お部屋の匂い、気になりますよね。
特にペットがいるご家庭やタバコを吸う方がいると、生活臭はなかなか消えない悩みの種ではないでしょうか。
そんな時「空気清浄機って部屋の匂いに本当に効くの？」と疑問に思う方も多いと思います。脱臭機という製品もあって、どちらを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
空気清浄機は、フィルターの性能や搭載されている機能によって、得意な匂いの種類も変わってくるんです。また、効果的な置き場所や使い方を知らないと、せっかくの性能を活かしきれないこともあります。
お手入れをしないと、逆に本体から嫌な匂いが発生してしまうなんてことも…。
この記事では、家電量販店で働く私が、空気清浄機が部屋の匂いにどう作用するのかという基本的な仕組みをお伝えします。
また脱臭機との違いや、ペットやタバコといった気になる匂いに合わせた最適な空気清浄機の選び方まで、詳しく解説していきます。
空気清浄機で部屋の匂いは消える？基本的な仕組み
まずは、空気清浄機がどうして匂いに効果があるのか、その基本的な部分から一緒に見ていきましょう。
脱臭機との違いや、どんな匂いを得意としているのかを知ることで、製品選びの失敗がぐっと減るはずですよ。
空気清浄機で部屋の匂いは本当に取れる？
「空気清浄機を置けば、部屋のあらゆる匂いが完全になくなる」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は得意な匂いとそうでないものがあるんです。
空気清浄機は、本体に吸い込んだ空気中のホコリや花粉、ウイルスなどをフィルターでろ過して、きれいな空気を排出する仕組みが基本です。
匂いに関しては、このフィルター、特に「脱臭フィルター」が重要な役割を果たします。
多くの脱臭フィルターには活性炭が使われていて、その表面にある無数の微細な孔（あな）に匂いの原因となる分子を吸着させて取り除くんですね。
ですから、焼き魚の匂いや料理中の油の匂い、汗の匂いといった生活の中で発生する多くの匂いには効果が期待できます。
ただし、注意点もあります。
例えば、建材や家具から発生し続ける化学物質の匂いや、排水溝から上がってくるような発生源が常にある匂いに対しては、空気清浄機だけでの完全な除去は難しい場合があります。
あくまで空気中に漂っている匂いの粒子をキャッチするもの、と考えると分かりやすいかもしれません。根本的な原因を取り除いた上で空気清浄機を使うのが、最も効果的な使い方だと思います。
脱臭機と空気清浄機の違い
お店でも「空気清浄機と脱臭機って何が違うの？」という質問は本当によくいただきます。名前が似ているので混同しがちですが、実は得意なことが全く違うんですよ。
それぞれの特徴を簡単に表にまとめてみました。
| 機能 | 空気清浄機 | 脱臭機 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 空中のホコリや花粉、ハウスダストの除去 | 強いにおいの分解・除去 |
| 匂いへのアプローチ | 活性炭フィルターなどで石い粒子を「吸着」 | 触媒やオゾンなどで石い成分を「分解」 |
| 集じん機能 | ◎（メイン機能） | △（簡易的なものが多い） |
| 得意なこと | 総合的な空気の清浄化 | ペット臭、トイレ臭、タバコ臭など特定の強いにおい |
| おすすめの場所 | リビング、寝室など人が長くいる空間 | トイレ、ペットのケージ周り、喫煙スペース |
このように、空気清浄機は「空気をきれいにすること」が一番の目的で、その機能の一つとして脱臭があります。
一方で、脱臭機は「匂いを消すこと」に特化した製品なんです。
どちらが良いかというのは、何を一番解決したいかによりますね。
お部屋全体の空気をきれいにしながら匂いもケアしたいなら空気清浄機、特定の場所の強烈な匂いをどうにかしたいなら脱臭機、というように使い分けるのがおすすめです。
タバコやペットなど得意な匂いの種類
空気清浄機がどんな匂いに強いのか、もう少し具体的に見ていきましょう。
タバコの匂い
タバコの煙には、目に見える粒子（ヤニ）と、目には見えないガス状の匂い成分が含まれています。
空気清浄機は、まず高性能な集じんフィルター（HEPAフィルターなど）で粒子状のヤニをしっかりキャッチします。そして、活性炭を使った脱臭フィルターでガス状の匂い成分を吸着する、という二段構えで対応するんです。
特に最近のモデルは、タバコ臭に特化したモードを搭載しているものも多く、高い効果が期待できますね。
ペットの匂い
ペットの匂いの主な原因は、体臭や排泄物、そして体から落ちるフケや毛に付着した菌です。
空気清浄機は、空気中に舞い上がったペットの毛やフケをパワフルに吸引し、集じんフィルターで捕らえます。これが、アレルギー対策にも繋がるんですね。
そして、体臭やアンモニア臭といった匂いの成分は、脱臭フィルターがしっかり吸着してくれます。ペットがいるご家庭向けのモデルは、特に脱臭性能が強化されていることが多いですよ。
その他の生活臭
料理の匂いや生ゴミの匂い、部屋干しの生乾き臭、汗の匂いなど、日常の様々な匂いにも空気清浄機は有効です。
これらの匂いも微細な粒子やガス成分なので、フィルターで捉えることができるんです。
プラズマクラスターなど消臭機能の種類
最近の空気清浄機は、フィルターで匂いを吸着するだけでなく、イオンなどを発生させて積極的に匂いを分解する機能が搭載されているのが主流です。
代表的なものをいくつかご紹介しますね。
シャープ「プラズマクラスター」
自然界にあるのと同じプラスとマイナスのイオンをプラズマ放電により作り出し放出。
空気中に浮遊している菌やウイルスの働きを抑えたり、付着した匂いの原因菌にアプローチして消臭したりする効果がうたわれています。
イオンがカーテンやソファなどに付着した匂いにも届くのが嬉しいポイントですね。
パナソニック「ナノイーX」
空気中の水分に高電圧をかけることで生成される微粒子イオンです。
一般的なイオンに比べて水分に包まれているため消えにくく、お部屋の隅々まで届きやすいのが特徴とされています。
様々な有害物質の抑制や、タバコ臭やペット臭などのしつこい匂いの脱臭効果が報告されています。
ダイキン「ストリーマ」
プラズマ放電の一種で、有害物質を酸化分解する力が強いとされています。
本体内部に照射することで、フィルターに捕らえた菌やウイルス、匂い成分を分解・除去し、フィルター自体の清潔を保つ効果が期待できます。
内部をクリーンに保つことで、きれいな空気を放出し続けられるという考え方ですね。
これらの機能は、各メーカーが独自に開発している技術で、それぞれに特徴があります。フィルター性能と合わせて、こうした付加機能にも注目してみると、より自分に合った一台が見つかると思います。
窓を開けたら空気清浄機は意味ない？
「換気のために窓を開けている間、空気清浄機を付けておくのは意味がないんじゃない？」これもよく聞かれる質問の一つです。
結論から言うと、全く意味がないわけではありませんが、効率は少し落ちてしまいます。
空気清浄機は、基本的にお部屋の空気を循環させてきれいにすることを目的として設計されています。窓を開けると、外から新しい空気がどんどん入ってくるので、空気清浄機が作り出したきれいな空気の流れが乱れてしまうんですね。
特に匂い対策という点では、窓を開けて換気すれば空気と一緒にある程度の匂いは外に出ていきます。そのため、空気清浄機がフルパワーで頑張る必要性は低くなるかもしれません。
ただ、窓を開けていると、外から花粉やホコリ、排気ガスといった新たな汚染物質が入ってきてしまいます。そういったものを素早くキャッチするという意味では、空気清浄機を運転させておく価値は十分にあります。
おすすめの使い方としては、まず窓を開けてしっかりお部屋の空気を入れ替えて、大まかな匂いを外に出してしまいます。
その後に窓を閉めてから空気清浄機を運転させると、残った匂いや外から入ってきた花粉などを効率的に除去できるので、一番効果的じゃないでしょうか。
部屋の匂い対策に強い空気清浄機の選び方
基本がわかったところで、次はいよいよ実践編です。
たくさんある空気清浄機の中から、お部屋の匂い対策にぴったりの一台を選ぶための具体的なポイントを詳しく解説していきますね。
消臭力が最強なのは？
空気清浄機の心臓部とも言えるのがフィルターです。特に匂い対策を重視するなら、このフィルター性能のチェックは欠かせません。
匂い除去の鍵を握るのは、主に「脱臭フィルター」です。多くのメーカーで採用されているのが「活性炭フィルター」ですね。
活性炭には、目に見えない無数の小さな穴が開いていて、そこに匂いの原因となる分子を吸着させることで脱臭します。この活性炭の量や質、形状によって脱臭能力は大きく変わってくるんです。
例えば、表面積が広いシート状のものや、たくさんの活性炭を粒状にして詰め込んだものなど、メーカーによって工夫が凝らされています。一般的には、活性炭の量が多いほど、たくさんの匂いを吸着できると考えて良いと思います。
また、脱臭フィルターだけでなく「集じんフィルター」の性能も間接的に匂いに関わってきます。タバコの煙やペットのフケなど、匂いの元となる粒子をしっかりキャッチできなければ、根本的な解決にはなりません。
集じんフィルターでは「HEPA（ヘパ）フィルター」という規格が有名で、「0.3μmの粒子を99.97%以上捕集する」という非常に高い性能を持っています。
ですので、消臭力を最優先で選ぶなら、「大容量の活性炭フィルター」と「高性能な集じんフィルター（HEPAフィルターなど）」の両方を搭載したモデルを選ぶのが正解と言えるでしょう。
ペットの匂いに特化したおすすめモデル
ペットと暮らしていると、どうしても気になるのが動物特有の匂いや抜け毛、フケですよね。そんなご家庭には、やはりペットに特化した機能を持つ空気清浄機がおすすめです。
現在販売されているモデルでおすすめしたいのが、富士通ゼネラルの脱臭機「PLAZION（プラズィオン） DAS-303R」です。
こちらは空気清浄機というより脱臭機に分類されますが、ペット臭対策としては非常に評価が高い製品です。
独自の「トリプル脱臭」機能で、アンモニアを含むペット臭をしっかり分解。さらに集じん機能も搭載しているので、舞い散るペットの毛や花粉もしっかりキャッチしてくれます。
フィルター交換が不要なのも経済的で嬉しいポイントですね。
もし、集じん機能をより重視するなら、シャープの「KI-SX100」のようなペット専用モードを搭載した空気清浄機も良い選択です。
ペットがいるご家庭向けに、集じん能力を高め、匂いや毛を効果的に捕らえる気流を作り出す工夫がされています。プラズマクラスターNEXT搭載で、付着した匂いにもアプローチしてくれます。
お客様からも「ペットの独特な匂いが気にならなくなった」「抜け毛の掃除が楽になった」という声をよく聞くのは、やはりこういった特化型のモデルですね。
タバコの臭いに強い卓上空気清浄機
お部屋全体というよりは、自分のデスク周りや書斎など、パーソナルな空間でのタバコ臭を何とかしたい、というニーズも多いです。そんな方にはパワフルな卓上空気清浄機がぴったりです。
卓上モデルでタバコ臭対策として人気が高いのが、ブルーエアの「Blue 3210」です。
コンパクトながら、パワフルなファンで空気を吸引し、0.1μmまでの有害物質を99.97%除去するという独自の「HEPASilent®テクノロジー」を搭載しています。
粒子フィルターとカーボンフィルターの一体型で、タバコの煙に含まれる粒子と匂いの両方にしっかり対応してくれるんです。デザインがおしゃれなのも人気の理由ですね。
もう一つ、ユニークな製品として象印マホービンの「PU-AA50」もおすすめです。
「空気清浄機」という名前ですが、タバコの煙と匂いに特化して開発されたモデルで、その脱臭力には定評があります。
四角いフォルムで、ファンで吸い込んだ煙を大きなフィルターでしっかりキャッチする、という非常にシンプルな構造ですが、だからこそ効果が高いと評判です。
卓上モデルを選ぶ際は、適用床面積だけでなく、「CADR（クリーンエア供給率）」という指標をチェックするのも良い方法です。これが高いほど、空気をきれいにするスピードが速いことを示しています。
お手入れをしないと本体が臭くなる原因に
せっかくお部屋の匂いを取るために購入した空気清浄機が、なんだか酸っぱいような、カビ臭いような嫌な匂いの発生源になってしまった…というご相談も意外と多いんです。
その一番の原因は、フィルターの汚れです。
空気清浄機は、毎日お部屋の汚れた空気を吸い込み続けています。集じんフィルターにはホコリやカビ菌、脱臭フィルターには様々な匂いの成分がどんどん蓄積されていくんですね。
特に、加湿機能付きのモデルは注意が必要です。
加湿フィルターやトレーに水アカや雑菌が繁殖しやすく、それが嫌な匂いの原因になることがあります。定期的なお手入れを怠ってしまうと、フィルターに溜まった汚れや菌が湿気と結びついて、本体から悪臭を放つようになってしまうんです。
これでは本末転倒ですよね。空気清浄機を快適に使い続けるためには、メーカーが推奨する頻度でのお手入れが絶対に必要なんです。
少し面倒に感じるかもしれませんが、きれいな空気を保つためにはとても大切なことだと思います。
脱臭フィルターが臭い時の対処法
もし、空気清浄機本体から嫌な匂いがしてきたら、まずは脱臭フィルターの状態を確認してみてください。
多くの脱臭フィルターの主成分である活性炭は、匂いを吸着し続けると、やがてその能力がいっぱいになってしまいます。
これを「飽和状態」と呼びますが、こうなると新しい匂いを吸着できなくなるだけでなく、溜め込んだ匂いを再放出してしまうことがあるんです。これが本体から匂いがする原因の一つです。
対処法としては、まずはお手入れが基本になります。
| フィルターの掃除 | 天日干し |
|---|---|
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1
掃除機で優しく吸い取り
多くの脱臭フィルターは水洗い不可なので、表面についたホコリを掃除機で優しく吸い取ります。強くこするとフィルターが傷むので注意してくださいね。
強くこするとフィルターが傷む可能性があります
|
2
風通しの良い日陰で干す
メーカーによっては、風通しの良い日陰で干すことを推奨している場合があります。これにより、フィルターに溜まった湿気を飛ばし、匂いを軽減できることがあります。
直射日光はフィルターを劣化させる可能性があるので、必ず取扱説明書を確認してください
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色々試しても匂いが取れない場合は、残念ながらフィルターの寿命だと考えられます。
活性炭フィルターは消耗品なので、メーカーが推奨する交換時期（例えば10年に1回などと書かれていても、使用状況によってはもっと早まります）を目安に、新しいものと交換するのが一番確実な解決策です。
フィルターを新しくするだけで、新品の時のような脱臭効果が蘇りますよ。
総括：空気清浄機で快適な部屋の匂いを
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。
