空気清浄機と加湿器、どちらもお部屋の空気を快適にしてくれる家電ですが、その違いをはっきりと説明するのは意外と難しいかもしれませんね。
「うちにはどっちが必要なんだろう?」とか「一体型と別々で買うならどっちがいいの?」なんて、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
実は、空気清浄機と加湿器は役割が全く違うので、その違いを知ることがお部屋の環境を快適にするための第一歩なんです。
この記事では、空気清浄機と加湿器の基本的な違いから、それぞれのメリット・デメリット、そして効果的な併用の方法や置き場所のコツまで、分かりやすく解説していきますね。
空気清浄機と加湿器の基本的な違い

空気清浄機と加湿器、なんとなく名前は似ていますが役割は全く異なります。
それぞれの基本的な機能を知ることで、ご家庭にどちらが必要か、あるいは両方必要なのかが見えてくると思います。
ここでは、それぞれの違いを分かりやすく解説していきますね。
空気清浄機の主な役割と機能
空気清浄機の一番の役割は、お部屋の空気をキレイにすることですね。
具体的には、本体に吸い込んだ空気の中にあるホコリや花粉、ペットの毛、ウイルスやニオイの元などをフィルターでキャッチして、ろ過されたキレイな空気を排出する仕組みになっています。
最近のモデルはフィルター性能がとても高くて、PM2.5のようなすごく小さな粒子まで捕まえることができる製品が主流です。
例えば、シャープの「プラズマクラスター」やパナソニックの「ナノイーX」のように、メーカー独自のイオン技術を搭載しているものも多いですね。
これらはフィルターで物理的にキャッチするだけでなく、イオンを放出することでお部屋の壁やカーテンについたニオイや菌にまでアプローチしてくれる嬉しい機能なんです。
家電量販店でお客様とお話ししていると、「花粉の季節だけ使うもの?」と聞かれることもありますが、実は一年中活躍してくれる家電なんですよ。
春は花粉、梅雨はカビ、秋冬はウイルス対策といったように、季節ごとの空気の悩みに対応できるのが空気清浄機の大きな魅力だと思います。
空気を潤す機能は持っていないので、その点は加湿器との大きな違いになります。
加湿器の主な役割と機能
一方、加湿器の役割はとてもシンプルで、お部屋の湿度を上げて空気を潤すことです。特に空気が乾燥する冬場には、お肌や喉の乾燥を防ぐために使われる方が多いですよね。
快適だと感じる湿度は、一般的に40%から60%くらいと言われています。
湿度が40%を下回ると、ウイルスが活発になりやすい環境になるとも言われていますし、お肌の乾燥も気になりますよね。
加湿器にはいくつか方式があって、それぞれに特徴があります。
加湿方式 | メリット | デメリット |
---|---|---|
スチーム式 | 加熱するため衛生的、加湿力が高い | 消費電力が大きい、吹き出し口熱くなる |
気化式 | 消費電力が少ない、熱くならない | 加湿スピードが遅め、フィルター手入れが必要 |
超音波式 | おしゃれなデザインが多い、静か | こまめな清掃が必要、水中の雑菌を放出する可能性 |
ハイブリッド式 | 気化式とヒーターを組み合わせ、効率的 | 本体価格が高め、構造が複雑 |
このように、方式によって電気代やお手入れの方法、安全性などが変わってくるんです。
例えば、小さなお子様がいるご家庭では、吹き出し口が熱くならない気化式やハイブリッド式が選ばれることが多いですね。
空気清浄機のように空気中の汚れを取る機能はないので、あくまでもお部屋の湿度をコントロールするための家電、と考えると分かりやすいと思います。
空気清浄機は加湿器の代わりになる?
これは本当によく聞かれる質問なんですが、結論から言うと、空気清浄機は加湿器の代わりにはなりません。先ほどもお伝えしたように、それぞれの役割が全く違うからなんです。
空気清浄機は、あくまでも空気中のホコリや花粉などを取り除いて「空気をキレイにする」のがお仕事です。一方、加湿器は水分を空気中に放出して「湿度を上げる」のがお仕事。
料理に例えるなら、野菜の泥を落とすのが空気清浄機で、お鍋に水を入れるのが加湿器、という感じでしょうか。どちらも美味しい料理を作るためには大切ですが、役割は全く違いますよね。
ですから、「お部屋が乾燥しているから空気清浄機を動かそう」というのは、残念ながら効果がないんです。
逆も同じで、「空気が汚れている気がするから加湿器をつけよう」としても、空気はキレイになりません。
もし、お部屋の乾燥と空気の汚れの両方が気になる場合は、それぞれ別の家電として用意するか、後に紹介する「加湿機能付き空気清浄機」を検討するのが良いと思います。
加湿器と空気清浄機はどっちを選ぶべき?
「じゃあ、うちはどっちを選べばいいの?」と悩んでしまいますよね。
これは、ご自身が今一番何に困っているかで決めると失敗が少ないと思います。
例えば、こんなお悩みはありませんか?
- 花粉の季節がつらい
- ペットのニオイや毛が気になる
- ハウスダストのアレルギーがある
- タバコを吸う家族がいる
もし、これらに当てはまるなら、まずは空気清浄機を優先するのがおすすめです。
お部屋の空気をキレイにすることで、悩みが少し楽になるかもしれません。
一方で、こんなお悩みはいかがでしょう。
- 冬になると喉がイガイガする
- 朝起きると肌がカサカサしている
- 暖房をつけると空気が乾燥してつらい
- 風邪をひきやすい気がする
こちらに当てはまる方は、加湿器を優先して検討してみてください。
お部屋の湿度を適切に保つことで、乾燥による不快感を和らげることができると思います。
もちろん、両方のお悩みがある方もいらっしゃいますよね。
その場合は、空気清浄機と加湿器の「併用」や「一体型モデル」の導入を考えるのがベストな選択肢になります。
空気清浄機と加湿器を両方使うとどうなる
空気清浄機と加湿器を両方使う、いわゆる「併用」は、お部屋の空気をトータルで快適にするためにとても効果的な方法なんです。実際に、多くのお客様がこの使い方をされていますね。
空気清浄機で空気中の花粉やハウスダストを取り除きながら、加湿器で適切な湿度を保つ。この二つを組み合わせることで、まさに「キレイで潤いのある空気」の空間を作ることができるんです。
特に、冬場は暖房で空気が乾燥しがちですよね。乾燥した空気は、ホコリやウイルスが舞いやすくなる原因にもなります。
そこで加湿器を使って湿度を上げることで、浮遊していたホコリなどが水分を含んで重くなり、床に落ちやすくなるんです。
そして、床に落ちる前に空気清浄機がそれらを吸い込んでくれれば、さらに効率的にお部屋をキレイに保てますよね。
このように、二つの家電は役割が違うからこそ、お互いの働きを邪魔することなく、むしろ相乗効果を生み出してくれるんです。
花粉症で悩んでいるけれど、冬は乾燥も気になる…という方には、まさに理想的な組み合わせと言えるのではないでしょうか。
ただし、併用する際には少しだけ置き場所にコツがいるので、その点は後ほど詳しく解説しますね。
加湿器と空気清浄機の違いを知って上手に併用

それぞれの違いが分かったところで、次は一歩進んだ使い方について見ていきましょう。
特に一体型モデルのメリット・デメリットや、併用するときの置き場所のコツは、購入してから後悔しないためにも知っておくと便利な情報だと思います。
一体型加湿機能付き空気清浄機という選択
空気清浄と加湿が1台でできる一体型モデルは、省スペースで済むのでとても魅力的ですよね。 ただ、選ぶ際には「お手入れ」という点を少しだけ考えてみるのが大切になります。
加湿機能を使うということは、当然ですが給水タンクや加湿フィルターといった水回りの部品が増えるということです。このお手入れをもし怠ってしまうと、タンクやフィルターで雑菌やカビが繁殖して、それがお部屋に広がってしまう…なんてことにもなりかねません。
せっかく空気をキレイにするための家電なのに、それでは本末転倒ですよね。
ただ、これは「一体型はダメ」ということでは全くないんです。メーカー側もその点はよく理解していて、最近のモデルは本当にお手入れがしやすくなるような工夫がたくさんされています。
例えばフィルターを自動で掃除してくれたり、給水タンクが洗いやすい形になっていたり。きちんと定期的にお手入れができる方にとっては、1台で二役こなしてくれる、とても便利で賢い選択肢だと思います。
ご自身のライフスタイルを考えて、無理なくお手入れを続けられるかどうかで判断するのが、後悔しない選び方のコツですよ。
効果的な併用と最適な置き場所
空気清浄機と加湿器を別々に使う場合、その効果を最大限に引き出すためには置き場所がとても大切になります。
置き方の基本
まず、基本的な考え方として、二つの家電は少し離して置くのがおすすめです。
なぜなら、加湿器から出たミスト(水分)を空気清浄機が吸い込んでしまうと、空気清浄機のセンサーが「汚れ」だと誤って認識して、必要以上に強く稼働してしまうことがあるからなんです。
また、フィルターが湿ってしまうと、カビの発生原因になる可能性も考えられます。
効果的な設置場所
空気清浄機は、お部屋の空気が循環しやすい場所に置くのが基本です。
エアコンの対角線上や、お部屋の中央付近などが理想的ですね。エアコンの風の流れに乗せて、キレイな空気を効率よくお部屋全体に行き渡らせることができます。
玄関や窓の近くに置くと、外から入ってくる花粉やホコリを効果的にキャッチできますよ。
加湿器は、お部屋の中央付近や、エアコンの吸い込み口の近くに置くのがおすすめです。エアコンの風に乗せて、潤った空気を部屋中に届けることができます。
ただし、窓の近くは避けた方がいいですね。
窓際は外気で冷やされやすく、結露の原因になってしまうからです。
壁や家具、家電製品のすぐ近くも、湿気で傷めてしまう可能性があるので少し離して設置してください。床に直接置くよりも、少し高さのあるテーブルなどの上に置くと、効率よく加湿できますよ。
一体型と別々タイプのメリットデメリット
加湿機能付き空気清浄機(一体型)と、それぞれを単体で使う(別々タイプ)、どちらが良いか悩むところですよね。
それぞれのメリットとデメリットをまとめてみましたので、選ぶ際の参考にしてみてください。
タイプ | メリット | デメリット |
---|---|---|
一体型 (加湿空気清浄機) |
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|
別々タイプ (空気清浄機+加湿器) |
|
|
- 省スペース:1台分のスペースで済むので、お部屋がすっきりします。
- コストパフォーマンス:別々に購入するより、トータルで安くなることが多いです。
- 湿度連携:お部屋の湿度を監視しながら、加湿と空気清浄を自動で最適に運転してくれるモデルが多いです。
- お手入れの手間:加湿フィルターや給水タンクなど、空気清浄機能のみのモデルより掃除する部品が増えます。
- 加湿能力:加湿器単体のパワフルなモデルと比較すると、加湿能力が控えめな場合があります。
- シーズンオフの収納:加湿機能を使わない夏場でも、そのまま置いておくことになるので少し大きく感じるかもしれません。
- 専門性の高さ:それぞれの機能に特化しているので、高い性能を期待できます。
- 柔軟な配置:お部屋の状況に合わせて、それぞれ最適な場所に置くことができます。
- 選択肢の多さ:デザインや機能など、それぞれの好みに合わせて自由に組み合わせられます。
- 設置スペース:2台分のスペースが必要になります。
- コスト:性能の良いものを2台揃えると、一体型より高くなる傾向があります。
- 手間の増加:コンセントが2つ必要になったり、それぞれ操作する必要があったりします。
どちらが良いかは、お部屋の広さやライフスタイルによります。
ワンルームなどスペースが限られているなら一体型、リビングなど広いお部屋でしっかり効果を得たいなら別々タイプ、という選び方も一つだと思います。
加湿空気清浄機の手入れが楽なモデル
先ほどもお伝えしたように、加湿機能付き空気清浄機で気になるのはお手入れですよね。私もお客様から「お手入れが簡単なモデルはどれ?」とよく聞かれます。
ここでは、お手入れのしやすさに定評がある最新モデルをいくつか紹介しますね。
シャープ KI-SX100
シャープのプラズマクラスターNEXT搭載モデルです。
このモデルの嬉しいポイントは、「フィルター自動掃除機能」が付いていることですね。運転時間が経過すると自動でプレフィルターのホコリを掃除してくれるので、面倒なフィルター掃除の手間がぐっと減ります。
また、加湿フィルターも抗菌・防カビ仕様で、10年間交換が不要とされているのも経済的で助かります。給水タンクもハンドル付きで持ち運びやすく、広口なので中までしっかり洗いやすい構造になっているんですよ。
ダイキン MCZ70W
ダイキンの「うるるとさらら」シリーズは、除湿機能もついた多機能モデルですが、お手入れのしやすさも考えられています。
特徴的なのは「ストリーマ技術」ですね。
加湿フィルターや水トレーにストリーマを照射することで、菌の繁殖を抑制する効果が期待できるとされています。お手入れの頻度自体を減らせるのは、忙しい方には嬉しいポイントではないでしょうか。
加湿フィルターも10シーズン交換不要なので、ランニングコストを抑えられます。
お手入れの手間は、使い続ける上でのモチベーションにも関わる大切な部分です。購入前には、どのくらいの手間なら許容できるか、一度考えてみると良いかもしれませんね。
リビングにおすすめの加湿空気清浄機
家族が集まるリビングは、広さもあるのでパワフルなモデルがおすすめです。また、人が集まる場所だからこそ、空気清浄能力や静音性も気になりますよね。
ここでは、リビングでの使用におすすめの最新モデルを紹介します。
パナソニック F-VXW90
パナソニックの「ナノイーX 48兆」を搭載したハイグレードモデルです。
このモデルのすごいところは、適用床面積が最大40畳ととてもパワフルな点ですね。広いリビングでも、お部屋の隅々まで素早く空気をキレイにしてくれます。
また、床上30cmに溜まりがちな花粉やハウスダストを強力に吸引する「3Dフロー花粉撃退気流」も搭載しているので、小さなお子様がいるご家庭にもおすすめです。
日立 EP-NVG110
日立は2023年に空気清浄機の製造を終了するアナウンスをしました。
なので最新機種とは言えないのですが、こちらの「クリエア」シリーズのフラッグシップモデルは、まだまだ現役で活躍できる実力を持っています。
適用床面積は最大48畳と、業界でもトップクラスのパワーを誇ります。
背面全体からワイドに吸い込む「ワイドスピード集じん」で、8畳の部屋ならわずか6分で清浄できるとされています。
フィルターも特徴的で、アレル物質やニオイに効果的な「アレルオフ微細じんHEPAフィルター」と「洗える脱臭フィルター」を搭載しています。脱臭フィルターは洗って繰り返し使えるので、経済的なのも嬉しいポイントですね。
広い空間を素早くキレイにしたい、というニーズにしっかり応えてくれる一台だと思います。
総括:空気清浄機と加湿器の違い
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。