タバコの煙対策で空気清浄機の購入を考えているけれど「タバコに空気清浄機は意味ない」なんて話も耳にして、実際のところどうなんだろうと悩んでいませんか?
私も家電量販店で働いていると、お客様から「本当にタバコの臭い、取れるの?」と質問されることがよくあります。
確かに空気清浄機を置いたからといって、全ての悩みが一瞬で解決するわけではないかもしれません。ですが正しい知識でご家庭に合ったモデルを選べば、きっと心強い味方になってくれるはずです。
煙の粒子や気になる臭いをどうにかしたい、ヤニ汚れの広がりを少しでも抑えたい、そんな切実な思いを持つ方は多いのではないでしょうか。
フィルター交換不要という手軽そうなモデルや、最近増えている電子タバコへの効果も気になるところですよね。
この記事では、なぜ「意味ない」と言われてしまうことがあるのか、その理由から解説し、後悔しないための空気清浄機の選び方まで分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
タバコの空気清浄機は意味ない?その理由とは

「タバコのために高い空気清浄機を買ったのに、全然意味がなかった…」という声を時々耳にすることがあります。
なぜ、そのように感じてしまう方がいるのでしょうか。
ここでは、空気清浄機がタバコの煙や臭いに対してどのように働くのか、そして「効果がない」と感じてしまうポイントはどこにあるのかを、一つひとつ一緒に見ていきましょう。
空気清浄機はタバコの煙に効果ある?
「空気清浄機って、タバコの煙にも本当に効果があるの?」という疑問は、お客様からいただく質問の中でも特に多いものの一つですね。
結論から言うと、適切なフィルターを搭載した空気清浄機であれば、タバコの煙に含まれる粒子を捕集する効果は期待できます。
タバコの煙は、目に見える煙の粒子(タールなど)と、目には見えない気体成分(臭いの元など)で構成されています。
多くの空気清浄機に搭載されている「HEPAフィルター」のような高性能なフィルターは、非常に細かい粒子を捕まえるのが得意なんです。
煙の粒子はこれらのフィルターによって物理的にキャッチされるため、お部屋に漂う煙を減らすことができます。
ただし、ここで注意したいのが空気清浄機のパワー、つまり「適用床面積」と「風量」です。
例えば、喫煙するお部屋の広さに対してパワーが足りていない機種だと、煙が広がるスピードに清浄能力が追いつきません。
結果として、煙が壁やカーテンに付着してしまい「なんだ、全然効果ないじゃない」と感じてしまう原因になるんですね。
タバコの煙対策で選ぶなら、お部屋の広さよりもワンランク上の適用床面積を持つモデルを選ぶのがおすすめですよ。
タバコの有害物質は除去できる?
タバコの煙には、多くの有害物質が含まれていると言われています。空気清浄機でこれらを除去できるのか、とても気になるところですよね。
これについては「一部の物質は除去が期待できるけれど、全てではない」というのが答えになります。
先ほどお話ししたように、煙に含まれる粒子状の物質、例えばタール(ヤニ)などは、HEPAフィルターで捕集することが可能です。
問題は、一酸化炭素やホルムアルデヒドといった「ガス状」の有害物質です。これらは粒子ではないため、HEPAフィルターをすり抜けてしまいます。
そこで重要になるのが「脱臭フィルター」や「活性炭フィルター」の存在です。
活性炭には、目に見えない無数の小さな穴が開いていて、そこに臭いの元となるガス状の物質を吸着させる性質があります。
この働きによって、タバコ特有の臭いや、一部のガス状有害物質を低減させる効果が期待できるというわけです。
ただ、公式サイトなどでも言及されていますが、一酸化炭素のような特定の有害物質は、家庭用の空気清浄機では除去できないとされています。
空気清浄機はあくまでお部屋の空気を快適に保つための補助的な役割と捉え、必ず定期的な換気とセットで考えることが大切だと思います。
ヤニ汚れや部屋の臭いはどう?
タバコを吸うお部屋で最も気になるのが、壁紙やカーテンに染み付く「ヤニ汚れ」と、なかなか取れない「臭い」ではないでしょうか。
まずヤニ汚れですが、これはタバコの煙に含まれるタールが原因です。
空気清浄機は、空気中に漂っているタール粒子をフィルターで捕集するため、新たに付着するヤニを減らす助けにはなります。つまり、ヤニ汚れの「予防」にはある程度貢献してくれるんですね。
しかし、一度壁紙などに付着してしまったヤニ汚れを分解したり、きれいにしたりする機能はありません。あくまで、これから付く汚れを軽減させるもの、と考えてください。
次に、お部屋に染み付いた臭いについてです。
これもヤニ汚れと同じで、すでに壁や家具に染み付いてしまった臭いを、空気清浄機だけで完全に取り除くのは非常に難しいです。
ただ、喫煙直後の煙に含まれる臭いの原因物質は、先ほどお話しした活性炭フィルターがしっかりと吸着してくれます。
臭いが定着する前に素早く空気をきれいにすることで、結果的に部屋に染み付く臭いを抑える効果が期待できるんです。
「空気清浄機を置いたのに臭いが取れない」と感じる場合、それはすでに部屋全体に臭いが染み付いてしまっているからかもしれません。
空気清浄機を効果的に使うには、喫煙と同時に稼働させ、臭いの元が広がる前にキャッチすることが重要になります。
フィルター交換不要の機種はおすすめか?
「フィルター交換不要」と聞くと、ランニングコストがかからず、お手入れも楽そうでとても魅力的に感じますよね。
実際に、家電量販店でもこのタイプの空気清浄機について質問されるお客様は多いです。
フィルター交換が不要なモデルの多くは、「電気集じん方式」を採用しています。これは、静電気の力を利用して空気中の汚れを金属の板に吸着させる仕組みです。
定期的にその金属の板を取り出して水洗いなどをする必要があり、フィルターの購入費用がかからないのが最大のメリットです。
では、タバコ対策としておすすめできるかと言うと、少し注意が必要かもしれません。
タバコの煙には、ベタベタとした油分であるタールが多く含まれています。電気集じん方式の板にこのタールが付着すると、水洗いだけではなかなかきれいに落としきれないことがあるんです。
お手入れを怠ったり、洗浄が不十分だったりすると、集じん性能が低下するだけでなく、機器内部から嫌な臭いが発生する原因にもなりかねません。
また、タバコの臭い成分(ガス状物質)を吸着するためには、やはり活性炭フィルターの力が不可欠です。フィルター交換不要のモデルは、この脱臭機能が弱いか、あるいは脱臭フィルターは別途交換が必要なケースもあります。
タバコ対策を一番に考えるのであれば、多少コストはかかっても、集じんフィルターと脱臭フィルターを定期的に交換するタイプのほうが、高い性能を維持しやすく、結果的に満足度は高いかもしれませんね。
電子タバコなら空気清浄機は不要?
最近は紙巻タバコから電子タバコに切り替える方も増えてきました。
「電子タバコは煙も少ないし、臭いも気にならないから空気清浄機はいらないかな?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんね。
確かに、電子タバコは燃焼させないため、紙巻タバコのようなタールや一酸化炭素は発生しないとされています。
煙のように見えるものも、実際はリキッドを加熱して発生させた「蒸気(エアロゾル)」です。臭いも紙巻タバコに比べると格段に少ないと感じる方が多いでしょう。
しかし、その蒸気の中には、細かい粒子や、香料などを含む化学物質が含まれています。これらの物質が壁や家具に付着して、汚れの原因になる可能性はゼロではありません。
また、製品によっては、ごく微量の有害物質が含まれているとの情報もあります。
目に見えにくく、臭いも少ないからこそ、気づかないうちにお部屋の空気を汚してしまっている可能性も考えられますね。
特に、ご家族など同居している方がいる場合は、念のため空気清浄機を使用しておくと、より安心できるのではないでしょうか。
電子タバコがメインの場合でも、空気中に漂う微粒子をキャッチできるHEPAフィルターを搭載した空気清浄機があれば、お部屋の空気をよりクリーンに保つ手助けになりますよ。
受動喫煙への効果も知りたい
ご家族、特にお子さんがいらっしゃるご家庭では、受動喫煙への影響が一番の心配事だと思います。空気清浄機が、この受動喫煙のリスクをどれだけ減らせるのか、これは非常に重要な問題ですね。
まず知っておいていただきたいのは、家庭用の空気清浄機だけで受動喫煙の健康への影響を完全になくすことはできない、ということです。
先ほどもお伝えしたように、タバコの煙に含まれる有害物質の中には、一酸化炭素のように空気清浄機では除去できないものも存在します。
ただ、だからといって空気清浄機が全くの無意味というわけではありません。
空気清浄機は、煙に含まれる粒子状の有害物質(タールなど)や、一部のガス状の有害物質を減らすことができます。空間に漂う煙の濃度を下げることで、吸い込んでしまう量を減らす助けにはなる、と考えられます。
受動喫煙対策で最も効果的なのは、やはり「煙を吸わない環境を作ること」です。
例えば、ベランダや換気扇の下で吸うといった対策が基本になります。
その上で、お部屋に戻ってきた際の衣服についた臭いや、わずかに室内に流れ込んでしまった煙をきれいにするために空気清浄機を活用するのが、望ましい使い方だと思います。
空気清浄機を過信せず、必ず換気と併用しながら、補助的な対策として上手に活用していくのが良いのではないでしょうか。
意味ないと言わせないタバコ用空気清浄機の選び方

さて、ここまでの話で空気清浄機がタバコに対してどのように働くか、少しイメージが掴めてきたでしょうか。
ここからは、実際に「買ってよかった」と思える一台を見つけるために、どんなポイントに注目して選べば良いのかを具体的にお話ししていきます。
選び方のコツさえ押さえれば、「意味ない」なんて言わせない、頼れる相棒がきっと見つかりますよ。
タバコに最強な空気清浄機の選び方
タバコ対策を目的として空気清浄機を選ぶ際には、通常の選び方とは少し違う、いくつかの重要なチェックポイントがあります。
一つは、煙の粒子やタールを捕集するための「HEPAフィルター」などの高性能な集じんフィルター。もう一つは、臭いの元やガス状の物質を吸着する「活性炭フィルター」です。
特に活性炭フィルターは、製品によって量や構造が大きく異なります。
空気清浄機の性能を示す指標の一つに「CADR(クリーンエア供給率)」というものがあります。これは、1分間あたりにどれだけきれいな空気を供給できるかを表す数値で、この値が大きいほど清浄能力が高いと言えます。
センサーの感度が低いと、タバコを吸い始めても強運転に切り替わらず、煙が部屋中に広がってしまいます。
フィルターの種類と性能
まず最も大切なのがフィルターです。
タバコ対策には2種類のフィルターが欠かせません。
一つは、煙の粒子やタールを捕集するための「HEPAフィルター」などの高性能な集じんフィルター。もう一つは、臭いの元やガス状の物質を吸着する「活性炭フィルター」です。
特に活性炭フィルターは、製品によって量や構造が大きく異なります。タバコの臭いをしっかり取りたいなら、この活性炭フィルターが大きく、厚みのあるモデルを選ぶのがおすすめです。
風量(CADR)の大きさ
次に重要なのが風量です。
お部屋に広がっていく煙を、壁や家具に付着する前に素早く吸い込むパワーが求められます。
空気清浄機の性能を示す指標の一つに「CADR(クリーンエア供給率)」というものがあります。これは、1分間あたりにどれだけきれいな空気を供給できるかを表す数値で、この値が大きいほど清浄能力が高いと言えます。
タバコ用として選ぶなら、設置する部屋の広さに対して、余裕のあるCADR値を持つモデルを選びましょう。
センサーの感度
意外と見落としがちなのがセンサーの感度です。
多くの空気清浄機には、ホコリや臭いを検知して自動で風量を調整する機能が付いています。
このセンサーの感度が鈍いと、タバコを吸い始めてもなかなか強運転に切り替わらず、煙が部屋中に広がってしまいます。
タバコの煙(粒子)と臭い、両方を検知できる高感度なセンサーを搭載したモデルが理想的ですね。
おすすめは卓上タイプの小型空気清浄機
お部屋全体の空気をきれいにする床置き型の大きな空気清浄機も良いですが、喫煙者のすぐそばで使える「卓上タイプの小型空気清浄機」も非常に人気があります。
卓上タイプの最大のメリットは、煙の発生源のすぐ近くに置けることです。タバコから立ち上る煙が部屋に広がる前に、ダイレクトに吸い込んでくれるため、効率的に煙を除去できます。
灰皿のすぐ横に置けるようなコンパクトなモデルなら、まさにピンポイントで対策ができますね。床置き型と比べて、本体価格や電気代が比較的安価なのも嬉しいポイントです。
もちろん、デメリットもあります。
小型であるため、ファンやフィルターも小さく、お部屋全体の空気を清浄する能力は床置き型に劣ります。あくまでパーソナルな空間の煙や臭いを集中的に対策するもの、という位置づけです。
フィルターが小さい分、タバコを多く吸う方の場合は交換頻度が高くなる可能性もあります。
「リビングなどの広い空間で家族と過ごすならパワフルな床置き型」
「書斎や自分の部屋でコンパクトに使いたいなら卓上型」
というように、使うシーンに合わせて選ぶのが良いでしょう。
あるいは、床置き型と卓上型を併用して、お部屋全体と発生源の両方で対策するというのも、非常に効果的な使い方だと思います。
家庭用と業務用の違い
「いっそのこと、もっとパワフルな業務用の空気清浄機を使えば良いのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんね。
確かに、業務用のモデルは非常に高い性能を持っていますが、家庭用とはいくつかの大きな違いがあります。
比較項目 | 家庭用空気清浄機 | 業務用空気清浄機 |
パワー(風量) | 比較的穏やか | 非常に強力 |
フィルター | コンパクトで交換が容易 | 大型で高耐久 |
本体サイズ | コンパクトでデザイン性が高い | 大きく、機能性重視 |
運転音 | 静音性を重視したモデルが多い | パワー優先で大きい傾向 |
価格 | 比較的手頃 | 高価 |
主な設置場所 | 一般家庭のリビング、寝室など | 喫煙室、オフィス、店舗など |
一番の違いは、やはりパワーと耐久性です。
業務用は、広い空間で、不特定多数の人がひっきりなしに吸うような過酷な状況を想定して作られています。
そのため、家庭用とは比べ物にならないほど強力なファンと、大きく分厚いフィルターを備えています。
しかしその分、本体サイズが大きくデザインも無骨なものがほとんどです。
またパワーがある分、運転音もかなり大きくなる傾向があります。リビングでテレビを見ながらくつろぐ、といった使い方にはあまり向かないかもしれません。
そして何より、本体価格もフィルターなどのランニングコストも家庭用に比べてかなり高額になります。
ご家庭で使うのであれば、基本的には家庭用に設計された空気清浄機の中から、タバコに強いパワフルなモデルを選ぶのが、性能、静音性、コストのバランスが取れていて最も現実的だと言えるでしょう。
煙を直接吸い取る吸引機という選択肢
空気清浄機と似ているようで少し役割が違う、「煙吸引機」や「吸煙灰皿」といった製品もあります。
これらは、お部屋全体の空気をきれいにするというよりは、タバコの煙そのものを発生源で直接吸い込むことに特化したアイテムです。
例えば、灰皿に小型のファンとフィルターが内蔵されていて、置いたタバコから立ち上る副流煙を吸い込んでくれる「吸煙灰皿」。
この最大のメリットは、煙が拡散する前にキャッチできる点です。
空気清浄機が部屋に広がった煙を時間をかけてきれいにするのに対し、吸引機はそもそも煙を広げないための対策と言えます。
副流煙を大幅にカットできるため、同居するご家族への配慮としても非常に有効ですね。
ただし、これらの吸引機だけでは、喫煙者が吐き出す「呼出煙」や、お部屋全体の臭い対策としては不十分です。フィルターも比較的小さなものが多く、部屋全体の空気を浄化する能力はありません。
理想的な使い方としては、まず煙吸引機で発生源の煙をダイレクトに処理し、それでも部屋に広がってしまった煙や臭いを、お部屋用の空気清浄機でカバーするという「二刀流」の対策です。
ここまで徹底すれば、かなり快適な環境を維持できるのではないでしょうか。
最強の卓上空気清浄機
「結局、卓上タイプで一番おすすめの機種ってどれ?」という声が聞こえてきそうですね。
様々なメーカーから特色のあるモデルが出ていますが、もし私が今、知人におすすめするなら、という視点で一台選んでみました。
(※ご紹介する製品は2025年9月時点の情報を元にしています)
ブルーエア Blue 3210
スウェーデンの空気清浄機専門メーカー、ブルーエアのエントリーモデルです。
コンパクトでデザインもおしゃれなので、テーブルや棚の上に置いてもインテリアの邪魔をしないのが嬉しいポイントですね。
このモデルのすごいところは、小さいながらも独自の「HEPASilent®テクノロジー」を搭載している点です。
これは、粒子をイオン化させてフィルターに吸着しやすくすることで、0.1μmまでの微粒子を99.97%除去するというもの。タバコの煙の粒子もしっかりとキャッチしてくれます。
フィルターは、集じん用の粒子フィルターと活性炭シートが一体になっています。
360度全方向から空気を吸い込む構造なので、置き場所を選ばず効率的に空気をきれいにできるのも特徴です。
お手入れも、約半年ごとのフィルター交換だけで済むのでとても手軽ですよ。運転音も静かなので、書斎での作業中や、寝室で使うのにもぴったりだと思います。
パワフルな空気清浄能力と、北欧ブランドならではの洗練されたデザインを両立した、まさにおすすめの一台です。
総括:タバコに空気清浄機は意味ないのか
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。