「食洗機を開けたら水が残ってる!」
なんて、ドキッとした経験はありませんか?
毎日頑張ってくれている食洗機だからこそ、「もしかして故障?」なんてトラブルのサインかも…と思うと、一気に不安になりますよね。
特に、キッチンに一体化したビルトインタイプだと、知らない間に床まで水漏れしたらどうしよう…なんて想像してしまうことも。
「運転が終わったはずなのに、なぜか水が上がってくる」なんて現象に頭を悩ませている方もいるかもしれません。
食器に水が溜まるのはまだしも、本体のトラブルとなると自分でどこまで触っていいのか、もし修理が必要なら費用はいくらかかるのか…。
この記事では、そんな食洗機の「水トラブル」に関するあらゆるお悩みに応えるため、水が溜まる原因の簡単な見分け方から、ご家庭で安心して試せる対処法、そしてもしもの時の修理の知識まで、家電販売員の視点から解決策をお伝えしていきます。
食洗機に水が溜まるのは正常?水漏れとの違い

- 食洗機に水が残るのはなぜ?その原因とは
- 故障じゃない?正常に水が溜まるケース
- 食器に水が溜まるのは入れ方が原因かも
- 運転後に排水が水が上がってくるのはなぜ?
- なかなか水が抜けない!確認すべきポイント
まずは、食洗機の庫内に水が溜まる現象について、それが「正常な状態」なのか、それとも「トラブルのサイン」なのかを見分けるところから始めましょう。
実は、食洗機にある程度の水が残るのは、必ずしも故障が原因ではないんです。その仕組みを知ることで、無駄な心配を減らせますし、本当の異常に早く気づけるようになりますよ。
食洗機に水が残るのはなぜ?その原因とは
食洗機の運転後、庫内の底、特に残さいフィルターの周りに水が少し残っているのを見て、「排水しきれていない!」と驚かれる方が結構いらっしゃいます。でも、これは多くの場合、食洗機が意図的に水を残している正常な状態なんです。
その主な理由は、「排水トラップ」という仕組みにあります。
これは、排水管から上がってくる下水の臭いを防ぐための「フタ」の役割を果たすもの。常に少量の水を溜めておくことで、臭いがキッチンに逆流してくるのをブロックしてくれているんですね。
ですから、残さいフィルターの範囲内に水が溜まっているのは、むしろ正常に機能している証拠なんです。
ただし、水が溜まる範囲がいつもより広い、例えばフィルターの高さを超えていたり、庫内全体に水が広がっていたりする場合は注意が必要です。
その最も一般的な原因は、残さいフィルターの目詰まり。食べ物のカスや油汚れがフィルターに溜まって、水の通り道を塞いでしまうことで、排水がスムーズに行えなくなってしまうのです。
まずは慌てずに、水がどの範囲に溜まっているかを確認することが大切です。フィルターの掃除は基本のお手入れなので、こまめに行うことをおすすめします。
故障じゃない?正常に水が溜まるケース
先ほどもお伝えしたように、食洗機の底に残っている水は、多くの場合、故障ではありませんので安心してくださいね。ここでは、もう少し詳しく正常なケースについて解説します。
食洗機が運転を終えた後に残っている水は、最終すすぎで使われたキレイな水なんです。汚れた洗浄水が残っているわけではないので、衛生面での心配はいりません。
この残った水は、次回の運転が始まると、最初にすべて排水され、新しい水とお湯で洗浄がスタートする仕組みになっています。
パナソニックやリンナイなど、ほとんどのメーカーの食洗機でこの「排水トラップ」機能が採用されています。これは、臭いを防ぐだけでなく、排水ポンプが空運転するのを防ぎ、保護するという大切な役割も担っているんですよ。
正常な水たまりのチェックポイント
「残さいフィルターの範囲内、またはフィルターの真下あたりに水が溜まっている」状態であれば、まず正常と考えて良いでしょう。機種によってはフィルターの上まで水が残る設計のものもありますが、いつもその状態であれば問題ありません。
一方で、「毎回、残さいフィルターの上面を大きく超えて水が残っている」「以前よりも明らかに水量が増えた」という場合は、排水不良のサインかもしれません。その場合は、フィルターの詰まりや、後ほど解説する別の原因を疑ってみる必要がありますね。
まずは「ある程度の水が残るのは仕様なんだ」と覚えておくと、落ち着いて対応できると思います。
食器に水が溜まるのは入れ方が原因かも

「食洗機の底には水が溜まっていないけど、お椀の裏やコップの底に水たまりができている…」というお悩み、これもよくお客様から聞かれます。せっかく乾燥まで終わっているのに、拭き直すのはちょっと面倒ですよね。
実はこれ、食洗機の故障ではなく、食器の「入れ方」や「形」が原因であることがほとんどなんです。
食洗機は、庫内の下部から高温・高圧の水を噴射して食器を洗浄します。そのため、お椀や深皿などを真下に向けてセットしてしまうと、内側に洗浄水が届きにくく、汚れが落ちきらないことがあります。
さらに重要なのが乾燥時で、器の底にある「糸底(いとぞこ)」と呼ばれる台座部分に水が溜まりやすくなってしまうんです。
この問題を解決するコツは、食器を少し斜めに傾けてセットすること。こうすることで、洗浄水がまんべんなく当たりやすくなり、乾燥時には水が自然に流れ落ちて水切れが良くなります。
私も家で食洗機を使うときは、お茶碗や汁椀は少し斜めに立てかけるように意識しています。これだけで、洗い上がりの水残りが全然違いますよ!
また、最近では食洗機で使いやすいように工夫された食器も増えています。例えば、糸底部分に水が抜けるための「切り欠き」があるお椀などがそうです。

これから食器を買い足す際には、そういった「食洗機対応」で、かつ水が溜まりにくい形状のものを選ぶのも、日々の小さなストレスを減らす賢い方法だと思います。
食器同士が重ならないように、少し間隔をあけてセットするのもキレイに仕上げるポイントですね。
運転後に排水が水が上がってくるのはなぜ?
「運転が終わってしばらくしてから食洗機を開けると、なぜか水が増えている…」こんな不可解な現象に遭遇したら、ちょっと心配になりますよね。これは、先ほどまでの「正常に残る水」とは少し話が違って、何らかの不具合が起きている可能性があります。
運転後に水が上がってくる原因として、主に2つの可能性が考えられます。
この現象が起きる場合、ご自身で原因を特定するのは難しいかもしれません。
特に給水バルブの不具合は部品交換が必要になるため、専門業者への相談をおすすめします。排水ホースの問題も、キッチンの構造によってはご自身での修正が困難な場合があります。
もしこの症状が見られる場合は、一度、食洗機の運転終了直後に、キッチンシンク下などにある食洗機の止水栓を閉めて様子を見るという切り分け方法もあります。
止水栓を閉めて水が上がってこなければ給水系の、それでも上がってくるなら排水系の異常である可能性が高い、と判断する材料になりますね。
なかなか水が抜けない!確認すべきポイント
残さいフィルターを掃除しても、やっぱり水の引きが悪い…そんな時に確認してほしいポイントがいくつかあります。業者さんを呼ぶ前に、一度ご自身でチェックしてみましょう。
まず最初に見ていただきたいのは、排水ホースの状態です。
ビルトイン食洗機の場合、シンク下の収納部分から確認できることが多いですね。この排水ホースが、どこかで折れ曲がっていたり、何か重いものの下敷きになって潰れていたりしないでしょうか?
ホースが圧迫されていると、当然水の通り道が狭くなり、排水がスムーズに行えなくなってしまいます。
特に、シンク下に物をたくさん収納しているご家庭では、知らないうちにホースを圧迫してしまっているケースが意外と多いんです。一度収納物をどかしてみて、ホースがまっすぐスムーズに配管されているか確認してみてください。
次に考えられるのは、排水ホースの先の排水管、つまりキッチンの排水口自体の詰まりです。
食洗機は問題なくても、その先の排水管が油汚れなどで詰まりかけていると、食洗機から一気に排出される水を受け止めきれず、結果的に食洗機内に水が残ってしまうことがあります。
「食洗機を動かすと、キッチンの排水口からゴボゴボと音がする」といった症状がある場合は、この排水管の詰まりが原因である可能性が高いです。
この場合は、食洗機ではなく、排水管の洗浄が必要になります。市販のパイプクリーナーを試してみるのも一つの手ですが、改善しない場合は専門の水道業者さんに相談するのが一番確実だと思います。
食洗機の水漏れや水が溜まるトラブルの対処法

- 正しい水抜きのやり方と強制排水の注意点
- ビルトイン食洗機の底からの水漏れ
- 表示されるエラーの種類と意味
- どこまで自分で対処できる?
- 気になる修理代の目安は?
さてここからは、実際に「これは異常かも」と感じたときの具体的な対処法について見ていきましょう。
食洗機を長期間使わない時や、万が一のトラブルの際に知っておくと安心な「水抜き」の方法から、業者さんを呼ぶべき深刻な水漏れのサイン、そして気になる費用のお話まで、一歩踏み込んで解説していきますね。
正しい水抜きのやり方と強制排水の注意点
引っ越しや長期不在などで食洗機を移動させたり、長期間使わなかったりする際には、「水抜き」という作業が必要になります。これを怠ると、移動中に水が漏れたり、冬場に凍結して部品が破損したりする原因になることもあるんです。
また、排水不良が起きた際にも、応急処置として水抜きを行うことがあります。
手順はメーカーによって多少異なりますが、一般的なビルトイン食洗機の水抜きのやり方は以下の通りです。
一方で、トラブルが起きた時にやってしまいがちなNG行動もあります。
【重要】強制排水の注意点
水が溜まって焦ってしまうと、つい電源コードを抜いたり、ブレーカーを落としたりしてリセットしたくなるかもしれません。ですが、これは絶対に避けてください。
急に電源を落とすと、排水を制御しているポンプが誤作動を起こし、かえって水漏れを悪化させてしまう危険性があります。
メーカーによっては特定のボタンを長押しすることで強制的に排水できる「強制排水モード」が備わっている機種もありますが、原因が分からないまま行うのは新たなトラブルの元です。まずは取扱説明書を確認し、慎重に対処することが大切ですね。
ビルトイン食洗機の底からの水漏れ
これは最も緊急性の高いトラブルの一つです。食洗機本体の下や、キッチンの床にまで水が漏れ出している場合、被害が拡大する前に迅速な対応が必要になります。
床材を傷めたり、集合住宅の場合は階下へ迷惑をかけてしまったりする可能性も考えられます。
ビルトイン食洗機の底から水漏れする主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
水漏れを発見したら、まずやること
水漏れに気づいたら、パニックにならず、まずは食洗機の止水栓を閉めてください。
もし止水栓の場所が分からない、または固くて閉められない場合は、家全体の水道の元栓を閉めましょう。これにより、被害の拡大を最小限に食い止めることができます。
この時、焦って食洗機の電源を切ったりブレーカーを落としたりしないように注意してください。前述の通り、排水ポンプが止まってしまい、状況が悪化することがあります。
残念ながら、これらの原因による水漏れは、ご自身で修理するのは非常に困難です。ホースの交換や内部部品の修理には専門的な知識と技術が必要になります。
無理に自分で直そうとすると、感電の危険や、さらに故障を悪化させることにもなりかねません。水漏れを確認した場合は、速やかにメーカーのサポートセンターや、水回りの専門修理業者に連絡しましょう。
表示されるエラーの種類と意味

最近の食洗機はとても賢くて、異常を検知すると操作パネルにエラーコードやランプの点滅で知らせてくれます。水が溜まる、水漏れするといったトラブルの際には、このエラー表示が原因を特定する大きな手がかりになりますよ。
メーカーや機種によって表示方法は異なりますが、ここでは代表的な例をいくつかご紹介しますね。
メーカー | エラー表示の例(水漏れ・排水異常) | 考えられる原因 |
---|---|---|
パナソニック | 「パワフル」「スピーディー」などのランプが点滅 | 排水ホースの詰まり、排水ポンプの故障、水位センサーの異常など |
リンナイ | エラーコード「17」「18」「56」などが表示 | 溢水検知、排水異常、給水異常など |
三菱電機 | 「ドライキープ」「標準」などのランプが点滅 | 水漏れ検知、排水異常など |
上記はあくまで一例です。大切なのは、エラーが表示されたら、まずお手元の取扱説明書を確認することです。
説明書には、エラー表示ごとの原因と、ご自身でできる対処法(「残さいフィルターを掃除してください」など)が詳しく記載されています。
家電量販店でも、「エラーが出たんですけど…」というご相談はよく受けます。
その際も、まずはお客様に機種名とエラー表示の内容をお伺いして、取扱説明書を見ながら一緒に確認することが多いんですよ。
取扱説明書に書かれている対処法を試してもエラーが解消しない場合は、内部の部品故障の可能性が高いと考えられます。その際は、無理せず修理を依頼しましょう。
修理を依頼する際には、機種の型番と、表示されているエラー内容を正確に伝えると、その後の対応がとてもスムーズに進みますよ。
どこまで自分で対処できる?
食洗機に水が溜まるトラブルが起きたとき、「これは自分で直せる範囲?それともプロに任せるべき?」と迷いますよね。判断の目安をここでハッキリさせておきましょう。
まず、ご家庭で安全に対処できるのは、主に「日常のお手入れ」の範囲内です。
これらの対処法を試してみて、症状が改善すれば一安心です。
一方で、これから挙げるような作業は、専門的な知識や技術、そして危険が伴うため、絶対に自分で行わないでください。
特にビルトイン食洗機は、キッチンに組み込まれていて作業スペースも限られています。無理な作業はケガのもとですし、万が一故障させてしまうと、かえって修理費用が高くついてしまうこともあります。
「ちょっとでも不安だな」と感じたら、迷わず専門業者に相談するのが賢明な判断だと思います。
気になる修理代の目安は?
いよいよ修理が必要となった場合、一番気になるのが「一体いくらかかるの?」という費用面ですよね。もちろん、故障の原因や交換する部品によって金額は大きく変わってきますが、ある程度の目安を知っておくと、心の準備ができると思います。
各メーカーが公表している情報や、一般的な修理業者の料金を参考にすると、排水不良や水漏れに関する修理費用の目安は、おおよそ以下のようになっています。
比較的簡単なパッキンの交換やホースの調整などで済めば安価に収まりますが、排水ポンプや制御基板といった主要な部品を交換することになると、費用は高額になる傾向があります。
修理か買い替えか、判断のポイントは?
食洗機の設計上の標準使用期間は、多くのメーカーで「10年」とされています。もしお使いの食洗機が10年近く、あるいはそれ以上経過している場合は、修理費用が高額になるようなら、思い切って最新モデルに買い替えるのも一つの選択肢です。
最近の食洗機は、節水・節電性能が向上していたり、洗浄力がアップしていたり、運転音が静かになっていたりと、かなり進化しています。長期的に見れば、新しいものに交換した方が光熱費の節約になり、結果的にお得になるケースも少なくないんですよ。
修理を依頼する際は、必ず事前に見積もりを取るようにしましょう。業者さんによっては、出張・見積もりが無料のところもあります。複数の業者から見積もりを取って、料金や対応を比較検討するのも良い方法ですね。
総括:食洗機に水が溜まる!水漏れトラブルの解決策
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。