押し入れから引っ張り出してきた年代物のこたつを見て、「これ、いつから家にあるんだろう?」とふと思ったことはありませんか?
長年愛用している家電には愛着が湧くものですが、同時にどうしても気になってくるのが「電気代」と「安全性」ですよね。
お店でお客様とお話ししていても、「古いこたつを使っているんだけど、電気代が高い気がして…」「ニュースで発火事故とか見るけど、うちのは大丈夫かな?」といったご相談をいただくことが本当に多いんです。
特に最近は電気代の値上がりが続いていますから、冬の検針票を見るのが怖いという方も多いはず。「古い家電は電気代が高い」というのは一般的な通説ですが、実はこたつの場合、単純にそうとも言い切れない面白い事実があるんです。
もしあなたが「古いからもう捨ててしまおうか」と悩んでいるなら、ちょっとだけ待ってください。実は、本体を買い替えなくても、ほんの少しの工夫や部品の交換だけで、最新機種並みの省エネ性能と安全性を手に入れる方法があるんですよ。
この記事では、家電量販店の現場で培った知識をもとに、古いこたつの電気代にまつわるモヤモヤをスッキリ解消していきます。意外と知られていない「電気代の真実」から、今日からすぐに実践できる「100均節約テクニック」、そして安全に使い続けるための「プロのチェックポイント」まで、包み隠さずお話ししますね。
これを読めば、あなたの家のそのこたつ、まだまだ現役で活躍してくれるかもしれませんよ?
- 古い機種と最新機種の電気代差
- こまめに消すのとつけっぱなしの違い
- ヒーター交換で性能アップ術
- 古いこたつの危険性と寿命
古いこたつの電気代

「昔のこたつは電気を食う」なんて噂を耳にしたことがあるかもしれませんが、果たしてそれは本当なのでしょうか?
ここでは、具体的な数値や仕組みの違いを比較しながら、古いこたつの電気代の真実に迫ります。
最新機種との電気代比較
まず結論から言うと、古いこたつの電気代は最新機種に比べて「高くつく傾向」にあります。
でも、それは単にワット数の問題だけではないんです。
私がお店で接客していると、「昔のこたつも今のこたつも、消費電力は500Wくらいでしょ?なら変わらないんじゃない?」と鋭いご質問をいただくことがあります。
確かに最大出力(定格消費電力)は変わらないことが多いのですが、決定的に違うのが「ヒーターの種類」と「温度制御の賢さ」なんです。
古いこたつ(概ね2010年以前のもの)によく使われている「石英管ヒーター」は、スイッチを入れてから暖まるまで30秒から1分近くかかります。これ、朝の寒い時間帯だと結構長く感じますよね。そのため、どうしても設定を「強」にしがちなんです。
一方で、最新の高級機に使われている「フラットカーボンヒーター」や、主流の「ハロゲンヒーター」は、スイッチオンから数秒で暖かさを感じられます。
さらに重要なのが、温度を調節する「サーモスタット」の性能です。
古いモデルに使われているバイメタル式サーモスタットは、金属の熱膨張を利用したアナログなスイッチなので、温度管理が大雑把になりがち。「熱くなりすぎて切れる」「寒くなってからつく」を繰り返すので、無駄な電力を使ってしまうんです。
対して最新モデルは電子コントローラーで細かく制御しているので、必要な時だけ電気を使う賢い運転をしてくれます。この「無駄な運転時間」の差が、毎月の電気代の差として積み重なっていくわけですね。
電子コントローラーとは?
最近のこたつに多い手元コントローラーには、マイコン制御が入っています。これがきめ細かく電気のオンオフを調整してくれるので、快適さを保ちつつ節電できるんです。
弱運転での電気代と節約効果
「電気代を安くしたいなら、とりあえず『弱』にしておけばいいんでしょ?」と思っているあなた、大正解です!
実はこたつの電気代を左右する最大の要因は、この設定温度にあるんです。
お店でお客様にこの話をすると驚かれるんですが、こたつの「強」と「弱」では、電気代に数倍もの開きが出ることがあるんですよ。
一般的な石英管ヒーターのこたつ(500Wクラス)の場合、目安として「強」運転だと1時間あたり約5円〜15円程度の電気代がかかります。幅があるのは、サーモスタットの働き方によるからです。
これが「弱」運転になると、なんと1時間あたり約2円〜4円程度まで下がります。「弱」で十分に暖かい環境を作れれば、こたつは他のどの暖房器具よりも圧倒的にコスパが良い暖房器具に変身するんです。
ただし、ここで問題になるのが「古いこたつの断熱性」です。
古いこたつ布団がペラペラだったり、隙間風が入ってくる状態だと、「弱」では全然暖まらず、結局「強」にせざるを得ませんよね。これだと節約効果はゼロです。
つまり、古いこたつで電気代を安くする鍵は、ヒーターの性能以前に「いかに熱を逃がさないか」にかかっています。「弱」運転でもポカポカの状態を作ることが、最強の節電術なんですよ。
1日つけっぱなしの電気代
休みの日は朝から晩までこたつから出られない…なんてこと、ありますよね。
私も冬の休日はまさにその状態です(笑)
では、もしこたつを1日中つけっぱなしにしたら、一体いくらかかるのでしょうか。
ここでは、具体的な数字でシミュレーションしてみたいと思います。
例えば、1日8時間使用したと仮定しましょう。断熱環境が良く「弱」運転(平均約100W消費と仮定)で済んだ場合、電気代単価を31円/kWhとすると、1日あたり約25円程度です。
「えっ、そんなに安いの?」と思いますよね。
そうなんです、うまく使えばこの程度で済むんです。
しかし、これが断熱環境が悪く、常に「強」に近い状態(平均約400W消費と仮定)で運転し続けた場合はどうでしょう。同じ8時間でも、約100円近くかかってしまいます。
さらに、もし消し忘れて24時間つけっぱなしにしてしまったら…。「強」運転だと1日で300円、もし毎日やってしまったら相当な出費になりますよね。
古いこたつはサーモスタットの劣化で「切れにくい(ずっと通電している)」状態になっていることもあるので、この「つけっぱなし」のリスクがさらに高まります。
1日単位で見ると小さな差に見えるかもしれませんが、「ちりも積もれば」で家計を圧迫する原因になりかねないので注意が必要です。
つけっぱなしは火災リスクも
電気代だけでなく、古いこたつを長時間つけっぱなしにして目を離すのは、火災の原因にもなり大変危険です。就寝時や外出時は必ずオフにしましょう。
1ヶ月使い続けた場合の試算
さて、1日のコストが見えてきたところで、気になる1ヶ月の電気代を試算してみましょう。
「今月の電気代、なんでこんなに高いの?」とショックを受けないためにも、あらかじめ目安を知っておくことは大切です。ここでは分かりやすく、毎日8時間使用×30日間で計算してみますね。
まず、断熱性が高く「弱」運転で快適に過ごせたパターン。
先ほどの計算(1日約25円)を30倍すると、1ヶ月で約750円です。これ、すごくないですか?
エアコンだとこうはいきません。設定温度にもよりますが、同じ条件なら数千円単位になることが多いです。こたつのポテンシャル、恐るべしです。
一方で、古いこたつで断熱が悪く、常に「強」運転になってしまったパターン。
1日約100円とすると、1ヶ月で約3,000円になります。その差はなんと4倍!同じ「こたつ」という暖房器具を使っているのに、使い方が違うだけで月2,000円以上の差が出てしまうんです。
ワンシーズン(3ヶ月)で考えると6,000円以上。これなら、後ほど紹介する「高性能な交換用ヒーター」が買えてしまう金額ですよね。
この試算結果からも分かるように、古いこたつを使い続ける場合、「いかに強運転を避けるか」が経済的な分かれ道になります。
「古いから電気代が高い」と諦める前に、まずは今の使い方が「弱」で済む環境になっているか、見直してみる価値は大いにありますよ。
こまめに消すのとつけっぱなしの境界線
「こたつって、こまめに消した方がいいの?それともつけっぱなしの方がお得なの?」これ、店頭でもエアコンと同じくらい頻繁に聞かれる質問です。
エアコンの場合、起動時に大きな電力を使うので「短時間の外出ならつけっぱなしがお得」なんて言われますよね。でも、こたつの場合はちょっと事情が違うんです。
基本的に、こたつはエアコンのような複雑なコンプレッサーを持っていない単純な抵抗加熱(電熱線)の家電です。
そのため、起動時に爆発的な電力を消費するわけではありません。
ですから、基本ルールとしては「不在時は消す」ことが最も確実な節電方法になります。
「ちょっとトイレへ」程度ならそのままでも良いですが、30分以上席を外すなら、迷わずオフにするのが正解です。
ただ、古いこたつ(特に石英管ヒーター)の場合、一度冷え切ってしまうと再加熱に時間がかかり、その間寒くて「強」にしてしまう…という悪循環に陥ることがあります。
なので、15分程度のちょっとした離席なら、電源を切るよりも厚手の布団をしっかり掛けて「弱」で保温運転を継続した方が、部屋に戻ってきた時の快適さとトータルの消費電力のバランスが良い場合もあります。
自分の行動パターンに合わせて、「30分」を目安に使い分けてみてくださいね。
こたつとエアコンはどっちが安い?

冬の暖房、こたつだけで乗り切るか、エアコンも使うか、悩みどころですよね。
「どっちが安いの?」という質問には、はっきりと「局所暖房ならこたつ、全体暖房ならエアコン」とお答えしています。
でも、一番賢いのは「併用によるいいとこ取り」なんです。
エアコンは部屋全体を温めるのが得意ですが、暖かい空気は天井に溜まるので、足元が冷えやすいという弱点があります。足元を温めようとしてエアコンの設定温度を上げると、消費電力はグンと跳ね上がります(1℃上げると約10%アップとも言われます)。
(エアコンの具体的な電気代や節約テクニックについては、エアコンを28度でつけっぱなしにした電気代と節約方法を詳しく解説した記事も参考になるはずです)
一方、こたつは足元を温めるのは最強ですが、部屋の空気は冷たいまま。
そこでおすすめなのが、「エアコンの設定温度を18℃〜20℃くらいに下げて、こたつを『弱』で使う」というハイブリッド戦法です。これなら、エアコンの電気代を大幅に抑えつつ、こたつの血行促進効果で体感温度を高く保てます。
特に在宅ワークなどでじっとしている時は、この組み合わせが最強の節電&快適ソリューションですよ!
古いこたつの電気代削減と安全対策

ここまでは電気代のお話を中心にしてきましたが、ここからは「どうやってその古いこたつを低コストで再生させるか」という実践的なテクニックのお話です。
お金をかけずにできる工夫から、ちょっとした投資で新品同様に生まれ変わらせる裏技まで、私が普段お客様にお教えしているノウハウを全部出しちゃいます!
こたつで節電するにはどうしたらいい?
こたつの電気代を下げるための一番の近道は、ヒーターの出力を下げること。
つまり、「弱」運転でも十分に暖かくなる環境を作ることです。
ここで活躍するのが、みんな大好き100円ショップのアイテムです。
特に注目してほしいのが「断熱」です。
こたつの熱は、実は床からどんどん逃げていっています。これを防ぐために絶大な効果を発揮するのが、ダイソーなどで売られている「アルミ保温シート」です。
これをこたつの敷布団やラグの下に、アルミ面を上にして敷いてみてください。ヒーターからの熱を反射して、驚くほど保温性が高まります。これがあるだけで、設定温度を一段階下げても全然平気になりますよ。
また、こたつ布団の上からさらに「上掛け(カバー)」を一枚プラスするのも効果的です。空気の層が増えることで、魔法瓶のような保温効果が生まれます。
100均グッズや家にある毛布を駆使して、「熱を逃がさない要塞」を作ることが、節電への第一歩です。
| 対策アイテム | 期待できる効果 | 導入コスト |
|---|---|---|
| アルミ保温シート(床用) | 床への熱逃げ防止・反射熱効果 | 数百円(ダイソー等) |
| こたつ用上掛け・毛布 | 空気層の確保・放熱防止 | 自宅にあるものでOK |
| 隙間テープ | 冷気の侵入防止 | 100円〜 |
古いこたつは危ない?リスクと事故原因
「電気代も気になるけど、やっぱり安全面が…」という方、その直感はとても大切です。
NITE(製品評価技術基盤機構)のデータを見ても、こたつによる火災事故は毎年発生していて、その原因の多くが「誤った使い方」や「経年劣化」によるものなんです。
(出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構「こたつの事故の防止について(注意喚起)」)
特に危険なのが、「布団や衣類がヒーターに接触しての発火」です。
古いこたつの中に洗濯物を入れて乾かしたり、座椅子を使って布団を中に押し込んでしまったりしていませんか?
これは絶対にNGです!ヒーターの熱源に布が触れると、あっという間に焦げて発火します。
ヒーター周りのほこりや汚れを安全に取り除く具体的な方法については、こたつヒーターのほこり掃除と火災リスクを詳しく解説した記事も参考にしてください。
また、電源コードの劣化も深刻なリスクです。
コードを足で踏んだり、こたつの脚の下敷きにしたりしていると、内部で断線してスパーク(ショート)し、火花が出ることがあります。古いこたつのコードは被覆が硬くなっていることが多いので、特に注意が必要です。
「うちは大丈夫」と思わず、一度点検してみてくださいね。
寿命と買い替えのサイン
では、具体的にどんな状態になったら使用を中止すべきなのでしょうか。
メーカーの推奨使用期間は一般的に約10年と言われていますが、それ以上使っているご家庭も多いはず。私がお店でお客様にお伝えしている「即・使用中止レベル」の危険サインをリストアップしました。
こんな症状が出たらすぐ使用中止!
- 電源コードを動かすと、ついたり消えたりする(内部断線の可能性大)
- 使用中に「ジージー」「カラカラ」と異音がする
- 焦げ臭いにおいや、魚が腐ったような変なにおいがする
- コントローラーやプラグが異常に熱くなる
- 温度調節がきかず、熱くなりすぎる
これらが一つでも当てはまったら、もうそのこたつ(ヒーター部分)は寿命です。
「まだ暖まるから」といって使い続けるのは、爆弾を抱えているようなもの。火災になってからでは遅いので、迷わず買い替えや修理を検討してください。
ヒーター交換で性能アップ

「寿命なのはわかったけど、このこたつテーブル、気に入ってるし、捨てるのは粗大ゴミで大変だし…」と悩みますよね。
そんなあなたに朗報です!
実は、こたつは「ヒーターユニットだけ交換」できるんです。これ、意外と知らない方が多い裏技なんです。
こたつのヒーターユニットは規格サイズ(29cm×29cmなど)が決まっているものが多く、ドライバー1本あれば女性でも簡単に交換できます。
おすすめのメーカーは、業界シェアNo.1のメトロ電気工業です。
例えば、同社の「MCU-501EC(K)」などのカーボンヒーターユニットに交換すれば、速暖性も省エネ性能も最新機種と同等になります。
実際のサイズの測り方や交換手順をもっと詳しく知りたい場合は、メトロ製こたつヒーターの寿命サインと交換方法を解説した記事もチェックしてみてください。
交換費用も5,000円〜1万円程度で済むので、新しいこたつを丸ごと買うより断然お得。テーブルはそのままで、中身だけ最新スペックにアップデートできるなんて、最高のリサイクルですよね。
DIYといっても、古いネジを4本外して付け替えるだけなので、本当に簡単ですよ!
消し忘れ不安を解消する便利グッズ
最後に、「こたつを消したか不安で家に戻ったことがある」という心配性なあなたへ、最強の助っ人をご紹介します。
それは「スマートプラグ」です。
これをコンセントとこたつのプラグの間に挟むだけで、スマホから電源のオンオフができるようになります。
例えば、「SwitchBot プラグミニ」などが有名ですね。
これを使えば、外出先からアプリで「あ、消し忘れてる!」と確認してその場でオフにできますし、「毎日23時に自動でオフ」といったスケジュール設定も可能です。
さらに、消費電力(ワット数)もスマホで見られるので、「強だとこんなに電気使ってるんだ!」と目に見えてわかって、節電意識も高まります。
もっとシンプルにいくなら、パナソニックなどの「ダイヤルタイマー」もおすすめ。
時間をセットして回すだけで、指定時間後に必ず切れるので、お年寄りのいるご家庭でも安心です。
こうした便利グッズを一つ挟むだけで、古いこたつが一気にIoT家電に進化しますよ!
まとめ:古いこたつの電気代
ここまで、古いこたつの電気代事情から、安全な使い方、そして再生術までお話ししてきましたが、いかがでしたか?
「古い=悪」と決めつける前に、できることがたくさんあることに気づいていただけたなら嬉しいです。
今回のまとめ
- 古いこたつは最新機種より電気代が高くなりがちだが、使い方次第でカバー可能。
- 「弱」運転と断熱対策(アルミシート等)の組み合わせが最強の節電術。
- こまめに消すより、短時間なら「弱」で保温の方が効率が良い場合も。
- 異音や異臭は危険サイン。ヒーターユニット交換で安全&省エネに生まれ変わる。
古いこたつも、中身(ヒーター)を交換したり、スマートプラグで管理したりすれば、最新家電に負けない快適さと安全性を手に入れられます。
愛着のある家具を大切に使い続けることは、究極のエコでもありますよね。
ぜひ今年の冬は、賢くアップデートした「新生こたつ」で、ぬくぬくと温かい時間を過ごしてくださいね!


