お風呂の追い焚き機能、毎日使っているけど配管の中ってどうなっているか考えたことありますか?
実は、目に見えない配管内部には皮脂汚れや入浴剤の成分が蓄積し、雑菌が繁殖してバイオフィルムという汚れの巣を作っているんです。
特にエコキュートや給湯器を使っているご家庭では、高価な家電を守るためにも適切な洗浄剤選びが重要になってきます。
でも、いざドラッグストアに行くと酸素系や塩素系、ジャバにオキシクリーン、最近話題のマッハ泡まで種類が多すぎて、どれを選んだらいいのか迷ってしまいますよね。
一つ穴用の風呂釜洗浄剤を選ぶとき、実は給湯器の種類によって使えるものと使えないものがあることをご存知でしょうか。間違った洗浄剤を使うと、配管や熱交換器を傷めて故障の原因になることもあるんです。
この記事では、家電量販店での経験を活かして、酸素系と塩素系の違いから、エコキュートでも安心して使える洗浄剤の選び方、正しい掃除の頻度や茶色いカスが出てきたときの対処法まで、風呂釜洗浄に関する疑問を徹底的に解説していきます。
おすすめの一つ穴用風呂釜洗浄剤|徹底比較

まずは、お店でもよくご質問いただく「どの洗浄剤を選んだらいいの?」というお悩みに答えていきますね。
一つ穴用の風呂釜洗浄剤といっても、実はタイプが分かれていて、ご自宅の設備(特にエコキュートかどうか)によって選ぶべきものが変わってくるんです。
ここでは「酸素系と塩素系の違い」から、定番の「ジャバ」と「オキシクリーン」の比較、話題の「マッハ泡」まで、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
酸素系と塩素系の違いとは?
お風呂の洗浄剤というと、カビキラーのような「塩素系」を思い浮かべる方も多いかもしれませんね。でも、ドラッグストアなどで「一つ穴用」を探すと、ほとんどが「酸素系」なんです。
これには、ちゃんとした理由があるんですよ。
一つ穴(強制循環式)は、実は「家電」なんです。
浴槽の穴は、屋外にある「給湯器」や「エコキュート」という高価な家電製品につながっています。追い焚きというのは、この家電の中にある熱交換器で温め直したお湯を、配管を通って浴槽に戻す仕組みなんですね。
私たちが掃除しているのは、浴槽の穴そのものではなく、この「高価な家電(給湯器)」と浴槽をつなぐ「追い焚き配管」なんです。家電量販店で働いていると、この「給湯器」や「エコキュート」がどれだけ精密で高価なものか、日々実感します。
塩素系の特徴とリスク
塩素系(主成分:次亜塩素酸ナトリウム)は、タンパク質汚れを溶かしたり、カビを殺菌したりする力が非常に強いのが特徴です。
キッチンハイターなどがそうですね。
古い二つ穴(バランス釜)用には塩素系も多いんです。
塩素系は、金属やゴムパッキンに対する「腐食性(攻撃性)」が強いという側面も持っています。
給湯器やエコキュートの内部には、熱交換器や配管の接続部にゴムパッキンがたくさん使われています。
もし、ここに強力な塩素系洗浄剤を使ってしまうと、これらの部品を傷めてしまい、最悪の場合、水漏れや故障の原因になる可能性があるんです。
一つ穴に「塩素系」は原則NG
給湯器メーカー(リンナイ、ノーリツなど)やエコキュートメーカー(パナソニック、三菱など)は、こうした故障リスクを避けるため、消費者向けには腐食性の低い「酸素系」の使用を推奨しています。
「一つ穴用」として塩素系が売られていないのは、これが理由なんですね。
「カビキラーで代用できない?」と聞かれることもありますが、高価な家電の寿命を縮めるリスクがあるので、絶対に避けてください。
酸素系の特徴と安全性
一方、今主流の酸素系(主成分:過炭酸ナトリウム)は、お湯と反応して活性酸素の泡を発生させます。
この泡の力で、配管内部にこびりついた「バイオフィルム」と呼ばれるヌメリ汚れを、物理的に剥がし取るのが得意です。
最大のメリットは、塩素系に比べて金属やゴムパッキンへの攻撃性が低く、素材を傷めにくいこと。だからこそ、高価なエコキュートや給湯器のメンテナンスに安心して推奨されているんです。
まとめると、「一つ穴」の洗浄は「家電のメンテナンス」という意識を持って、必ず「酸素系」の専用洗浄剤を選ぶようにしてくださいね。
定番ジャバとオキシクリーンの比較
「酸素系がいいのはわかったけど、結局どれがいいの?」となりますよね。
定番はなんといってもジョンソンの「ジャバ 1つ穴用」。
そして、お掃除で大人気の「オキシクリーン」です。
どちらも主成分は同じ「過炭酸ナトリウム」ですが、使い勝手やコスパが少し違うんですよ。
ジョンソン「スクラビングバブル ジャバ 1つ穴用」
「風呂釜洗浄剤といえばジャバ」というくらい、定番中の定番ですね。
99.9%除菌を謳っていて、多くの給湯器・エコキュートメーカーからも推奨されています。
最大の魅力は、「迷ったらコレ」という安心感と、計算された手軽さです。1回分(160g)が1パックになっているので、計量の手間がありません。
追い焚き運転(約5~10分)→浸け置き(約1~2時間)→すすぎ運転(約5分)と、トータルの作業時間が比較的短いのも嬉しいポイントですね。
「初めて風呂釜洗浄をする」「どの洗剤がウチの給湯器に合うか不安」という方には、まずジャバをおすすめします。
グラフィコ「オキシクリーン(日本版)」
「オキシ漬け」でおなじみのオキシクリーンも、実は風呂釜洗浄に使えます(公式サイトでも推奨されています)。
ジャバとの大きな違いは、「容量」と「成分」ですね。
まず、大容量(1500gボトルなど)なので、1回あたりのコストがジャバに比べてかなり安くなります。これは定期的に掃除する上で大きなメリットだと思います。
また、オキシクリーンには「日本版(白い粉末のみ)」と「アメリカ版(青い粒入り)」があるのはご存知ですか?
日本版とアメリカ版の違い
アメリカ版(EXなど)には「界面活性剤(青い粒)」が入っていて、泡立ちが非常に良いのが特徴です。
一方、日本版には界面活性剤が入っていません。
家電の安全性を考えると、この「泡立ちすぎない」日本版のほうが無難なんです。
なぜかというと、泡立ちが良すぎると、給湯器やエコキュート内部の「水位センサー」や「圧力センサー」が誤作動を起こす可能性がゼロではないからなんですね。
安全に使うなら、風呂釜洗浄には「日本版オキシクリーン」を選ぶと良いですよ。
オキシクリーンは浸け置き時間が「2時間~6時間」と長めなので、寝る前やお出かけ前にセットするのがおすすめです。
「汚れがひどいから徹底的にやりたい」「コスパ重視で定期的に掃除したい」という方に向いていますね。
| 製品名 | タイプ | 特徴 | 作業時間 (目安) | エコキュート |
|---|---|---|---|---|
| ジャバ 1つ穴用 | 専用品 (粉末) | 1回使い切り。定番で安心。 メーカー推奨多数。 |
約1.5時間 | ◎ (推奨) |
| オキシクリーン (日本版) | 多目的 (粉末) | 大容量で高コスパ。 徹底洗浄向き。 |
2~6時間 | ◯ (使用可) |
| オキシクリーン (米国版) | 多目的 (粉末) | 界面活性剤入りで泡立つ。 洗浄力◎。 |
2~6時間 | △ (センサー注意) |
エコキュートで使えるのはどれ?

お店で働いていると、「うち、エコキュートなんだけど、市販の洗浄剤を使っても大丈夫?」というご質問を本当によくいただきます。
エコキュートは数十万円もする高価な家電ですから、故障しないか不安になるお気持ち、すごくよくわかります。
結論から言うと、エコキュートの洗浄には「ジャバ(1つ穴用)」または「日本版オキシクリーン」を選んでください。
パナソニック、三菱、ダイキン、コロナなど、主要なエコキュートメーカーの多くは、取扱説明書でジョンソンの「ジャバ(1つ穴用)」を名指しで推奨していることが多いんです。
(参照: ダイキン「配管洗浄するには(エコキュート)」)
これは、メーカーが自社製品(エコキュート)でテストを行い、「この洗浄剤なら配管や部品を傷めませんよ」とお墨付きを与えている証拠なので、一番安心ですよね。
オキシクリーン(日本版)も、主成分はジャバと同じ「過炭酸ナトリウム」で、変な泡立ち(界面活性剤)もないため、基本的には問題なく使えます。
ただ、メーカーが名指しで推奨しているわけではないので、「万が一」が心配な方は、ジャバを選んでおくのが最も安全な選択だと思います。
エコキュートで「絶対NG」なもの
塩素系洗浄剤: 先ほどもお伝えしたとおり、配管や熱交換器を腐食させるリスクがあるため厳禁です。
アメリカ版オキシクリーン: 界面活性剤の泡がセンサーに影響を与える可能性があるため、避けるのが無難です。
硫黄系・ソルト系の入浴剤: これは洗浄剤ではありませんが、エコキュート故障の最大の原因の一つです。配管を腐食させるため、多くのメーカーが「使用禁止」にしています。これらを使っていると、洗浄剤以前の問題で故障リスクが跳ね上がりますので、今すぐ確認してくださいね。
せっかくのエコキュートを長く大切に使うためにも、洗浄剤選びは慎重に行ってください。
マッハ泡の手軽さと洗浄力
最近、お客様からの問い合わせで増えているのが、アース製薬の「らくハピ マッハ泡バブルーン」です。これは今までの洗浄剤とちょっとタイプが違っていて、スプレー式なんですね。
最大の特徴は、なんといっても「追い焚き運転が不要」なこと!
使い方はとっても簡単で、浴槽の穴にノズルをグッと押し当てて、薬剤をシューッと噴射するだけ。あとは30分放置して、水で洗い流せば完了です。
ジャバやオキシクリーンのように「お湯を張る→追い焚き→浸け置き→排水→またお湯を張る→すすぎ運転」という一連の作業が一切いらないんです。
この手軽さは本当に画期的ですよね。
「追い焚き洗浄って、時間がかかって面倒…」と感じていた方には、まさに救世主のような商品だと思います。
洗浄力はどうなの?
「でも、追い焚きしなくて本当にキレイになるの?」と疑問に思いますよね。
マッハ泡も主成分は「過炭酸ナトリウム(酸素系)」で、強力な泡が汚れにアタックします。
ただ、正直なところ、「配管の奥の奥まで、徹底的に洗浄する力」でいうと、やはりお湯と薬剤を強制的に循環させる「ジャバ」や「オキシクリーン」に軍配が上がるかな、と思います。
マッハ泡は、配管全体に薬剤を循環させるわけではなく、噴射した勢いと泡の力で汚れを押し出すイメージです。給湯器(エコキュート)本体につながる長い配管の隅々まで届いているかというと、少し不安が残るかもしれません。
マッハ泡は「使い分け」がおすすめ
私の思うベストな使い方は、こんな感じです。
- 半年に1回: ジャバやオキシクリーンで、配管の奥まで徹底的に大掃除。
- 1ヶ月に1回: マッハ泡で、手軽に日々のメンテナンス。
こうすれば、大掃除の負担も減りますし、キレイな状態を楽にキープできるんじゃないでしょうか。
「掃除のハードルを下げる」という意味で、とっても優秀な商品だと思いますよ。
価格やコスパで選ぶポイント
風呂釜洗浄って、1回やったら終わりじゃなくて、1~2ヶ月に1回の定期的なメンテナンスが推奨されています。そう考えると、やっぱり価格やコストパフォーマンスも大事なポイントですよね。
1回あたりの価格をざっくり比較してみると、こんなイメージです(価格はあくまで目安です)。
- ジャバ 1つ穴用: 約350円~500円(1回分)
- マッハ泡バブルーン: 約600円~800円(1回分)
- オキシクリーン (日本版): 約50円~100円(1500gボトルで計算した場合)
こう見ると、オキシクリーンのコスパが圧勝ですね。
1500g(約1,200円)あれば、1回100g使ったとしても15回も掃除できます。もちろんオキシクリーンは風呂釜以外にも家中のお掃除に使えるので、一つ持っておくと本当に便利です。
「マッハ泡」は手軽なぶん、1回あたりの価格は少しお高めになります。
「ジャバ」はその中間で、安心感と価格のバランスが取れている感じですね。
ドラッグストアのPB(プライベートブランド)も狙い目
「オキシクリーンは大容量すぎるし、ジャバを毎回買うのも…」という方には、ドラッグストアのプライベートブランド(PB)商品もおすすめです。
マツモトキヨシの「matsukiyo フロ釜&バス用品まるごと洗浄」や、ウエルシア、カインズなどでも、ジャバとほぼ同じ「過炭酸ナトリウム」を主成分にしたPB商品が売られています。
これらはジャバより少しお安く設定されていることが多いので、定期メンテナンスのコストを抑えたい方にはぴったりです。成分表を見て「過炭酸塩(過炭酸ナトリウム)」が主成分であることを確認して選んでみてくださいね。
ご自身の「掃除にかけられる手間」「安心感」「コスト」のバランスを考えて、最適なものを選んでいただければと思います。
一つ穴用風呂釜洗浄剤|おすすめの使い方

洗浄剤を選んだら、次は「正しい使い方」ですね。
せっかくの洗浄剤も、使い方を間違えると効果が半減してしまったり、逆にお湯が汚れる原因になったりするんです。
ここでは掃除の適切な頻度から、よくある「茶色いカスが止まらない!」というトラブルの対処法、そして「給湯器の自動掃除機能」と洗浄剤の関係まで詳しく解説していきますね。
正しい掃除の頻度とタイミング
まず、お掃除の頻度ですが、多くの洗浄剤メーカーや給湯器メーカーは、「1~2ヶ月に1回」を推奨しています。
「え、そんなに頻繁に?」と思われるかもしれませんが、浴槽のお湯には目に見えない皮脂汚れや石鹸カス、入浴剤の成分などがたくさん溶け込んでいます。これらが配管の中で栄養源になって、雑菌が繁殖し、「バイオフィルム(ヌメリ)」という汚れの巣を作ってしまうんです。
特に、以下のようなご家庭は、配管が汚れやすいので「1ヶ月に1回」を目安に掃除するのがおすすめです。
洗浄頻度を上げるべき家庭の例
- にごり湯タイプの入浴剤をよく使う(成分が沈殿・付着しやすいです)
- 家族の人数が多く、入浴回数(追い焚き回数)が多い
- お風呂の残り湯を翌日まで溜めておく(洗濯に使うなど)
特に注意したいのが、「残り湯を溜めておく」ケースです。
雑菌が一番増殖しやすい温度って、「30~40℃」くらいなんですね。入浴後、だんだん冷めていく残り湯は、雑菌にとってはまさに「完璧な培養器」になってしまうんです。
一晩放置したお湯を追い焚きするということは、配管の中で爆発的に増えた雑菌を、お湯と一緒に浴槽に戻している…ということにもなりかねません。
もちろん、水道代やガス代の節約も大切なので、もし残り湯を溜めるライフスタイルを選ぶ場合は、衛生面をカバーするために、ぜひ「1ヶ月に1回」の洗浄を心がけてほしいなと思います。
掃除のベストタイミングは?
オキシクリーンのように浸け置き時間が長い(2~6時間)ものを使う場合は、「寝る前」や「家族全員がお風呂を使い終わった直後」がおすすめです。
夜のうちに洗浄をセットしておけば、朝起きたら排水とすすぎ運転をするだけなので、時間を有効に使えますよね。
茶色いカスが止まらない時の対処法
「よーし、掃除するぞ!」と洗浄剤を使ったら、「浴槽に茶色いカスや、ワカメみたいな黒いピロピロした汚れが大量に出てきて止まらない!」というパニック、経験ありませんか?
お客様からも「掃除したら余計に汚くなった!故障かも?」とご相談いただくことがあるんですが、安心してください。それは洗浄の失敗ではなく、むしろ「成功の証」なんです。
特に、初めて洗浄した場合や、何年も掃除していなかった場合、配管の中には分厚い「バイオフィルム」がこびりついています。
酸素系洗浄剤の「剥がし取る」力が強すぎて、一度の洗浄では全ての汚れを剥がしきれず、中途半端に残ったカスが、お湯を張ったり追い焚きしたりするたびに、断続的に出てきてしまっている状態なんですね。
汚れが止まらない時の緊急対処法
そのお湯には雑菌が大量に含まれている可能性があるので、焦って入浴しないでください!
- まず、浴槽の栓を抜き、汚れをすべて排水します。浴槽の底に残ったカスもシャワーでしっかり洗い流します。
- もう一度、穴(循環口)より5cm上まで新しい水を張ります。
- 「追い焚き」運転(または「さし水」)を5~10分程度行い、配管内部に残ったカスを洗い流します。
- 排水して、浴槽の底にまだカスが出てくるか確認します。
- カスが出なくなるまで、根気よく「2」~「4」の「すすぎ運転」を繰り返します。(3~5回程度かかることもあります)
それでもまだ収まらない場合は、汚れが強すぎる証拠です。
もう一度「ジャバ」や「オキシクリーン(できれば多め)」を使って、最初から洗浄をやり直す(二度洗い)のが、一番確実な方法ですよ。
掃除したのに臭いが取れない原因
「掃除は終わったはずなのに、お湯がなんだか薬剤臭い」
「逆にカビ臭くなった気がする…」
というのも、よくあるトラブルです。
原因1:薬剤臭い場合
これは、「すすぎ不足」が原因です。
洗浄剤(過炭酸ナトリウム)が、まだ配管内部に残留しているんですね。
この場合は、先ほどの「茶色いカス」の対処法と同じで、もう一度新しい水を張り、「追い焚き運転(すすぎ)」を5~10分行うと、臭いが取れることがほとんどです。
原因2:カビ臭い・ドブ臭い場合
これは、汚れ(バイオフィルム)は剥がれたものの、臭いの元となる雑菌が残っていたり、洗浄剤(酸素系=アルカリ性)の影響で水質がアルカリ性に傾いて、臭いが出やすくなったりしている状態です。
そんな時におすすめなのが、「クエン酸」を使った二段階洗浄です。
臭い対策の「クエン酸」二段階洗浄
- ジャバやオキシクリーンでの洗浄と「すすぎ運転」を終わらせます。
- もう一度、穴より5cm上まで水を張ります。
- そこに「クエン酸」を1カップ(約200g程度)投入し、よく溶かします。
- 「追い焚き」運転を5~10分行い、クエン酸水を配管内に循環させます。
- 排水し、最後にもう一度「水だけ」で「追い焚き運転(すすぎ)」を行って完了です。
酸素系洗浄剤は「アルカリ性」ですが、クエン酸は「酸性」です。
アルカリ性の洗浄剤をクエン酸で「中和」することで、薬剤臭が取れやすくなります。
さらに、クエン酸には石鹸カスや水垢(ミネラル汚れ)を溶かす効果もあるので、配管内がよりスッキリして、カビ臭さの解消にもつながるんです。これはプロの掃除業者さんも使うテクニックなんですよ。
給湯器の自動掃除機能だけではダメ?

家電量販店で給湯器やエコキュートをご案内していると、「最近の給湯器は、自動で配管を掃除してくれる機能があるんでしょ?それなら洗浄剤はいらない?」とよく聞かれます。
確かに、リンナイの「自動配管洗浄」や、ノーリツの「配管クリーン」、パナソニックのエコキュートに搭載されている「配管自動洗浄」など、最近の機種はとても賢いですよね。
これらの機能は、主にお風呂の栓を抜いて排水するときに、給湯器がそれを検知して、自動的に「新しい水(またはお湯)」を配管に流し、配管内に残ったお湯(皮脂や入浴剤成分を含んだ汚れ)を洗い流してくれるというものです。
この機能、日々の汚れの蓄積を「低減」する効果は絶大です。
本当に素晴らしい機能だと思います。
ただし、これはあくまで「予防」なんです。
自動洗浄機能は、汚れが配管に「付着する前」に洗い流すのが目的です。
残念ながら、配管内にすでに付着してしまった「バイオフィルム(ヌメリ)」を、殺菌したり、剥がし取ったりするほどの力はありません。
「UV除菌」機能との違いは?
最近は、ノーリツの給湯器などで「UV除菌ユニット」を搭載したモデルも人気です。
これは、浴槽のお湯を循環させながら「UV(紫外線)ランプ」を当てて、お湯に浮遊する菌(レジオネラ属菌など)を殺菌する機能です。
日々の安心感は格段にアップしますが、これも洗浄剤とは役割が違います。
UV光は、あくまで「お湯の中の菌」を殺菌するもので、配管の壁にこびりついた「バイオフィルム(汚れの巣)」そのものを破壊することはできません。
例えるなら、こんな感じです。
- 自動配管洗浄・UV除菌(家電の機能): 毎日の「まな板の除菌スプレー」や「食器洗い」
- 風呂釜洗浄剤(メンテナンス): 月に一度の「まな板の漂白」や「排水溝の大掃除」
どんなに便利な機能がついていても、1~2ヶ月に1回の「ジャバ」や「オキシクリーン」による定期的な「殺菌・剥離」洗浄は、別途必要だということを覚えておいてくださいね。
重曹やクエン酸での代用は可能か
「洗浄剤の化学的な成分がちょっと心配」
「赤ちゃんがいるから、ナチュラルなもので掃除したい」
というお声もよく聞きます。
そこで「重曹」や「クエン酸」だけで代用できないか、と考えますよね。
お風呂の汚れは、皮脂(酸性)や石鹸カス(アルカリ性)、水垢(アルカリ性)などが混ざっています。重曹(弱アルカリ性)は皮脂汚れに、クエン酸(酸性)は石鹸カスや水垢に、それぞれ一定の効果はあります。
ですが、風呂釜洗浄の一番の目的は何だと思いますか?
それは、皮脂汚れを落とすこと以上に、「バイオフィルム(ヌメリ)」を除去し、そこに潜む「レジオネラ属菌」などの病原菌を殺菌することなんです。
レジオネラ属菌は、追い焚きやシャワーのミスト(エアロゾル)と一緒に吸い込むことで、特にご高齢の方や乳幼児、免疫力が低下している方に対して、深刻な「レジオネラ肺炎」を引き起こす可能性があります。
(出典: 厚生労働省 「レジオネラ対策」)
残念ながら、重曹やクエン酸には、このバイオフィルムを強力に剥がしたり、レジオネラ属菌を確実に殺菌したりするほどの力は、酸素系洗浄剤に比べて非常に弱いんです。
ナチュラル系洗浄のリスク
重曹やクエン酸だけでの洗浄は、正直なところ「気休め」に近いかもしれません。
「安全」を優先したつもりが、かえって深刻な「健康リスク」を見逃してしまうことになりかねないんです。
ご家族の健康を守るためにも、レジオネラ属菌への対策としては、やはり市販の「酸素系」専用洗浄剤の使用を強くおすすめします。
(ただし、先ほどご紹介した「クエン酸の二段階洗浄」のように、酸素系で洗浄した後の「仕上げ」として使うのは非常に効果的ですよ!)
一つ穴用風呂釜洗浄剤のおすすめ総まとめ
ここまで、洗浄剤の選び方から使い方、トラブル対処法まで詳しく見てきました。
最後に、今回の内容のまとめをお伝えしますね。
一番大切なポイントは、「一つ穴の風呂釜洗浄は、高価な家電(給湯器・エコキュート)のメンテナンスである」という意識を持つことです。
この意識があれば、
- 故障リスクのある「塩素系」は選ばない
- エコキュートのセンサーに影響しそうな「泡立ちすぎる洗浄剤」は避ける
- メーカーが禁止している「入浴剤」は使わない
といった、正しい判断ができるようになると思います。
その上で、ご自身のライフスタイルに合わせて洗浄剤を選ぶのがおすすめです。
ライフスタイル別おすすめ
- 安心・手軽さ重視: 定番の「ジャバ 1つ穴用」
- コスパ・徹底洗浄重視: 「オキシクリーン(日本版)」
- 日々の手軽さ重視: 「マッハ泡バブルーン」(ジャバやオキシと併用)
そして、もう一つ。
追い焚き配管の汚れは、実は「浴室全体」から持ち込まれています。
浴室の壁や天井に発生したカビ胞子が浴槽に落ち、それが配管に吸い込まれて「バイオフィルム」の栄養源になってしまうんです。
なので、「浴室全体の環境をクリーンに保つ家電」を活用することが、結果的に風呂釜洗浄の頻度を下げることにつながる、ということです。
例えば、「浴室換気乾燥機」(パナソニックの「ナノイーX搭載モデル」やMAX、TOTOの「三乾王」など)です。
入浴後に必ず「換気」や「乾燥」モードを運転して、浴室全体をカラッと乾燥させ、カビの発生そのものを抑えることが、配管の汚れ予防に直結します。
年に1~2回は、浴槽の「エプロン」(側面カバー)を外して、ケルヒャーやアイリスオーヤマなどの「高圧洗浄機」で内部のカビを一掃するのも効果的ですよ。
洗浄剤での「直接的な掃除」と、関連家電を使った「環境づくり」。
この両輪で、見えない配管の中も、浴室全体も、クリーンで安心できるバスタイムをキープしていきましょうね。


