キッチンの換気扇掃除、本当に億劫ですよね。特にあの頑固な油汚れ、どうやって落とせばいいのか悩んでいませんか?
実は換気扇の油汚れって、普通の洗剤じゃ太刀打ちできないんです。なぜなら油汚れは酸性で、それを落とすにはアルカリ性の洗剤が必要だから。
でも、アルカリ性といっても強さはさまざま。セスキ炭酸ソーダや重曹のような弱アルカリ性から、業務用の強力なものまで、選択肢はたくさんあります。
しかもアルミ素材には使えない洗剤があったり、塗装が剥がれてしまうリスクがあったり。
この記事では、換気扇の油汚れに効く洗剤の選び方から、汚れのレベル別のおすすめ洗剤、そして安全で効果的な掃除方法まで、詳しくお伝えしていきます。
アルカリ性洗剤のpHによる違いや、素材別の注意点も含めて、あなたの換気扇掃除が劇的に楽になる情報をお届けしますね。
換気扇の油汚れにおすすめの洗剤タイプ

換気扇の掃除って、本当に気が重い家事のひとつですよね…。
特に油汚れは時間が経つとカチカチに固まってしまって、普通の洗剤じゃ歯が立たないことも多いです。
でも、汚れの正体と洗剤のタイプをちゃんと理解すれば、驚くほどスルッと落とせるようになるんですよ。このセクションでは、まず換気扇の油汚れにどんな洗剤が効くのか、その「基本のキ」から一緒に見ていきましょう!
洗剤の液性(pH)と汚れの関係
換気扇の掃除で一番大切なのが、この「洗剤の液性」なんです。
キッチンの油汚れ、特に換気扇にこびり付いたギトギトの汚れは、実は化学的に「酸性」の性質を持っています。調理で出た油煙が冷えて固まり、そこにホコリが混じって、さらに熱で酸化・硬化していく…。これがベタベタ・カチカチ汚れの正体なんですね。
この酸性の汚れを落とすには、反対の性質である「アルカリ性」の洗剤を使うのが鉄則です。理科の実験でやった「中和」と同じ原理ですね。アルカリが油汚れを分解・乳化させて、落としやすくしてくれるんです。
洗剤の強さは「pH(ピーエイチ)」という数値で表されて、この数値によって洗浄力が変わってきます。
洗剤の「液性」分類(目安)
家庭用品品質表示法では、洗剤の液性をpH値によって分類しています。
(出典:消費者庁「住宅用又は家具用の洗浄剤」)
- 中性(pH 6~8)
食器用洗剤など。素材へのダメージが一番少ないですが、頑固な油汚れを落とす力は弱めです。 - 弱アルカリ性(pH 8~11)
セスキ炭酸ソーダや重曹、軽い油汚れ用の洗剤がここに入ります。中性より洗浄力が高いです。 - アルカリ性(pH 11~14)
換気扇用の強力な洗剤や業務用洗剤がこれです。洗浄力が非常に高いのが特徴ですね。
「じゃあ、一番強いアルカリ性を使えばいいんだ!」って思いがちですが、そこが注意点なんです。
洗浄力が強いアルカリ性洗剤は、そのぶん素材への攻撃性も高いんですね。
例えば、換気扇の塗装面に使ったら塗装が剥げてしまったり、特にアルミ素材(フィルターや一部のファンで使われています)に使うと、腐食して変色したり、黒ずんでしまうことがあるんです。
それに、人間の皮膚はタンパク質でできていますが、強アルカリはタンパク質を溶かす性質があります。だから、素手で触ると肌荒れどころか、ひどい場合は火傷のようになってしまうことも…。
アルカリ性洗剤を使う時の注意点
アルカリ性の洗剤、特に「水酸化ナトリウム」や「水酸化カリウム」といった成分が入っている強力なタイプを使う時は、以下の点を絶対に守ってくださいね。
- 必ず厚手のゴム手袋を着用する(必須です!)
- 目に入らないよう、できれば保護メガネもする
- 換気扇の塗装や素材(特にアルミ)を傷めないか、目立たない場所で試してから使う
安全に使うことが、お掃除では何より大切ですからね!
汚れのレベルと、掃除したい場所の「素材」を見極めて、適切な強さの洗剤を選ぶこと。これが換気扇掃除を成功させる最大のコツだと思います。
つけ置きに最適 セスキ炭酸ソーダ
最近、ナチュラルクリーニングとしてすっかり有名になった「セスキ炭酸ソーダ」。
これも換気扇掃除の強い味方なんですよ。
セスキ炭酸ソーダは「弱アルカリ性」です。同じナチュラル系で有名な「重曹」も弱アルカリ性なんですが、セスキ炭酸ソーダの方が重曹よりもアルカリ度が高くて、油汚れを分解する力が強いのが特徴です。なんと重曹の約10倍とも言われているんですよ。
もう一つの大きな特徴は、水にとても溶けやすいこと。重曹は水に溶けにくい粒子感が残りますが、セスキはサーッと溶けてくれます。この性質のおかげで、「セスキ水スプレー」を作ったり、特にお湯に溶かして「つけ置き」するのに最適なんです。
シロッコファンやフィルターなど、取り外せる部品を丸ごとつけ置きするのが一番効果的ですね。
セスキ炭酸ソーダでのつけ置き方法
準備するものは、セスキ炭酸ソーダと、40℃~60℃くらいのお湯、それと部品が入る大きな容器です。
- シンクや大きなポリバケツに、40℃~60℃のお湯を張ります。(熱い方が油汚れは緩みやすいです)
- お湯10リットルに対して、セスキ炭酸ソーダ大さじ3~4杯程度を目安に溶かします。(濃度は汚れ具合で調整してくださいね)
- 取り外したシロッコファンやフィルターを、その中に沈めます。
- そのまま1~2時間ほど放置します。汚れがひどい場合はもう少し長くても大丈夫です。
- 時間が経つと、油汚れがふやけて浮き上がってきます。
- ゴム手袋をして、古い歯ブラシや専用のブラシでこすると、スルッと汚れが落ちやすくなっていますよ。
- 最後はキレイなお湯や水で、洗剤成分が残らないようによーくすすいで、しっかり乾燥させたら完了です!
豆知識:大きな部品が入る容器がない時は?
シロッコファンは入るけど、フィルターや整流板(カバー)がシンクに入りきらない…ってこと、ありますよね。
そういう時は、大きめのダンボール箱の内側に、45Lなどの大きなゴミ袋を2~3重に重ねて即席の「つけ置き槽」を作るのがおすすめです。水漏れしないように袋を重ねるのがポイントですよ。これなら掃除が終わったらそのまま捨てられるので後片付けも楽ちんです。
ただし、セスキ炭酸ソーダも万能ではありません。弱アルカリ性なので、何年も放置されてカチカチに樹脂化したような頑固すぎる油汚れは、これだけだと落としきれない場合があります。
あくまで「中程度までの油汚れ」や「定期的なお掃除」に向いている、安全性の高い洗剤、と考えるのが良いと思います。
重曹ペーストでこびり付き対策
セスキ炭酸ソーダと並んで人気の「重曹」ですね。
重曹もセスキと同じ「弱アルカリ性」なんですが、その性質はちょっと違います。
セスキが「水に溶けやすく、油を溶かす力(化学的な力)が強い」のに対して、重曹は「水に溶けにくく、粒子が残る」という特徴があります。この溶けにくい粒子が、「研磨剤」として物理的に汚れをこすり落とすのに役立つんです。
なので、つけ置きで広範囲の汚れを溶かすならセスキ、フード本体やファンにこびり付いた「部分的な頑固な汚れ」や「焦げ付き」をピンポイントで磨き落としたいなら重曹、という使い分けがおすすめですね。
特に私がおすすめしたいのが「重曹ペースト」です。
重曹ペーストの作り方と使い方
作り方はとっても簡単です。
重曹と水(または、ぬるま湯)を「2 : 1」くらいの割合で混ぜるだけ。少しずつ水を加えながら、歯磨き粉くらいの固さのペースト状にします。
もっと洗浄力が欲しい時は、水の代わりに食器用の中性洗剤を混ぜてペーストを作るのも効果的ですよ。
使い方は、このペーストを汚れが気になる部分に直接塗りつけます。
- フード本体の垂直面や、ファンの羽にこびり付いたカチカチの汚れに、重曹ペーストを塗り込みます。
- ペースト状なので、液体の洗剤と違って垂れにくく、汚れにしっかり密着してくれるのが嬉しいポイントです。
- そのまま30分~1時間ほど放置して、汚れと反応させます。
- 時間が経ったら、丸めたラップやスポンジ、古い歯ブラシなどでクルクルと円を描くようにこすります。(重曹の研磨効果で汚れを削ぎ落とすイメージですね)
- 汚れが落ちたら、洗剤成分が残らないように、固く絞った濡れ雑巾で水拭きし、最後に乾拭きして仕上げます。
重曹の「粉末パック」もおすすめ
取り外したフィルターなどには、重曹の「粉」をそのまま振りかけちゃう「重曹パック」という手もあります。
フィルターの網目に重曹の粉末をたっぷり振りかけて、油と反応させるために数時間放置します。重曹が油を吸って浮き上がらせてくれるので、その後お湯で洗い流すとキレイになりますよ。これも手軽でおすすめです。
ただし、重曹は研磨剤です。あまり強くこすりすぎると、換気扇の塗装面や柔らかい素材に細かいキズをつけてしまう可能性もあります。
特にツヤのある塗装面などは、優しく試してから使うようにしてくださいね。
業務用と家庭用の違いとは?

お店でも「家庭用じゃ落ちないから、業務用の強力な洗剤ない?」って聞かれること、結構あるんです。
家庭用洗剤と業務用洗剤の決定的な違い、それはズバリ「有効成分の濃度」です。
業務用洗剤は、ハウスクリーニングのプロが使うことを前提にしているので、家庭用よりもずっと高濃度のアルカリ剤(水酸化ナトリウムなど)や界面活性剤が入っています。
だから、洗浄力が非常に高いんですね。
何年も蓄積したような、カチカチ・ギトギトの油汚れにも太刀打ちできるパワーを持っています。
また、大容量で売られていたり、水で薄めて使う「希釈タイプ」が多かったりするので、実はお掃除の頻度が高いご家庭だと、トータルでのコストパフォーマンスは業務用の方が良くなる場合もあるんです。
…と、良いことばかりみたいですが、もちろんデメリットも大きいので注意が必要です。
業務用洗剤の高いリスク
濃度が高いということは、それだけ「危険性」と「素材への攻撃性」が高いということです。
- 人体への危険性
家庭用とは比較にならないほど強力なので、ゴム手袋は必須です。目に入ったり皮膚に付着したりすると非常に危険です。換気も絶対に必要ですね。 - 素材へのダメージ
洗浄力が強すぎるあまり、換気扇の塗装を簡単に剥がしてしまったり、アルミ素材を一瞬で変色・腐食させたりするリスクが非常に高いです。 - 手間の問題
希釈タイプは、自分で適切な濃度に薄める手間がかかります。この濃度を間違えると、汚れが落ちなかったり、逆に素材を傷めすぎたりする原因にもなります。
私も家電量販店で働いているので色々なレンジフードを見ますが、最近の製品はキレイな塗装がされているものが多いですよね。そういう製品に安易に業務用洗剤を使うのは、正直あまりおすすめできません…。
「半年に一度」くらいの定期的なお掃除なら、家庭用の強力タイプやセスキで十分対応できると思います。
業務用洗剤が選択肢になるのは、本当に「引越しで入居したら、前の住人の汚れが数年分溜まっていて手が付けられない」といった、最終手段に近いケースじゃないでしょうか。
もし使う場合は、必ず目立たない場所で試して、素材に影響が出ないか確認してからにしてくださいね。
シロッコファンの掃除方法
換気扇掃除のラスボスと言えば、やっぱり「シロッコファン」ですよね。
あの細かい羽の隙間に油汚れがビッシリ…と想像するだけで、やる気がなくなっちゃうかもしれません。
でも、手順さえ分かれば大丈夫ですよ!
一番効果的な「つけ置き」を中心にした掃除方法をご紹介しますね。
STEP 1:まずは安全対策と準備
お掃除を始める前に、絶対にやってほしい準備があります。これを怠ると、ケガや故障の原因になるので要注意です!
- 電源をOFF!
万が一、掃除中にファンが作動したら大変です。必ず換気扇の電源プラグを抜くか、それが難しい場合はキッチンのブレーカーを落としてください。 - 自分の保護!
強力なアルカリ性洗剤を使います。厚手のゴム手袋は絶対に着用してください。できれば保護メガネもあると安心です。 - コンロ周りの保護(養生)
洗剤が垂れて、下のガスコンロやIHクッキングヒーター(特にガラストップ!)を傷めてしまうことがあります。コンロ全体を新聞紙や大きなゴミ袋で覆って、しっかり養生しましょう。 - 換気!
洗剤のニオイや成分を吸い込まないよう、必ず窓を開けるか、別の換気扇を回しながら作業してくださいね。
STEP 2:部品の分解
一般的なレンジフード(シロッコファンタイプ)は、以下の順番で部品を取り外せるようになっています。メーカーや機種によって違うので、必ずご自宅の取扱説明書も確認してくださいね。
- 整流板(せいりゅうばん)
フードの下側についている大きなカバーパネルです。 - フィルター
金属製の網状の部品です。(※最近はフィルターレスの機種も増えましたね) - ベルマウス
シロッコファンの手前についている、円盤状の部品です。 - シロッコファン
中心にあるネジ(スピンナー)を回すと取り外せます。このネジ、「時計回り」に回すと緩むタイプが多いので注意です!普通と逆なんですよね。
STEP 3:つけ置き洗い
取り外した部品(フィルター、ベルマウス、シロッコファン)を丸ごとつけ置きします。
先ほど「セスキ炭酸ソーダ」のセクションでご紹介したように、シンクやバケツ、またはダンボール+ゴミ袋で「つけ置き槽」を用意します。そこに40℃~60℃のお湯を張り、推奨されている洗剤(セスキ炭酸ソーダや、後でご紹介する強力なつけ置き用洗剤)を溶かします。
部品をドボンと浸して、汚れの度合いによりますが、10分~数時間放置します。
汚れがふやけてきたら、ゴム手袋をした手で、古い歯ブラシや、100円ショップなどでも売っている「シロッコファン専用ブラシ」を使って、羽の隙間をこすり洗いします。
【禁止事項】金属ブラシは絶対NG!
汚れが固いからといって、金属製のブラシや硬いタワシでゴシゴシこするのは絶対にやめてください! ファンの塗装が剥がれたり、素材にキズがついてしまいます。キズがつくと、そこに余計に汚れが溜まりやすくなって、逆効果なんですよ。
STEP 4:すすぎと乾燥
汚れが落ちたら、洗剤成分が残らないよう、お湯や水でよーーくすすぎます。
すすぎ残しはサビや腐食の原因になりますからね。
そして、一番大事なのが「完全乾燥」です。
水分が残ったまま組み立てると、モーター部分の故障やサビにつながる可能性があります。タオルで拭いた後、丸一日くらいしっかり自然乾燥させるのが理想ですね。
乾いたら、取り外したのと逆の手順で組み立てて、お掃除完了です!
換気扇の油汚れ用洗剤のおすすめと使い方

さて、ここからは「じゃあ、具体的にどの洗剤を選べばいいの?」という疑問にお答えしていきますね。
汚れのレベルや使い方に合わせて、おすすめの洗剤をいくつかピックアップしてみました。店頭でもお客様によく聞かれる、人気のアイテムが中心ですよ!
スプレータイプのおすすめ洗剤
まずは、フード本体や整流板など、「つけ置きできない場所」や、比較的軽い汚れの「普段のお手入れ」に便利なスプレータイプです。
花王「マジックリン ハンディスプレー」
まずは定番中の定番、花王の「マジックリン」ですね。一家に一本あるかもしれません。
アルカリ性で、スプレーするとしっかりした泡が汚れに密着して、油を浮かせてくれます。ほのかなミントの香りで、お掃除中のニオイも気になりにくいのが嬉しいポイントです。まずはコレ、という安心感がありますね。
リンレイ「換気扇レンジクリーナー ストロングショット」
「とにかく強力な泡で!」という方には、リンレイのこちらがおすすめです。商品名に「ストロングショット」とある通り、かなり強力な泡タイプです。
シロッコファンやフィルター掃除用に特化していて、スプレーして放置するだけで、泡が汚れを包み込んで「瞬時に浮かす」とうたわれています。泡が汚れに浸透していくのが見える、なんてお客様の声も聞きますよ。ある程度しっかりした汚れにも対応できるスプレーだと思います。
日常使いなら「中性」もアリ!花王「キッチンマジックリン 泡ジェット」
「アルカリ性は手荒れが心配…」「毎日サッと拭きたい」という方には、あえて「中性」の洗剤もおすすめです。
花王の「キッチンマジックリン 泡ジェット」は、実は「中性」洗剤なんです。だから、頑固な油汚れを溶かす力はアルカリ性に劣りますが、素手でも使えて(もちろん手袋推奨ですが)、2度拭き不要という手軽さが最大の魅力ですね。
換気扇のフード表面や整流板、コンロ周りの「今日ついたばかりの油ハネ」を拭き取るのには最適です。「汚れを溜めない」ためのお守りとして一本持っておくと、大掃除が格段に楽になると思いますよ。
スプレータイプは、吹きかけてからすぐに拭き取るのではなく、少し時間(5分~10分程度)を置いて、洗剤が汚れに浸透するのを待つのがコツですね。
ただし、長時間放置しすぎると塗装を傷める可能性があるので、説明書の時間は守ってくださいね。
最強?強力つけ置き洗剤(業務用含む)
続いては、年に数回の大掃除で、シロッコファンやフィルター内部に蓄積した「数ヶ月~数年モノ」の頑固な汚れを溶かすための、強力なつけ置きタイプです。
茂木和哉「なまはげ」油汚れ用
お掃除好きの間では有名な「茂木和哉」シリーズの油汚れ専用洗剤ですね。「なまはげ」という名前がインパクト大です。
これは「溶かして落とす」ことに特化していて、スプレーして拭き取るよりも、お湯に溶かして「つけ置き洗い」する使い方が推奨されています。店頭でお客様からも「名前の通り、すごかった!」というお声をいただくことがありますよ。ただし、レビューなどを見ていると、数年単位のカチカチ汚れは完璧には難しいかも…という声もあるので、中程度~強めの汚れに向いている印象ですね。
アズマジック「油汚れ洗剤」 (CH862)
こちらは、ハウスクリーニングのプロが開発に関わったという、アズマ工業の「アズマジック」シリーズです。
この洗剤のすごいところは、家庭用でありながら、業務用レベルの強力なアルカリ剤である「水酸化ナトリウム」と「水酸化カリウム」を配合している点です。まさにプロ仕様の洗浄力ですね。
スプレーして使うこともできますが、これこそ「つけ置き洗い」に最適だと思います。お湯で薄めて使うことで、シロッコファンの奥の奥の汚れまで強力に分解してくれるパワーが期待できます。
【プロ仕様・業務用】ピカイア2 / スーパーブレークアップTG
「アズマジックでも歯が立たない…」というレベルの汚れには、もう業務用の世界になります。
「ピカイア2」や「スーパーブレークアップTG」といった製品は、まさにプロが使うための、つけ置き専用・超強力洗剤です。油汚れを溶かすというより、柔らかく「分解」して、歯ブラシなどで簡単にかき出せる状態にしてくれるイメージですね。
ただし、これらは「業務用」です。先ほどもお話しした通り、洗浄力が強すぎるため、塗装やアルミ素材へのダメージリスクが非常に高いです。使用する際は、換気扇の素材をよーく確認した上で、自己責任で、細心の注意を払って使う必要があります。個人的には、ご家庭で使うのは少しハードルが高いかな、と思います。
強力な洗剤ほど、素材へのリスクも高くなります。
「落ちないから」とすぐに最強レベルのものに手を出す前に、まずは家庭用の強力洗剤やセスキのつけ置きで、しっかり時間をかけて汚れを緩ませてあげるのが大切だと思いますよ。
オキシクリーンの注意点|アルミ素材はNG
「オキシ漬け」で大人気の「オキシクリーン」。
衣類やプラスチック製品、お風呂掃除などで大活躍するので、「これで換気扇もキレイになるんじゃない?」って思いますよね。
ですが…これ、家電を扱う私としては、換気扇掃除に使うのは「ちょっと待って!」と言いたい、注意が必要なアイテムなんです。
オキシクリーンは「酸素系漂白剤」で、お湯に溶かすと弱アルカリ性になって発泡し、汚れを剥がし取ってくれます。ここまではセスキ炭酸ソーダなどと似ていますよね。
問題は、その「素材」との相性です。
【最重要】オキシクリーンと金属製ファンの相性
オキシクリーンの公式サイトでも「金属素材でのつけ置きは変色の可能性がある」と、はっきり注意喚起されています。
特に、換気扇のシロッコファンやフィルターに多い「アルミ製」の素材は、アルカリ性に非常に弱いんです。オキシクリーンでアルミ製品をつけ置きしてしまうと、化学反応を起こして変色したり、黒ずんだり、劣化(腐食)してしまうリスクが本当に高いんですよ。
一度変色・腐食してしまったアルミは、もう元には戻りません…。
「オキシクリーン 換気扇」で検索すると、掃除方法が出てくるかもしれませんが、それは換気扇の部品が「プラスチック製」の場合(古いプロペラファンの一部など)に限った話だと思ってください。
ご自宅の換気扇のファンやフィルターが「金属製」(塗装されている金属も含む)の場合は、オキシクリーンでのつけ置きは「原則禁止」だと覚えておいてくださいね。大切な家電を傷めないためにも、これはぜひ守ってほしいポイントです。
塗装が剥がれる?食洗機使用の危険性

「シロッコファンを食洗機で洗えたら楽なのに…」これも、オキシクリーンと同じくらい、よーく考えることですよね。
私も家事をする主婦として、その気持ち、すっごく分かります!
ですが、これも家電のプロとしては「原則NGです!」とお答えしなくてはいけません…。
「食洗機神話」とでも言うんでしょうか。何でもキレイにしてくれるイメージがありますが、換気扇の部品にとっては過酷すぎる環境なんです。
なぜ食洗機はNGなの?
理由は大きく2つあります。
- 高温による塗装の剥がれ
食洗機は、60℃~80℃といった高温のお湯で洗浄・乾燥させます。換気扇の部品(特にシロッコファン)に施されている塗装は、この高温に耐えられるように設計されていないことがほとんどです。食洗機で洗うと、塗装がベロベロに剥がれてしまう可能性が非常に高いんです。 - 強アルカリ洗剤による腐食
もう一つの理由が「洗剤」です。食洗機用の洗剤って、手洗い用の中性洗剤とは全く違って、実は「強アルカリ性」のものが主流なんです。高温と強アルカリの力で、油汚れを強力に分解するんですね。
…もうお分かりですよね?そうです。オキシクリーンの時と同じで、この強アルカリ洗剤が、アルミ素材と反応して変色・腐食させてしまうんです。
塗装が剥げたり、アルミが腐食したりすると、ファンのバランスが崩れて異音の原因になったり、汚れが余計に付きやすくなったりと、良いことが一つもありません。なので、基本的には手洗いでお願いしたいところです。
スチームクリーナー併用で効率アップ
さて、洗剤のお話が続きましたが、ここで家電ブログならではの「お掃除を加速させる家電」をご紹介させてください!
それが「スチームクリーナー」です。
スチームクリーナーは、約100℃の高温スチーム(水蒸気)を高圧で噴射する家電です。
この「熱」と「圧力」の力で、換気扇に固着した油汚れを物理的に「緩ませて」剥がしやすくするのが得意なんです。洗剤を使わずに除菌・防カビができるのも強みですね。
ケルヒャーや、アイリスオーヤマなどから、色々なタイプが出ています。
換気扇のような細かい場所には、手軽なハンディタイプ(アイリスオーヤマのSTM-303など)が使いやすいかもしれません。
最強の使い方は「洗剤との併用」!
「じゃあ洗剤はいらないんだ!」と思うかもしれませんが、実はスチーム単体だけだと、長年蓄積して樹脂みたいにカチカチになった油汚れや焦げ付きは、落としきれない場合があるんです。
そこでおすすめしたい最も効率的な使い方が、「アルカリ性洗剤との併用」です!
- まず、換気扇のフードやファン、フィルター全体に、アルカリ性洗剤(セスキ水スプレーやマジックリンなど)を吹きかけます。
- 洗剤の力で、化学的に油汚れを分解させます。
- そこに、スチームクリーナーで高温スチームを噴射!
洗剤による化学的な「分解力」と、スチームによる物理的な「熱と圧力」。この相乗効果で、汚れが劇的に緩んで落ちやすくなるんです。これは本当に効果的ですよ!
また、つけ置き洗いをした後、シロッコファンの羽の隙間にまだ残っているような細かい汚れを、スチームで吹き飛ばして仕上げる、といった使い方もとても便利です。
アイリスオーヤマからは「換気扇セット(STMP-001)」という専用アタッチメントが出ているモデルもあって、こういうのを見ると「分かってるな~」って思っちゃいますね。
お掃除の手間を家電の力で減らす、っていう発想、私は大好きです。
換気扇の油汚れとおすすめ洗剤総まとめ
ここまで、換気扇の油汚れに効く洗剤の選び方から、具体的な掃除方法、便利家電まで、たくさんお話ししてきました。
頑固な油汚れには「アルカリ性洗剤」が基本ですが、汚れのレベル(軽いか、カチカチか)と、掃除場所の「素材」(塗装は?アルミじゃない?)を見極めて、適切な洗剤を選ぶことが本当に大切なんだ、というのが伝わっていたら嬉しいです。
汚れレベル別のおすすめアプローチ
- 日常・軽い汚れ
中性の「キッチンマジックリン 泡ジェット」や「セスキ水スプレー」でこまめに拭き掃除。 - 中程度の汚れ(数ヶ月)
「セスキ炭酸ソーダ」や「マジックリン ハンディスプレー」でつけ置き・パック。 - 頑固な汚れ(半年~数年)
「アズマジック」などの強力アルカリ性洗剤でつけ置き。「スチームクリーナー」の併用も効果大です。
そして、「オキシクリーン」や「食洗機」は、アルミ素材や塗装を傷めるリスクが高いので、原則NGというのも忘れないでくださいね。
…と、色々なお掃除洗剤をご紹介してきましたが、家電店員として働いていて、そして一人の主婦として日々思うのは、「やっぱり、換気扇の掃除は大変!」ということなんですよね(笑)
だからこそ今、家電メーカー各社が一番力を入れているのが、「掃除の手間をいかに減らすか」という技術なんです。
洗剤で「掃除する(対症療法)」から、家電の力で「そもそも汚さない・掃除を簡単にする(根本治療)」という方向に、トレンドが大きくシフトしています。
【究極の解決策】最新「お掃除簡単レンジフード」
最後になりますが、究極の「油汚れ対策」として、最新のレンジフードの世界を少しだけご紹介させてください。
| メーカー名 | 製品名(シリーズ名) | 掃除の手間削減策 |
|---|---|---|
| 富士工業 (FUJIOH) | オイルスマッシャー搭載モデル | 回転ディスクが油を捕集。ファンを汚さない。 |
| リンナイ (Rinnai) | クリーンフード XGRシリーズ | フィルターレス構造。パーツ3点のみ清掃。 |
| クリナップ (Cleanup) | とってもクリンフード | ボタンひとつでファンとフィルターを自動洗浄。 |
| TOTO | ゼロフィルターフードeco | フィルターレス+撥油コーティング。 |
例えば、富士工業の「オイルスマッシャー」は、回転ディスクが油煙をキャッチして、ファンや内部をほとんど汚さない技術です。
リンナイの「クリーンフード」はそもそもフィルターがありません。
そしてクリナップの「とってもクリンフード」に至っては、ボタン一つでお湯がファンとフィルターを自動洗浄してくれるんですよ!
もちろん、お値段もそれなりにはしますが、「あの面倒な換気扇掃除から解放されるなら…」と、リフォームの際に選ばれるお客様が本当に増えています。
強力な洗剤で頑張ってお掃除するのも一つの手ですが、長い目で見たら、お掃除の手間そのものをなくしてくれる「最新家電」に投資する、というのも、とても賢い選択だと私は思います。
皆さんの換気扇掃除が、少しでも楽になるヒントになれば幸いです!


