空気清浄機を使い始めてから「なんだか部屋が乾燥する気がする」「朝起きると喉が痛い…」と感じたことはありませんか?
お部屋の空気をきれいにしてくれるはずの空気清浄機が原因で乾燥するなんて、少し意外に思いますよね。
特に冬場はただでさえ乾燥が気になる季節ですから、空気清浄機によってさらに湿度が下がるのは避けたい問題です。
実は、空気清浄機の仕組みや使い方によっては、お部屋の乾燥を助長してしまうケースがあるんです。
この記事では、空気清浄機で部屋が乾燥すると感じる原因から、具体的な対策、そして乾燥しにくい製品の選び方まで、家電量販店で働く私の視点から詳しく解説していきますね。
空気清浄機で部屋が乾燥する原因と対策

まず最初に、なぜ空気清浄機を使うと「乾燥する」と感じてしまうのか、その原因と具体的な対策について一緒に見ていきましょう。
これを読めば、きっと今お持ちの空気清浄機ともっと上手にお付き合いできるようになると思います。
空気清浄機で喉が痛いのはなぜ?
朝起きたときに喉がイガイガする、そんな経験はありませんか?
もし空気清浄機をつけたまま寝ているのであれば、それが原因かもしれません。
空気清浄機は、室内の空気を本体に吸い込んでフィルターで汚れを除去し、きれいな空気を排出するという仕組みです。
この一連の流れで風が発生するため、寝ている間にその風が体に直接当たり続けると、体感温度が下がり、肌や喉の水分が奪われやすくなることがあるんですね。
特に、就寝中は唾液の分泌量が減るため、喉が乾燥しやすくなっています。
そこに空気清浄機からの風が長時間当たることで、喉の粘膜が乾燥してしまい、痛みや不快感につながることが考えられます。
対策としては、まず空気清浄機の風が直接体に当たらない場所に設置することが大切です。
ベッドから少し離れた場所や、風向きを調整できるモデルであれば、人のいない方向へ風を送るように設定するのがおすすめです。
また、多くの空気清浄機には「おやすみモード」や「静音モード」が搭載されています。これらのモードは、風量を抑えて静かに運転してくれるので、就寝中の使用にぴったりですよ。
もしお使いの機種にそういったモードがない場合は、手動で風量を一番弱い設定にしておくことをおすすめします。
空気清浄機は除湿効果があるのか?
「空気清浄機を使うと乾燥する」というお話をしていると、「除湿機能も付いているの?」とお客様から聞かれることがよくあります。
結論から言うと、一般的な空気清浄機には除湿効果はほとんどありません。
空気清浄機はあくまで空気中のホコリや花粉、ウイルスなどをフィルターで取り除くのが主な役割です。一方、除湿機は空気中の水分を結露させてタンクに溜めるという仕組みで、空気清浄機とは構造が全く異なります。
ただし、「除湿機能付き空気清浄機」や「除加湿空気清浄機」といった製品も存在します。
これらは1台で空気清浄、除湿、加湿の3つの役割をこなせる便利なモデルですが、全ての空気清浄機がそうではありません。
ではなぜ、除湿機能がないのに乾燥すると感じるのでしょうか。
先ほどもお伝えしたように、主な原因は「風」にあります。
空気清浄機から出る風が室内の空気を循環させると、水分が蒸発しやすくなります。
例えば、洗濯物を部屋干ししたときに扇風機の風を当てると早く乾きますよね。
あれと同じ原理で、空気の動きが活発になることで、肌や喉の水分、そして室内の水分も蒸発しやすくなり、結果として「乾燥した」と感じてしまうわけです。
特に気密性の高いマンションなどでは、その影響を感じやすいかもしれませんね。
空気清浄機で乾燥させない対策
お部屋の空気をきれいに保ちつつ、乾燥を防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか。
いくつか簡単な対策がありますので、ぜひ試してみてください。
加湿器との併用
一番シンプルで効果的なのが、加湿器を一緒に使うことです。空気清浄機で空気をきれいにしながら、加湿器で湿度を補うことで、快適な空気環境を保てます。
このとき、2台を置く位置がポイントになります。空気清浄機と加湿器は、なるべく離れた場所に設置するのがおすすめです。
近い場所に置いてしまうと、加湿器から出たばかりの水分を空気清浄機が吸い込んでしまい、センサーが誤作動を起こしたり、フィルターが湿ってカビの原因になったりすることがあるんです。
お部屋の対角線上に置くなどして、空気が効率よく循環するように工夫してみてください。
濡れタオルや洗濯物を干す
加湿器がない場合でも、手軽に湿度を上げる方法はあります。
例えば、濡らしたタオルを一枚干しておくだけでも、水分が蒸発してお部屋の湿度が上がります。
また、洗濯物の部屋干しも効果的ですね。
空気清浄機を運転させていれば、空気が循環して洗濯物も乾きやすくなるので、一石二鳥と言えるかもしれません。
ただし、生乾きのニオイを防ぐためにも、空気清浄機の風が直接当たるようにし、なるべく早く乾かすように心がけましょう。
定期的な換気
空気がこもりがちな冬場でも、定期的な換気は大切です。
窓を開けて外の新鮮な空気を取り込むことで、室内のよどんだ空気を入れ替え、湿度も調整できます。
一般的に、冬の屋外は空気が乾燥していると思われがちですが、暖房で温められた室内の空気よりも湿度が高い場合も多いんです。
1時間に5分から10分程度、2か所の窓を開けて空気の通り道を作ってあげると、効率的に換気ができますよ。
窓を開けたら空気清浄機は意味ない?
「換気のために窓を開けている間、空気清浄機は止めた方がいいの?」というのも、よくいただく質問の一つです。
窓を開けると外から花粉やホコリが入ってくるので、空気清浄機を動かしていても意味がないように感じますよね。
でも、実はそんなことはないんです。
むしろ、換気中も空気清浄機は運転させておくのがおすすめです。
なぜなら、窓を開けて換気をすると、空気の流れが生まれます。空気清浄機はその空気の流れに乗って、室内に入ってきた花粉やホコリを効率よくキャッチしてくれるからです。
特に花粉の季節などは、窓を開けている短時間でもたくさんの花粉が侵入してきます。換気が終わって窓を閉めた後も、空気清浄機をしばらく強めのモードで運転させておくと、室内に入り込んでしまった花粉を素早く除去できるので効果的ですよ。
もちろん、フィルターの汚れは通常より早まる可能性があるので、こまめなチェックは必要になります。しかし、お部屋の空気をクリーンに保つという点では、換気と空気清浄機の併用は非常に有効な組み合わせなんです。
効果的な空気清浄機の置き場所とは
空気清浄機の効果を最大限に引き出すためには、置き場所がとても重要です。どこに置くかによって、お部屋の空気をきれいにする効率が大きく変わってきます。
まず基本となるのは、エアコンの風が当たる場所や、部屋の空気の通り道に置くことです。
エアコンの風に乗せて、きれいな空気を部屋中に効率よく循環させることができます。エアコンの対面に置くと、風がぶつかり合って空気の循環が良くなるのでおすすめですね。
また、玄関や窓際も効果的な設置場所です。
外から花粉やホコリが侵入しやすい場所に置くことで、汚れが部屋の奥まで広がる前に入り口でブロックできます。
特に玄関は、人の出入りで舞い上がったホコリや花粉を効率よく除去できるので、リビングに持ち込む量を減らせますよ。
ワンルームのお部屋の場合は、部屋の中心付近に置くと、空気が全体に行き渡りやすくなります。
ただし、生活の邪魔にならない場所を選ぶことも大切ですね。
逆に、避けるべき場所もあります。
それは、壁にぴったりとくっつけたり、家具の隙間に置いたりすることです。
空気の吸込口や吹出口を塞いでしまうと、本来の性能を発揮できなくなってしまいます。壁や家具からは少なくとも30cmほど離して設置するようにしましょう。
また、加湿器やストーブの近くも、センサーの誤作動や本体の変形につながる可能性があるので避けてくださいね。
乾燥する悩みを解決する空気清浄機の選び方

ここからは、お部屋の乾燥を防ぎたい方に向けた、空気清浄機の選び方について解説していきます。
特に加湿機能付きのモデルに焦点を当てて、そのメリットや注意点を詳しくご紹介しますね。ご自身のライフスタイルに合った一台を見つけるお手伝いができれば嬉しいです。
加湿空気清浄機でも乾燥する理由
「乾燥対策のために、わざわざ加湿機能付きのモデルを選んだのに、なぜか部屋が乾燥する…」というお悩みも耳にします。せっかくの機能が生かせていないと、がっかりしてしまいますよね。
これには、いくつかの原因が考えられます。
一つ目は、お部屋の広さに対して加湿能力が足りていないケースです。
加湿空気清浄機には、空気清浄機能の「適用床面積」と、加湿機能の「適用床面積」がそれぞれ記載されています。この二つの数値は必ずしも同じではなく、一般的に加湿の適用床面積の方が小さいことが多いんです。
例えば、空気清浄は20畳まで対応していても、加湿は12畳まで、というような具合です。
広いリビングで使っているのに、加湿能力が寝室向けのものだった、ということが原因かもしれません。
二つ目は、給水タンクの水が空になっている、または加湿フィルターが汚れているケースです。
加湿機能は、当然ながらタンクに水がなければ作動しません。意外と見落としがちなポイントなので、まずはタンクを確認してみてください。
また、加湿フィルターに水アカやカルキが白く固まって付着していると、水をうまく吸い上げられず、加湿量が低下してしまいます。定期的にお手入れをすることが大切ですね。
三つ目は、設定の問題です。
多くの機種では「自動モード」で運転していると、センサーが検知した湿度に応じて自動で加湿のオン・オフを切り替えます。しかし、その設定湿度が低いままだと、十分な湿度になる前に加湿が止まってしまいます。
ご自身の快適だと感じる湿度に設定を見直してみるのも一つの手です。
一体型の加湿空気清浄機のデメリット
加湿器と空気清浄機が一つになった一体型モデルは、省スペースで便利な反面、いくつか注意しておきたい点もあります。購入してから後悔しないように、デメリットもしっかり理解しておきましょう。
一体型:フィルター + 給水タンク + 加湿フィルター + トレー
一番のデメリットは、やはりお手入れの手間が増えることです。
空気清浄機単体のモデルであれば、フィルターの掃除がメインになります。しかし、一体型の場合はそれに加えて、給水タンクや加湿フィルター、トレーといった加湿関連のパーツもお手入れしなくてはなりません。
これを怠ると、水アカやカビが発生し、嫌なニオイの原因になったり、雑菌を部屋中にまき散らしてしまったりする可能性があるんです。特に加湿フィルターは消耗品であることが多く、定期的な交換も必要になります。
また、設置場所に少し気を使う点も挙げられます。
先述のように、テレビやオーディオなどの家電製品の近くに置くと、加湿による湿気で故障の原因になることがあります。壁際に置きすぎても、結露やカビの発生につながる恐れがあるため、ある程度のスペースを確保する必要があるでしょう。
そして、加湿機能を使わない時期の扱いです。
春から秋にかけて加湿機能が不要な時期も、タンクやフィルターに水が残ったままだと、雑菌が繁殖してしまいます。シーズンオフには、加湿関連のパーツをきれいにお手入れして、しっかり乾燥させてから保管することが大切です。
このお手入れが少し面倒に感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
加湿器と空気清浄機は別々に置くべき?
一体型のデメリットを聞くと、「やっぱり加湿器と空気清浄機は別々に買った方がいいのかな?」と迷いますよね。これは、何を優先するかによって答えが変わってきます。
一体型と単機能モデル、それぞれのメリットとデメリットを比較してみましょう。
このように、どちらにも良い点と気になる点があります。
お部屋の広さやレイアウト、お手入れにかけられる時間などを考慮して、ご自身のライフスタイルに合った方を選ぶのが一番ですね。
空気清浄機のフィルター掃除と注意点
空気清浄機の性能を維持し、きれいな空気を保つためには、定期的なフィルター掃除が欠かせません。
フィルターが汚れていると、集じん能力が落ちるだけでなく、ニオイの原因になったり、余計な電気代がかかったりすることもあるんです。
空気清浄機のフィルターは、主に3つの種類に分かれています。
プレフィルター
一番外側にある、大きなホコリやペットの毛などをキャッチするフィルターです。
ここは最も汚れが溜まりやすい部分なので、2週間から1ヶ月に1回程度、掃除機でホコリを吸い取るのがおすすめです。
汚れがひどい場合は、水洗いできるモデルも多いですが、洗った後はしっかり乾かしてから本体に戻してくださいね。
集じんフィルター
HEPAフィルターなどが使われている、花粉やハウスダストなどの細かい粒子を捕らえる心臓部です。
このフィルターは、多くのメーカーで水洗いが禁止されています。ティッシュなどで優しくホコリを払う程度にとどめ、汚れが取れなくなったり、ニオイが気になったりしたら交換が必要です。
交換の目安は、使い方にもよりますが、一般的には数年から10年とされています。
脱臭フィルター
生活臭やペットのニオイなどを吸着するフィルターです。
こちらも基本的には水洗い不可のものが多く、定期的にお手入れ表示が出たら掃除機でホコリを吸い取ります。効果が薄れてきたと感じたら、交換を検討しましょう。
お手入れの際に注意してほしいのが、必ず取扱説明書を確認することです。メーカーや機種によって、フィルターの種類やお手入れ方法、水洗いの可否が異なります。自己判断で洗ってしまうと、フィルターを傷めて性能が低下する原因になります。
また、加湿機能付きのモデルの場合は、先ほどもお伝えしたように加湿フィルターのお手入れも忘れないようにしてくださいね。こちらはクエン酸などを使ってつけ置き洗いするのが効果的ですよ。
総括:空気清浄機で乾燥する悩みを解決
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。