冬の足音が聞こえてきて、押し入れから重いこたつ布団を引っ張り出してきたあなた。
ワクワクしながらスイッチを入れた途端、ツーンと鼻を突く焦げ臭いにおいに不安を感じたことはありませんか?
恐る恐るヒーターの中を覗いてみると、網の奥にはびっしりと溜まった灰色のホコリたち。
正直なところ、見なかったことにしてそっと布団をかけてしまいたい気持ち、痛いほどわかります。
でも、ちょっと待ってください。
そのホコリを放置して使い続けることは、単に不衛生なだけじゃなく、最悪の場合は火事や故障を引き起こす時限爆弾を抱えているようなものなんです。
でも安心してください。
身近なグッズや便利なアイテムをうまく使えば、誰でも安全にこたつのほこり掃除はできるんです。
今回は、私が普段お店でお客様にこっそり教えている、販売員直伝の簡単メンテナンス術を余すことなくお伝えします。
焦げ臭いにおいの原因から、100均アイテムを使った具体的な掃除手順、そして日頃の予防策まで、安全にこたつを使うための知識を丸ごと持ち帰っていただけますよ!
- 焦げ臭い臭いは危険信号の可能性
- 放置すると火事のリスクも高まる
- 100均グッズで隙間の埃も除去
- 電動エアダスターで一気に解決
こたつのほこり掃除の重要性

「たかがホコリでしょ?」なんて侮るなかれ。こたつのヒーター部分に溜まったホコリは、実はとんでもないトラブルメーカーなんです。
ここでは、なぜこたつにホコリが溜まりやすいのか、そして放置するとどんなリスクがあるのか、お店でお客様とお話しするような感覚でわかりやすく解説していきますね。
焦げ臭いのは埃のせい?
久しぶりにこたつをつけて、「なんか焦げ臭い…」と不安になった経験、みなさん一度はあるんじゃないでしょうか。この嫌な臭い、十中八九、ヒーターユニット内部に溜まった「ホコリ」が原因なんです。
こたつのヒーターは高温になりますから、そこに付着していたホコリや髪の毛、ペットの毛などが熱で焼けて、あの独特の焦げ臭さを発生させるんですね。
私がお店に立っていても、「こたつから変なにおいがするんだけど、これって故障?」という相談をよく受けます。
実はこれ、こたつからの「掃除してくれー!」という悲鳴だと思ってください。初期段階では単に臭いだけで済みますが、これは明らかに「異常事態」の始まり。
特に使い始めの時期は、押し入れの中で一年分熟成された(笑)ホコリが焼けるので、強烈な臭いがすることが多いんです。
「そのうち消えるかな」と思って使い続ける方も多いですが、臭いが消えない場合はホコリが炭化してこびりついている可能性が高いので、すぐに対処が必要ですよ。
掃除しないとどうなる?
「臭いくらい我慢すればいいや」なんて思っていませんか?
これ、家電担当としては絶対にNGと言わせてください。
ホコリだらけの状態でこたつを使い続けると、最悪の場合、火事につながるリスクがあるんです。
実際に、配線器具まわりのホコリが原因とみられる火災事故は毎年報告されていて、(出典:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)「ホコリも積もれば事故となる ~年末は配線器具の掃除・チェックもお忘れなく~」)のように公的機関も注意喚起しています。
専門用語でいうと「トラッキング現象」に近いことがヒーター内部で起こったり、溜まった綿埃に直接引火して燻るように燃え出したり…。特に電源コードのプラグ周辺やヒーター管の周りは要注意です。
それに、ホコリがヒーター管を覆ってしまうと、熱がうまく放出されなくなります。そうすると、こたつが全然暖まらなくなるんですよね。
「最近こたつの効きが悪いな~」と思って設定温度を「強」に上げると、今度は電気代が無駄にかかる上に、内部の温度センサーが誤作動を起こして故障の原因にもなります。
掃除をサボることは、安全を脅かすだけでなく、お財布にも優しくない結果を招くんですよ。だからこそ、定期的なメンテナンスは本当に大切なんです。
こたつヒーターに出る白い粉
たまにお客様から「ヒーターの網(ガード)に、なんか白い粉みたいなのが付いてるんだけど、これ何?」って聞かれることがあります。
カビかな?と心配される方も多いんですが、多くの場合、これもホコリの成れの果てや、衣類から出た繊維クズが集まったものなんです。
冬場は乾燥しているので静電気が発生しやすく、セーターやフリースなどの繊維が細かくなって、ファンの風に乗ってヒーター内部に吸い込まれます。それが網の部分で静電気によって吸着し、熱と乾燥で固まって白い塊や粉のように見えることがあるんです。
もちろん、湿気の多い場所で保管していた場合はカビの可能性もゼロではありませんが、どちらにせよ吸い込みたくないものですよね。
この白い粉が舞って、お茶やみかんの上に…なんてことになる前に、しっかりと取り除いておく必要があります。見た目も悪いですし、衛生的にも良くないですからね。
掃除しにくい構造の理由
「掃除しなきゃいけないのは分かったけど、こたつって掃除しにくすぎない?」
はい、その通りなんです。私も全力で同意します(笑)
これには家電としての構造的な理由があるんですよね。
今のこたつの主流である「ファン付きヒーター」は、空気を循環させるためにファンを回して風を起こします。この「空気を吸い込む」という仕組み上、どうしても床のホコリも一緒に吸い込んでしまう「掃除機」のような状態になっちゃうんです。
しかも、安全のために指が入らないよう、ガード(網)の目は細かくなっていますよね。
これが掃除を阻む最大の壁!
掃除機のノズルは入らないし、雑巾で拭こうとしても網目が邪魔で奥まで届かない…。
メーカーであるメトロ電気工業やニトリ、山善といった製品も、基本的には安全第一で作られているので、ユーザーが簡単に分解できないようになっています。ネジを外して分解すれば綺麗になるのは分かっているんですが、それをするとメーカー保証が切れてしまったり、組み立てミスで事故につながったりするリスクも。
この「汚れやすいのに掃除させてもらえない」というジレンマが、こたつ掃除を難しくしている一番の理由なんですね。
ロボット掃除機の活用

「面倒な床掃除はロボット掃除機にお任せ!」というご家庭も増えてきましたよね。
私の働いているお店でも、ロボット掃除機は大人気商品です。
ロボット掃除機の選び方やおすすめ機種については、水拭きなしのおすすめロボット掃除機の選び方で詳しくまとめているので、こたつ周りのホコリ対策として導入を検討している方は参考にしてみてください。
でも、こたつとの相性は…正直言って、あまり良くない場合が多いんです。
こたつ布団が垂れ下がっていると、ロボット掃除機はそれを「壁」だと認識して中に入ってくれません。
じゃあ布団を上げればいいかというと、今度はこたつの脚や電源コードが障害物になります。
特にコード!
これに絡まって止まっているロボット掃除機の姿、見たことありませんか?(笑)
ただ、最近の機種は賢くなっているので、コードを回避したり、布団をめくってあげれば中に入って掃除してくれたりもします。
こたつ内部の床(畳やカーペット)のホコリを減らすことは、ヒーターが吸い込むホコリを減らすことにも直結します。なので、こたつを使わない時間帯は布団を上げて、ロボット掃除機や普通の掃除機でこたつ下の床を徹底的に綺麗にしておく。
これが、回り道に見えて実はヒーターを汚さないための一番の予防策だったりするんですよ。
100均や家電を活用するこたつのほこり掃除手順

さて、ここからは実践編です!
「分解できないならどうすればいいの?」という声にお応えして、私が普段やっている、安全かつ効果的な掃除方法をご紹介します。
身近な100均グッズから、あると便利な最新家電まで、家電店員の視点で選び抜いたアイテムを使えば、あの厄介なホコリともおさらばできますよ。
隙間ブラシを用いるこたつの掃除方法
まずはお金をかけずにできる方法から。
みんな大好き100円ショップの出番です!
私が特におすすめしたいのが、ダイソーなどで売っている「隙間用掃除ブラシ」や「注ぎ口洗いブラシ」です。
これ、本来はキッチンの掃除用だったりするんですが、こたつのガード(網)掃除にシンデレラフィットするんですよ。
普通の歯ブラシだと、毛が短すぎて網の奥まで届かないんですよね。
でも、注ぎ口洗いブラシなら細長くてコシがあるので、網の隙間から差し込んで、奥にあるファンやヒーター管周辺のホコリを物理的に「掻き出す」ことができるんです。
使い方は簡単。
こたつのコンセントを抜いて冷ました後、下から覗き込みながらブラシを差し込んで、優しくこするだけ。
この時、強くやりすぎないのがコツですよ。ヒーター管はガラス製のものも多いので、割らないように優しく、撫でるように。
掻き出したホコリがボロボロ落ちてくるので、下には新聞紙などを敷くのを忘れずに。
地味な作業ですが、「こんなに取れるの!?」ってくらいホコリが出てくるので、謎の達成感があります(笑)
おすすめ100均アイテム(ダイソー等)
- 隙間用掃除ブラシ(ハードタイプ): 網目のホコリを掻き出すのに最適。
- 注ぎ口洗いブラシ: 細いので網の奥まで届きやすい神アイテム。
電動エアダスターを使ったファンの掃除
「ちまちまブラシでやるのは面倒!」という方や、もっと徹底的に綺麗にしたい方には、秘密兵器をご紹介します。
それが「電動エアダスター」です。
よくパソコンのキーボード掃除に使うスプレー缶タイプのエアダスターがありますが、あれだと逆さにして使えなかったり、すぐガス切れになったりしますよね。
PC内部の掃除でのエアダスターの選び方や注意点は、PC掃除の正しいやり方とやってはいけないこと!エアダスターの注意点もで詳しく解説していますが、こたつヒーターに使うときも「逆さ噴射は避ける」「対象から適切な距離を保つ」といった基本は同じです。
電動タイプなら、充電式で風量も強力、しかも繰り返し使えてエコなんです。
例えば、サンワダイレクトの「電動エアダスター 200-CD071」などは、パワーがあっておすすめです。
やり方は豪快ですよ。
ヒーターユニットを天板から外して(外し方は後述しますね)、ベランダや庭に持っていきます。そこで、ブォーッ!と風を吹き込むんです。
もうね、数年分のホコリが煙幕みたいに吹き飛んでいきます(笑)
これは本当に気持ちいい!
ブラシでは届かないモーターの裏側や基盤の隙間のホコリまで一気に飛ばせるので、清掃効果は抜群です。
これは「分解掃除」並みの効果を、分解せずに得られる最強の時短テクニックかなと思います。
ただし、室内でやると部屋中がホコリまみれになるので、必ず屋外でやってくださいね。
缶タイプのエアダスターについて
缶タイプを使用する場合、「逆さ噴射OK」の記載があるものを必ず選んでください。対応していないものを逆さで使うと、液化ガスが噴出してヒーター管を破損させたり、故障の原因になったりします。
ヒーターカバーの外し方と分解掃除の注意点
ここで「分解」について、家電店員として大事なことをお伝えします。
ネットで検索すると、ドライバーで網(ガード)を外して中身を丸裸にしている記事も見かけますが、正直おすすめしません。私が推奨するのは、「ヒーターユニット本体をこたつ天板から取り外す」ところまでです。
多くのこたつ(メトロ電気工業製などのユニット)は、本体の四隅にある「化粧ビス」という大きなネジを手で回すだけで、簡単に天板からユニットごと取り外せるようになっています。
これなら工具も要らないし、メーカーが認めている「お手入れ」の範囲内なので安全です。ユニットを外せば、先ほどのエアダスター掃除も格段にやりやすくなりますからね。
一方で、ユニット自体の金属ケースを開けてファンを露出させるような分解は、元に戻す時に配線を挟んでショートさせたり、温度ヒューズの位置がずれて安全装置が働かなくなったりするリスクがあります。
「壊してもいい覚悟」がある方以外は、ユニットの取り外しまでに留めておくのが無難ですよ。
安全第一でいきましょう!
フラットヒーターの掃除手順
最近人気の「フラットヒーター」タイプのこたつをお使いの方もいますよね。
薄くてでっぱりがないので足元が広々使えるのが魅力ですが、これの掃除はどうすればいいのでしょう?
フラットヒーターは、一般的な石英管ヒーターのようにファンで風を送るタイプではなく、広い面積でじんわり温めるタイプが多いです。ファンがない分、内部にホコリを吸い込むことは少ないですが、静電気で表面にホコリがびっしり…ということはよくあります。
このタイプは、表面が不織布や金属パネルで覆われていることが多いので、基本的には「表面の拭き掃除」と「掃除機での吸引」がメインになります。
掃除機にブラシ付きのノズル(各メーカーのハンディクリーナーなどに付属しているもの)を付けて、表面のホコリを優しく吸い取ってください。
汚れがひどい場合は、中性洗剤を薄めた水に浸して固く絞った布で拭き、そのあと必ず乾拭きをして水分を残さないようにしましょう。
フラットヒーターは面積が広い分、ホコリが付着すると熱効率が落ちやすいので、こまめに表面を撫でてあげるのがポイントです。
掘りごたつの掃除方法
ちょっと特殊なのが「掘りごたつ」。
足が下ろせて楽ちんですが、あの穴の中、ブラックホールになってませんか?(笑)
掘りごたつのヒーターは、底面に設置されているタイプと、普通のこたつのように天板裏についているタイプがあります。特に底面にあるタイプは、食べこぼしやホコリが直撃するので汚れやすさはナンバーワンかも。
掃除の手順としては、まず底に敷いてあるスノコや畳を外して、溜まったゴミを掃除機で吸い取ります。
ヒーター部分は、先ほど紹介したブラシやエアダスターを使って掃除するんですが、掘りごたつの場合は「湿気」にも注意が必要です。床下に近いので湿気が溜まりやすく、ホコリと混ざってカビの原因になることも。
掃除のついでに、しばらく蓋を開けっ放しにして換気をしてあげると、ヒーターの寿命も延びますよ。
膝をついての作業になるので結構大変ですが、ここを綺麗にすると部屋の空気まで変わる気がします。
こたつ布団の掃除とテーブルの掃除も忘れずに

ヒーターばかり気にしていて、盲点になりがちなのが「こたつ布団」です。
実は、ヒーターが吸い込むホコリの供給源の大部分は、このこたつ布団なんですよ。
特にニトリの「Nウォーム」のような起毛素材の温かい布団は、どうしても繊維が出やすい傾向にあります。
布団がホコリだらけだと、いくらヒーターを掃除してもイタチごっこ。
なので、こたつ布団にはこまめに掃除機をかけたり、コロコロ(粘着クリーナー)で繊維クズや髪の毛を取ったりしましょう。天気の良い日に外でパンパンと叩くだけでも違います。
また、こたつテーブル(天板)の裏側も見てみてください。
ヒーターの周り、静電気で黒い煤(すす)のようなホコリが付着していませんか?
ここもしっかり水拭き&乾拭きをしておきましょう。
周辺環境を綺麗にすることが、結果としてこたつヒーターを長持ちさせることにつながるんです。
お掃除におすすめの家電
コードレスで取り回しが良いSharkの「EVOPOWER SYSTEM」や、マキタの「充電式クリーナ CL107FDSHW」などは、こたつの中に潜り込んでの作業も楽々でおすすめですよ。
まとめ:安全なこたつのほこり掃除
ここまで、こたつのほこり掃除について熱く語ってきましたが、いかがでしたか?
「焦げ臭い」は放置せずに、すぐに対処が必要だということ、伝わりましたでしょうか。
最後に、今回のお話を整理しておきますね。
| 掃除レベル | おすすめの道具 | ポイント |
|---|---|---|
| 日常ケア | 掃除機、粘着クリーナー | こたつ布団や床のホコリを減らし、ヒーターへの吸い込みを防ぐ。 |
| しっかり掃除 | 隙間用ブラシ、掃除機 | 網の隙間からブラシを入れて掻き出す。100均グッズが活躍! |
| 徹底洗浄 | 電動エアダスター | ユニットを外して屋外でブロー。分解並みの効果で爽快。 |
こたつは日本の冬の宝物。
だからこそ、安全に長く使ってほしいんです。
「分解掃除」という危険な橋を渡らなくても、ダイソーのブラシや便利なエアダスターを使えば、十分に綺麗になります。今年の冬は、ホコリっぽくないクリーンなこたつで、家族団らんの時間を過ごしてください。
あ、掃除の際は必ずコンセントを抜いて、ヒーターが冷めていることを確認してから始めてくださいね!


