夏の電気代が気になる季節になると、エアコンの室外機カバーの必要性を悩む方も多いのではないでしょうか?
実際に設置すれば節電効果があるのか、それとも意味のないアイテムなのか、判断に迷ってしまいますよね。
室外機カバーについては、効果があるという意見もあれば、逆効果だという声も聞こえてきます。特に初めて検討する方にとっては、どの商品を選べば良いのか、冬場はどうすれば良いのか、100均の商品でも十分なのかなど、疑問がたくさん出てくることでしょう。
私も家電量販店で働いていると、お客様から室外機カバーに関するご質問をよくいただきます。正しい知識を持って適切に使用すれば確実に効果が期待できる一方で、間違った使い方をすると電気代が高くなってしまう可能性もあるんです。
この記事では、室外機カバーの実際の効果から選び方のポイント、おすすめ商品まで、皆さんが知りたい情報を分かりやすくお伝えします。
エアコンの室外機カバーは必要か?効果と選び方

まずは、室外機カバーの基本的な効果や選び方について詳しく解説していきます。
実際にどの程度の節電効果があるのか、また逆効果になってしまうケースについても具体的にお伝えしますので、購入前の参考にしてくださいね。
室外機カバーは意味ない?
設置条件 | 効果 | 節電率 | 詳細説明 |
---|---|---|---|
直射日光あり 屋根型カバー |
効果あり | 5-10%削減 | 室外機の温度上昇を防ぎ、エアコンの運転効率が向上します。通気性を損なわないため最も効果的です。 |
直射日光あり 箱型カバー |
条件付き | 0-5%削減 | 日除け効果はありますが、通気性を阻害する可能性があります。ルーバーの隙間が重要です。 |
日陰の場所 各種カバー |
効果なし | 0% | もともと直射日光が当たらない場所では、カバーによる節電効果は期待できません。 |
排気口を塞ぐ 設置方法 |
逆効果 | 5-15%増加 | 室外機の排気を妨げるため、エアコンの効率が悪化し電気代が高くなってしまいます。 |
冬場の カバー設置 |
非推奨 | 3-8%増加 | 暖房時は室外機に日光を当てた方が効率的です。積雪地域を除き基本的に取り外しを推奨。 |
室外機の温度上昇を防ぎ、エアコンの運転効率が向上します。通気性を損なわないため最も効果的です。
日除け効果はありますが、通気性を阻害する可能性があります。ルーバーの隙間が重要です。
もともと直射日光が当たらない場所では、カバーによる節電効果は期待できません。
室外機の排気を妨げるため、エアコンの効率が悪化し電気代が高くなってしまいます。
暖房時は室外機に日光を当てた方が効率的です。積雪地域を除き基本的に取り外しを推奨。
室外機カバーについて「意味がない」と考える方もいますが、実際には多くのメリットがあります。最も注目すべき効果は、直射日光による室外機の温度上昇を防ぐことです。
夏場の強い日差しが室外機に当たると、本体温度が異常に高くなってしまいます。この状態でエアコンを運転すると、室外機は通常よりも多くの電力を消費して冷房効果を生み出さなければなりません。つまり、電気代が高くなってしまうのです。
実際の効果について、大阪市中央卸売市場での実験では、室外機に日除けを設置したところ約5%の電力削減効果が確認されています。また、一般社団法人省エネ推進協議会の調査では、遮光率85%の遮光ネットで室外機を囲んだ結果、10%程度の省エネ効果が報告されました。
ただし、カバーの種類や設置方法によっては効果が期待できない場合もあります。室外機全体を密閉してしまうような使い方は、かえって通気性を悪化させて逆効果になることもあるんです。
大手エアコンメーカーのダイキンや三菱電機、富士通なども、室外機への日射防止を節電方法として推奨していることから、適切に使用すれば確実に効果があると言えるでしょう。
逆効果になったりする?

室外機カバーは使い方を間違えると、確実に逆効果になってしまいます。特に注意が必要なのは、室外機の排気口を塞いでしまうケースです。
エアコンの冷房運転中、室外機は部屋の中の熱を外に捨てるために放熱作業を行っています。カバーで排気口を覆ってしまうと、この放熱が妨げられて室外機内部に熱がこもります。結果として、エアコンはより多くの電力を使って冷房効果を維持しようとするため、電気代が高くなってしまうのです。
箱型のルーバータイプなど、室外機の3面を囲うカバーは特に注意が必要です。デザイン性は高いものの、排気の流れを阻害する可能性があります。空調機大手のダイキンでは、エアコン効率の観点からエアコン稼働時は室外機カバーを外すことを推奨しているほどです。
また、暖房運転時も逆効果になる場合があります。暖房時の室外機は、外の空気中の熱を吸い込んで室内の冷たい空気を外に吐き出しています。カバーを付けていると、吐き出された冷たい空気が室外機周辺に残り、再度吸い込むことで暖房効率が落ちてしまいます。
これらの問題を避けるには、屋根型パネルのような日除けタイプを選ぶか、通気性を確保できる設計のカバーを使うことが大切です。
電気代にどのくらい影響する?

室外機カバーによる電気代への影響は、設置環境や使用方法によって大きく変わります。適切に使用した場合の節約効果について、具体的な数値とともに見ていきましょう。
先ほどもお伝えした大阪市中央卸売市場での実験結果では、約5%の電力削減効果が確認されました。パナソニックの14畳用エアコン「CS-404DFR2」で計算すると、年間約717円の電気代節約になります。一方、省エネ推進協議会の調査では10%程度の省エネ効果が報告されており、この数値だと年間1,400円程度の節約になる計算です。
ただし、これらの効果が期待できるのは、室外機が直射日光の当たる場所に設置されている場合に限ります。もともと日陰にある室外機や、建物の影になっている場所では、カバーによる節電効果はほとんど期待できません。
逆に、間違った使い方をすると電気代が高くなってしまいます。室外機の排気口を塞ぐような設置方法では、エアコンが通常より多くの電力を消費するため、月の電気代が数百円から千円程度上がることもあります。
カバー設置時の注意すべきポイント
重要度 | 注意項目 | 詳細説明 | 対処法 |
---|---|---|---|
最重要 | 通気性の確保 | 室外機の排気口や吸気口を塞がないよう注意が必要です。通気性が悪化すると運転効率が低下し、逆効果になります。 | 屋根型パネルを選ぶか、ルーバーの隙間が十分にある箱型カバーを使用する |
最重要 | 設置前の電源OFF | 安全作業のため、カバー設置前は必ずエアコンの電源を切り、運転が完全に停止していることを確認してください。 | リモコンでOFFにした後、ブレーカーも落として完全に電源を遮断する |
重要 | ファン部分の回避 | 固定用のベルトやバンドがファンに巻き込まれると、故障や事故の原因になります。ファン近くの部分は避けて固定してください。 | 室外機の側面や背面の配管周辺にベルトを通して固定する |
重要 | 季節による使い分け | 夏場は日除け効果で有効ですが、冬場は基本的に取り外しが推奨されます。暖房効率の低下を防げます。 | 10月頃に取り外し、4月頃に再設置するサイクルで管理する |
重要 | 強風時の対策 | 台風などの強風時は、カバーが飛ばされて事故の原因になる可能性があります。事前の取り外しが安全です。 | 気象警報発表時は予め取り外し、室内で保管する |
中程度 | 適切なサイズ選び | 室外機にぴったりすぎると通気性が悪化し、大きすぎると固定が不安定になります。適度な余裕が必要です。 | 室外機より一回り大きめのサイズを選び、しっかりと固定する |
中程度 | 定期的な点検 | カバーの劣化や固定具の緩みは、効果の低下や安全性の問題につながります。定期的なチェックが大切です。 | 月1回程度、カバーの状態と固定具の締まり具合を確認する |
室外機カバーを設置する際は、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。これらを守らないと、せっかくのカバーが逆効果になってしまう可能性があります。
まず最も大切なのは、通気性の確保です。室外機は常に空気の流れを必要としているため、カバーが空気の流れを妨げないよう注意してください。特に排気口(室外機の正面や側面)は絶対に塞がないようにしましょう。屋根型パネルなら問題ありませんが、3面囲いタイプを選ぶ場合は、ルーバーの隙間が十分にあるものを選ぶことが大切です。
設置時の安全確認も欠かせません。必ずエアコンの電源を切ってから作業を行い、ベルトやバンドを固定する際は室外機のファン部分を避けてください。ベルトの端がファンに巻き込まれると、故障の原因になってしまいます。
季節による使い分けも重要なポイントです。夏場は日除け効果で節電に役立ちますが、冬場は基本的に取り外すことをおすすめします。暖房運転時は室外機に日光を当てた方が効率が良くなるためです。ただし、積雪地域では雪から室外機を守るために、防雪フードなどの専用カバーが必要になる場合もあります。
また、天候状況への配慮も大切です。台風などの強風時は、カバーが飛ばされて事故の原因になる可能性があるため、事前に取り外しておきましょう。定期的にカバーの状態をチェックし、劣化や破損が見つかったら早めに交換することも安全性を保つために必要です。
エアコンの室外機カバーの必要性と実践的な活用法

ここからは、より実践的な活用方法について見ていきましょう。
日除けの設置方法から冬場の取り扱い、素材による違いまで、実際に使用する際に知っておきたいポイントをまとめています。
室外機に日除けを設置する効果と注意点
室外機への日除け設置は、夏場の節電対策として非常に効果的な方法です。直射日光による室外機の温度上昇を防ぐことで、エアコンの運転効率を大幅に改善できます。
日除けの主な効果として、室外機周辺の気温上昇を抑制することが挙げられます。夏の強い日差しで室外機本体が熱くなると、エアコンは通常よりも多くのエネルギーを使って冷房効果を生み出さなければなりません。日除けを設置することで、この余分な電力消費を削減できるのです。
設置する際の注意点として、まず室外機から適度な距離を保つことが大切です。すだれやよしずを使う場合も、直接室外機に立てかけるのは避けてください。風通しが悪くなり、熱の逃げ場がなくなってかえって電力を消費してしまいます。室外機から少し離れた場所に立てて、空気の通り道を確保することが重要です。
また、日除けの材質選びにも気を配りましょう。熱を吸収しやすい黒っぽい色は避け、日光を反射する白い色を選ぶのがおすすめです。アルミ素材なら遮熱効果が高く、耐久性にも優れています。
大手エアコンメーカーも室外機の日射防止を推奨していることから、適切に設置すれば確実に効果を実感できるでしょう。ただし、室外機がもともと日陰にある場合は、日除けによる節電効果は期待できないため、設置環境をよく確認してから導入することが大切です。
上だけにつけても効果ある?屋根型カバーの実力

屋根型カバー(上だけに設置するタイプ)は、実際に高い効果を発揮します。室外機全体を囲う必要はなく、上部からの直射日光を遮るだけでも十分な節電効果が期待できるんです。
屋根型カバーの最大のメリットは、通気性を全く損なわないことです。室外機の排気口を塞ぐことがないため、エアコンの運転効率を下げる心配がありません。むしろ、直射日光による温度上昇を防ぐことで、室外機の負担を軽減し、結果的に電気代の節約につながります。
設置の簡単さも魅力の一つです。ベルトやマグネットで固定するだけの製品が多く、特別な工具も必要ありません。価格も箱型タイプに比べて手頃で、初めて室外機カバーを試す方にもおすすめです。
ただし、屋根型カバーにもいくつかの注意点があります。風の強い日は飛ばされる可能性があるため、しっかりと固定することが大切です。また、サイズ選びも重要で、室外機よりも一回り大きいサイズを選ぶことで、しっかりと日陰を作ることができます。
実際に使用された方からは「電気代が下がった」「エアコンの効きが良くなった」という声を多く聞いています。特に南向きのベランダや庭に室外機がある場合は、屋根型カバーだけでも十分な効果を実感できるでしょう。
冬にも必要?

冬場の室外機カバーについては、基本的に取り外すことをおすすめします。暖房運転時は夏場とは逆の仕組みで動作するため、カバーが暖房効率を下げてしまう可能性があるからです。
暖房運転中の室外機は、外の空気中の熱を吸い込んで室内の冷たい空気を外に吐き出しています。この時、室外機周辺の温度が低いと、吐き出された冷たい空気が再度吸い込まれて暖房効率が落ちてしまいます。そのため、冬場は室外機に日光を当てて周辺を温めた方が効率的なのです。
ただし、積雪地域では状況が変わります。雪が室外機内部に入り込んだり、吹き出し口を塞いだりすると、暖房効率の低下や故障の原因になってしまいます。このような地域では、防雪フードや防雪ネットなど、雪対策専用のカバーを使用することが必要です。
また、室外機周辺に雪が積もって空気の通り道を塞ぐことも問題になります。定期的に除雪を行うか、室外機を雪の高さよりも高い位置に設置する「高置き架台」を利用することも有効な対策です。
先ほどもお伝えしたように、冬場に通常の室外機カバーを付けたままにすると、暖房効率が落ちて電気代が高くなる可能性があります。季節に応じた適切な使い分けが、室外機カバーを効果的に活用するポイントなのです。
アルミによる効果

アルミ製の室外機カバーは、他の素材と比べて優れた効果を発揮します。アルミの特性を活かした機能性と耐久性の高さが、多くのユーザーに支持される理由です。
最大の特徴は、優れた遮熱効果です。アルミは太陽光を効率的に反射するため、室外機への熱の侵入を大幅に削減できます。実際、アルミ蒸着フィルムを使用した製品では、室外機の温度を10度以上下げる効果が報告されているものもあります。
また、アルミは放熱性にも優れているため、室外機から発生する熱を効率よく逃がしてくれます。この特性により、エアコンの運転効率を妨げることなく、むしろ向上させる効果が期待できるのです。
耐久性の面でも、アルミ製カバーは優秀です。サビや腐食に強く、屋外での使用に適しています。メンテナンスもほとんど必要なく、一度設置すれば長期間使用できるのも魅力の一つです。木製カバーのように定期的な防腐処理も不要で、手間がかかりません。
軽量性もアルミ製の大きなメリットです。設置や取り外しが簡単で、女性でも無理なく扱えます。マグネット式のアルミカバーなら、室外機にペタッと貼り付けるだけで設置完了です。
価格面では木製やスチール製より高めですが、効果と耐久性を考えると十分にコストパフォーマンスが良いと言えるでしょう。特に海沿いの地域など、塩害が心配な場所では、アルミ製を選ぶメリットがさらに大きくなります。
100均のカバーでも大丈夫?
100均の室外機カバーでも、使い方次第では十分な効果が期待できます。価格の安さは魅力的ですが、特徴や注意点を理解した上で選ぶことが大切です。
ダイソーでは220円と330円の2種類の日除けカバーが販売されています。どちらもアルミ蒸着フィルムを使用しており、遮熱効果は期待できます。220円タイプは80cm×40cm、330円の厚手タイプは80cm×48cmとサイズが異なり、室外機の大きさに応じて選べるのが嬉しいポイントです。
100均カバーの注意点として、耐久性の低さが挙げられます。屋外で1〜2年使用すると、雨風や直射日光の影響でボロボロになってしまうことが多いんです。基本的には毎年買い替えるものと考えておいた方が良いでしょう。
また、固定方法にも気を配る必要があります。風で飛ばされやすいため、付属のベルトやバンドでしっかりと固定してください。台風などの強風時は、安全のため事前に取り外すことをおすすめします。
コストパフォーマンスを重視する方や、まずは試してみたいという方には、100均のカバーは良い選択肢です。効果を実感できたら、より耐久性の高い製品への買い替えを検討してみてはいかがでしょうか。
おすすめの室外機カバー

現在市場で人気の高い室外機カバーの中から、特におすすめの製品をご紹介します。それぞれ異なる特徴を持っているため、使用環境や目的に応じて選んでください。
マグネット式では、フォーラルの「室外機保護フード」が人気です。アルミ蒸着フィルムとエアー層の組み合わせで優れた遮熱効果を発揮し、幅112cmのワイドタイプで大型室外機にも対応できます。マグネットで簡単に着脱でき、毎日の使い勝手も良好です。
しっかりとした箱型カバーをお探しなら、アルマックスの「アルミ室外機カバー KB90」が優秀です。アルミ製で軽量ながら耐久性が高く、木目調のデザインで外観の美しさも保てます。組み立て式ですが、DIY初心者でも無理なく設置できる設計になっています。
遮熱シートとセットになった製品では、第一ビニールの「DAIM エアコン室外機カバー」が便利です。支柱とバンドテープがセットになっており、風に強い設計で安心して使用できます。メッシュ生地で通気性も確保されているため、エアコン効率を下げる心配がありません。
価格を抑えたい方には、100均商品から始めて、効果を実感できたら本格的な製品に移行するという方法もあります。どの製品を選ぶ場合も、室外機のサイズと設置環境をよく確認してから購入することが大切です。
総括:エアコンの室外機カバーは必要か
それでは最後に、この記事の内容をまとめます。