「奮発してオイルレスヒーターを買ったのに、なんだか全然暖かくない気がする…」
そんなお悩み、実は売り場に立っていると意外と多くご相談いただくんですよ。
決して安い買い物ではないですし、期待してスイッチを入れたのに部屋がヒンヤリしたままだと、正直ガッカリしてしまいますよね。「もしかして不良品?」「選び方を間違えた?」と不安になるのも無理はありません。
でも、ちょっと待ってください。その「暖かくない」という現象、実は故障ではなくオイルレスヒーター特有の「暖め方のクセ」を知らないだけかもしれません。
私自身も自宅で愛用していますが、使い始めた当初は同じように首をかしげた経験があります。
けれど、ちょっとした置き場所の工夫や、エアコンとの上手な付き合い方を知るだけで、あの極上のポカポカ空間は手に入るんです。
この記事では、家電量販店の店員としての知識と、いちユーザーとしての実体験を交えながら、オイルレスヒーターの実力を120%引き出すためのテクニックを余すことなくお伝えしますね。
さあ、一緒に「寒くない冬」を迎えに行きましょう!
- 暖かさの仕組みと正しい設置場所
- 電気代を抑える賢い運転モード活用法
- エアコンとの併用で速暖性をカバー
- 失敗しないメーカー選びとおすすめ機種
オイルレスヒーターが暖かくないと感じる原因と対策

ここでは、なぜ多くの人が「オイルレスヒーターは暖かくない」と感じてしまうのか、その根本的な理由と、すぐに実践できる具体的な対策について深掘りしていきます。
仕組みさえ理解できれば、使い方のコツが自然と見えてきますよ。
オイルレスヒーターのメリットとデメリット
まず最初に押さえておきたいのが、オイルレスヒーターが得意なことと苦手なことです。ここを理解していないと、「思ったのと違う」というミスマッチが起きてしまいます。
最大のメリットは、なんといっても「安全性」と「快適性」ですね。
火を使わないので空気を汚しませんし、温風を出さないのでホコリを舞い上げることもありません。
乾燥しにくいのも嬉しいポイント。
私のように喉が弱いタイプには本当に救世主なんです。それに、動作音が驚くほど静かなので、寝室や赤ちゃんのいる部屋には最適だと思います。
一方で、明確なデメリットも存在します。
それが「速暖性のなさ」です。石油ファンヒーターやエアコンのように、スイッチオンと同時に熱風が出るわけではありません。
「輻射熱(ふくしゃねつ)」といって、太陽の光のようにじわじわと壁や床、そして私たちの体を芯から温める仕組みなんです。そのため、部屋全体が暖まるまでにはどうしても時間がかかります。
「暖かくない」と感じる原因の多くは、この「速暖性のなさ」を理解せずに、すぐに暖まることを期待してしまう点にあるんです。
でも、一度部屋が暖まってしまえば、まるで陽だまりにいるような極上の心地よさが続きますよ。この特性を知って付き合っていくことが大切ですね。
即効性を求めず、じっくりと部屋全体を温める「待てる余裕」が快適さへの鍵です。
電気代は高い?
「オイルレスヒーターって電気代が高いんでしょ?」
これも本当によく聞かれる質問です。
正直にお話しすると、エアコンや石油ファンヒーターと比較すれば、使いっぱなしにした場合のコストは高くなる傾向にあります。
その理由は、消費電力の大きさにあります。
最大出力で運転し続けると、1時間あたり約37円から46円ほどの電気代がかかる計算になります。これを毎日長時間続けると、月末の請求書を見てびっくり…なんてことになりかねません。これが「電気代が高い」と言われる所以です。
ただ、最近のモデルは非常に賢くなっています。
設定温度に達すると自動で出力を抑える「エコモード」や、人の動きを感知して制御する機能が充実しているんです。これらを上手に活用すれば、実はそこまで恐ろしい金額にはなりません。
一番もったいないのは、設定温度を高くしすぎること。
「暖かくないから」といって設定を25℃や26℃にしていませんか?
オイルレスヒーターは20℃〜22℃設定でも、輻射熱の効果で体感温度は十分暖かく感じられます。設定温度を1℃下げるだけでも、電気代は大きく変わってくるんですよ。
暖房時の設定温度を1℃緩和することで消費電力量が約10%削減されるというデータもあり、エアコンの使い方を調査した環境省の統計でも同様の結果が示されています。
(出典:環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査 エアコンの使い方について」)
シチュエーション別の電気代比較
では、具体的にどれくらいの電気代がかかるのか、シチュエーション別に見てみましょう。
あくまで目安ですが、イメージがつかみやすくなると思います。
例えば、リビング(10畳)で家族団らんの時間に使う場合と、寝室(8畳)で就寝時に使う場合では、使い方もコストも全く違います。
私が店頭でお客様に説明する際に使っているようなイメージを表にまとめてみました。
| シチュエーション | 設定温度 | 運転モード | 1時間あたりの目安 |
|---|---|---|---|
| リビング(10畳) 夕食〜団らん |
24℃(高め) | 通常(強) | 約28円〜46円 |
| リビング(10畳) 適温維持 |
20℃(推奨) | エコ運転 | 約21円 |
| 寝室(8畳) 就寝時 |
18℃ | エコ運転 | 約11円〜15円 |
いかがでしょうか。
リビングでガンガンに暖めようとすると高くなりますが、寝室でほんのり暖かさをキープする使い方なら、意外とリーズナブルですよね。特に寝室での使用は、喉の乾燥も防げるので本当におすすめです。
また、家の断熱性能によっても大きく変わります。もし窓からの冷気がひどい場合は、「ニトムズ 窓ガラス断熱シート」などを貼って対策するだけで、熱が逃げるのを防ぎ、結果的に電気代の節約につながりますよ。
エアコンと併用して効率よく暖める

「暖かくなるまで待てない!」という方には、エアコンとの併用、つまり「ハイブリッド暖房」を強くおすすめします。これは私も自宅で実践している鉄板テクニックです。
やり方はとてもシンプル。
帰宅直後の冷え切った部屋では、まずエアコンとオイルレスヒーターの両方のスイッチを入れます。エアコンの得意技である「温風による速暖性」で、一気に室温を20℃くらいまで上げてしまうんです。
そして、部屋がある程度暖まったらエアコンをオフにし、オイルレスヒーターだけのエコ運転に切り替えます。こうすることで、最初の立ち上がりの遅さをカバーしつつ、その後の温度維持は乾燥しにくいオイルレスヒーターに任せるという「いいとこ取り」ができるわけです。
さらに効率を上げるなら、サーキュレーターの活用も欠かせません。暖かい空気はどうしても天井付近に溜まってしまいます。「顔は暑いのに足元が寒い」という現象ですね。
そこで、「アイリスオーヤマ サーキュレーターアイ」などを天井に向けて回し、空気を撹拌(かくはん)してあげましょう。これだけで体感温度がグッと上がり、ヒーターの設定温度を下げられるので省エネにもなります。
サーキュレーターのより具体的な置き方や暖房時の活用テクニックについては、隣の部屋までエアコン効果を届けるサーキュレーターの置き方ガイドも参考にしてみてください。エアコンとオイルレスヒーターを組み合わせたハイブリッド暖房と相性の良い使い方が詳しく分かります。
オイルヒーターとどっちが良い?
売り場でよく「昔ながらのオイルヒーターと、新しいオイルレスヒーター、結局どっちが良いの?」と聞かれます。名前も似ているので迷いますよね。
結論から言うと、予算が許すなら断然「オイルレスヒーター」の方がおすすめです。
理由はいくつかありますが、一番大きいのは「速暖性」の違いです。
オイルレスヒーターは、中のオイルを温める時間が不要なので、従来のオイルヒーターに比べて約2倍の速さで暖まると言われています。
また、「軽さ」も重要なポイントです。
オイルが入っていない分、本体が驚くほど軽いんです。掃除の時や、リビングから寝室へ移動させる時など、女性一人でも楽に持ち運べるのは大きなメリットだと感じます。
ただし、本体価格はオイルレスヒーターの方が高価になりがちです。
「とにかく初期費用を安く抑えたい」「移動させずに固定で使う」という場合は、従来のオイルヒーターも選択肢に入りますが、長く快適に使うことを考えると、機能面で勝るオイルレスヒーターに軍配が上がりますね。
より詳しくオイルヒーターとオイルレスヒーターの違いや電気代、選び方を知りたい方は、オイルヒーターの電気代が高くなる理由と安く使うコツ、オイルレスヒーターとの比較を解説した記事もあわせてチェックしてみてください。
処分のしやすさもポイント
オイルヒーターは廃棄時に中のオイル処理が面倒なことがありますが、オイルレスヒーターは粗大ゴミや小型家電として比較的簡単に処分できる自治体が多いのも隠れたメリットです。オイルヒーターの寿命や処分方法を詳しく解説した記事も読んでおくと、買い替えや廃棄のタイミングがイメージしやすくなります。
暖かくないと悩まないオイルレスヒーターの選び方

「暖かくない」と感じてしまう最大の要因の一つが、実はお部屋の広さや環境に合っていない機種を選んでしまっていることなんです。
ここでは、主要メーカーの特徴と、どんな人にどのモデルが合うのかを、私の販売経験をもとに解説します。
デロンギの特徴と機能
まずは、このジャンルの絶対王者、デロンギです。
イタリア生まれのデザイン性の高さはさすがの一言。部屋に置いてあるだけでインテリアが格上げされるような佇まいですよね。
デロンギのオイルレスヒーター(マルチダイナミックヒーター)の最大の特徴は、「オートアダプティブテクノロジー」という温度制御技術です。
外気温のわずかな変化も敏感に察知して、32通りもの細かな電力調整を自動で行ってくれます。これにより、暑くなりすぎたり寒くなったりすることなく、常に一定の快適な温度をキープしてくれるんです。
また、Wi-Fiモデルが充実しているのも現代のライフスタイルに合っていますよね。専用アプリを使えば、外出先からスマホで操作が可能です。
「帰宅前に暖房をオンにしておく」なんて使い方ができるので、家に帰った瞬間から暖かいというのは本当に幸せですよ。
デザインと最新機能を重視するなら、間違いなくデロンギが第一候補になるでしょう。特に「マルチダイナミックヒーター ソラーレ」などは、見た目の美しさと機能性が高次元で融合していて、接客していても非常に人気があります。
コロナの特徴と魅力
続いては、日本の暖房機器メーカーの雄、コロナです。
「ノイルヒート」というブランドで展開していますね。石油ファンヒーターで培った技術力は伊達ではありません。
コロナの凄さは、独自の「高密着FIXAL(フィクサル)ヒーター」にあります。アルミダイキャスト製のヒーターが放熱ロスを減らし、効率よく熱を伝えてくれます。そして何より私が推したいのが「足元暖房」へのこだわりです。
冷たい空気は下に溜まるという性質をよく理解していて、床付近の冷気を吸い込み、温めて循環させる気流設計が秀逸なんです。足元が暖かいと、設定温度が低めでも全身が暖かく感じますからね。
操作パネルも日本語表記で大きく、直感的に分かりやすいので、ご年配の方や機械が苦手な方にも自信を持っておすすめできます。
「やっぱり日本メーカーが安心」という声は、売り場でも根強いですよ。
日本製のオイルレスヒーター
「海外製品は修理やサポートが心配…」という方には、やはり日本製のオイルレスヒーターが安心感抜群です。
先ほどのコロナもそうですが、日本メーカーは日本の住宅事情(木造家屋や断熱性の低さ)をよく研究して製品を作っています。
例えば、安全機能の充実ぶりは見逃せません。
地震が起きた時の転倒オフスイッチはもちろん、表面温度が高くなりすぎないような設計や、チャイルドロック機能なども標準装備されていることがほとんどです。
小さなお子様やペットがいるご家庭では、こうした細やかな配慮が選ぶ決め手になりますよね。
また、最近ではシロカのようなメーカーも頑張っています。
「かるポカ」シリーズなどは、その名の通り非常に軽量で、日本の狭い住宅事情でも扱いやすいサイズ感に仕上がっています。
必要十分な機能を持ちながら価格も抑えられているので、コストパフォーマンスを重視する方にはぜひチェックしていただきたい選択肢です。
リアルな口コミから分かる実力

ここでは、私が店頭で実際にお客様から伺った「生の声」をご紹介しますね。
ネットのレビューも参考になりますが、直接お話しした感想にはリアリティがあります。
まず、ポジティブな意見で圧倒的に多いのが「朝起きた時の喉の痛みがなくなった」という声です。「今までエアコン暖房で喉がカピカピになっていたけど、これに変えてから冬の朝が辛くなくなった」とおっしゃるお客様は本当に多いです。
また、「無音なので、赤ちゃんが起きなくなった」というママさんの声も印象的でした。
一方で、ネガティブな意見として聞くのは、やはり「電気代が思ったより高かった」というお嘆きです。詳しくお話を伺うと、やはり設定温度が高すぎたり、断熱対策をしていない窓際で使っていなかったりするケースが大半でした。
あと、「本体が意外と大きくて場所を取る」という声もちらほら。デロンギやコロナの上位機種はそれなりのサイズがあるので、購入前に設置場所のサイズを測っておくことは必須ですよ。
オイルレスヒーターのおすすめモデル3選
これまでの話を総合して、今期私が自信を持っておすすめするモデルを3つ厳選しました。それぞれのライフスタイルに合わせて選んでみてください。
1. デザインと機能の最高峰:デロンギ「マルチダイナミックヒーター ソラーレ」
予算に余裕があり、リビングを最高の快適空間にしたいならこれです。Wi-Fi対応で操作性も抜群。見た目もスタイリッシュで、所有する喜びも満たしてくれます。
2. 日本製の安心感と足元の暖かさ:コロナ「ノイルヒート DHS-1523」
ご年配の方や、足元の冷えが特に気になる方におすすめ。操作が分かりやすく、安全性も高いので、実家へのプレゼントとしても選ばれています。
3. コスパと軽さで選ぶなら:シロカ「かるポカ SN-M351」
寝室や子供部屋など、個室で使いたい方にピッタリ。軽量なので移動も楽々ですし、必要十分な暖房能力を持っています。初めてのオイルレスヒーターとしても導入しやすい一台です。
オイルレスヒーターが暖かくないと感じる理由まとめ
最後に、今回の内容をおさらいしましょう。
オイルレスヒーターが「暖かくない」と感じるのには、必ず理由があります。
| 主な原因 | 解決策・対策 |
|---|---|
| 窓からの冷気(コールドドラフト) | 必ず窓際に設置し、窓を背にする。断熱シートの活用。 |
| 部屋が暖まるまでのタイムラグ | 帰宅直後はエアコンと併用し、速暖性をカバーする。 |
| 暖かい空気が天井に溜まる | サーキュレーターを天井に向けて回し、空気を循環させる。 |
| 部屋の広さと能力の不一致 | 使用畳数に合ったモデルを選ぶ。または断熱性を高める。 |
オイルレスヒーターは、決して「暖かくない暖房器具」ではありません。その特性を理解して、ちょっとした工夫をしてあげるだけで、他の暖房器具では味わえない「陽だまりのような優しさ」を届けてくれます。
ぜひ、今回ご紹介した対策を試してみてください。きっと、冬の暮らしがもっと快適で愛おしいものになるはずですよ!


