ベランダの排水溝掃除って、ついつい後回しにしていませんか?
落ち葉や泥が溜まって詰まってしまうと、大雨の時に水が溢れて階下への水漏れトラブルに発展することも。特にマンションにお住まいの方にとっては、洗剤が使えない、水を大量に流せないといった制約もあって、どうやって掃除すればいいのか悩んでしまいますよね。
私も家電量販店で働いていて、お客様から「ベランダ掃除に使える家電はありますか」というご相談をよくいただきます。
実は、高圧洗浄機やスチームクリーナー、乾湿両用掃除機といった家電を活用すれば、洗剤を使わずに効率よく掃除できるんです。
でも、基本的なやり方を知らないまま家電を使うと、かえって汚れを広げてしまったり、近所迷惑になってしまったりすることも。
重曹とクエン酸を使った黒ずみの落とし方や、鳥のフンの安全な処理方法、台風前の予防対策など、知っておきたいポイントはたくさんあります。
この記事では、ベランダ排水溝掃除の基本的な手順から、マンション特有の注意点、家電を活用した効率的な掃除方法まで、家電のプロとしての知識を交えながら詳しくご紹介していきます。
ベランダ排水溝掃除の基本のやり方

まずは、ベランダの排水溝掃除の「基本」から見ていきましょう。
家電を使うのはもちろん効率的なんですが、その前に「なぜ掃除が必要なのか」「どんな道具を揃えればいいのか」を知っておくのが大切だと思うんです。
特にマンションにお住まいの方は、知っておかないと怖い注意点もありますからね。
詰まりと匂い、下の階への水漏れ
ベランダの排水溝掃除って、ついつい後回しになりがちですよね。でも、放置してしまうと、本当に怖いトラブルにつながる可能性があるんです。
一番わかりやすいのは、やっぱり「詰まり」です。
落ち葉や飛んできたゴミ、砂や泥が溜まって、水の通り道がふさがれてしまうんですね。そうすると、大雨や台風の時にベランダがプールみたいになってしまって…。お部屋に水が入ってきそうになった、なんてお話もお客様から聞いたことがあります。
詰まって水が溜まると、今度は「匂い」や「害虫」が発生しやすくなります。
溜まったゴミや泥が腐敗して、ヘドロになってしまうと、独特のイヤ~な匂いがしてきますし、コケやカビも生えやすくなります。虫が湧いてしまうのも本当にイヤですよね。
そして、これがマンションやアパートにお住まいの方にとって一番深刻な問題だと思うんですが、「階下への水漏れ」です。
【最悪のケース】階下への水漏れトラブル
ベランダで水が溢れると、その水が下の階のお部屋に染み出して、天井から水漏れ…という最悪の事態になりかねません。
こうなると、お隣さんとの関係もギクシャクしてしまいますし、修理費用や損害賠償など、高額な費用を請求される可能性も出てきます。賃貸物件の場合は、退去時に原状回復費用として請求されるケースも多いと聞きます。
「自分は大丈夫」と思っていても、トラブルは突然やってきます。万が一、水漏れさせてしまったかもしれないと思ったら、すぐに管理会社や大家さんに連絡して、専門業者の点検など、誠実に対応することが大切ですよ。
他にも、常に湿った状態が続くと、ベランダの床材や手すりが腐食したり、錆びたりする原因にもなります。お家の寿命を縮めてしまうことにもなるんですね。
「ちょっと掃除をサボっただけ」が、こんなに大きなトラブルにつながるかもしれないと思うと…。
やっぱり、こまめなチェックと掃除は大切だなって思います。
マンション掃除で注意すべき点
ベランダの掃除をしよう!と思った時、特にマンションやアパートにお住まいの方には、一戸建てとは違う「注意点」がいくつかあるんです。これはトラブルを避けるために、絶対に知っておいてほしいポイントですね。
まず大前提として、マンションのベランダは「共用部分」にあたることがほとんどです。自分のお部屋の続きみたいに感じますけど、実は「みんなで使っている場所」なんですね。
だからこそ、まずはご自身のマンションの「管理規約」を必ず確認してみてください。「ベランダの使用細則」みたいな項目があると思います。そこに、掃除の方法や使っていいもの、ダメなものが書かれているはずです。
(参考:国土交通省「マンション標準管理規約」)
なぜ「洗剤」の使用が禁止なの?
規約の中でも特にチェックしてほしいのが、「洗剤の使用」についてです。多くのマンションでは、ベランダで洗剤を流すことが禁止されているんです。
「え、なんで?」って思いますよね。
私もこの仕事で知った時は驚いたんですが、ちゃんとした理由があるんです。
キッチンやお風呂の排水(汚水)と違って、ベランダの排水(雨水)は、そのまま「雨水桝(うすいマス)」という場所に流れていくことが多いんですね。もしそこで洗剤を使ってしまうと、泡が雨水桝で目詰まりを起こして、建物全体の排水がうまく流れなくなったり、最悪の場合は溢れてしまったりする可能性があるからなんです。
だからこそ、水だけで汚れを落としたり、除菌したりできる「家電」、つまり高圧洗浄機やスチームクリーナーが、マンションのベランダ掃除でとっても重宝されるわけですね。
マンション掃除 3つの鉄則
1. 管理規約を確認する: まずは「洗剤NG」「騒音NG」などのルールがないかチェックしましょう。
2. 水を大量に流さない: 階下への水漏れを防ぐため、これが一番大切です。高圧洗浄機を使う時も、排水口の詰まりが無いか確認してからにしてくださいね。
3. 騒音に配慮する: 高圧洗浄機や掃除機は、機種によっては音が響きます。早朝や夜間の使用は避けて、日中の時間帯に行うのがマナーだと思います。
これらのルールを守らないと、ご近所トラブルの原因になってしまいます。
せっかくキレイにしようと思っているのに、トラブルになったら悲しいですよね。お互いに気持ちよく暮らすためにも、ルールとマナーはしっかり守りたいですね。
道具準備はブラシや重曹など
さて、注意点がわかったところで、次はいよいよお掃除の準備です。まずは手軽に始められる、基本的なお掃除道具を揃えてみましょう。
「何から揃えたらいいか分からない…」という方も大丈夫です。ほとんどのものは、100円ショップやホームセンターで手軽に揃えられますよ。
最低限、これだけあると便利かな、と思うものをリストアップしてみますね。
- ほうき&ちりとり: これは必須ですね。ポイントは、排水溝の幅に合う「スリムなもの」を選ぶこと。アズマ工業の「プチチリトーレベランダ用」みたいに、最初から溝掃除用に設計されているものは、幅がピッタリで使いやすいとお客様にも人気です。
- ゴミ袋: 集めたゴミをまとめるのに使います。
- ゴム手袋: 汚れや菌から手を守るために、必ず着けてくださいね。
- 使い古しの歯ブラシ: 排水口のフタ(目皿)や、溝の細かい隙間を磨くのに大活躍します。
- デッキブラシ: 溝全体や床の黒ずみをゴシゴシこする時に。これも、あまり大きすぎないものが使いやすいと思います。
- 重曹とクエン酸: 先ほどお話ししたように、マンションでは洗剤が使えないことが多いですよね。そんな時、この2つがあれば、環境に優しく汚れを落とすことができるんです。
- メラミンスポンジ: こびりついた頑固な黒ずみには、これも有効ですね。
道具選びのちょっとしたコツ
ちりとりは、溝に溜まったヘドロやゴミをかき出す「スコップ」の役割も果たします。アズマ工業の「コンポ溝チリトーレ」のように、先端がしっかりした硬いプラスチック製のものが使いやすいですよ。
またブラシ類も、アズマ工業の「外壁・玄関ブラシスポンジ」みたいに、W繊維で水だけでコケや黒ずみをかき出せるタイプもあって、洗剤を使えないベランダ掃除にはピッタリだと思います。
まずはこの基本セットがあれば、ひと通りの掃除はできるはずです。
いきなり全部揃えなくても、お家にあるもので代用しながら、少しずつ揃えていくのもいいと思いますよ。
基本手順は落ち葉と泥の除去
道具が揃ったら、いよいよお掃除スタートです!
ここで大切なのは「掃除の順番」です。これを間違えると、かえって汚れを広げてしまったり、排水管を詰まらせてしまったりするんです。
鉄則は「乾いたゴミ」から「湿ったゴミ」へです。
いきなり水を流したり、湿ったヘドロから手をつけたりしたくなる気持ちも分かるんですが、まずは乾いている落ち葉や土ボコリを取り除くのが、効率よく掃除する最大のコツですね。
手順1:排水口のフタとゴミ受けのゴミ除去
まずは一番詰まりやすい、排水口(水が流れていく穴)のフタ(目皿)を開けましょう。
その中にあるゴミ受け(ストレーナー)に、落ち葉や髪の毛、どこからか飛んできたビニール片などが溜まっているはずです。ゴム手袋をして、これを手でしっかり取り除きます。
手順2:排水溝(溝)の乾いたゴミ除去
次に、排水口につながる溝(排水溝)全体を見渡します。
そこに溜まっている乾いた土砂やホコリ、落ち葉を、ほうきとちりとりで集めて取り除きます。この時、まだ水は使いませんよ!
【豆知識】ホコリを立てずに集める裏ワザ
乾いたホコリや泥をほうきで掃くと、モワ~っと舞い上がってしまって、お隣さんの洗濯物についちゃったり…なんて心配もありますよね。
そんな時は、濡らした新聞紙をちぎって溝に撒いてから、それをほうきで転がすように掃くと、ホコリが新聞紙にくっついてくれて、舞い散るのを防げるんです。昔ながらの知恵ですけど、これは本当に使えますよ。
手順3:部品の洗浄
乾いた大きなゴミがなくなったら、最初に取り外した排水口のフタやゴミ受けを、使い古しの歯ブラシやスポンジでこすり洗いします。
ここも汚れがこびりつきやすいポイントです。
手順4:仕上げ(こすり洗いと水流し)
最後に、溝や排水口周りにこびり付いた細かい泥汚れや黒ずみを、歯ブラシやデッキブラシでこすります。ここで初めて、水を少量流しながら洗い流します。
※マンションの場合は、階下への水漏れに注意して、本当に少しずつ流してくださいね!
バケツで少しずつ流すのが一番安全だと思います。
この「乾いたゴミから取る」という手順を守るだけで、掃除の効率がぐんとアップしますし、排水管の奥で泥が固まってしまうのも防げますよ。
黒ずみと鳥のフンを落とすコツ

基本的な掃除の手順は分かったけど、「こびり付いた黒ずみ」や「鳥のフン」はどうしたらいいの?という声も聞こえてきそうですね。
特に洗剤が使えないとなるとなおさらです。
大丈夫ですよ。
ここは「重曹」と「クエン酸」が活躍してくれます。
泥や黒ずみ(洗剤を使えない場合)
まずは、乾いた泥をほうきでできる限り取り除いておきます。
そのあと、溝全体に重曹(粉のまま)をふりかけます。ケチらずに、ちょっと多めに撒くのがコツですね。
次に、クエン酸水(水500mlにクエン酸小さじ1程度を溶かしたもの)を、スプレーボトルに入れて、重曹の上からシュシュっと吹きかけます。
そうすると…シュワシュワ~っと化学反応で発泡してくるんです!
この泡が、こびり付いた泥や黒ずみを浮かび上がらせてくれるんですね。見た目にも「お掃除してる!」って感じがして、ちょっと楽しい瞬間です。
泡が収まってきたら、デッキブラシや歯ブラシでこすります。汚れが浮いているので、軽い力で落ちやすくなっているはずですよ。
頑固な汚れは、メラミンスポンジでこするのも効果的です。
鳥のフン(要注意!)
ベランダで悩まされる汚れのもう一つの強敵が、鳥のフンですよね。
これは見た目が汚いだけでなく健康上のリスクもあるので、見つけたら早めに、そして安全に処理することが大切です。
【重要】鳥のフンの処理には細心の注意を!
鳥のフンには、カビや様々な病原菌が含まれている可能性があります。絶対に素手で触ったり、乾いたフンを吸い込んだりしないでください。
- 必ずマスクとゴム手袋を着用してください。
- 乾いている場合は、いきなりこすらず、まず周辺を濡らして湿らせ、ホコリが飛ばないようにしてから拭き取ります。
- 拭き取った雑巾やペーパータオルは、すぐにビニール袋に入れて密閉して捨ててください。
フンを放置すると、ベランダの床材を劣化させたり腐食させたりする原因にもなります。フンが多い場合やご自身での処理が不安な場合は、無理をせず、専門の清掃業者に相談することも検討してくださいね。
フンを取り除いた後は、除菌が気になりますよね。
洗剤が使えなくても、この後ご紹介する「スチームクリーナー」があれば、熱の力でしっかり除菌できるので、とってもおすすめですよ。
パイプユニッシュは使える?
排水溝の掃除と聞くと、「パイプユニッシュ」のような液体パイプクリーナーを思い浮かべる方も多いんじゃないでしょうか。お店でも「ベランダの排水溝にも使えますか?」とご質問いただくことが時々あります。
ですが結論から言いますと、ベランダの排水溝に市販の液体パイプクリーナーを使うのは、おすすめできません!
これには、ちゃんとした理由が2つあるんです。
理由1:詰まりの原因が違うから
まず、パイプユニッシュのような製品は、主に「髪の毛」や「油汚れ」、「石鹸カス」といった有機物を溶かすために設計されています。
でも、ベランダの排水溝が詰まる主な原因は何だったでしょうか?
そう、「土」や「砂」、「落ち葉」、「ビニールゴミ」といった無機物ですよね。これらの詰まりは、残念ながら薬剤では溶かすことができないんです。
効果が期待できないばかりか、強力な洗剤を流すことで先ほどお話しした「雨水桝」に影響を与えてしまう可能性もゼロではありません。
理由2:規約違反や環境への影響
そもそも、多くのマンションでは「洗剤の使用」自体が禁止されていることが多い、というお話をしましたよね。
強力なパイプクリーナーは、もちろんこれに該当してしまいます。
「じゃあ、奥で詰まったらどうするの?」と不安になるかもしれませんが、その場合は、薬剤に頼るのではなく、市販されている「ワイヤー式のパイプクリーナー」(オマヒットの製品などが有名ですね)を使って、物理的に詰まりをかき出すのが基本的な対策になります。
ただ、ワイヤーブラシも使い方が難しかったり、かえって管を傷つけてしまったりする可能性もあります。
もしご自身で試してみて水の流れが改善しない場合は、無理をせず「くらしのマーケット」のような専門の業者さんに、速やかに相談するのが一番安全で確実だと思いますよ。
家電を活用!ベランダ排水溝掃除のやり方

さて、ここまでは手動での基本的なお掃除方法を見てきました。でも、正直なところ…こびり付いた泥や広範囲の黒ずみ、溝の奥のヘドロを、ブラシだけで全部キレイにするのは、かなりの重労働ですよね。
私も家電量販店で働いているからこそ、声を大にして言いたいんですが…
「ベランダ掃除こそ、家電のチカラを借りてほしいんです!」
特にマンションのように「洗剤はNG」「大量の水もNG」という制約が多い場所こそ、家電が真価を発揮する場面だと思います。
ここではベランダ掃除を劇的にラクにしてくれる「三種の神器」とも言える家電たちをご紹介しますね!
高圧洗浄機で泥やコケを一掃
ベランダ掃除の家電といえば、やっぱり「高圧洗浄機」をイメージする方が一番多いんじゃないでしょうか。テレビの通販番組でも、真っ黒なタイルがみるみるキレイになる映像、よく見かけますよね。
あの映像の通り、水の勢いで頑固にこびり付いた泥汚れや、コンクリートのコケを一掃するパワーは本当に圧巻です。手動のデッキブラシでは何時間もかかる作業が、数十分で終わってしまうこともあります。
ただ、高圧洗浄機をベランダで使いたい、というお客様から必ず聞かれるお悩み(問題点)が2つあるんです。
問題①:ベランダに水道の蛇口がない
これが一番多いお悩みですね。高圧洗浄機は基本的に水道に接続して使うものが多いので、蛇口がないと使えない…と諦めている方も多いんです。
【解決策】 → 「タンク式」モデルを選びましょう!
そんな方のためにあるのが、「タンク式」の高圧洗浄機です。本体に水を入れるタンクが内蔵されているので、水道の蛇口がない場所でも使えるんです。アイリスオーヤマの「SBT-512N」などは、タンク式で静音性も考えられているので、マンションの方には特に人気がありますね。
問題②:作動音が大きくて、近所迷惑にならないか心配
これも深刻な問題です。従来の高圧洗浄機は、確かに「ゴォー!」という大きな作動音がするものが多かったんですね。
【解決策】 → 「静音(サイレント)モデル」を選びましょう!
最近は、この騒音問題に注目した「静音(サイレント)モデル」がたくさん出ています。特に有名なのは、ケルヒャーの「K2 サイレント」や「K3 サイレント プラス ベランダ」といったシリーズ。
従来品と比べると作動音を半分以下に抑えたモデルもあって、「思ったより全然静かだった」というお客様の声をよく聞きます。これなら日中であれば安心して使いやすいですよね。
手軽さ重視ならコードレスも
「高圧洗浄機は大きくて準備が大変そう…」という方には、もっと手軽なコードレスタイプもおすすめです。ケルヒャーの「マルチクリーナー OC 3」や、アイリスオーヤマの「充電式ハンディーウォッシャー JHW-201」などは、バケツから給水できるモデルもあります。高圧洗浄機ほどのパワーはありませんが、ピンポイントの泥汚れを落とすくらいなら十分活躍してくれますよ。
ただし、高圧洗浄機を使う上でも、マンションならではの「最大の注意点」があります。
【厳禁】噴射の向きに注意!
高圧洗浄機を使う時は、必ず「排水口(水の出口)」に向けて噴射してください。排水口とは逆の方向(下から上など)に向けて噴射すると、汚水やゴミがベランダ全体に飛び散って、壁や窓が逆に汚れてしまいます。
何より怖いのが、水が逆流して階下に漏れる原因になることです。必ず水の流れを意識して、一方向に汚れを集めていくように使ってくださいね。
スチームクリーナーでヘドロとカビ除菌
高圧洗浄機が「面」の汚れをパワフルに落とすのが得意なのに対して、こちらの「スチームクリーナー」は、「溝」や「隙間」の掃除、そして「除菌」を得意とする家電です。
約100℃の高温スチームを噴射することで、汚れを「浮かせて」柔らかくしてくれるんです。これが、排水溝の狭い溝に溜まった、ねっとりとしたヘドロ汚れにすごく効果的なんですね。
高圧洗浄機だと、狭い溝に噴射すると水が飛び散ってしまって大変ですが、スチームクリーナーなら、ピンポイントに高温スチームを当てて汚れをゆるめて、最後に雑巾やブラシでかき出す、という使い方ができます。
洗剤NGのマンションで「除菌」できるのが最大の魅力
私がスチームクリーナーをベランダ掃除に一番おすすめしたい理由は、なんといっても「除菌・消毒」ができることなんです。
先ほどお話しした「鳥のフン」の処理の後や、ジメジメした場所に生えてしまった「カビ」の除去。洗剤が使えないと衛生面がすごく心配になりますよね。
でも、スチームクリーナーがあれば、水だけで99.99%除菌(※)ができるんです。
(※ケルヒャーの製品ページなどでよくうたわれていますね。使用条件にもよりますが)
これは、小さなお子様やペットがいるご家庭にとっても、すごく嬉しいポイントじゃないでしょうか。
アタッチメントの活用がカギ
スチームクリーナーを排水溝で使う時は、アタッチメントの「スポットノズル」や「ポイントブラシ」を装着するのがおすすめです。蒸気を集中させて、溝の隅にしっかり当てることができます。
推奨モデルとしては、ハンディタイプが手軽で使いやすいですね。ケルヒャーの「SC 1 MINI」はアタッチメントが豊富ですし、アイリスオーヤマの「STMK-305R-W」なども、すきま用ブラシが付属していて、排水溝掃除にすぐ使えますよ。
高圧洗浄機で床をバーッとキレイにした後、スチームクリーナーで溝やフンの跡を仕上げる、というコンビ使いも最強だと思います。
砂とヘドロ吸引に乾湿両用掃除機

さて、高圧洗浄機、スチームクリーナーとご紹介してきましたが、最後に「真打ち」とも言える家電をご紹介させてください。
それが「乾湿両用掃除機(バキューム&ブロワー)」です。
「え、掃除機?」
「お店のDIYコーナーにあるやつ?」
と思った方もいるかもしれません。
そうなんです、これこそが、マンションのベランダ掃除における「階下漏水リスク」をゼロに近づける、最強の「縁の下の力持ち」だと私は思っています。
思い出してみてください。
高圧洗浄機は泥水を飛散させるリスクがありました。
スチームクリーナーは汚れを「浮かせる」だけで、「除去」はできません。
ベランダ掃除の最大の問題は、詰まりの原因となる「大量のゴミ(落ち葉、砂、ヘドロ)」そのものですよね。
乾湿両用掃除機は、これを「吸って」解決してくれるんです。
私が「エキスパート・ワークフロー」と勝手に呼んでいる、安全で確実な手順をご紹介しますね。
安全・確実! B-V-W ワークフロー
- Blower(ブロワー): まず、乾湿両用掃除機の「ブロワー機能」(送風)を使います。ベランダの隅や溝に溜まった乾いた落ち葉、砂、ホコリを、排水口付近の「一箇所」にブーッと吹き集めます。ほうきで掃くより早くて確実です。
- Wet Vac(ウェット・バキューム): 次に、機能を「吸引」に切り替えます。
(a) まず、吹き集めた乾いたゴミの山をそのまま吸い取ります。
(b) そして、ここが本領発揮!排水口に溜まっている、あの湿ったヘドロや泥水も、液体ごと「ズゾゾッ」と強力に吸引してしまいます。 - Wash(洗浄): これで、詰まりの原因となる「固形物」と「ヘドロ」は完全に除去されました。泥水が飛び散る心配もありません。
この一番安全な状態になってから、初めて高圧洗浄機やスチームクリーナーを使い、床や溝にこびり付いた「シミ汚れ」を洗浄・除菌するんです。
どうでしょうか?
この手順なら、泥水が飛び散らず、階下への漏水リスクをほぼゼロにできますし、排水管の詰まりも防げます。これこそ集合住宅における究極のソリューションだと私は本気で思っています。
お店では、E-Valueの「EVC-200SCL」のように、ブロワー機能付きで錆びにくいステンレスタンク、なのに価格も手頃、というコストパフォーマンスに優れたモデルが人気ですね。
他にもマキタや京セラ(旧リョービ)からも、プロユースの本格的なものからコードレスタイプまで、様々なモデルが出ています。
「掃除機でヘドロを吸うなんて…」と抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、一度この快適さを知ると、もうブラシでちまちま掃除するのが大変に思えてしまうほど、強力な味方になってくれますよ。
台風対策と詰まり予防ネットとカバー
さて、家電の力も借りてベランダをピカピカにしたら、次にしてほしいのが「予防」です。
せっかくキレイにしたんですから、その状態をできるだけ長くキープしたいですよね。
掃除の手間を減らすには、「汚さない」「ゴミを溜めない」仕組みづくりが一番大切なんです。
特に、詰まりの最大の原因である「落ち葉」や「飛んできたゴミ」が、排水管の内部に入ってしまうのを物理的に防ぐことが重要です。
排水溝ネット・カバーの設置
一番手軽で効果的なのが、排水口や排水溝に専用のネットやカバーを設置することです。
- 排水溝(溝)全体を覆うタイプ: 「落ち葉よけネット」のような商品名で売られていますね。溝全体を覆うことで、落ち葉が溝に溜まるのを防げます。
- 排水口(穴)を覆うタイプ: 「排水溝ガード」や「ストレーナーキャップ」と呼ばれる、ドーム状やキャップ状のカバーです。
- 100均(ダイソーなど)の製品: 「ゴミガード」や「排水溝カバー」といった名前で、安価で便利な商品がたくさん出ています。
ご自宅の排水溝の形状に合うものを選ぶのが大切ですね。
サイズを測ってから買いに行くのがいいと思います。
こまめな掃き掃除と台風前の点検
そして、予防策の基本は、やっぱり「こまめな掃き掃除」です。
月に1回でもいいので、ほうきでサッと掃いて、目立つゴミ(特に落ち葉)を取り除いておくだけで、詰まりのリスクは大幅に減らせます。
特に、台風や大雨のシーズン前は、必ず排水溝の点検をしてください。ゴミが溜まったままだと、一気に水が溢れて、あの大惨事(階下への水漏れ)につながりかねません。
「掃除」と「予防」はセットで考える。
これがベランダの平和を守る秘訣ですね!
ベランダ排水溝掃除のやり方まとめ
今回は、「ベランダ排水溝掃除のやり方」というテーマで、基本の手動掃除から、家電をフル活用した徹底掃除、そして大切な予防策まで、一通りお話ししてきました。
ついつい後回しにしがちな場所ですが、放置するリスク(詰まり、匂い、水漏れ)を考えると、やっぱり定期的なお手入れが欠かせない場所だということが、お分かりいただけたかと思います。
特にマンションにお住まいの方は、
- 管理規約(洗剤NGなど)の確認
- 階下への水漏れ防止(水を大量に流さない)
- 騒音への配慮
といった、特有の注意点がありましたね。
こうした制約が多いからこそ、私は家電のチカラを上手に借りることを強くおすすめしたいです。
あなたのベランダに合う「やり方」は?
「水道がなくて、音が心配…」
→ 「タンク式」で「静音モデル」の高圧洗浄機がおすすめです。
「鳥のフンやカビの除菌がしたい…」
→ 洗剤いらずで除菌できるスチームクリーナーがぴったりです。
「とにかく安全に!階下漏水のリスクをゼロにしたい…」
→ 乾湿両用掃除機のB-V-Wワークフロー(ブロワー→吸引→洗浄)が最強の解決策だと思います。
もちろん、まずは手動の掃除から始めてみて、「ここが大変だな」と感じる部分を、家電でサポートしてあげる、という形でも全然いいと思うんです。
この記事が、ご自宅の状況に合った「ベランダ排水溝掃除のやり方」を見つける、そんなお手伝いができていたら私もすごく嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!


