健康のために玄米食を始めたけれど、「玄米って精米すると量が減るって本当?」「一体どれくらい減るんだろう…」と気になっている方も多いのではないでしょうか?
せっかく買った玄米が減ってしまうのは、なんだか損した気分になりますよね。また、そもそも玄米を精米する方法がよくわからなかったり、間違えて精米した米をもう一度精米しても大丈夫なのか、不安に思うこともあるかもしれません。
さらに、玄米の安全性について、玄米は無農薬じゃないとダメなのかな?と心配になったり、よく耳にする発芽玄米と普通の玄米の違いが気になったりもしますよね。
発芽玄米のメリット・デメリットを知って、美味しく食べるために発芽玄米と白米を混ぜる炊き方のコツも知っておきたいところです。
この記事では、そんな玄米の精米に関するあらゆる疑問にお答えします。玄米が減る量やその理由から、ご家庭でできる精米方法、さらには栄養満点の発芽玄米のことまで、分かりやすく解説していきますね。
玄米を精米すると量はどのくらい減るの?

- 玄米を精米するとどのくらい減る?
- 自宅でできる玄米の精米
- コイン精米機を使った玄米の精米
- 精米した米をもう一度精米するのはあり?
まず最初に、一番気になる「精米すると玄米はどのくらい減るのか」という疑問から解決していきましょう。実際に量が減る理由や、ご自身で精米する方法についても詳しくご紹介しますね。
玄米を精米するとどのくらい減る?
結論からお伝えすると、玄米を精米すると、重さは約1割減ります。
これは、お米の表面を覆っている「糠層(ぬかそう)」と「胚芽(はいが)」を取り除くからなんです。
私たちが普段「玄米」と呼んでいるお米は、稲からもみ殻だけを取り除いた状態のもの。その構造は、中心部の「胚乳(はいにゅう)」、それを覆う「糠層」、そして芽になる部分の「胚芽」から成り立っています。
精米という作業は、このうちの糠層と胚芽を削り取る工程なんですね。そして、この糠層と胚芽が、玄米全体の重さの約10%を占めているんです。だから精米するとその分だけ軽くなる、というわけです。
例えば、30kgの玄米を精米すると、白米としては約27kgになり、約3kg分の糠が出る計算になります。結構な量に感じるかもしれませんね。
玄米が減る量の目安
- 目安:約10%(1割)減る
- 例:3kgの玄米 → 約2.7kgの白米に
- 変動要因:お米の水分量や精米機の種類・設定によって多少前後する
ただし、この減る割合はあくまで目安です。お米の乾燥具合や粒の大きさ、使う精米機の設定によっても少し変わってきます。
お米屋さんや業界の言葉で「歩留まり(ぶどまり)」という言い方があるのですが、これは原料(玄米)から製品(白米)がどれだけ取れるかという割合のこと。お米の状態が良いと「歩留まりが良い」となり、減る量が少なくなることもあるんですよ。
取り除かれた糠の使い道
精米時に出る糠は、実は栄養満点。捨ててしまうのはもったいないですよ!
- ぬか漬け:定番の活用法。野菜が美味しくなります。
- 家庭菜園の肥料:土に混ぜ込むと、良い肥料になります。
- 掃除に使う:油分が含まれているので、フローリングを拭くとツヤが出ます。
- 食器洗いに:油汚れを吸着してくれる効果が期待できます。
「1割も減るなんて損じゃない?」と感じるかもしれませんが、玄米は白米に比べて価格が少し安く設定されていることが多いですし、何より精米したての美味しいご飯が食べられるという大きなメリットがあります。
糠も上手に活用すれば、暮らしに役立つ嬉しいおまけになりますから、一概に損とは言えないんですよ。
自宅でできる玄米の精米
「精米したての美味しいご飯が食べたい!」と思ったら、自宅で精米するのが一番のおすすめです。
自宅で精米する方法は、主に「家庭用精米機を使う」方法と、昔ながらの「人力で行う」方法があります。
家庭用精米機を使う
もっとも手軽で一般的なのが、家庭用精米機を使う方法です。
私も家電量販店で働いているのでよくご質問いただくのですが、最近の精米機は本当に進化していて、キッチンに置いても邪魔にならないコンパクトなモデルや、運転音が静かなモデルがたくさん出ていますよ。
家庭用精米機の良いところは、何と言っても食べる直前に必要な分だけ精米できること。お米は精米した瞬間から酸化が始まって鮮度が落ちていくので、いつでも一番おいしい状態で食べられるのは嬉しいポイントです。
また、「3分づき」「5分づき」のように、お好みの精米度合いを選べるのも魅力ですね。
もちろん、購入するための初期費用がかかる点や、定期的にお手入れが必要な点はデメリットと言えますが、毎日食べるお米の美味しさにこだわりたい方には、十分その価値があると思います。
私も自宅では家庭用精米機を使っているんですけど、やっぱり精米したてのお米は香りが全然違います!炊き上がりのツヤと甘みは、一度味わうとやみつきになりますよ。
人力で精米する
精米機がなくても、実は人力で精米することも可能です。よく言われるのが、一升瓶などのガラス瓶に玄米を入れて、菜箸や木の棒で根気よく搗く(つく)方法です。
これはかなりの重労働で時間もかかりますし、お米が割れてしまうことも多いので、正直あまりおすすめはできません。
ただ、「一度は自分でやってみたい!」という方は、少量の玄米で試してみるのも面白い経験になるかもしれませんね。5時間くらい搗き続けると、ようやく胚芽米くらいになる、という話もあります。
コイン精米機を使った玄米の精米
「家庭用精米機を置く場所がない」「もっとたくさんの量を一度に精米したい」という方に便利なのが、コイン精米機です。スーパーの駐車場やJA、米穀店などに設置されていることが多いですね。
コイン精米機の最大のメリットは、10kg単位など、まとまった量の玄米を短時間で精米できることです。操作も簡単で、誰でも気軽に利用できるのが魅力です。
コイン精米機の使い方
- 玄米を投入する:まず、持ってきた玄米を投入口に入れます。
- コースと料金を確認する:「白米」「7分づき」「無洗米」など、好みの精米コースを選び、料金を確認します。
- お金を入れる:指定された料金(通常は10kgあたり100円など)を投入します。
- 精米スタート:スタートボタンを押すと精米が始まります。終わったら、白米の出口に袋をセットして、お米を受け取ります。
とても便利なコイン精米機ですが、いくつか注意点もあります。
衛生面が気になる方は、利用する前に機械の内部が汚れていないかチェックすると良いでしょう。
また、精米しすぎるとお米が割れやすくなることがあるので、「上白」や「クリーン白米」などのコースを選ぶ際は、お米の状態を見て判断するのがおすすめです。
コイン精米機を使うときの注意点
- 糠(ぬか)の掃除:前に利用した人のお米の糠が残っている場合があります。気になる場合は、少量のお米で一度機械を動かしてから本番の精米をすると安心です。
- 精米しすぎに注意:特に夏場など、お米が乾燥している時期は割れやすくなります。標準的な白米コースから試すのがおすすめです。
- お米の入れ間違い:白米を入れるとさらに削られて砕けてしまうので、必ず玄米を投入しましょう。
精米した米をもう一度精米するのはあり?
「精米機のボタンを押し間違えて、白米にしたかったのに7分づきにしちゃった…」なんて経験、あるかもしれませんね。そんな時、「一度精米したお米を、もう一度精米してもいいのかな?」と不安になると思います。
結論から言うと、再精米しても食べる分には問題ありません。
精米は玄米の表面を削る作業なので、もう一度精米機にかけるということは、さらに表面を削るということです。例えば、7分づき米をもう一度精米すれば、残っていた糠層が削れて、より白米に近い状態になります。
ただし、注意点もあります。それは、お米が砕けたり、割れてしまうリスクが高まること。お米の表面を何度も削ることになるので、どうしても粒がもろくなってしまうんですね。
特に、すでに白米になっているお米をさらに精米すると、かなり細かくなってしまう可能性があります。
古いお米を再精米すると美味しくなる?
「古くなって少し味が落ちた白米を、再精米すると美味しくなる」という話を聞いたことはありませんか?
これは、お米の表面が空気に触れて酸化した部分を削り取ることで、味が改善されることがあるためです。精米機によっては「白米リフレッシュ」などの機能がついているものもありますね。
ただ、お米の味が落ちる原因は酸化だけでなく、水分が失われていることも大きいです。そのため、再精米で必ずしも新米のような美味しさが戻るわけではない、ということは覚えておくと良いでしょう。
もし7分づきを白米に近づけたい場合は、いきなり「標準白米」コースにかけるのではなく、もう一度「7分づき」コースにかけるなど、少しずつ削るようにすると、お米が砕けるのを防ぎやすくなりますよ。
玄米を精米すると減る以外の気になる知識

- 玄米は無農薬じゃないとダメ?
- 玄米と発芽玄米の違い
- 発芽玄米のメリット・デメリット
- 発芽玄米と白米を混ぜる炊き方のコツ
ここまでは、玄米を精米すると量が減る話や、その方法について解説してきました。
ここからは少し視点を変えて、玄米の安全性や、最近よく聞く「発芽玄米」との違いなど、知っておくと役立つ知識をご紹介しますね。
玄米は無農薬じゃないとダメ?
玄米を食べ始める方が一番気にされるのが、「農薬」のことかもしれません。「玄米は糠の部分に農薬が残りやすいから、無農薬じゃないと危険」という話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
確かに、農薬の成分には油に溶けやすい性質のものがあり、脂質を多く含む糠層に白米よりも農薬が残りやすい、という考え方はあります。このことから、安心のために無農薬や有機栽培の玄米を選ぶ方が多いのは事実です。
しかし、日本国内で販売されているお米は、国の厳しい基準をクリアしたものです。
農薬の使用方法や残留基準は「食品衛生法」で定められており、市場に出回っているものは、玄米の時点でもその基準値以下のものがほとんどだとされています。
「無農薬」表示は実はNG?
意外と知られていないのですが、農林水産省のガイドラインでは、農産物に「無農薬」と表示することは禁止されています。
その理由は、隣の田んぼから農薬が風で飛んできたり(ドリフト)、用水路から流れ込んだりする可能性がゼロではないからです。
そのため、農薬を使わずに育てられたお米は「栽培期間中農薬不使用」と表示するのが正しいルールなんです。また、国が定めた厳しい基準をクリアしたものは「有機JAS」マークがついています。農薬が気になる方は、これらの表示を目印に選ぶと安心ですね。
最終的にどのお米を選ぶかは個人の考え方によりますが、「無農薬じゃないと絶対にダメ」というわけではない、ということは知っておくと良いと思います。ご自身の安心できる基準で、美味しく続けられる玄米を見つけるのが一番大切ですね。
玄米と発芽玄米の違い
健康志向の高まりとともに、スーパーなどでもよく見かけるようになった「発芽玄米」。玄米と何が違うのか、気になりますよね。
発芽玄米とは、その名の通り、玄米を水に浸けて、ほんの少しだけ発芽させたお米のことです。胚芽の部分から0.5mm〜1mmほどの小さな芽が出た状態のものを指します。この「発芽」というひと手間を加えることで、玄米が持つパワーがさらにアップするんですよ。
栄養価の大きな違いは「GABA」
発芽玄米が注目される最大の理由は、GABA(ギャバ)という栄養成分が大幅に増えることです。GABAはアミノ酸の一種で、ストレスを和らげたり、リラックス効果をもたらしたりすることで知られています。
玄米が発芽する過程で、眠っていた酵素が活性化し、GABAを始めとする栄養素がグンと増えるそうなんです。
商品によって差はありますが、発芽玄米のGABA含有量は、なんと白米の約15倍、玄米の約5倍にもなると言われています。
栄養素(100gあたり) | 発芽玄米 | 玄米 | 白米 |
---|---|---|---|
GABA | 約15mg | 約3mg | 約1mg |
食物繊維 | 3.1g | 3.0g | 0.5g |
ビタミンB1 | 0.35mg | 0.41mg | 0.08mg |
※GABAの含有量は参考値です。日本食品標準成分表2015年版(七訂)などを基に記載しています。
その他の食物繊維やビタミン類は玄米と大きくは変わりませんが、GABAが突出して増えるのが最大の特徴ですね。
また発芽することで糠が柔らかくなるため、玄米よりも消化しやすく、食感もプチプチして食べやすいと感じる方が多いようです。
発芽玄米のメリット・デメリット
栄養価が高く食べやすい発芽玄米ですが、もちろん良い点ばかりではありません。ここで、発芽玄米のメリットとデメリットを整理してみましょう。
発芽玄米のメリット
- 栄養価がアップする:前述の通り、特にGABAが豊富になります。ストレス社会で頑張る現代人には嬉しい成分ですよね。他にも、酵素の働きで様々な栄養素が吸収されやすくなると言われています。
- 食べやすくなる:発芽の過程で糠が柔らかくなるため、玄米特有の硬さやパサパサ感が和らぎ、もちもちとした食感になります。白米に近い感覚で食べられるので、玄米が苦手な方でも挑戦しやすいと思います。
- 旨み・甘みが増す:発芽する時に酵素が働き、お米内部のたんぱく質や糖質が分解されることで、旨み成分や甘みが増します。
- 炊飯が手軽:玄米のように長時間水に浸しておく必要がなく、白米と同じように炊ける商品が多いのも、忙しい方には嬉しいポイントです。
お客様からも、「玄米は家族が嫌がるけど、発芽玄米にしたら美味しいって食べてくれるようになったんです」というお声をよく聞きます。食べやすさは大きなメリットですよね。
発芽玄米のデメリット
- 価格が比較的高め:玄米に「発芽」という工程が加わるため、普通の玄米や白米に比べて価格は少し高くなる傾向があります。
- 自分で作るのは手間がかかる:市販品だけでなく、玄米から自分で発芽玄米を作ることもできますが、温度管理や水の交換など手間がかかります。特に夏場は水が腐りやすく、雑菌が繁殖するリスクもあるため注意が必要です。
- 農薬のリスクは玄米と同じ:発芽させても糠はそのままなので、残留農薬が気になる方は、玄米と同様に「栽培期間中農薬不使用」や「有機JAS」のものを選ぶとより安心です。
メリットとデメリットを理解した上で、ご自身のライフスタイルに合わせて上手に取り入れてみてくださいね。
発芽玄米と白米を混ぜる炊き方のコツ
「いきなり100%発芽玄米はハードルが高いかも…」という方は、普段食べている白米に混ぜて炊く方法から始めるのがおすすめです。食感も白米に近くなり、無理なく続けやすいですよ。
おすすめの割合
混ぜる割合に決まりはありませんが、お好みに合わせて調整してみてください。
- 初心者向け【白米 2:発芽玄米 1】:まずはこの割合から試すのがおすすめです。玄米のプチプチ感を楽しみつつ、白米の食べやすさもしっかり感じられます。
- 慣れてきたら【白米 1:発芽玄米 1】:栄養をしっかり摂りたい方は同量で。発芽玄米の風味や食感がより楽しめます。
美味しい炊き方の手順
発芽玄米は、玄米と違って長時間の浸水が必要ない商品がほとんどなので、白米と一緒に炊くのも簡単です。
- お米を計って洗う:白米と発芽玄米を計量し、合わせてさっと洗います。(発芽玄米はGABAが水に溶け出しやすいので、ゴシゴシ研がずに優しくすすぐ程度でOKです)
- 水加減を調整する:炊飯器の白米の目盛りに合わせ、そこから大さじ1〜2杯ほど水を多めに加えます。発芽玄米は白米より少し水を多く吸うので、これがふっくら炊き上げるコツです。
- 浸水させる:30分〜1時間ほど浸水させると、より芯までふっくらと炊き上がります。時間がなければそのままでも大丈夫です。
- 炊飯する:炊飯器の「白米」モードで炊飯します。「玄米モード」で炊く必要はありません。
スマート米「無洗米玄米」も便利
最近では、玄米の表面を加工して、白米と同じように浸水なしで炊ける「無洗米玄米」という便利な商品もあります。これなら水加減の調整も不要で、白米と混ぜるのもさらに手軽になりますよ。
いつものご飯に少し混ぜるだけで、手軽に栄養価をアップできるのが嬉しいですよね。ぜひ、ご家庭に合った割合と炊き方を見つけてみてください。
総括:玄米は精米すると減るけどメリットも豊富
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。