汚れもカビも、高温で一気に浮き上がらせます。
そして「研磨力の壁」。
これはもうお分かりですね。「電動ポリッシャー」の出番です。
オキシ漬けで浮き上がった汚れを、電動ブラシの高速回転で一網打尽にします。
手でこするのとは比べ物にならないパワーで、溝の奥までスッキリですよ。
オキシクリーンはそれ単体で使うよりも、家電と組み合わせることでその真価を120%発揮できるアイテムなんですね。
クエン酸や重曹での掃除方法
「洗剤は、なるべく自然なものを使いたい」
「小さい子どもやペットがいるから、強力な洗剤はちょっと…」
店頭でも、こういったお声はすごく多いです。
そんな方に人気なのが、やはり「重曹」と「クエン酸」ですよね。
前半でも触れましたが、この2つを使いこなすカギは「汚れの性質を理解すること」です。
▼重曹(弱アルカリ性)
酸性の汚れに有効です。
・皮脂汚れ
・ピンクぬめり(赤カビ)
・軽い黒カビ
▼クエン酸(酸性)
アルカリ性の汚れに有効です。
・水アカ(カリカリした白いウロコ)
・石鹸カス(金属石鹸)
これを表にまとめると、もっと分かりやすいですね。
| 汚れの種類 | 汚れの性質 | 有効な洗剤(性質) | 具体的な洗剤 |
|---|---|---|---|
| 皮脂汚れ・垢 | 酸性 | アルカリ性 | 重曹、セスキ炭酸ソーダ |
| ピンクぬめり | 酸性 | アルカリ性 | 重曹、中性洗剤 |
| 黒カビ | 酸性 | アルカリ性 | 塩素系漂白剤、酸素系漂白剤、重曹 |
| 水アカ(ミネラル) | アルカリ性 | 酸性 | クエン酸、酸性洗剤 |
| 石鹸カス | アルカリ性 | 酸性 | クエン酸、酸性洗剤 |
(※重曹は研磨作用もあるので、軽い水アカなら削り落とせる場合もあります)
どうでしょう?
こう見ると、浴室の床がいかに「酸性」と「アルカリ性」の汚れが混在する場所か、よくわかりますよね。
基本的な使い方は、重曹やクエン酸を水に溶かしてスプレーボトルに入れておく「重曹スプレー」「クエン酸スプレー」が便利です。
水アカがひどい場所には、クエン酸スプレーをした上からキッチンペーパーを貼り付けて「クエン酸パック」をすると、汚れが緩んで落ちやすくなります。
ただ、このナチュラルクリーニングも、手作業だと限界があります。
特にクエン酸パックで緩ませた後の「固着した水アカ」は、スポンジ程度では歯が立たないことも…。
そんな時、もし床がタイルなどの硬い素材なら、「電動バスポリッシャー」に「ハードタイプ」のブラシ(素材の適合性は要確認です!)を付けて研磨すると、まるで研磨剤を使ったように水アカを削り落とすことができます。
また、重曹を使った「合わせワザ」もおすすめです。
皮脂汚れや黒カビが気になる場所に重曹を粉のまま振りかけて、その上から「スチームクリーナー」を当てるんです。
重曹がスチームの高温で活性化し、さらに細かい泡が出て発泡洗浄のような効果が期待できますよ。
(※床の素材によっては変色などの可能性もゼロではないので、まずは目立たない場所で試してみてくださいね)
重曹やクエン酸は、家電と組み合わせることで、手軽な「ナチュラルクリーニング」から、一歩進んだ「本格お掃除」にパワーアップさせることができるんです。
ウタマロクリーナーの活用術
最近、お店で「お風呂掃除に使える、手肌に優しい洗剤ない?」と聞かれたら、真っ先におすすめしているのが「ウタマロクリーナー」(緑のスプレータイプ)です。
ウタマロといえば、昔からある固形石鹸のイメージが強いかもしれませんが、このスプレータイプが本当に万能なんです。
最大の特徴は、「中性」であること。
中性洗剤なので、アルカリ性の洗剤(カビキラーなど)や酸性の洗剤(水アカ用など)のように、「素材を傷めないか」「有毒ガスは大丈夫か」と過度に心配する必要がありません。
手肌にも優しいアミノ酸系の洗浄成分が主なので、素手で触っても(もちろん推奨はしませんが)手が荒れにくいのも、主婦(夫)には嬉しいポイントです。
「でも、中性って洗浄力が弱いんじゃ?」と思われがちですが、ウタマロクリーナーは違います。
中性でありながら、水アカや石鹸カス(アルカリ性の汚れ)にも、皮脂汚れ(酸性の汚れ)にも、ある程度対応できる絶妙なバランスで作られているんですね。
(もちろん、何年も放置したカリカリの水アカや、根深い黒カビを落とすほどのパワーはありませんが…)
浴室の床 掃除で言えば、「週に1回のリセット掃除」に最適です。
床全体にウタマロクリーナーをシュシュッとスプレーして、スポンジやブラシでこするだけ。
軽い皮脂汚れや、発生したてのピンクぬめりなら、これだけで十分キレイになります。
さわやかな香りも良いですよね。
同じ中性洗剤のライバルとしては、「バスマジックリン エアジェット」もありますね。
こちらは「こすらずに汚れを落とす」という、時短性能に特化したタイプ。ピンクぬめり予防にも効果があります。
さて、このウタマロクリーナーのような優秀な中性洗剤。
手作業でも十分活躍しますが、その力を最大限に引き出しつつ、私たちを「こする」という重労働から解放してくれるのが…もうお分かりですね?
そう、「電動ポリッシャー」です。
床にウタマロクリーナーをスプレーして、電動ブラシでウィーンと磨くだけ。
洗剤の力と、ブラシの物理的な力が組み合わさって、手でこするのとは比較にならないスピードとキレイさを実感できると思います。
特に「スーパーソニックスクラバー」のようなハンディタイプの電動ブラシは、こうした「ちょこっと掃除」にすごく便利です。
「あ、ピンクぬめり出てきたな」と思ったら、ウタマロをスプレーして、サッと電動ブラシで磨いて流す。この習慣をつければ大掃除の手間が格段に減りますよ。
電動ブラシで楽に溝掃除

ここまで何度も登場してきた「電動お掃除ブラシ(電動ポリッシャー)」。
家電量販店で働いていても、ここ数年で一気に人気が出てきたカテゴリーだと感じます。
「お風呂掃除用のブラシでしょ?」と侮ってはいけません。
これ、一度使うと本当に「なんで今まで手でこすってたんだろう…」と後悔するレベルの、革命的な家電なんです。
電動ブラシの最大のメリットは、「手作業では不可能な『高速・均一なブラッシング』」ができること。
多くの製品が、1分間に数百回というスピードで回転・振動します。このパワーが浴室の床掃除、特に「溝」の掃除に絶大な効果を発揮するんです。
最近の浴室の床は、水はけを良くするために、細かい溝や凹凸(パターン)が付いているものが主流ですよね。(TOTOのカラリ床や、LIXILのキレイサーモフロアなど)
この溝、水はけは良いんですが、汚れが溜まりやすいのが難点…。
手作業でブラシを使っても、溝の奥までキレイにするのは本当に大変です。
そこを電動ブラシが解決してくれます。
高速回転するブラシの毛先が、溝の奥の奥まで入り込んで、皮脂汚れやピンクぬめりを根こそぎかき出してくれるんです。
店頭でお客様に「どのモデルがいいの?」と聞かれたときに、よく比較するポイントをご紹介しますね。
電動お掃除ブラシ 選びの3つのポイント
1. 形状(スティック vs ハンディ)
・スティックタイプ(EPEIOS HM115など)
柄が長く伸びるので、立ったまま楽な姿勢で床掃除ができます。腰痛持ちの方には絶対こちらがおすすめ。壁や天井の掃除にも便利です。
・ハンディタイプ(スーパーソニックスクラバーなど)
小回りが利き、蛇口周りや排水溝など、細かい場所の掃除に便利。手軽にサッと使えるのが魅力です。
2. パワー(回転数・トルク)
安価なモデルだと、少し力を加えただけで回転が止まってしまうことがあります。
ある程度のパワー(トルク)があるモデルを選ぶと、ストレスなく掃除できますよ。
3. アタッチメント(ブラシ)の種類
これが一番重要かもしれません!
特にTOTOの「ほっカラリ床」をお使いの方は、絶対に「柔らかいブラシ」が付属しているかを確認してください。
EPEIOSの製品のように、最初から7種類ものブラシ(柔らかいもの、ハードなもの、尖ったものなど)がセットになっていると、床から蛇口まで、家中のお掃除に使えてとても便利です。
「TOTOの床が、傷もつかずに本当にキレイになった!」
「あきらめていた溝の黒ずみが薄くなった!」
という嬉しいお声も、実際にたくさんいただいています。
洗剤と違って一度買えばずっと使えますし、浴室だけでなくキッチンや窓のサッシ掃除にも使える「一家に一台」の便利家電だと思います。
スチームクリーナーでカビ除菌
さて、電動ブラシが「物理的な研磨」のチャンピオンだとしたら、これからお話しする「スチームクリーナー」は、「熱による殺菌」のチャンピオンです。
「洗剤をあまり使いたくない」
「カビを根本からやっつけたい」
「排水溝のヌメヌメをどうにかしたい」
こんなお悩みを持つ方に、家電のプロとして強くおすすめしたいのがスチームクリーナーなんです。
その仕組みはシンプルで、「100℃以上の高温スチーム(蒸気)」を、高圧で噴射するだけ。この「熱」の力が、浴室の床掃除において本当に大活躍するんですよ。
1. 抜群の「殺菌力」
黒カビもピンクぬめりも、所詮は「菌」です。
菌は高温に弱いですよね。100℃のスチームを数秒当てるだけで、目地の奥に潜むカビの菌糸まで、しっかり殺菌・除菌できます。
(※カビキラーは「漂白」は得意ですが、奥の菌糸までやっつけるのは難しいんです)
2. 驚異の「溶解力」
皮脂汚れ(油)は、高温で溶けます。
スチームクリーナーは洗剤を使わなくても、熱の力だけで床にこびりついた皮脂汚れをドロドロに溶かして浮き上がらせてくれます。
3. 排水溝のヌメリにも
触るのもイヤな排水溝のヌメリ。これもスチームで一撃です。
熱湯をかけるのとはワケが違う、高温・高圧のスチームが、ヌメリも臭いも元から絶ってくれます。
私も自宅でケルヒャーの「SC1 MINI」というハンディタイプを使っていますが、あれは本当にすごいです。ボイラー式なのでスチームの圧力が強力で、床の目地がみるみるキレイになるのが快感ですよ(笑)
アイリスオーヤマの「STMK-305R」のように、長いホースやアタッチメントが30点も付いているモデルも、壁や換気扇など高い場所の掃除に便利で人気がありますね。
ただし、スチームクリーナーにも「限界」と「注意点」があります。
スチームクリーナーの限界とリスク
・水アカには効果が薄い
スチームは熱と水蒸気です。水アカの原因である「ミネラル」を分解する力はありません。
固着した白いカリカリ汚れは、残念ながらスチームでは落ちないんです。
・床材へのダメージリスク(超重要!)
LIXILなどのメーカーは、タイル目地への使用について「1箇所に5秒以上連続して当て続けない」「使用は1ヶ月に1回程度」という警告を出しています。
目地が高温で劣化(軟化)したり、割れたり、変色したりするリスクがあるためです。
(TOTOの「ほっカラリ床」のような柔らかい樹脂フロアへの使用は、基本的に非推奨です)
安全に使うためにも、この注意点は必ず守ってくださいね!
この「リスク」さえしっかり理解して使えば、スチームクリーナーは、浴室の衛生環境を劇的に改善してくれる、本当に頼もしい家電です。
最適な浴室の床掃除を見つけよう
ここまで、浴室の床掃除について、汚れの種類から洗剤、そしてお掃除家電まで、一気に見てきました。
改めて振り返ると、浴室の床という場所は、
- 酸性の汚れ(皮脂、黒カビ、ピンクぬめり)
- アルカリ性の汚れ(水アカ、石鹸カス)
が、常に混在している「化学的戦場」だということが、お分かりいただけたんじゃないでしょうか(笑)
だから、「万能洗剤」だけで全てをキレイにするのは、そもそも無理があったんですね。
汚れの性質に合わせて、洗剤(化学の力)を使い分けることが基本です。
そして、その「化学の力」だけでは超えられない「壁」…
「温度を維持できない(オキシ漬け)」
「固くてこすり落とせない(水アカ)」
「手ごわい溝がある(TOTO床)」
「そもそも、こするのが重労働!」
この壁を、圧倒的なパワーで乗り越えてくれるのが、「電動ポリッシャー(物理研磨)」や「スチームクリーナー(熱殺菌)」といった、「家電の力」なんだと私は思います。
ぜひこの記事を参考に、あなたに合った最適な浴室の床掃除の方法を見つけて快適なバスタイムを手に入れてくださいね!




