リビングのテレビ画面、電源を消したときにホコリや指紋がびっしりついていることに気づいてドキッとしたことはありませんか?
せっかくの高画質テレビなのに、画面が汚れていては映像の美しさも台無しですよね。でもいざ掃除しようと思っても、デリケートな液晶画面を傷つけてしまわないか心配で、なかなか手が出せない方も多いのではないでしょうか。
実は、テレビ画面の掃除には正しい手順とNG行為があり、間違った方法で拭いてしまうと、取り返しのつかないダメージを与えてしまう可能性があるんです。
ティッシュでゴシゴシ拭いたり、アルコール入りのウェットティッシュを使ったり、ガラスクリーナーをスプレーしたり…これらは全て液晶画面にとって危険な行為。
マイクロファイバークロスを使った基本のやり方から、中性洗剤を活用した頑固な汚れの落とし方、そしてホコリ取りの適切な頻度まで、安心してお手入れができる正しい知識をお伝えします。
この記事では、液晶画面を傷つけることなく、指紋や手垢、油汚れをキレイに落とすための具体的な手順と、絶対にやってはいけない掃除法について、家電のプロの視点から詳しく解説していきます。
テレビの液晶画面掃除|基本のやり方

ここでは、安心してテレビの液晶画面をお掃除できるよう、基本のやり方をステップバイステップで詳しく解説していきます。
ホコリの取り方から、気になる指紋汚れ、そして「これでも落ちない!」というしつこい汚れの落とし方まで、一緒に見ていきましょう!
液晶画面の掃除、まずホコリから
テレビ画面の汚れというと、ベタッとした指紋や手垢を真っ先に思い浮かべるかもしれませんが、お掃除でまず最初にやるべきは「ホコリ取り」なんです。これ、とっても大事なポイントですよ。
なぜかというと、テレビの画面は「静電気」の力で、空気中に舞っているホコリをすごく引き寄せやすいんですね。特に電源を入れている時はもちろん、消した後もしばらくは帯電しています。
もし、そのホコリが乗った状態のまま、いきなり布で拭き始めてしまうと…。目に見えないホコリの粒子で、画面の表面をゴシゴシとこするのと同じことになってしまいます。それを繰り返すと、画面には微細な「拭き傷」がたくさん付いてしまう原因になるんです。
ですから、お掃除の第一歩は「画面に触れずに、ホコリを優しく払うこと」。これを鉄則として覚えておいてくださいね。
準備と手順:安全にホコリを取る
まず、お掃除を始める前には必ずテレビの電源を切って、電源プラグも抜いておくのがベストです。画面が黒い方がホコリや汚れが見やすいですし、万が一の感電やショートを防ぐためにも安全第一でいきましょう。
もし、長時間テレビをつけた直後でお掃除する場合は、画面がまだ温かいかもしれません。熱いまま水分を含むもので拭くと、水分がすぐに蒸発してシミやムラの原因になることがあるので、画面が完全に冷めるまで10分ほど待ってから始めてくださいね。
ホコリ取りに使う道具は、乾いた柔らかい布や、化学繊維でできたハンディモップがおすすめです。
私のお店でもお掃除コーナーに置いていますが、花王の「クイックルハンディ」みたいに、ふわふわした繊維でホコリを吸着してくれるタイプがすごく便利ですよ。あれなら、力を入れなくてもササッとなでるだけで、静電気の力でホコリをしっかり絡め取ってくれます。
ホコリ取りの3つのコツ
- 力を入れない:とにかく「なでる」「払う」意識で。ゴシゴシは厳禁です。
- 一方向に動かす:上から下へ、または端から端へ。円を描くように拭くとホコリを擦り付けやすいのでNGです。
- フチや隙間も忘れずに:画面とフレームの隙間はホコリが溜まりやすい場所。ハンディモップの先で優しくかき出すように取りましょう。
正直なところ、ベタベタした指紋汚れがなければ、このホコリ取りを週に1~2回やるだけでも、かなりキレイな状態をキープできます。「最近ホコリっぽいな」と感じたら、テレビを見る前にサッとなでる習慣をつけるだけで、後々のお手入れがとっても楽になりますよ。
「うちはホコリがすごくて追いつかない!」というお悩みも店頭で聞くんですが、そういう方には、ホコリを「寄せ付けない」工夫もおすすめです。
例えば、シャープの「プラズマクラスター搭載空気清浄機」や、パナソニックの「ナノイーX搭載空気清浄機」などは、イオンの力で静電気の発生を抑える効果が期待できるモデルもあります。お部屋の空気をキレイにしつつ、テレビ画面へのホコリ付着も減らせるなんて、一石二鳥じゃないでしょうか。
指紋汚れはクロスで優しく水拭き
ホコリをしっかり払ったら、次はいよいよ気になる指紋や手垢のお掃除です。
特にお子さんがいるご家庭だと、「あーっ、またベタベタ触ってる!」って、日常茶飯事かもしれませんね(笑)
うちも子供が小さい頃はそうでした。
こうした指紋や手垢は、主な成分が「油分(皮脂)」です。
だから、残念ながら乾拭きだけではなかなか落ちてくれず、むしろ汚れを塗り広げてしまうことも…。
ここで登場するのが、「マイクロファイバークロス」です!
メガネ拭きやカメラのレンズ拭きに使われる、あの極細繊維の布ですね。これが液晶画面のお掃除に本当に最適なんです。普通のタオルや雑巾だと、繊維が硬かったり太かったりして、デリケートな画面を傷つける可能性がありますが、マイクロファイバーならその心配が少ないんです。
もし手元になければ、着古した綿100%の柔らかいTシャツの切れ端などでも代用できますが、繊維くずが出にくいマイクロファイバークロスを1枚、テレビ専用に用意しておくのが断然おすすめです。
水拭きの「絶対ルール」:固く、固く、絞る!
水拭きといっても、ビシャビシャの状態は絶対にダメ!
これが一番大事なポイントです。テレビは精密機械ですからね。
正しい手順はこうです。
- マイクロファイバークロスを、水道水でいいのでキレイな水で濡らします。
- 「これでもか!」というくらい、水滴が絶対に垂れないレベルまで固く、固く絞ります。(本当に「湿ってるかな?」くらいでOKです)
- 汚れが気になる部分を、力を入れずに優しく拭き取ります。
- 最後に、乾いた別のマイクロファイバークロスで、画面に残ったわずかな水分を優しく拭き上げて仕上げます。
なぜこんなに「固く絞る」ことを強調するかというと、もし水滴が画面のフチや下のスピーカーの隙間からテレビの内部に侵入してしまったら…。
最悪の場合、内部の基板がショートして故障してしまうからです。
これはメーカーの修理担当の方からも「意外と多い故障原因」としてよく聞く話なので、本当に気をつけてくださいね。
力を入れないで!液晶パネルはデリケートです
もう一つ大事なのが「力加減」。
今の液晶パネルは、実は表面が硬いガラスではなく、柔らかい樹脂製のフィルムでできていることがほとんどなんです。試しに指で軽く押してみると、画面が少したわむのが分かると思います。
だから、汚れを落とそうとゴシゴシこするのは絶対にNG。パネル自体を物理的に痛めてしまうかもしれません。
拭くときは、あくまで「なでる」くらいの力加減がベスト。拭く方向も、円を描くようにグルグル拭くと拭きムラが残りやすいので、上から下へ、または右から左へ、一方向にスーッと拭くのがキレイに仕上げるコツですよ。
「水だけで本当に落ちるの?」と思うかもしれませんが、軽い指紋や手垢なら、マイクロファイバークロスの極細繊維が汚れをかき取る力で、十分落ちる場合が多いんです。
まずはこの「固く絞った水拭き」から試してみてくださいね。
落ちない汚れは中性洗剤で

固く絞った水拭きを試しても、「なんだかベタベタが取れない…」「指紋が白く伸びるだけで、かえって汚れが広がった気がする」…そんな頑固な汚れもありますよね。
例えば、こんな汚れです。
- キッチンの近くにテレビを置いていて、調理中の油が飛んで付着した「油煙」
- ご家族にタバコを吸う方がいて、少しずつ付着した「ヤニ」
- お子さんがお菓子を食べた手で触ってしまった、油分の多い手垢
これらは水だけでは分解しにくい油性の汚れなので、水拭きだけでは太刀打ちできないことが多いんです。
そんな時の最終手段として登場するのが、皆さんのご家庭にもきっとある「食器用の中性洗剤」です。
使うのは必ず「中性」洗剤!
ここで大事なのは、必ず「中性」の洗剤を使うこと。スーパーやドラッグストアで売っている食器用洗剤の裏側にある表示を見て、「液性」が「中性」となっていることを必ず確認してください。
「弱アルカリ性」や「アルカリ性」「酸性」の洗剤は、画面の特殊なコーティング(反射防止など)を化学的に傷めてしまう可能性があるので、絶対に使わないでくださいね。
中性洗剤の正しい使い方:薄める比率が命!
使い方はとっても簡単ですが、薄める分量が命です。濃すぎると、洗剤成分が残って逆にムラの原因になってしまいます。
- 洗面器などにキレイな水を張り(コップ一杯くらいでもOK)、そこに中性洗剤を1~2滴だけ垂らします。
- 目安としては、水で100倍以上に薄めるイメージです。泡が立つほど入れるのは多すぎ!
- その薄めた液にマイクロファイバークロスを浸し、水拭きの時と同じく「固く、固く」絞ります。
- 汚れのひどい部分を、力を入れずに優しく拭き取ります。
- ここからが重要です!洗剤で拭いたら、別のキレイなクロスを今度は「水だけ」で濡らして固く絞り、洗剤成分が画面に残らないよう、もう一度水拭きをします。
- 最後に、乾いたクロスで優しく乾拭きして、水分を完全に取り除いて仕上げます。
パナソニックなどの大手メーカー公式サイトでも、汚れがひどい場合のお手入れとして、薄めた中性洗剤の使用を案内していることがあります。
(出典:Panasonic UP LIFE 「テレビ画面は何で拭けばいい?掃除で使っていいもの、ダメなもの」)
ただし、これはあくまで「水拭きで落ちなかった場合の最終手段」です。洗剤成分が画面の隙間に入り込んだり、拭き残しがあったりすると、それがまたムラや故障の原因になってしまうので、最後の「洗剤を拭き取るための水拭き」と「乾拭き」は、本当に丁寧にやってください。
私も自宅でキッチンの油煙が気になった時にこの方法を試しましたが、力を入れなくてもスッと汚れが浮き上がる感じで、画面が本当にクリアになりましたよ。
ベタつきに悩んでいる方は、ぜひ試してみてください。
おすすめの液晶画面掃除グッズ
「水とか中性洗剤とか、自分で準備するのはちょっと面倒…」
「もっと手軽に、でも安全にお掃除したい!」
そうですよね、その気持ち、よーくわかります(笑)
家電量販店で働いていても、お掃除コーナーでお客様から「結局、テレビ画面ってどれ使えばいいの?」と一番よく聞かれるのが、専用のクリーニンググッズなんです。
やっぱり専用品は、デリケートな液晶画面を傷めないように、かつ手軽にキレイにできるように作られているので、ひとつ持っておくと安心感が違いますよ。私も自宅では専用グッズを愛用しています。
いくつか、店頭でも人気のおすすめタイプをご紹介しますね。
① 乾拭き・水拭き両用の「クリーニングクロス」
まずは基本のクロス。お掃除の第一歩であるホコリ取り(乾拭き)にも使えますし、水拭きや中性洗剤拭きにも使えます。1枚あると万能です。
- エレコム テレビ用クリーニングクロス (AVD-TVCC01)
これは大判で厚手の生地なので、50V型以上の大型テレビもすごく拭きやすいんです。私もこれを使っていますが、超極細繊維が汚れをしっかり絡め取ってくれて、拭き跡が残りにくいのがお気に入りです。もちろん洗濯して繰り返し使えるのも嬉しいポイントですね。 - カクセー マイクロファイバークロス 10枚セット (MFC-10)
「汚れたらすぐ気兼ねなく取り替えたい!」という方には、こういった安価なセット品も人気です。テレビ用、PCモニター用、メガネ用…と、場所ごとに使い分けられるのも便利だと思います。
② 手軽さ重視の「ウェットティッシュタイプ」
サッと取り出して拭くだけなので、一番お手軽なタイプですね。指紋汚れに気づいた時にすぐ使えます。ただし、選ぶときには絶対に注意点があります。
必ず「アルコールフリー」を選んで!
ウェットティッシュタイプを選ぶ際は、必ずパッケージを見て「アルコールフリー(ノンアルコール)」かつ「液晶画面用(TV用)」と明記されているものを選んでください!普通の除菌ウェットティッシュは絶対ダメですよ。
- エレコム 液晶用ウェットクリーニングティッシュ
大容量タイプで、もちろんノンアルコールの安全設計です。三菱ケミカルの超極細繊維「ナノワイパー」を採用していて、軽く拭くだけで指紋や油汚れをしっかり除去できます。拭いた後の静電気防止効果でホコリが付きにくくなる点もメリットです。 - サンワサプライ 液晶画面用ウェットティッシュ
こちらも人気の画面専用ウェットティッシュです。手軽に使えるボトルタイプで、デスク周りに置いてPCモニターと兼用するのにも便利ですね。
③ しっかり汚れを落とす「クリーナー液(リキッド)」
「乾拭きや水拭きじゃ落ちないけど、中性洗剤を薄めるのは面倒…」という、ちょうど中間のニーズに応えてくれるのがこのタイプです。
- エレコム 超速乾クリーニングリキッド
スプレータイプのリキッドですが、画面に直接かけず、必ずクロスに吹き付けてから使うのがルールです。速乾性が高いので拭きムラになりにくく、帯電防止効果でホコリの再付着を抑えてくれるのも高ポイントです!
専用グッズは本当にたくさんありますが、ご自身の使い方(手軽さ重視か、しっかりお掃除したいか)に合わせて、安心できる「専用品」を選んでみてくださいね。
テレビ液晶画面の掃除頻度は?
「で、結局どのくらいの頻度でお掃除すればいいですか?」
これも、店頭でお客様から必ずと言っていいほどいただく質問です。
毎日やるべきなのか、それとも半年に一回くらいでいいのか…悩みますよね。
お掃除の適切な頻度は、正直なところ、お部屋の環境やテレビの使い方によってかなり変わってきます。ですから、「絶対に月1回やってください!」という正解はないんですが、一般的な目安としてはこんな感じでしょうか。
| お掃除の種類 | 頻度の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| ① ホコリ取り (ハンディモップ等) |
週に1~2回 (または、気づいた時に) |
ホコリが画面に積もってこびり付く前に、サッと払う習慣をつけるのがおすすめです。お部屋の掃除機がけと同じタイミングでも良いですね。 |
| ② 拭き掃除 (水拭き・クリーナー) |
月に1回程度 | 電源を消した時に、指紋や手垢、ベタつきが「目立ってきたな」と感じたら、それがお掃除のタイミングです。 |
一番大切なのは、「汚れを放置しすぎない」ことなんです。
ホコリも、積もった状態で梅雨時期などの湿気を吸うと、画面にこびりついて乾拭きでは取れなくなってしまいます。指紋や油汚れも、時間が経てば経つほど落ちにくくなり、最悪の場合、画面のコーティングを傷めてしまう可能性だってあるんです(タバコのヤニ汚れがだんだん黄色く変色していくのと同じですね)。
ですから、「月に1回」というのはあくまで目安。「汚れが目立ってきたな」と思ったら、それがお掃除のサインです。早めに対処してあげるのが、テレビを長持ちさせる一番のコツですね。
こんなお家は「こまめ」なお掃除がおすすめ
以下のような環境では、通常よりも汚れが付きやすい傾向があります。目安(月1回)より少し頻繁に拭き掃除をしてあげると良いと思いますよ。
- キッチンとリビングが一体になっている(油煙が飛びやすい)
- ご家族に喫煙者がいる(ヤニ汚れが付着しやすい)
- 小さなお子さんやペットがいて、画面をよく触ってしまう
- 大通りに面していたり、換気で砂塵が入りやすかったりする
とはいえ、やりすぎも良くないんです。
先ほどからお伝えしている通り、液晶画面は本当にデリケート。拭き掃除のたびに、目に見えないレベルでも摩擦によるダメージが蓄積されてしまう可能性があります。
ですから、普段のお手入れは「ホコリ取り」をメインにして、本格的な拭き掃除は「汚れが気になったら」というスタンスが、画面にとっては一番優しくて、長持ちにもつながるんじゃないでしょうか。
やってはいけないテレビの液晶画面の掃除法

ここからは、この記事で一番お伝えしたいかもしれない、テレビの液晶画面お掃除で「絶対にやってはいけないこと」を集中的にお伝えします!
家電量販店で働いていると、「えっ、それで拭いちゃったんですか!?」と、思わず青ざめてしまうような、危険なお掃除方法を耳にすることが残念ながら時々あります…。
良かれと思ってやったことが、大事なテレビの繊細な画面を傷つけ、寿命を縮めてしまうことにもなりかねません。皆さんが同じ失敗をしてしまわないように、特に注意してほしいNG例を理由とあわせてしっかり解説していきますね!
液晶画面をティッシュで拭くと傷がつく?
ホコリや指紋に気づいたとき、つい手近にあるティッシュペーパーでサッと拭いてしまいたくなる気持ち、よーくわかります。私も昔はやっていましたから…。
でも、それは絶対にNGなんです!
「え、ティッシュって顔にも使うくらい柔らかいじゃない?」と思いますよね。でも、液晶画面のデリケートな表面(コーティング層)から見ると、ティッシュの繊維は意外と粗くて硬いんです。
ティッシュで乾拭きしてしまうと、目には見えないレベルの細かーい「拭き傷」がたくさん付いてしまいます。一度付いてしまった傷は、もう二度と元には戻りません。
それを繰り返しているうちに、画面全体が白っぽくくすんだように見えたり、電源を入れたとき に光が乱反射してギラギラしたりして、せっかくの画質が低下してしまうことにつながるんです。
これは、ティッシュと同じ「紙」でできているキッチンペーパーも同様です。特に乾いた状態では絶対に使わないでください。
(※一部の裏ワザ情報で「湿らせたキッチンペーパーで…」というものもありますが、紙の繊維が画面に残る可能性もありますし、私はリスクを考えると、やはりおすすめしていません…)
雑巾や使い古しのタオルも危険です!
「じゃあ布ならいいのね」と、お掃除に使い込んでいる雑巾や、ちょっとゴワゴワになってきた古いタオルで拭くのも、もちろん危険です。
一見キレイに見える雑巾でも、以前拭いた場所の砂粒や硬いゴミが繊維の奥に絡まっているかもしれません。そんなものでデリケートな液晶画面を拭いたら…どうなるか想像できますよね。
液晶画面を拭くときは、必ず「専用のクリーニングクロス」や「メガネ拭き」のような、柔らかくて、清潔な、専用の布を使うようにしてください。これは本当に大事なお約束です!
「ティッシュで強く拭くくらいなら、ホコリが乗ったままの方がまだマシ」とまで言うメーカーの技術者さんもいるくらい、ティッシュでの乾拭きは画面にとってダメージが大きいんです。
ぜひ覚えておいてくださいね。
アルコールやウェットティッシュはNG
「汚れも落ちるし、除菌もできて一石二鳥!」と、テーブルなどを拭くついでに、アルコール入りの除菌シートやウェットティッシュでテレビ画面を拭いていませんか?
それも、絶対に、絶対にやめてください!
(大事なことなので2回言いました)
今のテレビの液晶画面(これは有機ELテレビも同様です)の表面には、お部屋の照明や外光の映り込みを抑えたり、映像を鮮やかに見せたりするために、「反射防止コーティング」や「防指紋コート」といった、とっても薄くて繊細な、特殊な膜が処理されているんです。
アルコール(エタノールやイソプロパノールなど)は、この大切なコーティング層と化学反応を起こして、溶かしてしまったり、変色・白化させてしまったりする危険性が非常に高いんです。
お店でも、「アルコールスプレーをかけたティッシュで拭いたら、画面がムラムラになっちゃったんだけど…」という、本当に悲しいご相談をいただくことがごく稀にあります。
こうなってしまうともう元には戻せず、修理(=高額なパネル交換)するしかなくなってしまいます。
使っていいのは「ノンアルコール」の「画面専用」だけ
もしウェットティッシュタイプを使いたい場合は、必ずパッケージをよーく見て、
- 「アルコールフリー」または「ノンアルコール」
- 「液晶画面用」または「TV用」
この2つの条件がハッキリと書かれているものを選んでくださいね。先ほど「おすすめグッズ」で紹介したような専用製品なら安心です。
「除菌」という言葉はとても魅力的ですが、基本的にテレビ画面に除菌は必要ありません。それよりも、繊細なコーティングを守ることを最優先に考えてあげてくださいね。
ガラスクリーナーも避けて
「テレビの画面も、窓ガラスと同じ『ガラス』でしょ?だったらガラスクリーナーが一番キレイになるんじゃない?」
これもとても危険な、そして非常に多い誤解なんです!
先ほどから何度かお話ししていますが、多くの液晶テレビの画面表面は、硬いガラスではなく、柔らかい樹脂製のフィルムやコーティング層でできています。
(※一昔前のプラズマテレビや、一部の有機ELテレビ、PCモニターの光沢(グレア)タイプには表面にガラスが使われていることもありますが、それでも特殊なコーティングはされています)
窓ガラス用のクリーナー、例えばスプレータイプの「窓〇〇」のような製品には、汚れを削り落とすための「研磨剤(微粒子)」や、油膜を強力に分解するための「アンモニア」などの強い化学成分が含まれていることがほとんどです。
研磨剤で画面を削るのと同じ!?
もし、そうした研磨剤入りのガラスクリーナーで液晶画面を拭いてしまったら…。
それはもう、紙ヤスリで画面の表面を削っているのと同じことなんです。
当然、表面の繊細なコーティングは一瞬で剥がれ落ち、樹脂パネル自体にも無数の傷がついてしまいます。その結果、画面がギラギラと乱反射したり、全体が白く濁ったりして、もう二度と元には戻せません。
同じ理由で、お掃除の万能アイテムとして人気の「メラミンスポンジ(激落ちくんなど)」も絶対にNGです。あれも、目に見えないレベルの細かい研磨作用で汚れを削り落とす仕組みなので、液晶画面には絶対に使わないでくださいね。
他にも、「ベンジン」や「シンナー」などの有機溶剤、お掃除でおなじみの「お酢(酸性)」や「重曹・セスキ炭酸ソーダ(アルカリ性)」なども、画面の変質につながるので使えません。
液晶画面に使える洗剤は、「ごくごく薄めた中性洗剤」だけ!
と、しっかり覚えておきましょう。
やってはいけないNGな拭き方

使う道具や洗剤に気をつけても、肝心の「拭き方」がマズイと台無しです。
ここも大事なポイントですよ。
画面への直接スプレー
これは本当に危険です。
しつこいようですが、何度でも言いますね。
水でも、あるいは「液晶用」と書かれたクリーナー液でも、スプレーボトルで画面に直接「シュッ!」と吹きかけるのは絶対にやめてください。
狙った場所以外にも飛び散った液体が、画面の下のフチや、目に見えないスピーカーの隙間などからテレビの内部にスーッと流れ込んでしまうと…。内部の精密な基板がショートして、一発で故障します。
これは漏電による火災の危険もゼロではないので本当にNGです。
クリーナー液を使うときは、必ず先にクロス(布)の方に吹き付けて、クロスを湿らせた状態で拭くようにしてくださいね。
ゴシゴシ強くこする
「この指紋、しつこい!」と、ついつい力が入ってしまう気持ちはわかります。でも液晶パネルは圧力にとても弱いんです。
強く押さえつけながらこすると、パネル自体が物理的に破損して、画面に黒い線が入ったり、その部分だけ色が映らなくなったりする「画素欠け」という致命的な故障の原因になります。
もちろん、爪を立ててカリカリするなんて論外ですよ!
汚れが落ちない時は、加える力を強くするのではなく、先ほどご紹介した「薄めた中性洗剤」など、汚れを浮かせる化学の力(?)を正しく使うのが正解です。
お掃除中は常に「優しくなでる」を徹底してください。
円を描くようにグルグル拭く
車のワックスがけみたいに、円を描くようにグルグルと拭くと、拭きムラがものすごく残りやすいんです。乾いた後に電源をつけた時に、拭いた跡が虹色にギラギラして見えちゃったり…。
「キレイにしたはずなのに、余計汚く見える」なんて、悲しいですよね。
拭きムラを残さないコツは、「一方向に拭く」こと。
上から下へ、または右から左へ、スーッと直線的に拭き上げる方が、ムラなくキレイに仕上がりますよ。
特に最近の大画面テレビだと、端から端まで一気に拭くのは難しいですよね。そういう時は、拭く範囲をいくつかに分けて(例えば画面を4分割するイメージで)、一区画ずつ「一方向に拭く→(必要なら)乾拭きで仕上げる」を繰り返していくと、ムラなくキレイにできると思います。
スマホ画面の掃除方法との違い
「あれ?でも私、スマホの画面は、アルコールティッシュで拭いても大丈夫って聞いたよ?」
そうなんです、良いところに気が付きましたね!
ここ、意外と多くの人が混同してしまっている、大きな落とし穴なんです。
同じ「画面」と一口に言っても、テレビの液晶画面と、私たちが毎日触っているスマートフォンの画面は、使われている素材や構造が全然違います。
すごく簡単に比較してみますね。
| テレビの液晶画面(主流) | スマートフォンの画面 | |
|---|---|---|
| 表面素材 | 樹脂製のフィルム(柔らかい) +反射防止などのコーティング |
強化ガラス(硬い) +指紋防止のコーティング |
| デリケートさ | 非常にデリケート (摩擦傷に弱く、薬品に極端に弱い) |
比較的丈夫 (テレビよりは摩擦に強い) |
| アルコール | 絶対NG (コーティングが溶ける・変色・白化) |
メーカーが許可している場合アリ (例:Appleは70%イソプロピルアルコールOK) |
一番の違いは、表面が「柔らかい樹脂」か「硬いガラス」か、という点です。
スマホは毎日何度も指で直接触るので、指紋が付きにくく、拭き取りやすいように「撥油(はつゆ)コーティング」が施された丈夫な「強化ガラス」で覆われています。
だから、テレビの画面よりは摩擦にも強いですし、メーカー(例えばAppleなど)が公式に「消毒のためにアルコール含有シートで拭いてもOK」と案内している場合もあります。
(ただし、そんなスマホでさえも、アルコールで拭きすぎると、表面の指紋防止コーティングが剥がれて、指の滑りが悪くなったり、指紋がベッタリ付きやすくなったりすることがあるので、やりすぎは禁物ですが…)
一方で、テレビの液晶画面は、基本的に硬いガラスで保護されていません。薄い樹脂フィルムと、その上のさらに繊細なコーティングが、いわば「むき出し」の状態なんです。
だから、スマホと同じ感覚でアルコールで拭いてしまうと、一発でコーティングが化学変化を起こしてダメになってしまうんですね。
ちなみに、パソコンのモニター画面(特に光沢のない「ノングレア」タイプ)も、テレビと同じでデリケートな樹脂表面のことが多いです。PCモニターのお掃除も、テレビと全く同じルール(アルコールNG、優しく拭く)で行ってくださいね。
「スマホは(条件付きで)OK、でもテレビは絶対NG」。
この違い、ご家族にもぜひ教えてあげてください!
正しいテレビ液晶画面の掃除で快適に
ここまで、テレビの液晶画面掃除について、基本のやり方からNGなやり方まで、詳しくお話ししてきました。長くなってしまいましたが、おさらいすると、大切なのはこの3つのシンプルなルールです。
- 「払う」→「拭く」の順番を守る
(いきなり拭くと、ホコリで画面を傷つけます) - 「専用クロス」で「優しくなでる」
(ティッシュ・雑巾・ゴシゴシ拭きはNGです) - 「アルコール」や「ガラスクリーナー」は絶対に使わない
(使うなら「水」か「ごく薄い中性洗剤」だけです)
テレビの液晶画面って、私たちが思っている以上に、すっごくデリケートな存在なんです。
せっかく購入した4Kや8Kのキレイなテレビも、画面がホコリや指紋で汚れていたり、ましてや間違ったお掃除で傷がついてしまっては、その魅力が半減してしまいますよね。
それはすごく、もったいないことだと私は思います。
でも、今日お話しした正しいお手入れ方法さえ知っていれば、お掃除は決して難しくありません。
「ホコリは優しく払って、汚れは優しく拭き取る」。この基本を守って、ぜひ定期的にケアしてあげてください。
クリアな画面で見る映像は、やっぱり格別ですよ。
正しいお掃除で、毎日のテレビライフをもっともっと快適に楽しんでいきましょうね!


