炊飯器の蓋が急に閉まらない、あるいは開かない……そんな経験はありませんか?
今まさにご飯を炊こうとしているのに蓋がカチッと閉まらなかったり、炊き上がったのに開けられなかったり。朝の忙しい時間や夕食の準備中だと、本当に焦りますよね。
実は、炊飯器の蓋が閉まらない原因や開かない原因の多くは、故障ではなく単純な見落としや部品の劣化であることがほとんど。
内蓋の取り付けミス、フック部分に挟まった異物、パッキンの劣化、圧力による安全ロック……これらを正しく理解して対処すれば、すぐに解決できるケースが大半なんです。
ただし、応急処置としてガムテープで固定したり重しを乗せたりする方法は、実は非常に危険。特に圧力IH炊飯器では絶対にNGです。
また、開かない蓋を無理にこじ開けようとすると、修理費用が何万円にもなってしまうことも……。
この記事では、炊飯器の蓋が閉まらない時と開かない時、それぞれの原因を詳しく解説し、家庭でできる安全な対処法から、部品交換が必要なケース、そして絶対にやってはいけないNG行動までを、家電のプロの視点から分かりやすくお伝えします。
買い替えを検討する前に、ぜひチェックしてみてください!
炊飯器の蓋が閉まらない原因と対処法

- 閉まらない原因
- 内蓋の取り付けは正しいか確認
- フック部分に異物が挟まっていないか
- 応急処置の方法
- ガムテープの使用について
- 内蓋やパッキンの交換は必要?
- 蓋の開けっ放しと保温温度の関係
まずは、炊飯器の蓋が「カチッ」と閉まらなくなってしまったケースです。「さあ、炊飯ボタンを押そう!」というタイミングで蓋が閉まらないと、ご飯が炊けなくて本当に焦りますよね。
でも慌てて「壊れた!」と判断する前に、いくつか確認してほしいポイントがあるんです。もしかしたら簡単な見落としかもしれませんよ。
閉まらない原因
炊飯器の蓋が急に閉まらなくなると、「ついに壊れたかも…」「買い替えかな…」と焦ってしまいますよね。でも、意外と単純な見落としが原因であることも多いんです。
私も家電量販店で働いていると、「蓋が閉まらなくて…」というご相談を時々お受けすることがあります。その際も、まずはお客様にいくつか確認していただくポイントがあるんですね。
主な原因は、大きく分けると「何かが挟まっている」か「部品が正しくセットされていない」かのどちらかであることがほとんどです。
- 本体と蓋のフック(爪)部分や、その受け側に乾いたご飯粒が挟まっている。
- 内蓋(ふた加熱板)が正しく取り付けられていない(浮いている、逆さま、前後が逆など)。
- 内蓋のゴムパッキンが劣化して浮いている、または外れかけている。
- 本体のフチや内釜の外側に米粒などが付着していて、内釜がしっかり収まっていない。
特に多いのが、ご飯をよそう時にこぼれたたった一粒のお米です。それがフックの受け側(本体側)に入り込んで乾燥し、カチカチになって蓋が閉まるのを邪魔してしまうんですね。
また、お手入れのために内蓋を外した後、「なんとなく」で取り付けてしまうのも、本当によくある原因の一つです。内蓋には上下や向きが決まっているものが多く、少しでも浮いていると蓋全体が閉まらなくなるように設計されているんです。
これは圧力がかかる機種などでは特に、安全のための大切な仕組みでもあるんですよ。
圧力IHタイプの場合、密閉度を高めるために蓋を閉めるのに少し力が必要な(重く感じる)モデルもありますが、それは「重い」だけであって「閉まらない」のとは違います。何度試してもカチッとロックがかかる感触がない場合は、まずこれらの基本的なポイントをチェックしてみてくださいね。
最近の高価な炊飯器ほど構造が複雑だったりするので、お手入れ後の取り付けは、毎回「これでOK!」と指差し確認するくらいのクセをつけると安心だと思います。
内蓋の取り付けは正しいか確認
先ほどの原因の中でも、一番最初に、そして最も入念に確認していただきたいのが「内蓋(ふた加熱板)」の取り付け状態です。
お手入れのために毎回外すパーツなので、それだけ「うっかりミス」が起こりやすい場所なんじゃないでしょうか。内蓋が正しくセットされていないと、多くの炊飯器では物理的に蓋が閉まらないように設計されています。
なぜかと言うと、内蓋が浮いたままだと炊飯中に正常に圧力がかからなかったり、蒸気が予期せぬ場所から漏れたりする可能性があるからなんです。美味しく炊けないだけでなく、場合によっては火傷などの危険も伴うため、安全装置として機能しているんですね。
では、どうやって確認すればいいでしょうか?
メーカーや機種によって内蓋の形状は本当に様々です。お手元の取扱説明書を確認するのが一番確実ですが、ここでは一般的なポイントをご紹介しますね。
- 上下や表裏は合っていますか?
単純ですが、意外と間違えやすいポイントです。「こちら側」といった印がついていることも多いので確認してみてください。 - ツメや溝はしっかりはまっていますか?
内蓋を本体の蓋に固定するためのツメや溝があります。「カチッ」と音がするまで押し込むタイプや、スライドさせてはめ込むタイプなどがあります。少しでも浮いている感じがしたら、面倒でも一度外して、もう一度最初からやり直してみてください。 - パッキンは正常ですか?
内蓋の周りについているゴムパッキンがめくれていたり、劣化して波打っていたりすると、それが邪魔をして閉まらないこともあります。パッキンについては、後ほどまた詳しく触れますね。
特に圧力IHタイプの炊飯器は、内蓋にも蒸気を調整するための複雑な調圧機構がついていることがあります。パーツが細かく分解できるものも多いですが、その分、元に戻すときに「あれ?この部品はどこだっけ?」と迷子になりがちです。
もしお手入れの際に分解したなら、すべてのパーツが揃っているか、正しい位置にはまっているか、もう一度じっくり確認してみましょう。
フック部分に異物が挟まっていないか
内蓋を正しくセットし直しても、やっぱりまだ閉まらない…。その場合に、次に疑ってほしい原因が「フック部分の異物」です。特に、カチカチに乾燥したご飯粒が最大の敵であることが多いんです。
炊飯器の蓋を閉める時、「カチッ」とロックがかかる部分がありますよね。蓋側に出っ張った「フック(爪)」があり、本体側にはそれを受け止める「溝(ラッチ受け)」があります。
ご飯をよそったり、お釜を出し入れしたりする時に、お米や小さなゴミがこの本体側の溝にポロっと落ちてしまうことがあるんです。炊飯直後は柔らかいお米も、時間が経つと釜の熱などで乾燥して、まるで石のように硬くなってしまいます。
この硬くなったご飯粒が物理的なストッパーの役割をしてしまい、フックが奥まで入らず、蓋がロックできなくなるんですね。
「あれ?閉まらないな」と思って、力任せに体重をかけてグッと押し込むのは絶対にやめてください。フックや受け側のプラスチック部品が破損してしまう可能性があります。
そうなると、もう部品交換の修理しか手がなくなり、思わぬ高額な費用がかかってしまうかもしれません…。
では、どうやってチェックすればいいでしょうか?
フック受けの掃除方法
まずは安全のため、必ず炊飯器の電源プラグをコンセントから抜いてください。本体が熱い場合は、十分に冷めていることも確認しましょう。
その上で、本体側のフック受けの溝を覗き込んでみてください。キッチンは意外と暗いので、スマートフォンのライトなどで照らしてみるとよく見えますよ。
もし、ご飯粒やゴミが見つかったら、爪楊枝や竹串のような細くて硬すぎないもので、優しくかき出してみてください。この時も、奥にあるバネなどの部品を傷つけないように、慎重にお願いしますね。
綿棒を少し濡らして拭き取るのも効果的ですが、水分が機械の内部に入らないように、固く絞ってから使うようにしましょう。
たった一粒のお米が原因で閉まらないことは、家電量販店で働いていても「あるある」な話なんです。「故障だ!」と修理に出す前に、ぜひ一度、このフック部分をチェックしてみてください。
応急処置の方法
内蓋も確認した、フック部分も掃除した。それでもどうしても閉まらない!
でも、「今すぐこのご飯を炊かないと家族の食事が…」という緊急事態もあるかもしれません。
まず大前提として、蓋が正常に閉まらない状態で炊飯するのは、メーカーも当然推奨しておらず、基本的には絶対にNGです。これははっきりとお伝えしておきます。
なぜなら、圧力がかからずにご飯が美味しく炊けない(芯が残るなど)だけでなく、蒸気が予期せぬところから激しく漏れ出して火傷の原因になったり、炊飯器の故障をさらに悪化させたりする危険があるからです。
それを十分にご理解いただいた上で、あくまで「一時的な緊急避難」として、どうしてもという場合の応急処置について触れておきます。
応急処置での炊飯はすべて自己責任で!
これから紹介する方法は、炊飯器の故障や事故、火傷などを一切保証するものではありません。
もし行う場合は、炊飯中は絶対に炊飯器のそばを離れず、何か異常(変な音、焦げる匂い、激しい蒸気漏れなど)があったら、すぐに「とりけし」ボタンを押して中断してください。
特にお子様やペットがいるご家庭では、細心の注意が必要です。
よくネットなどで見かける応急処置は、「蓋の上に重しを乗せる」という方法です。
重しを乗せる方法
これは、炊飯中に蒸気の力で蓋が持ち上がらないように、物理的に重さで押さえつける、という原始的な方法ですね。例えば、水を入れたヤカンや鍋、重い辞書などを乗せる、というものです。
しかし、これには大きな問題が2つあります。
- 蒸気口を塞いでしまう危険
炊飯器の蓋には、必ず蒸気が出る「蒸気口(スチームキャップ)」があります。重しがこの蒸気口を少しでも塞いでしまうと、蒸気の逃げ場がなくなり、内部の圧力が異常に高まってしまう可能性があります。これは非常に危険です。 - 重しが不安定で落下する危険
炊飯中の振動や、何かがぶつかった拍子に、乗せた重しが滑り落ちる危険もあります。熱い炊飯器の上に置いた重たいものが足の上に落ちてきたりしたら、大怪我につながりかねません。
正直なところ、家電のプロという立場からも、一人の主婦という立場からも、この方法は全くおすすめできません…。
もし万が一にもこの方法をとるのであれば、蒸気口を「絶対に」塞がないこと、そして安定した形状のものを選ぶことが最低条件になりますが、リスクが高すぎる、と私は思います。
次の項目で触れる「ガムテープ」もそうですが、応急処置で無理やり炊くよりも、その日はお鍋でご飯を炊くか、レトルトご飯などでしのぎ、安全を最優先してほしい、というのが私の本音です。
ガムテープの使用について

重しと並んでよく聞かれる応急処置が、「ガムテープで蓋を固定する」という方法です。ネットで検索すると、炊飯器をガムテープでぐるぐる巻きにしている、ちょっと痛々しい写真が出てきたりしますよね。
そのお気持ちはとても分かるのですが、これも重し以上にリスクの高い方法なので、基本的にはやめていただきたいです。
なぜなら、ガムテープは「熱」と「蒸気(湿気)」にとても弱いからです。
ガムテープ固定の様々な危険性
- 炊飯中に剥がれる可能性
炊飯器は、炊飯中に本体も蓋もかなりの高温になります。また、正常に閉まっていない隙間からは、高温の蒸気が漏れ出してきます。ガムテープの粘着剤は熱や湿気で簡単に溶けてしまい、炊飯の途中で「バイーン!」と音を立てて剥がれてしまう可能性が非常に高いんです。 - 火災のリスク
万が一、剥がれたガムテープが炊飯器の熱源部分や、近くにあるコンロの火などに触れたら…と考えると、火災のリスクもゼロではありません。布製のガムテープは特に燃えやすいです。 - 粘着剤が残って事態悪化
たとえ一時的に固定できたとしても、剥がした後にベタベタの粘着剤が炊飯器に残り、それを掃除するのがまた一苦労です。そのベタベタが新たなゴミを呼び寄せて、さらに故障の原因になることも…。
特に、圧力IHタイプの炊飯器でガムテープを使うのは絶対にNGです。
正常ではない状態で無理やり蓋を固定し、内部に高い圧力がかかったら、どうなるか分かりません。まさに取り返しのつかない事態になってしまうかもしれません。
ブログの体験談などで「ガムテープで炊けました!」という記事を見かけることもありますが、それは本当に「運が良かっただけ」の可能性が高いです。
先ほどもお伝えしたように、蓋が閉まらないのは何かしらの「異常」があるサインです。そのサインを無視して無理やり使うのは、炊飯器にとっても、使う私たちにとっても良いことは一つもありません。
「ガムテープを巻けばなんとかなるかも」と思う前に、まずは原因のチェックを徹底していただくか、それが無理なら安全に修理を検討していただくのが一番だと思います。
内蓋やパッキンの交換は必要?
ここまで「異物」や「取り付けミス」といった、いわば「うっかりミス」についてお話ししてきました。ですが、もう一つの大きな原因として「部品の劣化」も考えられます。
特に、内蓋についているゴム製のパッキンは、残念ながら消耗品です。毎日毎日、高温と高圧にさらされているわけですから、使っているうちにどうしても硬くなったり、変形したり、ひび割れたりしてくるんですね。
パッキンが劣化して波打ったり、一部が切れて浮いてしまったりすると、それが邪魔になって蓋の密閉性が下がり、正常に閉まらなくなることがあります。
また、蓋は閉まるけれど、パッキンが劣化して密閉性が下がると、炊飯中に蒸気が漏れてご飯がうまく炊けなくなったり、保温中のご飯がすぐにカチカチになったりする原因にもなります。
- パッキンが明らかに変色している(白っぽいものが黄色っぽくなっているなど)。
- 触ってみて、ゴムの弾力がなくカチカチに硬い感じがする。
- パッキンの一部が切れていたり、ひび割れていたりする。
- パッキンが波打っていて、内蓋の溝にきれいに密着していない。
- 最近、炊飯中によく蒸気が漏れる、または保温ご飯の乾燥が異常に早い。
これらのサインがいくつか見られたら、交換の時期かもしれません。
多くのメーカーでは、安全上の理由からか、内蓋のパッキン単体での販売はしておらず、「内蓋セット(ふた加熱板)」としてのアッセンブリ交換(まるごと交換)になることが多いです。
内蓋は、お使いの炊飯器の型番(本体の側面や裏に書いてあります)を正確に控えて、購入した家電量販店や、メーカーの公式オンラインストア(パーツショップ)から取り寄せることができます。価格は数千円から一万円近くと、機種によって結構幅がありますが、炊飯器本体を買い替えるよりは安く済みますよね。
「もう10年以上使ってるし…」という場合は、炊飯器自体の寿命も近いかもしれませんが、まだ数年しか使っていないのにパッキンの劣化が目立つ…という場合は、部品交換もぜひ検討してみてください。炊きあがりや保温状態が見違えるように改善することもありますよ。
蓋の開けっ放しと保温温度の関係
蓋が閉まらないトラブルとは少し話が逸れますが、「保温」に関連して、蓋の開け閉めについての大切なお話をさせてください。
炊飯器の保温機能は、ご飯が腐りにくいとされる約60℃~75℃という絶妙な温度でご飯をキープするように設計されています。
よく「保温したご飯がにおう」「黄ばむ」と言われますが、これは高温による「メイラード反応(黄ばみ)」と、比較的低温(65℃以下)で増殖しやすくなる「バチルス菌などの細菌(におい)」との戦いなんです。
メーカー各社は、この両方を抑えるために最適な温度コントロールを必死で頑張っているんですね。
そこで問題になるのが、「蓋の開けっ放し」や「頻繁な開け閉め」です。
保温中のNG行動!雑菌が喜びます!
- 蓋を開けっ放しにする
ご飯をよそう時などに蓋を開けっ放しにすると、釜の中の温度が一気に下がります。これにより、雑菌が最も繁殖しやすい温度帯(10℃~65℃)になってしまい、ご飯が腐敗する原因になります。 - 冷やご飯を継ぎ足す
保温中の釜に、一度外に出した冷やご飯を戻すのも絶対にNGです。全体の温度が下がるだけでなく、外の雑菌を持ち込むことにもなります。 - しゃもじを入れっぱなしにする
しゃもじを伝って雑菌が繁殖する可能性があります。面倒でも、しゃもじは使うたびに釜から取り出してくださいね。
蓋が閉まらないトラブルで、「もう炊飯は諦めて、せめて保温だけ…」と考える方はいらっしゃらないと思いますが、そもそも蓋が閉まらなければ保温機能もまともに働きません。
蓋が閉まらない炊飯器で保温(のつもりで放置)すると、釜の温度はどんどん下がり、あっという間に雑菌の温床になってしまいます。これは衛生的にも非常に危険です。
保温時間はどれくらいがベスト?
家電量販店でお客様とお話ししていても、「保温は何時間でも大丈夫?」と聞かれることがありますが、メーカーの推奨時間(IH式で24時間など)はあれど、美味しく食べられるのは長くても5~6時間程度が限界かな、と私は思います。
それ以上保温するくらいなら、炊き上がってすぐに(湯気ごと)ラップに包んで冷凍保存し、食べるときに電子レンジで温める方が、断然美味しく食べられますよ。これは電気代の節約にもつながる嬉しいポイントです。
蓋が閉まらない状態は、炊飯だけでなく保温もできない危険な状態、と覚えておいてくださいね。
炊飯器の蓋があかない原因と対処法

- 開かない原因
- 圧力のせい?
- 対処法と直し方
- 無理にこじ開けるのは絶対にNG
次は、さっきとは全く逆のパターン、「蓋があかない!」というトラブルです。
炊きたてのご飯のいい香りがしているのに、ボタンを押しても蓋があかないと、本当に悲しいですし、焦りますよね…。
これも、慌てて力ずくでこじ開けようとする前に確認すべきことがあります。まずは落ち着いて原因と対処法を見ていきましょう。
開かない原因
ボタンを押しても、うんともすんとも言わない…。炊飯器の蓋があかなくなる原因も、いくつか考えられます。
「閉まらない」時と共通するのですが、フック部分の異物が原因であることもあります。蓋を閉めた瞬間に、運悪くご飯粒がフックの隙間に挟まり込み、それが内部でガッチリとロックされて、ボタンを押してもフックが動けなくなってしまうケースですね。
そして、もう一つの非常に多い原因が、「圧力」です。
これについては、次章で解説しますね。
- 圧力のせい(正常な安全ロック)
圧力IHタイプの炊飯器で、炊飯直後やお手入れ機能の使用中など、内部に圧力がかかっている時。 - 圧力のせい(異常)
炊飯が終わって時間が経っているのに、うまく減圧できていない(調圧弁の詰まりなど)。 - フック部分の異物
「閉まらない」原因と同じく、ご飯粒などがフック内部で固着し、ロック機構が解除できなくなっている。 - 真空機能のせい(真空タイプの場合)
一部の機種(東芝など)では、保温中に内部を真空にして鮮度を保つ機能があり、そのせいで開きにくい(または手順が必要な)ことがあります。
「まだ5回しか使ってないのに!」というような比較的新しい炊飯器があかなくなった場合、初期不良の可能性もゼロではありませんが、ご飯粒の挟まりや、圧力タイプの機種の特性(仕様)であることが多いです。
特にお子さんがお手伝いで蓋を閉めた時などに、ご飯がフック部分に挟まったままロックされてしまう…なんていう話も時々耳にしますね。
ボタンを押した時の感触が「いつもより硬い」「カチッと奥まで押せない」という場合は、物理的に何かが引っかかっている(異物など)可能性が高いです。
逆に、ボタンはいつも通り押せるのに蓋が浮いてこない、という場合は、圧力や真空が関係しているかもしれません。次の項目で詳しく見ていきましょう。
圧力のせい?
もし、お使いの炊飯器が「圧力IH」や「圧力式」と書かれたタイプの場合、蓋があかないのは故障ではなく「正常な動作」であることが非常に多いんです。
圧力タイプの炊飯器は、炊飯中に内部の圧力を1気圧以上に高めて、100℃以上の高温で一気にご飯を炊き上げます。これが「もっちり」とした美味しい食感を生み出す秘訣なんですね。
当然ですが、内部に高い圧力がかかっている時に蓋がポンッとあいてしまったら、高温の蒸気や内容物が噴き出して大惨事になってしまいます。
そのため、圧力タイプの炊飯器には、「内部に圧力がかかっている間は、絶対に蓋があかないようにする」という安全ロック機能が必ず搭載されています。
圧力が原因であかない(正常な)ケース
- 炊飯中・お手入れ(クリーニング)中
これはもちろん、あきません。動作が完了するまで待ってください。 - 炊飯直後
炊飯が終わり、「ピー」と音が鳴った直後も、まだ内部には高い圧力が残っています。ここから「蒸らし」の工程に入ると同時に、少しずつ減圧していきます。この圧力が完全に抜けるまでは、ボタンを押してもロックが解除されない(またはボタンが非常に重い)ようになっています。 - 「圧力」表示が点灯している時
機種によりますが、操作パネルに「圧力」や「圧力ロック」のようなランプがある場合、それが点灯・点滅している間は「まだあかないでね」のサインです。
「炊飯が終わったのにあかない!」と焦ってしまう方の多くが、この炊飯直後の「減圧待ち」の時間にボタンをガチャガチャと押しているケースです。
これは故障ではないので、慌てずに数分~10分ほど待ってみてください。圧力が抜ければ、「プシュー」という音がするかもしれませんが、その後は自然と「カチッ」とボタンが押せるようになりますよ。
もし、炊飯が終わってから30分~1時間以上経ってもあかない、本体もすっかり冷めているのにあかない、という場合は、蒸気を逃がす「調圧弁」や「安全弁」にご飯粒などが詰まり、うまく減圧できていない(異常な)可能性があります。
その場合は、次の対処法を試してみる必要があります。
対処法と直し方
炊飯器の蓋があかない時、私たちが家庭で試せる対処法をいくつかご紹介します。
ただし大前提として、無理は禁物ですよ!
まずは、あかない原因が「圧力」なのか「異物」なのかを切り分けて考えてみましょう。
蓋があかない時に試してみたい対処法
1. 【圧力が原因かも?の場合】とにかく待つ・冷ます
先ほどもお伝えしたように、圧力タイプの炊飯器は、内部の圧力が抜けるまであきません。炊飯直後であれば、まずは10分ほどじっと待ってみてください。
それでもあかない場合は、一度「取消/切」ボタンを押し、電源プラグを抜いて、本体が完全に冷めるまで1時間ほど放置してみましょう。内部の温度が下がれば圧力も自然と下がりますので、あく可能性があります。
2. 【異物が原因かも?の場合】ボタンを連打・本体を揺する
これは、フック部分に挟まったご飯粒を、振動でズラして外す、という方法です。いわば「荒療治」ですが、実際にメーカーのコールセンターで最初に案内されることもある対処法だそうです。
- 蓋の開閉ボタンを、強めに10回ほど「タンタンタン!」とリズミカルに連打してみる。
- 炊飯器を少し持ち上げて、左右に優しく揺さぶってみる。(※逆さまにしたり、強く叩いたり、落としたりしないでくださいね!)
3. 【真空タイプの場合】ボタンを2回押す
一部の真空保温機能がある機種は、保温中は内部が真空状態になっているため、フックボタンを1回押して真空を解除し、もう1回押して蓋をあける(合計2回押し)という仕様になっていることがあります。取扱説明書を今一度確認してみてください。
ネットの体験談では、「炊飯器を斜め45度にして側面を10回叩く」なんていうプロの技(?)もあるようですが、これは本体を傷めそうでちょっと怖いですよね…。
まずは「冷ます」と「ボタン連打」を試していただくのが安全で現実的だと思います。
これらの方法を試してもあかない場合は、残念ながらフック部分が完全に固着してしまっているか、内部のロック機構が物理的に故障している可能性が高いです。その場合は、次のステップに進むしかありません。
無理にこじ開けるのは絶対にNG

「炊きたてのご飯が中に入ってるのに!」
「白いご飯が食べたい!」
その一心で、あかない蓋をなんとかしたい気持ちは、痛いほどわかります。
ですが、スプーンやマイナスドライバー、包丁の先のような硬いものを蓋と本体の隙間に差し込んで、てこの原理でこじ開けようとすることだけは、絶対にやめてください!
これは、私が家電量販店で働いている経験からも、心の底から強くお伝えしたいことです。
「こじ開け」が絶対にNGな理由
- 本体や蓋が変形・破損する
炊飯器のボディは、ほとんどが樹脂(プラスチック)でできています。金属製の工具で強い力をかければ、簡単にキズがつき、歪んだり、最悪の場合は割れたりしてしまいます。 - ロック機構が完全に壊れる
フックやラッチ(受け側)の部品が無理な力で破損してしまったら、たとえ蓋があいたとしても、もう二度と閉まらなくなってしまいます。 - 修理費用が高額になる
本来なら「内部の異物除去」や「小さな部品交換」だけで済んだかもしれない修理が、「蓋の全交換」「本体フレーム交換」といった何万円もする高額な修理になってしまうんです。外装が大きく破損していると、メーカー保証の対象外と判断される可能性も高くなります。
実際に、無理にこじ開けようとした結果、パネルがバキバキに変形してしまった炊飯器が修理に持ち込まれることもある、と聞いたことがあります。
蓋があかないと、中に入っているご飯も取り出せないし、修理に出すにも出せないし…とパニックになってしまいがちですが、一度深呼吸してください。
ご家庭でできる対処法を試してもあかない場合は、残念ですがそこが限界です。電源プラグを抜いた状態で、お買い上げの販売店、またはメーカーの修理相談窓口に連絡してください。
その際、「蓋があかない状態で、中にご飯が入ったままなんですが…」と正直に伝えてください。そうすれば、訪問修理に来てくれるか、そのまま引き取り修理に(中身ごと…)出せるか、最善の方法を案内してくれるはずです。
大切な炊飯器を「こじ開け」によって再起不能にしてしまわないよう、くれぐれもご注意くださいね。
総括:炊飯器の蓋が閉まらない・あかない時の確認点
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。


