炊きたてのご飯を楽しみにフタを開けたら、なんだか嫌な臭いがする。
新品を買ったばかりなのにプラスチックのような臭いがしたり、炊き込みご飯やカレーを作った後に白米にまで臭いが移ってしまったり。
そんな経験、ありませんか?
実は炊飯器の臭いには、はっきりとした原因があるんです。そしてその原因に合わせた正しい対処法を知っていれば、家にあるもので簡単に匂い消しができるんですよ。
重曹やクエン酸を使った本格的なお手入れから、レモン汁やお酢といった身近な材料での代用方法、セスキ炭酸ソーダでの外側のケア、さらには塩を使った裏技まで。臭いのタイプ別に、最適な解決策をご紹介していきます。
新品特有のプラスチック臭や、炊き込みご飯を作った後の頑固な臭い残り、さらには日頃からできる予防策まで、家電量販店で働く私が日々お客様からいただくご相談をもとに、実践的な方法をお伝えしますね。
この記事では、炊飯器が臭う本当の原因から、状況別の具体的な匂い消しテクニック、そして二度と臭いに悩まされないための予防法まで、すべてを詳しく解説します。
毎日のご飯をもっと美味しく、もっと快適に楽しむために、ぜひ最後まで読んでみてください!
炊飯器の匂い消し!まずは原因を知ろう

- ご飯が臭う!その臭いの原因は?
- プラスチック臭い?新品の炊飯器
- 炊き込みご飯やカレーの後の臭い
- 酸っぱい臭いは食べて大丈夫?
- 長時間の保温も臭いの原因に
まずは「敵を知る」ことから始めましょう。
炊飯器がなぜ臭ってしまうのか、その原因を探っていきます。
ご飯が臭う!その臭いの原因は?
炊きたてのご飯がなんとなく「ぬか臭い」「カビ臭い」あるいは「雑巾のような臭い」がする場合、いくつかの原因が考えられます。
一番多いのは、炊飯器の「汚れ」と「雑菌」です。
炊飯器は、ご飯を炊くときに出る「おねば」や「でんぷん」、そして「水蒸気」で、実は非常に汚れやすい家電なんです。特に汚れが溜まりやすいのが、以下の場所ですね。
- 内蓋(うちぶた):おねばが直接付着しやすい部分です。
- パッキン:ゴム製で、臭いが染みつきやすいです。
- 蒸気口:水蒸気が通る道で、見えない部分に汚れが溜まります。
- 内釜のフチ(つゆ受け部):意外と見落としがちな場所です。
これらの汚れを放置してしまうと、そこをエサにして雑菌が繁殖してしまいます。炊飯器の中は高温多湿で、雑菌にとってはとても快適な環境なんですね…。
その雑菌が、嫌な臭いを発生させる大きな原因になるんです。
また、お米の研ぎ方が不十分で「ぬか」が残っている場合も、臭いの原因になります。特にお米は最初の水をもっとも吸収しやすいので、ぬかの臭いを吸い込んでしまうことがあるんですよ。
他にも、お米自体が酸化していたり、湿気でカビが生えていたりする場合もあります。その場合は、お米の保存場所(高温多湿や、臭いの強いものの近く)も見直してみると良いかもしれません。
プラスチック臭い?新品の炊飯器
「新しく炊飯器を買ったのに、ご飯がプラスチック臭い!」というのも、家電量販店で本当によくいただくご相談の一つです。
これは「初期臭」と呼ばれるもので、故障や不良品ではありませんので、まずはご安心くださいね。
主な原因は、製造過程で使われる部品(プラスチックやゴムのパッキンなど)の樹脂や、金属の臭いが残っているためです。炊飯時の熱によって、それらの臭いが出てきてしまうんですね。
通常は、使っていくうちに2〜3回程度で自然に臭いは消えていくことがほとんどです。
もし、どうしても早く臭いを取りたい場合は、内釜に水を7〜8分目まで入れて、炊飯ボタンを押してみてください。(※お米は入れません)
加熱されて蒸気が循環することで、臭いが取れやすくなりますよ。これは多くのメーカーさんが推奨している方法です。
それでも気になる場合は、後ほどご紹介する「クエン酸」を使ったお手入れを試してみるのも良いと思います。ただし、まずは取扱説明書に「使い始めの臭い」に関する記載がないか、確認してみてくださいね。
炊き込みご飯やカレーの後の臭い

炊き込みご飯やピラフ、最近では炊飯器でカレーや角煮などを作る方も増えましたよね。とても便利なのですが、問題は「調理後の臭い残り」です。
特に、油分やスパイス、調味料(醤油やだし)を使った料理は、臭いが強く残りやすい傾向があります。
これらの臭いの成分は、目に見えない細かい粒子として蒸気と一緒に炊飯器の隅々にまで行き渡ります。そして、温度が下がる時に、プラスチックやゴム製のパッキン部分に吸着してしまうんです。
臭いが残りやすい料理の例
- カレーやピラフ(スパイス類)
- 炊き込みご飯(醤油、みりん、油揚げなど)
- 魚を使った料理
- ニンニクやショウガを使った料理
一度染み付いてしまうと、普通に内釜を洗っただけではなかなか取れないのが厄介なところ…。次に白いご飯を炊いたときに、前の料理の臭いが移ってしまう原因になります。
炊き込みご飯などを作った後は、できるだけ早く内釜や内蓋を洗い、臭いが定着する前に対処することがとても大切になってきます。
酸っぱい臭いは食べて大丈夫?
炊飯器のフタを開けたとき、「ツン」とした酸っぱい臭いがしたら、それは危険信号です。酸っぱい臭いの原因は、ご飯が腐敗して雑菌が繁殖している可能性が非常に高いです。
特に夏場など気温が高い時期に、長時間保温したり、タイマー予約の時間が長すぎたりすると、雑菌が増殖してしまいます。もったいない気持ちはわかりますが、そのご飯を食べるのは絶対にやめてください。体調を崩してしまう危険があります。
臭いだけでなく、以下のような状態が見られたら、すぐに廃棄しましょう。
- ご飯がネバネバして、糸を引いている
- ご飯が黄色や緑色っぽく変色している
- カビ(白や黒の斑点)が見える
- 表面にぬめりがある
もし、このような状態になってしまったら、ご飯を捨てた後、炊飯器自体をしっかりお手入れする必要があります。そのまま次のご飯を炊くと、残った雑菌がまた繁殖してしまうかもしれませんからね。
長時間の保温も臭いの原因に
炊飯器の保温機能、とても便利ですよね。
でも保温時間が長すぎると、ご飯が臭くなる原因になってしまうんです。
長時間保温すると、主に2つの変化が起こります。
- ご飯の酸化と乾燥
ご飯は高温で保温され続けると、水分が少しずつ蒸発して乾燥していきます。同時に、お米に含まれる脂質が酸化して、古い油のような独特の臭い(保温臭)が発生しやすくなります。 - 雑菌の繁殖(メイラード反応)
保温中は、雑菌が繁殖しやすい温度(特に60℃前後)を保つことにもなります。時間が経つにつれて雑菌が増え、臭いの原因になります。また、ご飯の糖分とアミノ酸が反応する「メイラード反応」が進み、ご飯が黄色く変色し、焦げたような臭いが出てくることもあります。
私も家電量販店で働いているのでよく聞かれるのですが、保温時間の目安は、メーカーさんが推奨している時間を守るのが一番です。
大体5〜6時間、長くても12時間以内が美味しく食べられる目安、とご案内することが多いですね。(※機種の性能によって異なります)
炊きあがったご飯は、すぐにほぐして余分な蒸気を逃がすことが大切です。
そして、食べきれない分は保温し続けるのではなく、早めにラップに包んで冷凍保存する方が、次に食べるときも美味しくいただけますよ。これが一番の臭い予防になると思います。
状況別!炊飯器の匂い消し実践ガイド

- 重曹やクエン酸での掃除方法
- 手アカ汚れにセスキ水を使う
- レモン汁やお酢も効果的
- しつこい臭いに塩水煮沸
- メーカーのお手入れ機能も活用
- 臭いを防ぐための予防策
- 内釜を傷つけない清掃の注意点
お待たせしました。
ここからは、実際に炊飯器の嫌な臭いを消すための、具体的な掃除方法をご紹介していきますね。
臭いの種類によって使うアイテムが変わってくるのがポイントです。
重曹やクエン酸での掃除方法
炊飯器の匂い消しで大活躍するのが「重曹」と「クエン酸」です。
この2つは、臭いの性質に合わせて使い分けるのがコツなんですよ。
簡単に言うと、以下のようになります。
- 酸性の臭い(油分、焦げ付き、腐敗臭)には → アルカリ性の「重曹」
- アルカリ性の臭い(水アカ、野菜の臭い)には → 酸性の「クエン酸」
炊き込みご飯やカレーの後の油っぽい臭いや、酸っぱい腐敗臭には「重曹」が効果的です。
一方、新品の炊飯器の金属臭や、水道水のカルキ(水アカ)が気になる場合は「クエン酸」が向いています。
| アイテム | 得意な臭い・汚れ | 目安量(5.5合炊き) |
|---|---|---|
| 重曹(アルカリ性) | 油汚れ、焦げ付き、炊き込みご飯・カレーの臭い、酸っぱい腐敗臭 | 小さじ1杯 程度 |
| クエン酸(酸性) | 水アカ(カルキ汚れ)、新品の金属臭、野菜やキノコ類の臭い | 約20g(大さじ1〜2杯) |
【掃除の手順】
どちらを使う場合も、手順はほとんど同じです。
- 内釜に水(お湯だとより効果的)を7〜8分目まで入れます。
- 重曹またはクエン酸を、上記の目安量だけ入れてよく溶かします。
- 内釜を炊飯器にセットし、蓋を閉めます。
- 炊飯器の「お手入れ(クリーニング)」モードがあれば、それを実行します。
(もし無ければ「早炊き」モードでOKです) - 終了音が鳴ったらスイッチを切り、そのまま1〜2時間ほど放置して冷まします。
- 冷めたら内釜のお湯を捨て、内釜、内蓋、パッキンなど、取り外せる部品をすべて水洗いします。
- 最後に、乾いた布で水分をしっかり拭き取り、よく乾燥させたら完了です。
注意点
重曹やクエン酸の量が多すぎると、部品を傷めたり、センサーが誤作動したりする原因になる場合があります。量は必ず守ってくださいね。
また、内釜の素材(特に土鍋など)によっては、クエン酸が使えない場合もあります。必ず炊飯器の取扱説明書を確認してから行ってください。
手アカ汚れにセスキ水を使う
炊飯器の臭いは、中だけじゃありませんよね。意外と見落としがちなのが、炊飯器の外側、特にフタや操作パネルについた「手アカ」です。
手アカは酸性の汚れなので、ここでもアルカリ性のクリーナーが役立ちます。ただ、炊飯器本体に重曹水を使うのは少し扱いにくいので、私のおすすめは「セスキ炭酸ソーダ」です。
重曹よりもアルカリ性が少し強く、水にも溶けやすいので、拭き掃除にとても便利なんですよ。
【セスキ水の作り方と掃除方法】
- スプレーボトルに水500mlと、セスキ炭酸ソーダ小さじ1杯を入れ、よく振って溶かします。
- マイクロファイバークロスや、柔らかい布巾にセスキ水を吹きかけて湿らせます。
(※炊飯器本体に直接スプレーするのはNGです!故障の原因になります) - まずはフタや側面など、汚れが少ない部分から拭いていきます。
- 次に、操作パネルや持ち手など、よく触る部分の手アカを丁寧に拭き取ります。
- 最後に、水で濡らして固く絞った別の布巾で、洗剤残りがないように「水拭き」をして完了です。
これを3〜4日に1回やるだけでも、炊飯器の見た目がピカピカになって気持ちが良いですよ。
作るのが面倒な方は、このような商品もありますよ!
レモン汁やお酢も効果的
「今すぐ掃除したいのに、クエン酸が家にない!」という時もありますよね。
そんな時は、「レモン汁」や「お酢」で代用することができます。
レモンやお酢も「酸性」なので、クエン酸と同じように、水アカやアルカリ性の臭いに対して効果を発揮してくれます。
使い方はクエン酸とほぼ同じです。
- レモン汁の場合:大さじ1〜2杯、または輪切りのレモンを数枚
- お酢の場合:大さじ1〜2杯
これらを内釜の水(7〜8分目)に入れ、「お手入れ」モードか「早炊き」モードで炊飯します。
「お酢を使ったら、逆にお酢の臭いが残っちゃうんじゃない?」と心配されるかもしれませんが、大丈夫です。
炊飯後の水洗いをしっかりすれば、お酢の臭いは蒸気と一緒に飛んでくれるので、ほとんど残りませんよ。
クエン酸に比べると効果は少しマイルドかもしれませんが、手軽にできる方法として覚えておくと便利だと思います。
しつこい臭いに塩水煮沸
「重曹もクエン酸も試したけど、まだ臭いが取れない…」
特に、内蓋のパッキン部分に染み付いた頑固な臭いは、これまでの方法だけでは難しい場合があります。
そんな時の最終手段としてご紹介するのが、「塩水での煮沸」です。塩には殺菌・消臭作用があると言われており、煮沸することで部品の奥に入り込んだ臭い成分を追い出す効果が期待できます。
【塩水煮沸の手順】
- 内蓋や蒸気口のキャップなど、取り外せる部品だけを外します。
- それらの部品が入る大きさの鍋を用意します。
- 鍋に水1リットルあたり塩小さじ2杯(約10g)程度の割合で「約1%の塩水」を作ります。
- 鍋を火にかけ、沸騰したら部品を入れます。
- 10分〜15分程度、弱火で煮沸します。
- 火を止めて、そのまま冷めるまで放置します。
- 冷めたら部品を取り出し、水でよく洗い流し、完全に乾燥させます。
煮沸時の最重要注意点!
樹脂(プラスチック)製の部品は、高温の鍋肌に直接触れると変形したり溶けたりする危険があります。
必ずたっぷりのお湯で、部品が鍋肌に直接当たらないように注意しながら行ってください。少しでも不安な場合は、無理をせず、メーカーに部品の交換(買い替え)を相談する方が安全です。
メーカーのお手入れ機能も活用

最近の炊飯器は、とても賢くなっています。
多くの機種には、ボタンひとつで内部の臭いや汚れを軽減してくれる「お手入れ(クリーニング)」機能が標準で搭載されているんです。
これは、高温の蒸気を炊飯器の内部に循環させることで、パッキンや蒸気口などに付着した臭いや汚れを浮き上がらせて、洗い流しやすくするという機能です。
私もお客様には、「炊き込みご飯を作った後や、週に1回くらいは、このお手入れモードを使ってくださいね」とご案内しています。
使い方はメーカーによって異なりますが、基本的には内釜に「お手入れ」用の水位線まで水を入れ、ボタンを押すだけ、という簡単なものがほとんどです。
重曹やクエン酸を使う前に、まずはこのメーカー純正の機能を試してみるのが、炊飯器にとっても一番安全で確実な方法かもしれませんね。
ぜひ、ご自宅の炊飯器の取扱説明書を一度チェックしてみてください。
「こんな機能あったんだ!」という発見があるかもしれませんよ。
臭いを防ぐための予防策
ここまで匂い消しの方法をご紹介してきましたが、一番大切なのは、そもそも「臭いを発生させないこと」ですよね。
難しいことはありません。
日々のちょっとした心がけで、炊飯器の臭いはかなり防ぐことができますよ。
今日からできる!臭い予防の5カ条
- 使ったらすぐに洗う
これが一番重要です。ご飯が残っていなくても、内釜や内蓋、パッキンは毎回外して洗いましょう。汚れが固まる前に落とすのが鉄則です。 - 長時間保温しない
先述の通り、保温は臭いの大きな原因になります。食べきれないご飯は、早めに冷凍保存に切り替えましょう。 - しゃもじを入れっぱなしにしない
保温中にプラスチック製のしゃもじを入れておくと、しゃもじの臭いがご飯に移ったり、雑菌が繁殖しやすくなったりします。 - 炊きあがったら、すぐにほぐす
炊きたてのご飯をほぐすことで、余分な蒸気が抜けてベチャつきを防ぎ、臭いの発生も抑えられます。 - 内釜でお米を研がない
内釜で直接お米を研ぐと、内側のコーティングに細かい傷がつく原因になります。その傷に汚れが入り込み、臭いの元になるんです。お米は別のボウルで研ぐように心がけてみてください。
これらの習慣を続けるだけでも、炊飯器を清潔に保つことができ、嫌な臭いに悩まされることもグッと減ると思います。
内釜を傷つけない清掃の注意点
最後に、炊飯器のお手入れで最も注意してほしい「内釜」についてお話しします。
炊飯器の内釜には、ご飯がこびりつかないように、また、熱を効率よく伝えるために、特殊な「フッ素加工(コーティング)」が施されています。
このコーティングが剥がれてしまうと、そこからお米がこびりつきやすくなったり、加熱ムラができて炊きあがりに影響が出たり、さらには剥がれた部分に汚れが溜まって臭いの原因になったりします。
内釜掃除で絶対NGなこと
以下の道具は、コーティングを傷つけるため絶対に使用しないでください。
- 金属製のタワシ、硬いナイロンたわし
- メラミンスポンジ(激落ちくんなど)
- クレンザー(磨き粉)
- 食器洗い乾燥機(※メーカーが許可している場合を除く)
内釜で食器や調理器具(金属製のスプーンやお玉など)を洗う「つけ置き洗い」も、傷の原因になるのでやめましょう。
内釜を洗うときは、必ず柔らかいスポンジと、食器用の中性洗剤を使って、優しく洗ってあげてください。
万が一、ご飯がこびりついて取れない場合は、無理に擦らず、内釜にお湯を入れてふやかしてから、柔らかいスポンジで落としましょう。
大切な炊飯器を長く使うためにも、内釜は優しく扱ってあげてくださいね。
総括:炊飯器の匂い消しのテクニック
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。




